見上愛 NHKドラマ「きれいのくに」で鮮烈な光― スポニチ Sponichi Annex 芸能

見上愛 NHKドラマ「きれいのくに」で鮮烈な光

[ 2021年5月3日 09:40 ]

NHKドラマ「きれいのくに」で女子高生・凛を演じる見上愛(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】女優の見上愛(20)が4月にスタートしたNHKの連続ドラマ「きれいのくに」(月曜後10・45、全8回)で鮮烈な光を放っている。

 ドラマは容姿のコンプレックスにまつわるSF作品。4月26日放送の第3回からは舞台が、美容手術が10年前に禁止された社会に移っている。

 見上が演じているのは女子高生・凛。友人の男子に、自らの容姿について「私、気にしてる。ブスだから」とつぶやく。美の基準は人それぞれだが、画面の中の凛は力感があり、かれんで、とても目を引く存在だ。

 見上は「凛は自己肯定感が低い子。傷つきたくないから、自分でコンプレックスをネタにしちゃう。私自身も、そういうところがあります。凛は話が進んでいくうちに、どんどん自分で決断して、いろんな所に踏み込んでいきます。意外に芯の強さがある子です」と話す。

 第3回で印象的だったのは、隣に住んでいる男子と2階の窓越しに会話する場面。男子がミカンを投げて寄越すと、うまくキャッチして「いらない。食べなよ」と笑顔で投げ返した。

 見上は「ミカンが飛んでくることは知らなかったんです。脚本には全く書かれていなくて、あの場で監督さんが『投げちゃえ』って耳打ちしたようです。凄く寒い日で、キンキンに冷えたミカンが飛んできたので、反射的に投げ返しました。中1から高1の途中までハンドボール部だったので、できたのかもしれません」と笑う。

 見上は面白い人だ。小学生の時の夢は日本の首相。3歳から18歳までバレエを習い、中学と高校時代はバンド活動でギターとボーカルを担当していた。

 「中2の時、観劇が好きになって、照明に興味を持ちました。ある舞台で、夢と現実、過去と現在の行き来が照明だけで表現されているのを見たんです。父と兄が音響関係の仕事をしていて、私が照明を仕事にすれば兄と一緒に仕事ができるかもしれないという小さな願いがありました」

 高1の途中で演劇部に入部。自身の興味は演出だったが、入部直後、歌人で劇作家の寺山修司さんの作品で初舞台。寺山さんにも傾倒した。そして、今、女優の仕事に没頭している。

 「楽しいです。役と向きあうために、自分と向きあわなくちゃいけない。そういう作業をしたことがなかったので、発見の連続です。普通なら見なくてもいい自分の嫌な部分も見なくちゃいけなくて、つらいと感じることもあるんですけど、なんだかんだ言って、それも好きです」

 今年公開予定の映画「衝動」では俳優の倉悠貴(21)とダブル主演。今後、テレビや映画などで、その多彩な芝居を見る機会が増えそうだ。

 「女優を続けていきたいけれど、形にはこだわっていません。何か書くとか、写真を撮るとか…。舞台の演出もしてみたい。ガールズバンドもいい。いろいろな表現ができる女優さんはすてきだなと思います」

 無限の可能性を秘めていそうな個性の行方を見守りたい。

 ◇見上 愛(みかみ・あい)2000年(平12)10月26日生まれ、東京都出身の20歳。昨年、FODで配信された「乃木坂シネマズ~STORY of 46~」でドラマ初出演。現在放送中のTBS系ドラマ「ガールガンレディ」や6月公開予定の映画「キャラクター」などに出演。身長1メートル61。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。

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