【コラム】from STAFF愛着図鑑 vol.2
スノーピーク 久屋大通公園Shingo Nishioka/西岡 慎吾
【愛用歴 16年】
トレック900
僕がトレック900を買ったのは、20歳過ぎくらいの頃でした。テレビで富士山を紹介する番組を見たのがきっかけで、自分も富士山に登ってみたいなと思い、近くにあるアウトドアショップへ行ったんです。
登山道具を何一つ持っていなかったので、リュックやレインウエアなど必要な道具をそこで買いそろえることにしました。その中で、スタッフの方がお薦めしてくれたクッカーがトレック900だったんです。一人で使うのにちょうどいい大きさと、中にバーナーとガス缶を収納できるのがいいなと思い購入を決めました。
そうして登山道具を一通りそろえ、その夏に富士山へ向かいました。富士登山は5合目からスタートするのが一般的ですが、僕は一番下から登りたいと思い、富士急ハイランドの近くにある0合目から歩き始めたんです。弾丸登山だったんですが、昼前に登り始め、深夜に山頂に到着できました。
7月でしたが、山頂はすごく寒くて。高山病にもなっていたので吐き気や頭痛にも苦しめられました。そこでトレック900とバーナーを出してお湯を沸かし、コーヒーを飲んだり、温かいぜんざいやカップラーメンを食べたりしたんですが、その間だけは体が温まりホッとした気持ちになれましたね。やがて朝日が昇ってくると、太陽のありがたみを心から感じることができました。
その後の登山でよく行っていたのは北アルプスです。友人と登りに行くこともありますが、僕はわりと歩くペースが速いので、気兼ねなく登れるソロで出掛けることの方が多かったですね。
山に登る時は、いつもトレック900をリュックに入れていました。荷物はできるだけコンパクトにしたいので、カップラーメンや温めて食べられるハンバーグなど、簡単な食べ物を持って行くことが多いですが、山で食べると不思議なほどにおいしく感じられるんですよね。
でも、たまにはちょっと変わったものも食べたいなと思い、小さなソフトクーラーにスーパーで買った肉を詰めて行き、トレック900の蓋をフライパンにして白馬岳の山頂で焼き肉をやったんですよ。
めちゃくちゃ美味しかったんですが、油を持って行かなかったので蓋が焦げ焦げになってしまって…。苦い思い出にもなりました(笑)。その後は、肉や野菜を炒める時には油を忘れずに持って行くようになりましたね。
今は上の子が4歳、下の子が1歳と小さいので、なかなか登山には行けてないですが、今年は久しぶりに1週間の休みを取って雲ノ平に行ってきます。前に2泊3日で行って、ここに住みたい!と思ったくらい素敵な場所なんです。もちろん、これまでの登山の思い出が全て詰まっているトレック900も忘れずに持って行きますよ。
Epilogue
今回の「愛着図鑑」、いかがでしたでしょうか。長く使ってきた道具とあなたが織りなす時間は、どんなに優れた新製品を買っても手に入ることはなくて、その時間を、人は「愛着」と呼ぶのだと思います。
新潟・福岡にあるアフターサービスルームには、今日も遠方から修理の必要な道具たちが届きます。壊れたら捨てるのではなく、大事になおしてまた使って欲しい。そんな想いを込めて今日も丁寧に修理にあたっています。もしも、道具が壊れたらいつでも私たちスノーピークにお送りください。想いを込めて修理し、皆さまにお戻しいたします。