2024年3月22日更新しました
病的ギャンブラーとは、やってはいけないと解かっていても足がパチンコ店やボートレース、競馬場に向かい、賭け事を繰り返して多額の借金をしてしまう人のことです。
周囲を借金地獄に陥らせた挙句に、罪を犯したり自殺をしたりする人も少なくない、深刻な病気。
帚木蓬生著『ギャンブル地獄からの生還 やめられない』からギャンブル依存についてお伝えします。
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体験談、ギャンブルは人格を変える
本の内容の前に、私の体験談に少しだけお付き合いください。
保育園児だったころ私は父と継母に連れられ、よくパチンコ店に出入りしていました。今と違い、ばね式の台だったことを覚えています。
それは半世紀近くも前のこと。
父と継母はその頃からパチンコに心を蝕まれていたのでしょう。
パチンコから帰ったかと思うと、家で殴り合いの夫婦ゲンカが始まり、家庭はひどく荒んでいました。
しかし結果的に、夫婦別れはしませんでした。
父は若い頃は商売をつぶしたことがありますが、1980年頃からとても羽振りがよくなり、バブルの頃は人生も最高潮。
そして、ギャンブルから離れることができずに、人格が崩壊する様子を私はつぶさに見ることになります。
パチンコをなぜやめられないのか
精神科医であり作家の帚木蓬生(ははきぎ・ほうせい)が書いた『ギャンブル地獄からの生還 やめられない』には、パチンコ依存に陥った人たちのケースが具体的にあります。
- 学生時代に兄に連れられ初入店し、ビギナーズラック。そこからはまり、借金を重ね、母親の宝石を盗み質入れする女性。パチンコ依存を隠して結婚、出産し、乳児を車に置き去りしてパチンコをした。熱中症でぐったりした乳児を巡回していた店員が見つけ通報。
- 主婦仲間に誘われて来店の50代主婦は、夫名義のカードで生活費を使い込み、息子や娘にも借金を頼み込む始末。子ども達が自分たちで貯めた結婚の準備金も、パチンコに使い果たした。
- 大学時代からパチンコ・スロットに熱中。私立高校の教職に就くも互助会のお金をパチンコに流用し、ばれて退職。
簡単に箇条書きにしましたが、本には本人や家族の苦しみが切々と語られています。
中にはミッション系の私立大学から神学校を経て牧師になったのに、競馬に獲りつかれた人も。
共通しているのは、賭博場にいると現実を忘れることができる、パチンコ店が自分の居場所だと強く感じてしまうことです。
そして著者が知る患者のなかでギャンブルに注ぎ込んだ金額は平均で数千万円、多い人では1億6千万円にのぼる。
多重債務者となり、ヤミ金に手を出すケースも少なくありません。これが家族もろとも地獄に突き落とすのです。
WHOが認める診断基準
ギャンブル依存は強迫的ギャンブラー、病的ギャンブリングと言い方がいくつかあり、ギャンブルの中でも日本ではパチンコの依存者が最も多い。
パチンコ店が日本の津々浦々に乱立して年中無休で営業していますから、主婦でも学生でも非常に垣根が低い。
大人で一度もパチンコ店に入ったことがない人のほうが稀ではないでしょうか。スーパーの買い物帰りに、気楽にギャンブルをすることができるのが日本です。
早い人では高校生から出入りしているとか。
病的ギャンブリングの診断方法
- いつもギャンブルのことばかり考えている
- 興奮を求めて使う金額が増えている
- やめようとしてもやめられない
- ギャンブルをやめると、イライラする
- 嫌な感情から逃れようとしてギャンブルをする
- 負けた後、取り返そうとしてさらにギャンブルをする
- ギャンブルの問題を隠そうとして家族や治療者、そのほかの人々に嘘をつく
- 元手のために、文書偽造、詐欺、盗み、横領、着服など不正行為をする
- ギャンブルのために人間関係や仕事、学業が損なわれる
- ギャンブルでつくった借金を他人に肩代わりしてもらっている
私の父親は、8以外はすべて当てはまる。
もしかしたら私の知らないところで詐欺めいたことをしたかもしれません。中古車の販売業も営んでいた時期があるから。
この診断10項目のうち、5つ以上あてはまれば、病的ギャンブリングと診断されます。
さらに詳しい診断方法があり、それは例えばギャンブルに使うお金の工面方法について、生活費を削る、サラ金、保険の解約、配偶者や子供のお金など細かく設問されています。
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肩代わりはするな
本のなかで特に強調されていることがあります。
それが借金の肩代わりについて。
絶対してはならないとあります。
借金は連帯保証でない限り、妻や親や子どもに返済の義務がありません。
あくまで本人に返す義務がある。
親子の情を持ち出されたら
10年近い前に私は、借金の肩代わりをしろと親に詰め寄られました。
父は老いても、パチンコをやめることができなかったのです。
当時の私は子ども達の教育費と住宅ローンを抱えていたため、「できない」と断わった。
そうしたら、すごい形相で罵られました。
「飯を食わせて育ててやったのに、何一つ恩を返す気はないのか」
私は子どもの頃から暴力をふるわれたので、震えあがるほど怖かったです。
しかし、私には守るべき家庭がありました。
それに父はそのとき60代後半で、若くて体力がある時期は過ぎていましたから、殴られたら、やり返そうと考えることができました。
それにしてもパチンコは父と継母の人格をすっかり変えました。
目の前のお金しか見えず、短絡的な思考しかできない。
そのため親戚も離れてしまいます。
ただ、父は世間体を気にする見栄っ張りなため、いまも強気。自分が病的ギャンブラーであることを絶対に認めません。
とにかく親子の情を持ち出されても、お金を差し出したり、肩代わりしたりすることはやめましょう。
共依存となって本人はますます、ギャンブルに熱が入るだけですから。
回復のために役立つことは?
病気なので、いくら周囲が心配しても説得しても治りません。
ガンや腫瘍のように治療が必要なのです。
専門医やカウンセラーにかかり、自助グループに参加することを著者は説いています。
場合によっては入院もあり得ます。
保険がきくそうです。
ギャンブル依存に対しての治療や回復について、日本は世界の中でもかなり遅れているでしょう。法律がパチンコを合法として、野放しなのですから。
パチンコ店の経営者は、朝鮮系の人と中華系が9割を占め、莫大な資金力でマスメディアや政治を意のままにしてきた歴史があります。
国内ではギャマノン日本インフォインメーションが、自助グループとして全国各地に広がりつつあります。
http://www.gajapan.jp/jicqa-qa.html
焼くまで治らない
飲む打つ買うのうち、打つは焼くまで治らないと昔からいわれてきました。
焼くまでとは火葬場で骨になるまでという意味ではないでしょうか。
一旦、やめてもパチンコ店の前を通ると頭がクラクラするほど、興奮が脳裏によみがえるとのこと。
最近ようやく治療プログラムができました。
長期間の自助努力が必要であることを本から学びましたが、とてもわかりやすい一冊です。
私は個人的に、パチンコ店の撲滅を訴えたい。しかし、国がIR法を設けて、カジノ建設に向かっています。
パチンコ依存症者は、家族が入店制限を申し入れることが可能に! | ハーバービジネスオンライン
妻や子を路頭に迷わせても、屁とも思なくなるのが病的ギャンブリング。いつ誰がなるかわかりません、あなたも私も。気を付けたいですね。
田邉等先生に「ギャンブル依存症」を訊く|公益社団法人 日本精神神経学会
まとめ
ギャンブル脳になると、絶えず刺激を求めてギャンブルのために、どんな手段でもお金を得ようとします。
パチンコがらみの強盗や殺人、心中事件を私はなくしたいです。
様々な取り組みが本格的になっていますが、ギャンブル依存には特効薬はありません。
本人の行動を変えることが、大切になるでしょう。
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