『霧の戦場のヴェルディーナ: C.A.R.D.S. RPG』公式サイト
『霧の戦場のヴェルディーナ: C.A.R.D.S. RPG』のレビュー行くぜ!俺がプレイしたのはPS5版ね。
パブリッシャー:アクワイア
機種:PS5/PS4/Switch/PC
ジャンル:ローグライクデッキ構築☓シミュレーションRPG
発売日:2024/5/23
価格:5500円(ダウンロード版)6578円(パッケージ版)
『Slay the Spire』辺りから一大ブームになった「デッキ構築型ローグライク」と、昔ながらの「シミュレーションRPG」を合体させた新機軸のゲームだ。
今、最もインディーゲーム市場を舐め腐ってるゲームメーカー、アクワイアが送る完全新作である!
□【レビュー】アクワイアくん!今のインディー市場にこれは通用しないって!『超古代兵器ホリー』【PS5/Switch/PC】 - 絶対SIMPLE主義
最近のアクワイアはインディー市場への参入を宣言したものの「もうちょっとインディー市場を舐めてない感出しましょうよ!」と言いたくなるソフトを連発。完全新作のゲームに注目してる当ブログとしては、2回ほど怒髪天を突かせていただきました。
今回の『霧の戦場のヴェルディーナ: C.A.R.D.S. RPG』はインディー扱いではないようで、定価が高くてパッケージ版に各種予約特典もある……が、内容に関しては全然ダメ!ゲームとして全然褒める部分が無い!値段が高くてパッと見は良さげな分、過去作より酷いかもしれない。
そろそろ俺も堪忍袋の緒にギロチンの刃を落としますよ!
- 戦記物っぽいがそうでもないストーリー
- 昔ながらのシミュレーションRPG+デッキ構築バトルな構成
- 肉を食って殴るだけの虚無めいた戦闘バランス!
- ローカライズが面倒という感情だけが伝わるシナリオ
- 特に面白くなっていない大型アップデート
- トロコンまで遊んで懲役22時間でした!
戦記物っぽいがそうでもないストーリー
舞台となるのは3つの大国と、10の中小国からなる大陸 ミスタリア。
大陸を覆う100年戦争を終わらせたのは、突如と現れた漆黒のドラゴン。それは非人道的な手段で生み出されたキメラであり、その情報を掴んだ「クラウゼヴィッツ傭兵団」は、元凶となる大国「ファフタニア」へと向かうのだった。
という話になってるが、街が焼かれてる!キメラ許せねぇ!街が焼かれてる!キメラ許せねぇ!そろそろキメラ作ってる場所探すぜ!を延々繰り返すのでシナリオは単純。ストーリー分岐やサブクエストなどは一切ない。
昔ながらのシミュレーションRPG+デッキ構築バトルな構成
ゲーム自体はステージクリア型のシミュレーションRPG。ユニットを一つ一つ動かして進軍していき、ボスを倒せばステージクリアだ。昔ながらの作り。
特色としては敵に攻撃を仕掛けるとカードを使った戦闘が始まるところ。
敵の行動は事前に表示されているので、それを見ながら攻撃や防御、パワーアップや回復などのカードを使い戦っていく。ランダムで配られるカードを、コスト内で上手く管理して戦うのだ。
一定ターン経過するか、敵のHPをゼロにするかで戦闘は終わる。
戦闘での勝利や施設でのイベントなどで新しいカードをゲット!
最大50枚のデッキにどのカードを入れるか?相乗効果のある組み合わせを試行錯誤しながら選ぶ必要があるぞ。
肉を食って殴るだけの虚無めいた戦闘バランス!
……と、そういうゲームだがこのカードを使った戦闘バランスが終わってる。
カードを使うための基本コストが3。
この3コスト以内でカードをやりくりするゲームなんだが「使ったターンだけ最大コスト+1するカード(使用コスト0)」という、この手のゲームではぶっ壊れな肉カードが序盤からバンバン手に入る。このカードを更に強化するカードもバンバン手に入る。
余った手札を簡単に捨てられるゲームでもあるので、とにかく肉カードでコスト増やしてガンガン殴れば良し!なバランス。
加えて、1ターン行動不能にする状態異常の麻痺があまりにも強く、ラスボス含めた全部の敵に通る。中盤から麻痺が手に入りやすくなるので難易度ガタ落ち。
「デッキ構築型ローグライク」も「シミュレーションRPG」も体力回復がシビアなものが多い印象なんだけど、本作は戦闘中に使える回復カードがガンガン手に入るので緊張感ない。
公式でカードの種類は100種類と言っているが、同じカードに「+1」「+2」が付いた上位互換カードで水増しされているため、戦略の幅が極めて狭い。「肉カードでコスト増やして麻痺を混ぜて殴りまくる(たまに回復)」を最終決戦まで繰り返す作業になるぞ。デッキ構築型ローグライクの勉強が足りない人が作ったゲームだ……!
戦略の幅が狭すぎるのが問題なので、「肉カードが強すぎるから縛ろう」なんてやったところでダルいだけだぜ。
霧と視界という概念もあって『霧の戦場のヴェルディーナ: C.A.R.D.S. RPG』というタイトル回収。マップが霧に覆われて敵や施設の姿が不鮮明。ユニット毎に「視界」のパラメータが設定されており、進めるとちょっとずつ霧が晴れていくのだ。
ただ、霧は「種類は分からないが、敵と施設の場所自体は分かる」というだけなので、とりあえず複数のユニットで敵を一体ずつ先制攻撃すれば良し!思い付きで突っ込んだような視界制限要素で、なんならオプションでオフにも出来ちゃう。
このせいで視界の広さがウリの偵察系のユニットがマジで弱い……。
逆に弓兵や魔法使いといった遠距離攻撃ユニットは、専用カードの強力さもあって超強かったり。体力の低さを装備でフォローすると盤石になる。
マップ自体も最初から最後まで似たような構造、似たような景色が続く。
だだっ広いマップにザコ敵を雑に沢山配置したマップか、細い道が多くて移動がだるいマップの2択である。
ローカライズが面倒という感情だけが伝わるシナリオ
ストーリーの空気っぷりもすごい。キャラデザはカッコいいのに、毎ステージの会話デモが数行とかそんなレベル。許さん!やっつけるぞ!敵の拠点を見つけるぞ!そんな薄い会話の繰り返しで、キャラのことが全然分からないし、シナリオの盛り上がりも皆無。
出来るだけローカライズに金を掛けたくない、という気持ちだけは100倍伝わってくるシナリオ。万が一、製作側が「昔のゲームを意識してあえて簡素にしました」みたいなこと言い出したらタイムマシンで原始時代に送ってやるからな!
仲間のアン・クラウゼンがどう見てもジジイなのに、声が可愛くてもしやロリババア?いやショタジジイ……?ってなるんだけど何も分からないまま終わる。
砂漠ステージでみんなが暑がるコミカルなシーンは、登場キャラの性格が出ててちょっと良かった。「登場キャラの性格が出るシーンがあった」が評価点になるシナリオ大分悲しいけど……。
特に面白くなっていない大型アップデート
そんなゲームだが、発売後に大型アップデートが実施されて仕様が大きく変わっている。
アプデ前はステージ中に自由なセーブ&ロードが不可能だったが、アプデ後は可能に。攻撃タイプやスピードタイプなど、色んなユニットがいるのに戦闘のデッキが共通という批判を受けてか、デッキがユニット毎に個別のモードも選べるようになった。オプションで切り替えは自由だ。
基本コンセプトを曲げるような大型アップデートである。
ただ、前述の通りカードの種類が少なすぎるのが問題なので、デッキが個別になったところで管理が面倒なだけで一切面白くなっていない。肉食って殴るだけ。
こんな言い訳にやったようなアプデが通る開発体制に問題があると思った。
セーブの仕様に関しては、「デッキ構築型ローグライク」は『Slay the Spire』も含めて、セーブ&ロードのやり直しがきかない一発勝負が多い。そこに合わせたのかもしれない。ただ、このゲームはマップ固定のシミュレーションRPGでランダム要素も少ないから、単に不便以外の感想が無いぜ。
トロコンまで遊んで懲役22時間でした!
クリアまで20時間掛からないくらい。トロコンまでやって22時間くらいかな。懲役22時間。
単調なマップをダラダラ進むだけの「シミュレーションRPG」部分と、カードの種類が少なすぎて同じコンボを繰り返すだけの「ローグライクデッキ構築」の合体。本作ならではの独自要素と言える部分が全然なく、ただの衝突事故!その事故に俺が巻き込まれた!
システムとバランスをまったく練らずに発売したとしか思えない完成度の低さで、戦記物っぽい見た目で期待するシナリオもスカスカ。どういうゲームにしたかったのか。3800円のゲームと考えてもあまりにも褒めるところが無く、値段が高い分、最近アクワイアが出してきたゲームで一番ひどいかもしれない。
などと、まとめようとして確認し直したら、定価3800円じゃなくて定価5500円のゲームだった。日本の物価が100倍の並行世界から来たゲームか?亜空に還れッ!
まあ、俺が買ったのはパッケージ版なので定価6578円なんだがな!ガハハ!
何笑ってんだテメェッ!
次は俺が笑えるゲームを出してくれよアクワイア……。