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オリバー・コーツ(音楽担当)|インタビュー公開『メアリー&ジョージ 王の暗殺者』

インタビュー

2024.10.18

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『メアリー&ジョージ 王の暗殺者』の音楽を手掛けたのは、チェリストであり作曲家、エレクトロニック・ミュージック・プロデューサーのオリバー・コーツ。トム・ヨークのサポートアクトや『aftersun/アフターサン』の音楽も担当し、注目されているアーティストです。そのコーツのインタビューをお届けします。

『メアリー&ジョージ 王の暗殺者』オリバー・コーツ インタビュー
―『メアリー&ジョージ 王の暗殺者』の脚本を読んだ時の感想は?
2022年11月にD・C・ムーアの脚本を読んだのですが、ページをめくる手が止まりませんでした。読みながら頭の中に、ワイルドな金属音、初期の楽器の擦れるような音が流れてきました。ざらざらした暗い質感を舌で味わう感じでした。そしてロンドンのチャーチ・スタジオで打楽器や独唱、小編成の楽器による音楽をたくさん録音し、これが今回の劇伴のベースとなりました。
―スコアへのインスピレーションとアプローチについて教えてください。
オリヴァー・ハーマナス監督と会い、お互いに自由なクリエイティブを好むという共通点を見つけました。ふたりとも本能的で原始的なままでいたいタイプなんです。私たちは、ギター・ロック、エモ・ミュージック、ジョイ・ディヴィジョンやスマッシング・パンプキンズについて語り合いました。その後、舞台となった時代にはない空気中のパチパチとしたような、エレクトロニックな音について話しました。ドラマチックな演出として機能すると思ったんです。

私は、ルネサンスとバロックの原型でありながら、可能な限り現代的な音楽を作りたいと思っていて、批評的には、産業革命の音楽的発展を飛び越えたいと常に考えています。つまりグランドピアノや交響楽団の標準化を指しており、音楽史におけるこれらの大きな発展を飛び越えることです。大きな楽器のグループは均質化されておらず、グループ・アンサンブルの音に対する標準的な考え方がなかったのです。

私は、録音、空間、人、楽器のグループをミックスする、このようなモジュラー・フリーの方法で作業するのがとても好きなんです。あらゆる種類の弦楽器、管楽器、ハープシコード、リュート、オルガン、そして声。聖歌や合唱は常に私の出発点のひとつであり、特に後半のエピソードで聴くことができます。
『メアリー&ジョージ 王の暗殺者』オリバー・コーツ インタビュー
―第2話のエンディングに流れる「Scars」という曲について教えてください。
撮影中に偶然、ギタリスト兼ソングライターのトニー・グランサムから曲を送ってもらったんです。
トニーは90年代のインディー・グランジバンド、マリオンのギタリストでした。私は10代の頃、彼らの大きなポスターを壁に貼るくらい大ファンだったんです。
その歌詞はこういうものです。

Cauterise Your Youth. It’s an uncomfortable truth. If you wanna get on, then make the past
gone ...whispers said ... I’m friends with the dead... there’s a light ... but I want to be sad…

青春を焼灼せよ。不快な真実だ。前に進みたいのなら、過去を消し去るんだ。
ささやきは言った...... 僕は死者と友達だ...光がある...でも、私は悲しくなりたい......


私はこの曲がメアリーと子供たちのことに重なり、深い感動を覚えるようになりました。ドラマと同じように、「傷跡は精神的なものと肉体的なものの両方がある」と語っているように感じたのです。まるでザ・キュアーがアルバム『ディスイングレーション』で書いた曲のようでした。それで第2話のエンドクレジット用に1分間の編集を行い、サウンドトラックにはフルバージョンを収録しました。
―本作ではヴィオラ・ダ・ガンバの音色がストーリーとスコアの一部となっていますね。
このシリーズのヴィオラ音楽はすべて、ベルリンにいる私の同僚で友人のリアム・バーンが演奏しています。
彼は、その時代の曲を音源として演奏していますが、それをサンプル音源として使うことにしました。その解剖学的構造と音の粒立ちを称えるためにです。太い弦はほとんどロープのようで、とても独特でざらざらした感触があります。私はリアムの演奏を録音し、グラニュラーとサンプリング技術を使いました。
また、椅子のノイズや彼の実演中の何気ない話し声なども、私がテクスチャーに戻すための素材として使いました。
『メアリー&ジョージ 王の暗殺者』オリバー・コーツ インタビュー
―本作の音楽は過去と現在、歴史的でありながら未来的な雰囲気を感じます。
ハーマナス監督と一緒に、大きな感情に対するノンリニアな解決策を発見しました。
登場人物が経験する感情は、今でも同じ、不変のものです。ジョージがジェームズ王と初めてセックスをしたとき、『ブレードランナー』や『インターステラー』のようなシンセサイザーとオーケストラのレイヤーが流れ、私たちを宇宙にいるような気分にさせてくれます。

第1話と2話では、催眠術のような音楽を使いました。サイケデリック・ミュージック、ディープ・ダビー・ドラム、ベース・ドローンを使用しました。これは仮面舞踏会のシーンで流れ、ジョージが国王を誘惑する場面へとつながります。今回の仕事で、キャラクターと音楽を進化させる大きな機会を得ることができ、とてもいい経験となりました。

(了)
ニコラス・ガリツィン『メアリー&ジョージ 王の暗殺者』オリバー・コーツ インタビュー
『メアリー&ジョージ 王の暗殺者』オリバー・コーツ インタビュー
メアリー&ジョージ 王の暗殺者
​ドラマ公式ページ:https://www.star-ch.jp/drama/maryandgeorge/1/

▼放送
<字幕版>10/8(火)より 毎週火曜よる11:00 ほか
<吹替版>10/10(木)より 毎週木曜よる11:00 ほか

▼配信
<字幕・吹替版>独占配信中! ※毎週水曜1話ずつ配信
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0D9D52MV7/


<ストーリー>
17世紀、エリザベス1世から王位を継承したジェームズ1世が統治するジャコビアン時代イングランド。地主階級ながら野心的なメアリー・ヴィリアーズは、暴力的な夫や質素な暮らしに嫌気がさし、容姿端麗の次男ジョージをフランスに送って、裕福な女性と結婚する社交術を習得させようとする。しかし国王ジェームズ1世が若い男性に目がないことを知ると、息子を国王の愛人にし、権力と富を手に入れるという大胆な計画を企てる。フランスから帰国したジョージは、母の導きのもとに数々のライバルを蹴落とし、ジェームズ1世の寵愛と信頼を得て、「バッキンガム公爵」として王政を司る枢密院メンバーにまで上り詰める。一方、自らも上流貴族と再婚したメアリーは、陰謀や策略を張り巡らし、ジョージと共に富と権力と称号を手に入れる。ヴィリアーズ家は宮廷で最も影響力のある一家に成り上がっていくが、政治家のフランシス・ベーコンら政敵との権力争いや敵国スペインとの確執など、彼らの成功を阻む問題が浮上するなか、次第にメアリーとジョージが対立し…。

ハッシュタグ:#メアリーアンドジョージ #メアジョ #ジュリアンムーア #ニコラスガリツィン #インティマシーコーディネーター

『メアリー&ジョージ 王の暗殺者』© Sky Studios Limited 2024.
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