日本の住宅はもともと、自然の気配を身近に感じるテント的なものでした。
障子や襖といった軽いスクリーンで空間を遮っただけの間仕切り。外の光で太陽の動きがわかるから、陽が落ちれば休む準備をはじめ、日が昇れば目覚めて、風や雨音も聴きながら、自然のリズムと呼応して暮らしていました。
やがて快適さや気密性を追い求めて壁や屋根は強固になり、ご近所との関係も薄まり、次第に自然と人、人と人との距離は遠くなっていきました。
自然と共生するくらしを、もう一度日常に取り戻す。
地方だけではなく、都市生活においても、自然を感じる瞬間がたくさんある。それがスノーピークの考える、これからの豊かなくらしです。
日本中の遺跡を訪れると、そこが住みやすく心地いい場所だということに気づきます。我々の祖先は、地震や水害への強さ、気候、風の通りや湿度など様々な条件を満たす場所を選ぶ能力が今よりもずっと高かったのでしょう。
キャンプも同様に、一夜を過ごす場所を決め、テントを張り、泊まる経験を積み重ねると、居心地のいい場所がわかるようになります。人には本能的に住みやすい場所を選ぶことのできる、野生の感覚があるのです。
自然と都市に境界線はない。それがスノーピークの基本思想。どこにでも緑はあり、風は吹き、空は広がっています。
例えばバルコニーにキャンプ道具を置いてみる。天気がいい休日は、そこでピクニック。風を感じながら、食事を楽しむ。日々昇っては沈む太陽を、きれいな月や星を、もっと身近に感じられる。
自然がすぐそばにあるくらしは、意識を変えるだけでどこにいても実現できるのです。
野遊びを通して意識が変われば、街を歩いているだけでも季節の移ろいを感じられるようになります。それまでスマートフォンに気を取られ気づかなかった、街路樹の変化や花の香り、空の雲の形などで季節の変化をキャッチすることができるようになると、小さな幸せを感じやすくなります。
私たちスノーピークは、日常の中に自然を感じる機会を少しでも多く提供したいと考え、そのための活動を日々続けています。
どこにいても、「野生」を感じて生きることができる。
週末も、平日も、人間らしく自然体で過ごす。
自然と共生するくらしを、もう一度日常に。