【栃木県】 from STAFF「木」でつながるまち、鹿沼
プロモーション課Yoshio Wakasugi/若杉 佳男
Prologue
2024年、栃木県鹿沼市に、関東初のスノーピーク直営キャンプフィールドが誕生します。豊かな自然を活かし、地域とのつながりを大切にした施設を目指して、現在、着々と準備が進んでいます。
そんななかで鹿沼の魅力をさらに掘り下げるため、地域のユーザーの皆さんを対象にモニタリングキャンプを開催しました。今回はその様子をイベント運営などを担当する若杉がお伝えします。
都道府県名の中で唯一「木」が付く栃木県。その中でも、鹿沼市は特に森林率が高いエリアです。古くは日光東照宮の宮大工さんたちが滞在し、木工技術が発展してきた土地。またユネスコ無形文化遺産「鹿沼秋まつり」の、見事な彫刻を施した木製の山車「彫刻屋台」でも知られています。
県内随一の「木のまち」で、木にちなんださまざまな体験を楽しむ2日間。どんな発見が待っているでしょうか?
青空の下、開会式が始まります。
Day 1
◇開会式
開会式では鹿沼市長の佐藤信氏がご挨拶してくださいました。
若杉:
「今回の参加者、5組のご家族と学生の皆さんが集まりました。鹿沼の魅力とキャンプを存分に楽しんでいただきます!」
◇テント設営
若杉:
「参加者ご自身でテントを建てていただきました。今回使用するキャンプギアは皆さん全て同じもの。お揃いを使うことで一体感が生まれます」
みんなで協力し合いながらテントを設営。
若杉:
「テントを設営しながら会話が生まれたり、参加者同士のコミュニケーションも少しずつ始まりました」
◇迫力たっぷり! 伐採シーンを見学
森の中で動く重機は迫力満点。
若杉:
「最初の体験は、皆さんで山に入り森林の木を切り出すところを見学しました。鹿沼市の材木屋さん『(株)栃毛木材工業』さんにご協力いただき、大迫力の伐採シーンを間近で見ることができました」
初めて見る伐採シーンに子どもたちも大興奮。
若杉:
「大きな重機を使うダイナミックな作業には、皆さん『すごい!すごい!』と大興奮。かと思えば、人の手で行う繊細な工程もあり、林業の奥深さ、幅の広さを実感する場面も。重機の操縦席に特別に乗せてもらったお子さんも、笑顔で楽しんでいたようです」
(株)栃毛木材工業の社長、関口弘氏から鹿沼の林業についてお話しいただく場面も。
若杉:
「森林への思いや取り組みについてのお話を直接聞けることも、このツアーならではの醍醐味です。森林の環境を維持しつつ、林業を継続していくという栃毛工業さんのメッセージも併せ、貴重な学びの時間となりました」
◇木製品の多様性に圧倒
若杉:
「次に訪れたのは、木製品の製造販売を行う『星野工業(株)』さん。もともと桶屋さんから始まった会社で、Jリーグ川崎フロンターレが初優勝したときの、シャーレとともに使われた風呂桶もこちらの作品だそうです。また、地元の小学校の机なども作っているとか」
お皿やカップをはじめ、おもちゃの木製品もたくさん!
若杉:
「こちらでは木製のお皿や、面白い形に湾曲したワイングラスなど、木工技術の素晴らしさに触れることができました。削り出された木の薄さや滑らかな手触りなどを楽しみ、木は身近なものであると同時に、いろんな形に姿を変える可能性を秘めたものでもあると実感しました」
星野工業(株)の社長、星野詠一氏に木工についてお話しいただいた。
若杉:
「星野工業さんでは、乾燥炉などの燃料に、化石燃料ではなく木工加工で出た端材やチップなどを焼却して使っているそうです。地球環境を考え、木と一緒に生きていく。そんな姿勢も感じられました。
最後に、ヒノキの削り屑を参加者に分けていただきました。とてもいい香りで、乾燥剤・防臭剤の役割も果たしてくれます。袋に詰めて持ち帰ったヒノキは、皆さんのテントの中で安眠に役立ったことでしょう」
◇夕食
地域の食材をBBQで楽しんでいただきました。
若杉:
「キャンプ場に戻り、お待ちかねの夕食タイム。鹿沼市の古民家をリノベーションした隠れ家的フレンチレストラン『アンリロ』さんによる特別メニューです」
若杉:
「イワナの炊き込みごはんをはじめ、お肉や野菜も地域の食材を中心に用意していただきました。素材を活かした味わいの数々、本当においしかったです!」
◇焚火トークでチルなひととき
焚火を囲むと自然と会話も弾みます。
若杉:
「夕食は家族ごとのテーブルでしたが、食後は皆さんマスクをつけて焚火を囲みました。参加者同士、スタッフも一緒になって、ドリンク片手にゆったりと語らいます」
一日の体験をゆっくり語り合いました。
若杉:
「焚火の輪の中には星野工業の星野社長もお見えになり、昼間の体験のときよりもっと親密な距離感で会話を楽しみました。また鹿沼市の福田副市長にもご参加いただき、この日体験した林業と木工、そしてこれからできるキャンプ場への期待についても語り合いました」
Day 2
◇朝食
2日目も晴れて、気持ちの良い朝でした。
若杉:
「晴れ渡った空の下、2日目がスタート。朝食には、地元のパン屋さん『一本杉農園』さんにサンドイッチとサラダを、またインドカレーの『アーナ ジャーナ』さんにスープを提供していただきました」
若杉:
「『一本杉農園』さんは、地域活性化を意識したさまざまな活動を行っているお店。一方、『アーナ ジャーナ』さんは、豊かな自然に魅せられ移住してきたご夫婦が営むお店です。どちらも鹿沼の魅力いっぱいのおいしさでおもてなししてくれました」
◇彫刻屋台の名匠のアトリエへ
彫刻屋台専門の彫工、黒崎孝雄氏。
若杉:
「テントを撤収してから向かったのは、『鹿沼の名匠』のひとりである彫工職人、黒崎孝雄さんの工房です。黒崎さんは、鹿沼の伝統行事『鹿沼秋まつり』に欠かせない『彫刻屋台』の文化を守っている方です」
若杉:
「江戸時代初期から受け継がれる彫刻屋台は、鹿沼市内の町ごとに1台ずつ所有されていて、現在、市内に27台あります。秋まつりでは威勢よく見栄を張り合って競い合う、いわば町の誇りとも言えるもの。
それぞれに細かい彫刻が施され、個性豊かで見事な屋台ばかりです。そして現在、これら彫刻屋台専門の彫工は、鹿沼市内に黒崎さんただひとりだそうです」
参加者の皆さんも挑戦!
若杉:
「1本の丸太から、ノミを使って彫り進める匠の技。豪快な昇り龍など見事な彫刻も、黒崎さんはほとんど下書きしないと話していました。
参加者の皆さんも実際にノミを握ってみましたが、その難しさに、職人技術の高さを改めて痛感しているようでした」
◇屋台展示館へ
屋台展示館では彫刻屋台を間近で見学できる。
若杉:
「匠の技を目にした後は『屋台のまち中央公園』の屋台展示館へ。ここには3つの町の屋台が保管されていました。
大迫力の屋台を間近で見られるので、鹿沼にお越しの際にはぜひ立ち寄っていただきたいです。参加者の皆さんも躍動感のある彫刻に目を奪われていました」
若杉:
「なお豪雨災害とコロナの影響で、秋まつりは2019年以来開催されていないとのこと。再開したら絶対に見に訪れたいと思います」
◇閉会式
閉会式で、参加者とスタッフみんなで記念撮影。
若杉:
「参加者とスタッフ全員で集合写真を撮影し、全行程を終了。『木の魅力を体験できた』『より鹿沼が好きになった』『参加してよかった』など、思い思いのうれしい声が聞かれました。
私もイベントを通して、鹿沼に誕生するキャンプフィールドが『普通のキャンプ場』ではなく、『地域×ユーザー×スノーピークが交わる場所』であるべきだと感じました。
訪れた方々にスノーピークを介して鹿沼に興味を持っていただくとともに、鹿沼の皆さまにもスノーピークに興味を持ってもらい、継続的に関わっていただけるようなキャンプフィールドへ、深く考えていく必要があると思います。
今後も私は、鹿沼とはキャンプイベントやツアー商品を通じて関わることになると思います。鹿沼の皆さまの力をお借りしながら、地域の方々が活躍できる取り組みをつくっていきたいです」
Epilogue
森林から木を切り出し、その木を加工して木工製品や伝統工芸に姿を変える。鹿沼で昔から大切にされてきた「木にまつわるストーリー」を、目で見てたどった2日間。木を扱う仕事をする人々が抱いている自然の恩恵への感謝や、まちの歴史・文化への愛情も感じることができました。