おでかけや旅行先の風景、元気に遊ぶ子どもの姿、何気ないペットのしぐさなど、思い出としてスマホで動画に撮ってみるものの、その後あまり見返すことはなくアルバムに溜まっていきがち… なんて人も多いのでは? そんな人も、コツを少し知るだけで、見返したくなるような動画を作ることができるんです。今回は、映像クリエイターのYOTA NARUSEさんに、ワンランク上の動画をスマホで撮影するテクニックを教えてもらいました!
目次
動画を撮る前の準備が大切! カメラ設定のキホンを確認
この記事では、いつもの動画とは一味違う、シネマティックな仕上がりにするための動画撮影テクニックを紹介。まずは撮影テクニックを教えてもらう前に、思い出を動画に残すメリットや、動画を撮る前のカメラ設定について、NARUSEさんに聞いてみました。
思い出を動画に残すメリットとは?
思い出を、静止画ではなく動画に残すことにはどんなメリットがあるでしょうか?
NARUSEさん 「静止画は、思い出の瞬間を1枚に切り取ることができますが、動画は時間の流れを残せるというメリットがあります。それぞれの良さはありますが、『この時間をありのまま残しておきたい』と思ったときには動画を撮ってみると良いでしょう」
動画撮影のおもしろさや魅力はどういった点にあると思いますか?
NARUSEさん 「動画の一番の魅力は、一瞬一瞬の連なりを、1つのストーリーとして描き出すことができる点にあると思います。そのときの空気感や、その瞬間に感じた感情の変化まで記録できるので、後から見返したときに追体験しやすくなりますね。皆さんも、家族や友だちと撮った動画を見返して『あのとき、こういうことがあったよね』と振り返った経験があるのではないでしょうか」
動画撮影前にやっておきたい、スマホのカメラ設定のキホン
①シネマティックに撮るには、フレームレートは「24fps」がおススメ
フレームレートとは、動画が1秒間に何枚の画像で構成されているかを表す単位のこと。
NARUSEさん 「私たちがスムーズな動画だと感じるフレームレートは、30fps程度と言われています。ワイドショーやニュースなどの番組は30fpsで作られることが多いです。一方で、映画は全て24fpsで作られています。その理由は、24fpsにすることで、やや残像があり、非日常を感じさせる映像に仕上がるからなんです。シネマティックな映像を撮るためには、フレームレートは24fpsに設定するのがおススメ。さらにカメラワークを意識して撮影することで、伝えたい情報をより効果的に届け、動画を印象的に見せることができます。見ている人の関心を引きつけることもできるシネマティック動画は、ぜひ試してもらいたい撮影方法です」
フレームレートを設定する
![フレームレートを設定する](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/sbn_tc_12/20241115/20241115131948.jpg)
![フレームレートを設定する](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/sbn_tc_12/20241115/20241115132010.jpg)
※ Google Pixel の場合
②グリッドを表示する
グリッドとは、縦横2本の写真や動画をよりバランスよく撮影するための補助線のこと。
NARUSEさん 「グリッドを表示することで、撮影時に構図をバシッと決めることが可能になります。私がおススメする構図は2つあり、1つは被写体をグリッド線の真ん中に置く『日の丸構図』。撮りたいものに焦点が合いやすく、何を伝えたいかが明確になります。もう1つは、グリッドのライン上や、線が交わる場所に被写体を配置する『三分割構図』。画面の左右上下に余白を持たすことができ、シネマティックな映像に仕上がります」
グリッド表示の設定
![グリッド表示の設定](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/sbn_tc_12/20241115/20241115133244.jpg)
![グリッド表示の設定](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/sbn_tc_12/20241115/20241115133302.jpg)
![グリッド表示の設定](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/sbn_tc_12/20241115/20241115133325.jpg)
※ Google Pixel の場合
③手ブレ補正をONに
NARUSEさん 「手ブレ補正をONにすれば、動きながら撮影しても滑らかな映像に仕上がります。スマホカメラなら、ボタンを押すだけで手ブレ補正の設定ができるので、簡単ですね」
手ブレ補正の設定
![手ブレ補正の設定](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/sbn_tc_12/20241115/20241115132448.jpg)
![手ブレ補正の設定](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/sbn_tc_12/20241115/20241115132510.jpg)
※ Google Pixel の場合
NARUSEさんいわく、ここで紹介した3つのカメラ設定を適用するだけでも、いつもとは違う映像が撮れるようになるのだとか。次のページからは、ワンランク上の撮影テクニックについて、実際に動画を撮りながら解説していただきます!
実際に動画を撮ってみよう! まるで映画のワンシーンのように仕上げるカメラワーク5選
被写体を印象的に映し出すためのコツは、カメラや被写体だけを動かすのではなく、「自分が動く」こと。また、スマホを腰から胸元の高さに固定して構えることで、安定したきれいな動画を撮ることができます。動画初心者でも今すぐ実践できる5つのカメラワークを、NARUSEさんに教えていただきました。
①被写体に徐々に前進して近づく(プッシュイン)
静止している被写体に、撮影者が徐々に前進して近づくことで、見せたいものに注目を集めることができる撮影方法。遠いものは遅く、近いものは速く映るため、立体的な映像に仕上がる点が特徴です。
「プッシュイン」の撮影方法
このカメラワークを使って撮影した動画がこちら!
NARUSEさん 「プッシュインで景色を撮るときは、左右に柱や壁があると、より立体的な映像に仕上がります。今回撮った動画のように、橋の上で撮影すると、中央の一点に注目が集まり、これから何が起こるんだろう? と期待を感じさせる映像が撮れますよ」
②被写体から徐々に離れていく(プルアウト)
プッシュインとは反対に、静止している被写体から、撮影者が徐々に離れていくカメラワーク。被写体をとりまく景色の全体像を、ドラマチックに見せることができます。
「プルアウト」の撮影方法
このカメラワークを使って撮影した動画がこちら!
NARUSEさん 「プルアウトは、桜が満開に咲いている場所など、きれいな景色が広がっている場所でより効果を発揮します。最初に人物の顔や後ろ姿を大きく写し、徐々に離れていくことで、きれいな景色が不意に現れるため、サプライズ感のある映像に仕上がります」
③スマホを左右にスライドさせる(スライダーショット)
動きのない被写体に、動きをつけることができるカメラワーク。木や葉っぱを前景に配置すれば、立体感を強調することができます。
「スライダーショット」の撮影方法
このカメラワークを使って撮影した動画がこちら!
NARUSEさん 「スライダーショットを使えば、被写体に動きがない場面でも、時間の流れを感じさせることができます。最初に木を大きく写し、徐々に全景を見せるような撮り方もおススメです」
被写体の周りをぐるりと回って撮影? 臨場感を演出するカメラワーク
④被写体を追いかけるように撮影する(トラッキング)
歩いている被写体を追いかけるように撮影することで、まるで一緒に歩いているような感覚に。臨場感を演出させるカメラワークで、Vlogなどにも向いています。
「トラッキング」の撮影方法
このカメラワークを使って撮影した動画がこちら!
NARUSEさん 「トラッキングは、人物を撮るときに一番使いやすい手法です。一本の長い道や橋などの中央に人物を配置し、まっすぐ歩いていく後ろ姿を追いかけて撮影することで、周りの景色が大きく動き、動画にダイナミックさをプラスできます」
⑤被写体の周りを回りながら撮影する(オービット)
被写体を中心に据え、その周りをぐるりと回りながら撮影するカメラワーク。被写体の背後の景色が激しく動き、ダイナミックさや立体感のある映像に仕上がります。被写体との距離は2メートル程度が望ましいですが、スマホの広角レンズを使い、接近して撮影してもいいでしょう。
「オービット」の撮影方法
このカメラワークを使って撮影した動画がこちら!
NARUSEさん 「例えば、登山などで山頂に到着したときに、被写体の周りを回りながら撮影すると、人物の驚いた表情と景色を一緒に残すことができますよ。草原や広い公園など、360度開けた場所で撮るのもおススメです」
スマホカメラの機能を生かした、ワンランク上を目指す撮影テクニック
ここからは、より印象的な動画を撮影するテクニックをご紹介! スマホカメラの機能を生かし、映画のワンシーンのような動画を撮ってみましょう。
①シネマティックモード撮影
シネマティックモードを使用すると、被写体と背景を切り離すことができます。背景をぼかすことができるため、被写体を立体的に美しく見せることが可能です。
NARUSEさん 「人がたくさんいる街中や、情報量が多すぎる場所など、背景にあまり映したくないものがあるときに便利なモードです。特別な機材がなくても、スマホ1つで映画のような映像を作り出せます」
②スローモーション
スローモーションなら、風が吹いたときの髪の毛の揺れや、木の葉のさざめき、表情の変化など、通常では見逃してしまう細かい動きを捉えられます。日常の一瞬をシネマティックに表現できるテクニックです。
NARUSEさん 「例えば、結婚式の撮影をするときに、音楽と組み合わせてスローモーションを使うと、感情に響く動画に仕上がります」
その他にも、時間の経過を劇的に表現できるタイムラプス機能もおススメ。夕日が沈むシーンや、雲が空を流れていくシーン、天体ショーなど、風景の移り変わりをダイナミックに見せることができます。
動画の撮影におススメのアイテム「ジンバル」
![動画の撮影におススメのアイテム「ジンバル」](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/sbn_tc_12/20241115/20241115091102.jpg)
ジンバルを使うことで、細かな振動だけでなく、歩いたときの大きなブレをもピタッと補正してくれます。歩きながらの撮影をするときに、滑らかな映像を撮りたい方は使ってみては? Vlogを撮りたい人は、AIトラッキング機能のついたジンバルがおススメです。
「動画撮影はただの記録ではなく、思い出をそのまま切り取れる魔法のようなもの。カメラを通して見る世界は、普段気付かない景色や感情まで映し出してくれます」とNARUSEさん。何気ない日常から特別な時間まで、動画に残すことで、見返したときに何度でもその瞬間に戻ることができるでしょう。特別な機材や知識は必要ありません。今すぐ目の前の瞬間に、カメラを向けてみてください。
(掲載日:2024年11月20日)
写真:山崎悠次
文:佐藤由衣
編集:エクスライト
最先端の Google のAIが搭載された「Google Pixel 9 シリーズ」
![Google Pixel 9 シリーズ](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/sbn_36/20240927/20240927115324.jpg)
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