難関大学を志望する人にとって、古文(古典)の対策は避けて通れません。しかし、他科目とのバランスから割くことのできる勉強時間は限られているため、ぜひとも効率よく学習して得点力を磨いておきたいところでしょう。そこでこの記事では、古文のおすすめ勉強法や今すぐ使える参考書について紹介します。これから古文の勉強を始めようと思っている人も、現在勉強中の人も、ぜひ参考にしてみてください。
※この記事は2018年12月に書かれた内容を一部最新の情報にリライトして投稿したものです。
1. 古文の基礎知識
古文を正しく読解するには、まず、「単語」「古典常識」「文学史」「和歌」といった基礎知識が必要です。この章では、その基礎知識について習得すべき範囲と、おすすめ参考書を紹介します。
1-1. 古文単語について
古文の勉強において、何よりも優先すべきは単語(古文単語)と文法です。そして、大学受験の古文に必要とされるのは早く読むことではなく正確に読むことです。そのためには正確な古文単語や古語文法の知識が必須となりますので、しっかりと覚えましょう。
古文単語というのは英単語と違い、覚える単語数がそれほど多いわけではないので、難関大学志望であっても複数の単語帳をマスターする必要はありません。もし学校等で配布された単語帳があるならばそれを使うだけでも十分でしょう。もし自分で購入する場合は、以下の古文単語帳がおすすめです。
『読んで見て覚える重要古文単語315四訂版』(桐原書店)
この単語帳は細かい解説やイラストが付いているのでとても見やすく、古文が苦手という方にもおすすめです。共通テストから難関大学入試レベルまでをカバーできる1冊として定番です。
『古文単語FORMULA600』(ナガセ)
よりレベルが高いものとしておすすめです。古文単語帳のなかでもかなりのボリュームですので、この1冊を覚えておけば東京大学などトップレベルの大学を志望する場合でも、十分通用する知識量を得られます。
1-2. 古典常識について
古文は、正しく訳しているのに文意がつかめない、ということが起こり得ます。その理由は、古文の題材となっている時代と現代とでは政治的・文化的背景が大きく異なるためです。
当時なら常識であることでも、題材となる作品の中で明文化されていないことがあるため、そういった知識をあらかじめ知っておかないと、問題を解くのに苦労することがあるのです。これを古典常識と言い、単語や文法とは別に覚えておく必要があります。特に難関大学を志望する場合は要注意です。
古典常識を学習するのにおすすめの参考書はこちらです。
『マドンナ古文常識217』(学研マーケティング)
古典常識については単語帳で各語の補足的に解説しているものもありますが、『マドンナ古文常識217』では、古典常識に特化した形で詳しく解説がされています。『マドンナ』シリーズはどちらかといえば初学者や共通テストレベル向けの参考書とされていますが、古文・古典常識に関しては、難関大学志望であってもこの本をマスターしておけば問題ないでしょう。
1-3. 文学史について
文学史の知識を問う問題は配点こそ高くない場合が多いですが、難関大学を志望するなら絶対に落とせない分野です。著名な作品名と書かれた時代、作者についての情報、簡単な作品内容までは把握しておくべきでしょう。それ以外にも、読解の練習で読んだ作品の背景情報は、頭に入れておくのが得策です。
対象作品については、参考書などの巻末付録に載っている表に掲載されているものをしっかり覚えておけば、十分でしょう。
1-4. 和歌について
古文において難関大学志望の人が最も頭を悩ませることになる分野は「和歌」ではないでしょうか。
5・7・5・7・7の31文字という限られた文字数で、様々なことを表現するために歌人たちが凝らした工夫を「修辞法」と呼びます。この「修辞法」がわかっていないと、和歌を理解し試験対策を進めるのは困難ですので、しっかりとおさえておいてください。
また、大学受験において和歌が登場する際は、出題作品の本文の一部であることがほとんどです。そのため、本文の理解が和歌の理解の大きな助けになります。和歌は大事ではありますが、優先順位としてはそこまで高くありませんので、まずは単語や文法などの知識をしっかり身につけてから取り掛かることをおすすめします。
和歌を重点的に対策する段階では、こちらの参考書がおすすめです。
『吉野のパワーアップ古文 和歌の修辞法編』(ナガセ)
和歌に特化した参考書で、基本知識から和歌の修辞法に関するすべての知識を解説しています。
また、実際の入試問題(私立大・国立大)を多数掲載しているので、この1冊で入試突破レベルの実戦力も養うことが可能です。
2. 古文読解のコツとおすすめ参考書
古文(古典)の基礎知識がしっかりと身についたら、いよいよ読解です。
2-1. 古文読解のコツ
大学受験で出題される古文の文章量は決して多くありません。そのため、文章を正確に読む力が重要となります。これまで勉強してきたことのアウトプットも兼ねて、まずは一文一文を精読してみるのがおすすめです。慣れないうちは品詞分解しながら読んでいったり、同じ文を繰り返し読んでみたりするのもよいでしょう。
なかでも、古文を読むときのコツとして、「助動詞」と「敬語」は重要なポイントとなります。
「助動詞」は時制を把握したり、作者や登場人物の意思や考えが表れる、重要な部分を探したりする際のキーとなり、「敬語」は動作主と対象者のそれぞれの身分や立場によって変化するため、誰が誰に何をしているのか理解するのに重要です。
また、注釈やリード文の内容も見逃せないポイントです。文章が始まる前の話の流れや、難しい語句について補足するだけでなく、時には文中には書かれていない重要事項を補足していることもあるので、見落とさないようにしましょう。
2-2. おすすめ参考書
読解に取り組む段階になると、参考書や問題集の種類は豊富です。より実戦に近いため、参考書自体の目的・レベルが明示されているものも多く、自分に適したものを選びやすいのではないでしょうか。
ただし、難関大学志望だからといっていきなり該当レベルの問題集をやろうとすると、難しさにくじけてしまうこともあるので、まずは易しいレベルのものから積み上げていき、高いレベルの問題集は目指すべき最終地点として取り組むことをおすすめします。また、古典文法の参考書は、ある程度の文法知識を習得した人に向けた、ステップアップを目的としたものが多いので、これから勉強を始めようとしている場合は、参考書を使う前に古典文法の基礎を教科書などでしっかりと理解しておくとよいです。
ある程度の文法理解が進んだ後には、こちらの参考書がおすすめです。
『古典文法ステップアップノート30 古典文法基礎ドリル』(河合出版)
この参考書は書き込みながら古典文法を覚えられる点でおすすめです。易しめのレベルではありますが、基礎を固めるにはちょうどよい参考書でしょう。問題数も多いので、繰り返し勉強することで知識をしっかり定着させることができる1冊です。
『基礎からのジャンプアップノート 古典文法・演習ドリル 改訂版』(旺文社)
この参考書も、書き込み式の演習書で、古典文法の基礎力を固めるのに最適な1冊です。動詞・助動詞をはじめ、助詞や敬語・識別など、おさえておきたい30の項目がわかりやすく解説されています。「文法解説」「チェック問題」でしっかりと理解できているかを手早く確認でき、さらに復習・応用の内容を含んだ「練習問題」をこなすことで、基礎力を完成できるつくりとなっています。
読解に慣れてきた段階の仕上げの1冊としておすすめの問題集はこちらです。
『首都圏「難関」私大古文演習』(河合出版)
過去問演習に入る際の実力仕上げとして活用するのにおすすめです。問題のレベルも高いので、古文対策の最終段階として取り組むのがよいでしょう。
3. まとめ
古文の勉強において近道、抜け道といったものはありません。効率のよい勉強とはつまり、必要なことを正しい順に習得していくことなのです。
古文学習の正しい流れは以下の通りです。
- 英語同様、単語と文法を最優先にマスター
- 英語にはない古典常識、和歌の修辞法などをチェック
- (1)(2)を活かして読解にチャレンジ
古文というのは短期間で大量に詰め込むよりも、長期間継続して勉強していく方が効率良く学習できる科目です。
そして、古文は勉強すれば確実に伸びる科目です。この記事を読んだ今から、しっかりと取り組んでいきましょう。