雇用・人材育成
目次
Ⅰ.人材育成の考え方
1. 「よい仕事がよい人を育て、 よい人がよい仕事を生む」
竹中工務店では、手がけた建築物のことを「作品」と呼んでいます。それは、当社建築物に対する品質へのこだわりを表しており、社員一人ひとりの意識の中に「匠の心」すなわち「棟梁精神」が今も脈々と受け継がれているのです。その精神に則した個人個人の行動と成果の結集が、卓越した企業競争力の源泉になっていると言えます。
「最良の作品を世に遺し、社会に貢献する」を経営理念に掲げる私たちは、「よい仕事がよい人を育て、よい人がよい仕事を生む」を基本的な考え方としています。そしてその主役は、指示されたことを成す人ではなく、自ら考え、行動できる人のこと。個人個人が「教えられる」のではなく、自ら「会得」し、目標と意欲を持って学ぶことで、働きがいを創出していくものと考えています。また、そうした人材が組織の成長を促す原動力になるのです。こうして自ら考え行動できる人材が力を合わせて活動していくことにより、当社は成長を続けているのです。
2. 若年層の早期育成
社員一人ひとりが自律的にキャリア開発を行うことが前提ですが、特に若年層のうちは、新社員期、育成期と位置付けて、会社が主導して社員の早期育成を図っています。それを会社として強力に支援する仕組みがキャリア開発プログラムです
3. キャリア開発プログラム
社員個々人の能力を総合的力量として把握し、人事管理の基礎資料として活用すると共に、中長期のキャリア計画に沿った適所適材・適材適所による配置及び教育・ 学習により、効果的な総合的力量の開発を推進することでキャリア開発を実現します。さらに、把握した総合的力量を社内等級制度の運用等へ反映することで公正な処遇を行うことを目的としています。
Ⅱ.教育学習体系
Ⅲ.新社員教育制度
竹中工務店の新社員教育の大きな特徴は、1年間という長い期間を費やし、幅広い知識を習得することにあります。
全国から入社した新社員(当社での新入社員の呼称)は1年間教育寮「深江竹友寮」において寮生活を体験しながら、ローテーションにより2~3つの部門を経験し、さまざまな実務研修を受けることになります。 配属された部門では、実際に業務を担当しながら各部門の役割や部門間での業務の流れを自らの体験を通して学ぶことができます。
この間、多くの知識やスキルの習得を図るとともに、1部門あたり4~6カ月という短い期間ですが、複数の部門を経験することによって、幅広いものの考え方を身につけることをねらいとしています。また、この1年間は同期生の間はもとより、ローテーションで配属される部門を基点に、さまざまな人的ネットワークを形成する重要な期間でもあります。これらは、各人のキャリアの基盤となり、竹中工務店の総合力、人材力の礎となっています。
Ⅳ.社内公募研修制度
竹中工務店では、社員一人ひとりのキャリアプランの実現を後押しするさまざまな人材育成制度を整えています。より専門性の高い知識や経験の習得、海外のビジネスでの活躍を目指した幅広い研修、海外留学で専門分野を学習できる制度など、自ら設定した課題に取り組み、夢を叶えようと努力を続ける社員を応援しています。
1. 技術研究所研修生制度
建設技術の高度化に対応するため、1959年より毎年、本・支店からエントリーのあった技術系社員を選考し、技術研究所で2年間の実習と研究を行うことで、設計、施工の中核となる人材を育成しています。
2. 国際ビジネス研修生制度
多様化する国際業務に対応するため、国際事業推進の中核となる人材を計画的に育成していくもので、1978年より国際支店ならびに海外現地法人において、1年間海外での実務研修を中心とする実践教育を行っています。
研修生のスケジュール(例)
国内英語研修(1カ月)
海外語学研修(3カ月)
国内での基礎スキル研修(1カ月)
海外実地研修(6ヵ月)
成果発表・修了式
3. 海外留学制度
社員を計画的に海外の大学院、研究機関、会計事務所、設計事務所等に留学させ、海外知識の吸収、国際的視野の養成を図るとともに、経営管理、設計、施工、技術などの諸分野に関する研究を行う海外留学制度を、1961年より実施しています。
2009年以降 一部抜粋
国際建築(イギリス・大学院)
国際法務(アメリカ・大学院)
国際財務(アメリカ・銀行)
建築設計(アメリカ・大学院)
建築設計(フランス・設計事務所)
環境設計(アメリカ・大学院)
材料研究(ノルウェー・大学院)
スマートコミュニティ(アメリカ・大学院)
海外不動産運用管理(アメリカ・イギリス・企業)
医療福祉(シンガポール・企業)
コンピュテーショナルデザイン(アメリカ・大学院)
建設プロジェクトマネジメント(アメリカ・大学院)
4. 竹中グループ キャリアアップ出向研修制度
研修の目的
竹中グループでは、グループ会社との人材交流と業務連携の強化を目指し、2014年から「キャリアアップ出向研修制度」を実施しています。
この制度は、グループ会社から当社が研修生を受け入れ、OJTを通じて仕事を学び、同時に人的ネットワークも形成し、研修後は、所属会社において、修了生を基軸としたグループ連携を強化していくことを狙いとしています。
実施の経緯
これまで(株)アサヒファシリティズ、 (株)TAKイーヴァック、㈱TAK-QS、 (株)朝日興産などのグループ7社から計32人の研修生が当社の各部門で研修を実施してきました。
研修期間中は、日々のフォローアップに加え、定期的な面談、また修了時には研修成果の発表会を実施しています。
研修を通じて、研修の狙いである仕事理解や人脈形成以外にも「広い視点を持てるようになった」「より深く考えるようになった」という意識変革に関する声や、お互いを理解し、業務効率化やサービス品質の向上にもつながったという事例も生まれています。
今後の展開
キャリアアップ出向研修制度を通じて研修生が学ぶ「経験と人脈」は、本人はもとより、竹中グループの財産でもあります。竹中グループの人的基盤強化に向けて、このようなグループの貴重な財産を生かし、グループの仕事を理解する場や人材交流の場を増やすことで、グループの結束を高めて、更にグループのシナジー効果を生み出せるように、引き続き「場づくり」「しくみづくり」に取り組んでまいります。
Ⅴ.資格取得支援制度
一級建築士をはじめ国家・民間資格の取得を、講習会や社内模試の実施により積極的に後押ししています。当社の一級建築士資格保有者は、同業の中でもトップクラスです。(2023年1月現在)
一級建築士2,432人
一級建築施工管理技士2,336人
技術士192人
博士120人
Ⅵ.人権への取り組み
当社では、入社時の導入研修などにおいて、人権を尊重する企業文化の醸成と従業員ひとりひとりの人権意識の向上を目指し、人権方針に込められた基本的な姿勢や活動指針の理解を深める取り組みを進めています。
Ⅶ.自社の研修施設
1. 竹中研修所 匠
兵庫県川西市清和台に「竹中研修所・匠」があります。
全国から集まった受講者たちは、緑豊かな自然の中で学び、語らい、時には競い合って、当社従業員としての技量を高め、見識を深めています。
「竹中研修所」は、1972年に猪名川を見下ろす高台に、テニスコートや野球場、陸上トラックを併設する研修所として竣工しました。
その後2007年に「「知的創造型研修所」へと再生プロジェクトがスタートし、さまざまな部門の延べ100人以上が、真剣に、想いを込めて造りあげました。「人財」は、サステナブルな企業活動を支える最も重要な経営資源でもあります。現在の「人財」が未来の「人財」へ贈ったメッセージが積み込まれています。
生まれ変わった「竹中研修所・匠」では、まず研修に没頭し、そして休憩時間にはリフレッシュできる空間となっています。ラウンジでコーヒーを飲んだり、中庭を歩いたりと、思い思いの場所で、思い思いに過ごすひととき、丘の上に建つ「竹中研修所・匠」は、穏やかな光と静寂に包まれます。
また、日常とかけ離れた空間で、気分を変え、偶然に集まった同僚と取り留めもなく話すことで、何かの“気付き”につながればと、コミュニケーションを活発に取れる場のしかけづくりもあります。
2018年には、木の温もりに包まれる宿泊棟が完成しました。宿泊室を清和台の森に大きく開き、利用者が木々の緑をふんだんに感じられる空間となっています。研修の合間に、日常から離れた場所で豊かな自然を感じながら、自分自身を見詰め直す場となります。
2. 竹中技術実務研修センター 想
「竹中研修所・匠」がある兵庫県川西市清和台の敷地内に、「竹中技術実務研修センター 想」があります。当センターの基本方針は、これまで蓄積した貴重な財産である「品質 のつくり込みのプロセスを確実に次世代に伝承する」ことであり、特に 「見て 触れて 体得する」という体験型研修を通じて、ものづくりの 「型」を身につけ、磨き抜かれた感性、知識に裏付けされた「棟梁精 神」の基本を涵養するものです。
特にものづくりに携わる者にとって、「現地・現物・現時」を確実に実践 することが求められています。このような背景のもとに、ものづくりの 「型」を身につける場として「竹中技術実務研修センター」をオープンしました。
研修の対象者は当社技術系社員及び協力会社鉄筋職長とし、研修区分も建築、設備、設計、監理・品質管理、改修工事、安全、協力会社と分け、初級、中級、上級とプログラムを組んでいます。
研修内容としては、鉄筋コンクリート工事を対象とした研修や、漏水防止の管理ポイント体得研修、墜落災害防止研修等、多岐にわたっています。
また、海外ローカルスタッフを対象とした研修も実施しています。