『58年 その先に-袴田事件と再審法-』ギャラクシー賞7月度「月間賞」 受賞
テレビ静岡制作ドキュメンタリー番組『58年 その先に-袴田事件と再審法-』がギャラクシー賞7月度「月間賞」を受賞した。この作品はFNSドキュメンタリー大賞参加作品として制作し、フジテレビで7月3日に放送された。(テレビ静岡では6月2日に放送)テレビ静岡では初の「月間賞」受賞となる。
ギャラクシー賞は、放送批評懇談会が日本の放送文化の質的な向上を願い優秀番組・個人・団体を顕彰するために1963年に創設。
同懇談会は「袴田事件のこれまでの経緯を簡潔にまとめながら、差戻し審でも指摘された証拠ねつ造疑惑をしっかり検証し、裁判過程における検察の証拠非開示の理不尽が、真実解明と再審への大きな妨げとなってきたことを説得力ある取材で伝える。この裁判の動向のみならず、まずはこの司法の不備を正すことこそが今、切実に求められている」と評した。
●内容
58年前の事件で死刑判決が確定した袴田巖さん(88)。2023年10月、静岡地裁でやり直しの裁判=再審が始まった。無罪の公算が大きいとされている。なぜ58年もの年月がかかってしまったのか。関係者の証言と過去の審理記録から見えてきたのは法の不備。「拘置所にいた弟の48年を何とか利用してほしい」。姉・ひで子さん(91)が改正を訴える『再審法』の問題点とは。無罪を勝ち取るために闘った姉と弟の58年、そしてその先に見据えるものとは。
●制作者コメント
福島流星ディレクター(テレビ静岡 報道部・記者)
1966年に起きた殺人事件で逮捕され、死刑判決を受けた袴田巖さん。事件から58年が経った2024年9月26日、再審=やり直しの裁判で判決が言い渡されます。袴田事件を取材する中で裁判が長期化した要因を「再審法の不備」と指摘する声を度々耳にしました。本当に法律に不備があるのか?なぜ不備なのか?不備であるならば、なぜ今日まで改正されなかったのか?私自身、法律に興味があったわけでも、法学部出身でもありません。ただ、75年ものあいだ一度も法改正が行われていないという事実。死刑判決が確定した男性が有罪か無罪か、事件から58年も経って結論に至っていないという事実。その原因が仮に法律にあるとしたら...法律の在り方を見直すべきではないかと感じ取材を始めました。この番組を見た人たちが再審法に少しでも関心を寄せてくれたら、この番組を通じて世論が動き、国が動き、法律が変わり、今えん罪被害に苦しんでいる人が一日でも早く救われる社会になってくれたら、そんな思いでこの番組を制作しました。