株式会社 鯛きち|支援事例紹介#7 | オーエン - 仙台市中小企業応援窓口

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株式会社 鯛きち|支援事例紹介#7

  • 補助金・助成金・給付金
  • 資金繰り・事業計画
  • 販路開拓・販売促進
  • 新商品開発・新事業展開

2023.10.30

株式会社 鯛きち|支援事例紹介#7

仙台市内でたい焼き店を運営している「株式会社 鯛きち」。コロナ禍による売り上げの減少をきっかけに、ECサイトの立ち上げやギフト商品の開発に取り組むことになりました。そこで相談に訪れたのが、仙台市中小企業応援窓口「オーエン」。相談を重ねるうちに支援は多岐にわたり、販路開拓や補助金申請、さらには新事業のカフェ出店までオーエンが伴走することに。専門家の支援や事業の広がりについて、代表取締役専務の中津陽子さんにお話を伺いました。

オーエン活用のポイント

  1. ECサイト構築やSNS活用など、ITツールの導入をサポート
  2. 補助金採択に向けて、事業計画の検討や申請書作成をバックアップ
  3. 多分野の専門家が連携し、新商品の開発や新事業の立ち上げを支援

 01  どんな事業を行っていますか?

たい焼き専門店「鯛きち」の1号店を仙台駅前にオープンさせたのが、2007年のこと。もともと本業だった菓子の卸問屋業は2010年に譲渡し、それからしばらくの間、たい焼き一筋で事業を行ってきました。

焼き立てのたい焼きをお客様へ対面販売することにこだわってきた鯛きちですが、コロナ禍を契機にネット販売できる冷凍たいやきを開発し、2021年からECサイトでの販売をスタート。さらにお土産や贈答品に利用しやすい常温商品「鯛あんモナカ」を開発したところ、郵便局でも扱われるカタログギフトや百貨店のお中元・お歳暮などにも使っていただけるようになりました。

さらに2023年4月には、自家製あんこを主体にしたカフェ「an cafe TAIKICHI」を開業。秋保温泉郷の磊々峡入口に建つ店舗で、あんスイーツやあんパンを提供しています。

秋保に開店した「an cafe TAIKICHI」では、鯛きち自慢の自家製あんをスイーツやパンに使用。

 02  オーエンを利用したきっかけは?

最初のきっかけは、2016〜2017年頃。弊社で販売している商品の一つに「うす皮たい焼き ずんだ餅」がありまして、そのずんだを「仙台産の枝豆で作ってもらえませんか?」と仙台市産業振興事業団(以下、事業団)からお声がけいただいたんです。しかし当時は実現まで至らず、そのまま時は流れて…。

2020年にECサイトを立ち上げようと思った頃、再び事業団から連絡をいただく機会がありました。お話を進めるうちに、「事業団が運営するオーエンは、いろんなことを相談できるところなんだ!」とようやく理解。それからはわからないことがあると、相談窓口の経営支援課・芳賀さんにすぐ連絡するように。次第に相談ごとは広がり、さまざまな分野の専門家をご紹介していただくことになりました。

ECサイトやカフェで販売している「鯛あんモナカ」。鯛型の皮と自家製あん3種がセットに。

 03  どのような支援を受けましたか?

まず取り掛かったのが、ECサイトの立ち上げです。サイトの構築や運用のサポートをはじめ、アクセス解析やSNSとの連携、商品に同封するリーフレットの作成など、各分野のプロの皆さんが丁寧に支援してくださいました。

そして次に、事業団の「新商品/新サービス開発支援」を活用し、新商品の開発へ。私たちが思い描いていたのは、常温で持ち運べて日持ちする、鯛きちらしい仙台土産でした。そこで「鯛あんモナカ」を作ることになり、「ずんだあん」と「仙台みそあん」を新たに開発。食材も地場産にこだわりたかったので、オーエン所属のフードコーディネーター・川島さんに相談したところ、宮城県内の枝豆農家さんを紹介していただきました。またパッケージや販促ツールについては、オーエンのデザイナー・渡邉さんからご支援いただき、商品が完成した後には展示会出展のサポートも。これをきっかけに、百貨店やギフトカタログの会社と商談が進みました。

この鯛あんモナカの開発と並行して、新規事業のカフェ出店も検討していました。そこで事業再構築補助金の申請を支えてくださったのが、オーエンの中小企業診断士・鈴木さんです。

補助金申請は過去に不採択の経験があったので、それをもとにアドバイスをいただきました。お店のコンセプトから考え直したり、事業計画書を書き直したり、鈴木さんとのやりとりを何度も重ねて申請書類をブラッシュアップ。そのおかげで補助金は採択され、カフェ開業へとつながりました。

「an cafe TAIKICHI」の出店においては、再びフードコーディネーターの川島さんにお世話になりました。弊社では初の飲食店とあって、自分たちだけではわからないことだらけ。メニュー開発や食材仕入れ先の紹介、調理・接客のオペレーションやスタッフの手配など、川島さんから助けていただいたことは数えきれません。なんでも相談に乗ってくださる川島さんがいたからこそ、カフェの開業も運営も形になりました。

焼き立ての自家製パンを使った「あんバタートースト」など、パンメニューも好評。

 04  実際に専門家から支援を受けた感想は?

大きい会社であれば各分野の専門家が社内にいるかもしれませんが、私たちのような小さい会社だと、そうはいきません。しかも外部の専門家に頼るとなれば、費用も膨らみます。その点でオーエンは、相談や専門家の支援が無料。費用の負担がない上に、新事業展開やITの導入・活用など幅広いことを手厚くサポートしていただき、心から感謝しています。

専門家の皆さんからアドバイスをいただいたことで、多くの課題を解消できただけでなく、自分たちが何を優先して動けばいいのかわかりました。身内だけで事業計画や商品開発を行うと考え方が偏ったり、遠慮して言えないこともあったりしますが、専門家の方ならプロの目線からはっきりご指摘くださるので、本当に助かりました。

カフェには、店内のテーブル席に加えてテラス席も。スムーズな接客を行うための動線やオペレーションも専門家がアドバイス

 

 05  今後、どのようにオーエンを利用していきたいですか?

今回の支援を通じて「わからないことは、わかる人に聞いたほうがいい!」と実感したので、今後も悩みが出てきたら、ぜひ相談したいと思っています。公的機関が運営する相談窓口だと、なんとなく行きにくそうなイメージがありますが、オーエンは別。私の周りの事業者たちにも「なんでも相談できるから、行ったほうがいいよ!」とオススメしています。

私自身も最初は、どこまで支援していただけるのかわからないまま、相談が始まりました。「こんなこと、相談してもいいのかな」と思いつつも電話やメールで問い合わせてみると、「その件だったら、こんな専門家の先生がいますよ」と教えてくださり、対面相談もすぐに実現。経営の悩みや展望がある事業者にとって、とてもありがたいサポートだと感じています。

株式会社鯛きちの代表取締役専務・中津陽子さん。

川島 洋子

フードコーディネーター
カワシマ ヨウコ

 担当コラム

支援担当者からコメント

経営者の皆さんは本当に素敵な、様々なアイデアをお持ちです。でも、鯛きちさんのようにベテランの経営者さんでも、新業態にチャレンジする時には初めてのことも多く、どこから手をつけたら良いのか?本当に自身のアイデアをそのまま進めても良いのか?など壁に当たることも多いのではないでしょうか。そんな時にはぜひオーエンにご相談ください。多角的な視点から意見交換するうちに考えがまとまったり、優先順位見えてくるのではないかと思います。また新商品の開発では、素材探しから商品の完成はもちろん、デザインや販路開拓まで支援させていただきます。まずはぜひお気軽にご相談ください。

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今回ご紹介した企業

株式会社 鯛きち

たい焼き専門店「鯛きち」を仙台市内に3店舗構えるほか、2021年にはECサイトも開設。2023年4月には秋保温泉郷に「an cafe TAIKICHI」を出店し、自家製あんを生かしたスイーツやパンの販売を行っている。

インタビュー・ライティング/野原 巳香
撮影/渡邉 樹恵子


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