【コラム】 from STAFF愛着図鑑 vol.22
Snow Peak Store WILD-1 厚木店Shota Ogawa/小川 将太
【愛用歴】7年
ギガパワーストーブニーマル・デタッチャブル
(現在は廃盤)
実家の屋根裏に眠っていた、父が使っていた古いキャンプ道具の数々。その中にあったのがこのバーナーです。子どもの頃、家族でよくキャンプしていたのに、父がスノーピークのバーナーを使っていた記憶がなく、見つけたときは「こんなのあったんだ」とちょっと驚きました。父は家族登山で使っていたらしく「いつかまた使うだろう」という思いでしまっていたんだと思います。
「これからは自分が使うよ」と、父に断って持ち帰ることに。20年近くも前の製品で、イグナイタ(自動点火装置)が壊れていたため、アフターサービスに修理をお願いしました。その時、あるベテランスタッフに「これはいいバーナーだよ」と言われたことがとてもうれしく、さらに愛着が増しました。それ以来、一度も壊れることなく、大切に使い続けています。
バーナーは5つほど持っていますが、キャンプで一番使うのがこれです。卓上はもちろん、砂利の地面でも安定感は抜群。また、拡散型のバーナーヘッドで、フライパンや鍋での調理がしやすいところが特に気に入っています。
毎朝、自分で挽いたコーヒーを淹れて飲むのが私の習慣。歯を磨くのと同じように、日常のサイクルの中にコーヒーがある。それほど大好きなんです。
キャンプに行くと、必ずこのバーナーでコーヒー豆を焙煎します。キャンプ場で翌朝飲む分と、家に帰って飲む分、1回の焙煎で2杯分ぐらい。「ゼロから作る」というところが楽しくて、続けています。
そうやって自分で焙煎したコーヒーを、先日実家に帰ったときに、父に初めて渡しました。父は私がコーヒーを焙煎することを知らなかったし、しかも、昔使っていたあのバーナーでやっているということも初めて伝えました。喜んでくれているといいのですが。
振り返れば、子どもの頃に体験したキャンプは、私たち家族の生活の一部だったような気がします。単なるレジャーや遊びという捉え方だったら、このバーナーも処分されていたかもしれません。父の道具を今、自分が受け継いでいることに、私は密かにロマンを感じています。
大人になり、今は自分ときょうだいがそれぞれの家族を交えて、両親をもてなす形で3世代キャンプを楽しんでいます。私の娘はまだ2歳ですが、娘が大きくなるまで道具を大事に使い続けて「お父さんとキャンプに行ったな」と思い出してくれたらうれしいです。
Epilogue
いかがでしたでしょうか。長く使ってきた道具とあなたが織りなす時間は、どんなに優れた新製品を買っても手に入ることはなくて、その時間を、人は「愛着」と呼ぶのだと思います。
新潟・福岡にあるアフターサービスルームには、今日も遠方から修理の必要な道具たちが届きます。壊れたら捨てるのではなく、大事になおしてまた使って欲しい。そんな想いを込めて今日も丁寧に修理にあたっています。
もしも、道具が壊れたらいつでも私たちスノーピークにお送りください。想いを込めて修理し、皆さまにお戻しいたします。