歴史 - 龍村美術織物について - 龍村美術織物(京都) 公式サイト | 織物、和装小物、茶道具

History 歴史

龍村美術織物の始祖である初代龍村平藏から現四代までの弛まぬ挑戦の歴史。

不断の研究と挑戦

古代織物の研究と復元、それを基盤としながら「美術織物」という新しい分野を確立した龍村美術織物。
現在まで一貫して、世界に美術織物の素晴らしさを発信する当社の道のりをご紹介いたします。

Technology 龍村美術織物の基礎となる復元技術

1894(明治27)年の創業以来、すべての根底にあるのは、"復元と創作"です。

大正末期、初代龍村平藏は、画家の黒田清輝、東京美術学校(現東京藝術大学)校長の正木直彦らが主催する織宝会の依頼を受け、正倉院宝物裂、法隆寺裂など、名物裂の研究に着手します。その実力は、皇太子殿下(昭和天皇)御外遊記表紙裂、昭和天皇御即位の際にも大礼記録表紙裂を謹織するまでとなりました。

Global 海外デザイナーをも魅了する唯一無二の技

昭和に入ると海外への出展も果敢に行い、ベルリン第一回世界工業博覧会に丸帯「威毛錦」を出品し、金賞を受賞。その後も古代裂の複製をアメリカへ輸出し、ニューヨークやワシントンの美術館において展覧会を開催しました。

これらの活動が、後にクリスチャン・ディオール向けのドレス地制作に発展していきます。

enterprising spirit 新分野へと果敢に挑戦をつづける進取の精神

1956(昭和31)年、織物業界における功績から初代平藏が「日本芸術院恩賜賞」を受賞。翌年に紫綬褒章も受章し、当社は世間にますます認知されるところとなりました。

当社が制作する織物の中で最も大きい「緞帳」は、昭和31年の神戸国際会館を皮切りに、御園座、国立劇場、明治座、歌舞伎座など、国内の名だたる舞台に使われています。また、インテリアの分野では、昭和新宮殿、大阪万博日本パビリオン、最高裁判所などのタペストリー、衆参両議院の内装裂地を製織しました。

昭和後期には、薬師寺、東大寺などの歴史的建造物に使用される貴重な裂地の復元制作も本格化。加えて京都市・祇園祭の山鉾用の装飾織物である懸装品(けそうひん)の制作も開始し、織物芸術の新たな境地に踏み込みこんでいきます。

Industrial materials 産業資材まで広がる活躍のフィールド

平成になると、今上天皇即位の礼に際し御使用裂、秋篠宮殿下・紀子妃殿下「納采の議」用絹巻物、皇太子・雅子妃殿下「納采の儀」用絹巻物を謹織、正倉院宝物である琵琶袋「大宝相華唐草文様」復元など、国内において重要な織物の製織を手掛けました。

その後も、京都国立迎賓館大会議場のタペストリー、全日本空輸(ANA)シートカバー、赤坂迎賓館内装裂地正倉院宝物「七条織成樹皮色袈裟」など様々なジャンルの織物を製織・復元しました。

また最近では、リニューアルした歌舞伎座の緞帳や、ケネディ米駐日大使がご使用された事で話題になった宮内庁「儀装馬車」内装裂の製織も行うなど、美術織物のトップブランドとして活躍の場を広げています。

龍村美術織物の歴史(年表)

1894(明治27) 初代平藏、織物業を創業。
1921(大正10) 正倉院宝物裂、名物裂などの研究に着手。
1923(大正12) 皇太子殿下(昭和天皇)御外遊記表紙裂を謹織。
1928(昭和3) 皇太后陛下御手元品御棚飾裂帖を謹織。
1929(昭和4) 昭和天皇御即位大礼記録表紙裂謹織。
1938(昭和13) ベルリン第1回世界工業博覧会に丸帯「威毛錦」を出品。金賞受賞。
1946(昭和21) 古代裂複製をアメリカへ輸出。ニューヨーク、ワシントンをはじめ、各地の美術館において展覧会開催。
1953(昭和28) 皇太子殿下(今上天皇)御外遊に際し、御壁掛4点を謹織。
1954(昭和29) クリスチャン・ディオールの依頼を受け、名物裂など7点を制作。
1955(昭和30) 航空機内装事業に参入。日本航空(JAL)へ機内カーテン納入。この年、株式会社 龍村美術織物を設立。
1956(昭和31) 初代平藏、日本芸術院恩賜賞受賞。
1958(昭和33) 初代平藏、紫綬褒章受章。
1960(昭和35) 東宮御所の内装裂地各種を謹織。初代平藏、財団法人大日本蚕糸会より恩賜賞受賞。
1962(昭和37) 大阪城博物館の委嘱を受け豊臣秀吉所用陣羽織「豊公獅噛鳥獣文」を復元。
1966(昭和41) 二代龍村平藏を襲名。国立劇場(東京)、中日劇場(名古屋)の緞帳を制作。
1968(昭和43) 昭和新宮殿の造影に際しタペストリー「清光」「寂光」ほか、内装裂地を謹織。
1969(昭和44) 大阪万博に際しタペストリー「原爆」「平和」を制作。
1970(昭和45) エルミタージュ美術館(現ロシア)所藏「ノイン・ウラ」発掘裂の復元研究を開始。
1974(昭和49) 最高裁判所のタペストリー3点を制作。赤坂迎賓館の内装裂地を製織。
1975(昭和50) 衆議院、参議院の内装裂地を製織。
1976(昭和51) 三代平藏を襲名。薬師寺金堂落慶に錦幡「鴛鴦」「鳳凰」を制作。
1977(昭和52) パリ・オ・プランタンにて「龍村・大彦美術衣装展」を開催。
1978(昭和53) 歌舞伎座(第4期)緞帳制作。
1980(昭和55) 東大寺昭和大修理に際し、金襴裂水引を制作。
1982(昭和57) 新橋演舞場(東京)緞帳を制作。
1984(昭和59) 東大寺の委嘱を受け「東大寺金襴」を復元。京都市・祇園祭山鉾連合会の委嘱を受け、山鉾の懸装品の制作開始。
1990(平成2) 今上天皇即位の礼に御使用裂を謹織。秋篠宮殿下・紀子妃殿下「納采の儀」用絹巻物謹織。
1992(平成4) 宮内庁正倉院事務所の委嘱を受け琵琶袋「大宝相華唐草文様」を復元。
1993(平成5) 皇太子殿下・雅子妃殿下「納采の儀」用絹巻物謹織。三代平藏 財団法人大日本蚕糸会より蚕糸功労賞を受ける。明治座(東京)緞帳制作。
1998(平成10) 京都祇園八坂神社の門帳「八坂唐草文」を制作。
2001(平成13) 大名物仕覆10種を復元。
2004(平成16) 京都国立迎賓館大会議場〝夕映の間〟タペストリー「比叡月映」「愛宕夕照」を制作。
2005(平成17) 九州国立博物館所藏品、国立能楽堂能装束舞衣などを復元。全日本空輸(ANA)シートカバー納入開始。
2006(平成18) 四代平藏を襲名。
2007(平成19) 宮内庁の委嘱を受け「儀装馬車 御者台飾」を復元。
2008(平成20) 赤坂迎賓館改修工事に伴う内装裂地を製織。
2011(平成23) 宮内庁正倉院事務所の委嘱を受け「七条織成樹皮色袈裟」を復元。
2013(平成25) 『創業120年記念龍村平藏「時」を織る』を開催。全国4会場でのべ13万人が訪れる。歌舞伎座(第5期)緞帳制作。
2014(平成26) 臨濟宗相國寺 打敷5種を復元。歌舞伎座 緞帳を制作。
2015(平成27) 祇園祭大船鉾 前懸「紅地雲龍青海文」を復元。
2016(平成28) 前田家所蔵いちご裂を復元。
2017(平成29) 御園座 緞帳を制作。
2018(平成30) 興福寺中金堂幡を制作。
2019(令和元) ICOM(国際博物館会議)旗を制作。