「英語」「数学」といった主要科目に対して、理科基礎科目の1つである「化学基礎」の勉強は疎かになりがちです。特に文系選択の場合は「化学基礎」にかける勉強時間を十分に確保できないこともあるでしょう。「これから化学基礎を勉強するけど不安だらけ…」「効率よく化学基礎を勉強したい…」――そんなお悩みをこの記事で解消しましょう!
「化学基礎」を理解するために学ぶ上で意識すべきことや、レベル別のおすすめ参考書を5冊紹介します。
※この記事では主に、2023年度の高校1,2年生が対象となる〈新課程〉における「化学基礎」の内容について扱います。履修および大学受験時の学年にご注意ください。
※この記事は2023年2月に書かれた内容を一部最新の情報にリライトして投稿したものです
1. 共通テスト「化学基礎」科目の特徴
共通テストにおいて「化学基礎」を選択する場合は、理科基礎科目「物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎」として受験します。すなわち、「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」の中から2分野を選択し、合わせて60分で解くことになります。そのため、「化学基礎」ともう1分野との間で時間配分に注意しなければなりません。
「数学」などの他科目では現行課程から新課程による変更に注意が必要ですが、「化学基礎」に関しては大きな変更点はありません。そのため、現行課程に対応した教科書・参考書を使用した場合でも大きな問題はありません。
2. 【新課程】化学基礎の全体像~各単元の特徴~
「化学基礎」では大きく分けて、(1)物質の分類(2)原子の構造(3)化学結合(4)化学反応式(5)酸・塩基(6)酸化還元反応の6つの単元を学習します。全単元を通して言えることは、「数学」「英語」といった主要科目に比べて学習すべき内容の分量は多くないということです。効率よく学習を進められれば短期間で知識を習得することが可能です。
各単元を学習する上でのポイントについて簡単に紹介しますので、ぜひ勉強計画に役立ててください。
2-1. 物質の分類
「単体」「化合物」「混合物」の分類や「分離と精製」「物質の三態」などについて学習します。この単元で扱う内容は中学理科までに学習した内容と被っているところが多いため、比較的取り組みやすいでしょう。
ほとんどの問題が基本用語を暗記することで解けるようになるため、短時間でマスターすることが可能です。ただし、他の単元との関連性が低いため、適度に復習するなど忘れないように注意しましょう。
2-2. 原子の構造
「原子」「イオン」「電子配列」「周期表」などについて学習します。中学理科の内容に加え、「イオン化エネルギー」「電気陰性度」といった新たに登場する用語をしっかり押さえましょう。
「典型元素」と「遷移元素」、「金属元素」と「非金属元素」といった元素の分類では混同しないよう注意して覚えましょう。
2-3. 化学結合
「イオン結合」「金属結合」「共有結合」などについて学習します。他の化学結合との違いについて意識しながら、各化学結合の特徴を押さえることがポイントです。各化学結合に該当する具体的な物質についても挙げられるようにしましょう。
2-4. 化学反応式
「相対質量」「物質量」「化学反応式」などについて学習します。「物質量」(mol)の考え方は「化学基礎」のみならず「化学」でも今後重要になるため、確実に理解しましょう。
この単元以降計算問題が増えてくるため、問題演習を繰り返して様々なパターンの問題に慣れておきたいところ。計算問題では単位換算に要注意です。
2-5. 酸・塩基
「酸・塩基の性質」「水素イオン濃度とpH」「中和反応」「塩」などについて扱います。この単元では水素イオン(H⁺)に注目することがポイントです。
「酸・塩基の強弱と価数の分類」と「塩の分類」については、混同しないよう注意して必ず覚えましょう。
2-6. 酸化還元反応
「酸化還元反応」「酸化剤・還元剤」「金属のイオン化傾向」などについて学習します。この単元では電子の動きに注目することがポイントです。酸化剤・還元剤の半反応式から問題文に合った化学反応式を立式できるようになることがゴールの1つです。
「酸・塩基の性質」や「中和反応」の考え方と混同しないよう注意しましょう。
3. 【新課程】化学基礎の勉強におすすめの参考書5選
「化学基礎」の学習内容の理解や問題の解法習得に役立つ参考書・問題集を、厳選して5冊紹介します。
3-1. 定期テスト対策レベル
『高校 とってもやさしい化学基礎 改訂版』(旺文社)
各単元の用語の意味や基本的な計算問題の解法について、図表や色分け等を用いて端的に分かりやすく説明しています。特に計算問題については計算過程だけでなく、単位換算や必要な数学知識などとても丁寧に解説されています。
さらに基本事項が理解できたかどうか、書き込み式の基本問題で確認することができます。「教科書の説明が分かりにくい」「自力で基本問題を解くことができない」と感じている場合におすすめです。
問題数はそこまで多くないため、他の問題集を併用して学習を進めましょう。
『高校 定期テスト 得点アップ問題集 化学基礎 改訂版』(旺文社)
「化学基礎」の各単元について、ドリル形式で基本事項を確認できます。各項目見開き1ページでまとめられており、頻出事項を漏れなく学習することができます。
別冊として「一問一答直前ブック」がついてあり、テスト直前に赤シートを使って暗記事項や基本的な計算問題の解法を確認することができます。
教科書の内容がある程度理解できるレベルに達しており、定期テスト前に効率よく勉強したいといった場合におすすめの1冊です。
3-2. 共通テスト対策レベル
※以降紹介する参考書は現行課程(2023年度の高校3年生が対象)の「化学基礎」を取り扱っています。購入の際は改訂版書籍が刊行されていないか、事前にチェックをお願いします。
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『改訂版 大学入試共通テスト 化学基礎の点数が面白いほどとれる本0から100までねらえる』(KADOKAWA/中経出版)
共通テスト「化学基礎」で問われる重要事項について、図表を用いた解説の講義形式でまとまっています。各項目の終わりにはチェック問題が用意されており、理解度を簡単に確認することができます。
共通テスト「化学基礎」受験者全員におすすめですが、特に独学で対策する場合に真価を発揮するでしょう。
チェック問題以外に演習問題は用意されていないため、他の問題集やセンター試験・共通テストの過去問題と併用して使いましょう。
『化学基礎一問一答【完全版】3rd edition』(ナガセ)
各単元の公式や基本問題の解法について、赤シートを用いて一問一答形式で確認することができます。最新の大学入試問題の分析によって問題が選定されているため、共通テストで問われる内容について抜けなく全ての項目を網羅しています。
さらに全ての問題で3段階のレベル別に表示されているため、優先順位をつけて問題に取り組むことができます。
通学時などのスキマ時間に効率よく基本事項を学習したい場合に、おすすめの1冊です。
『化学基礎 計算問題エクササイズ』(河合出版)
「化学基礎」の計算問題に特化した問題集となっています。各単元のまとめとして基本事項を確認した後、例題で解法の手順を確認し、類題で入試問題にも挑戦できる流れとなっています。解説では誤った解法や別解についても触れてあるため、公式だけに頼らない思考力を養うことができます。
「計算問題に苦手意識がある」「共通テストの点数が安定しない」と感じている場合に、おすすめの1冊です。
4. まとめ
「化学基礎」はコツをつかめば効率よく短期間で学習できる科目です。理系科目「化学」にもつながるとても重要な内容であるため、理系選択者は特に抜けがないようしっかり学習しましょう。
定期テストや共通テストで問われる内容は少なくないため、本記事で紹介したおすすめの参考書も有効に利用しつつ、1つ1つ丁寧に理解することを心がけてください。
学習のポイントとしては、教科書の内容を7~8割ほど理解できたら、すぐに問題演習に取り組むといった勉強法が効果的です。特に共通テストで「化学基礎」を受験する場合は、センター試験・共通テストの過去問演習を繰り返すことで、時間配分や出題傾向、自分の苦手なパターンが見えてきます。
いかに多くアウトプットできるかが、短期間で化学基礎を習得するための決め手になります!