歌舞伎の作品あれこれ

歌舞伎・演劇の世界

歌舞伎の作品あれこれ

現在、歌舞伎のレパートリーは主要なもので約300作品前後ありますが、おおまかにジャンルわけをすると、侍たちの世界を描いた時代物、町人たちの世界を描いた世話物、さらに踊りが見どころの舞踊の三つにわけられます。

それ以外に近代という時代背景のもと生み出された新歌舞伎、さらに文学者、劇作家によってつくられた作品群、そして現代ならではの新作歌舞伎などがあります。

時代物

車引
『菅原伝授手習鑑』(すがわらでんじゅてならいかがみ)「車引」(くるまびき)松王丸
時代物は、様式美あふれる演出、隈取をとる人物が登場するなどの特色があります。
主従や夫婦、親子のしがらみのなか、我が子を犠牲にするなど、感涙ものの作品が多いですが、それだけに登場人物たちの関係性をしっかり押さえておくとより楽しめます。
  • 『菅原伝授手習鑑』(すがわらでんじゅてならいかがみ)
  • 『義経千本桜』(よしつねせんぼんざくら)
  • 『仮名手本忠臣蔵』(かなでほんちゅうしんぐら)
  • 『一谷嫩軍記』(いちのたにふたばぐんき)
  • 『暫』(しばらく)
  • 『毛抜』(けぬき)
  • 『勧進帳』(かんじんちょう) など

世話物

白波五人男
『白浪五人男』(しらなみごにんおとこ)稲瀬川勢揃い(いなせがわせいぞろい)の場
世話物は、江戸時代の町人たちの姿を描いていることもあって、ストーリーがわかりやすく、また七五調の名台詞をちりばめた作品が多いほか、男女の恋愛をテーマにした作品も少なくありません。
  • 『青砥稿花紅彩画(白浪五人男)』(あおとぞうしはなのにしきえ・しらなみごにんおとこ)
  • 『梅雨小袖昔八丈(髪結新三)』(つゆこそでむかしはちじょう・かみゆいしんざ)
  • 『新皿屋舗月雨暈(魚屋宗五郎)』(しんさらやしきつきのあまがさ・さかなやそうごろう)
  • 『廓文章』(くるわぶんしょう)
  • 『封印切』(ふういんきり) など

舞踊

『京鹿子娘道成寺』(きょうかのこむすめどうじょうじ)白拍子花子
舞踊は、物語性のある舞踊劇や能狂言をもとにした舞踊、さらに江戸時代の物売りや芸人たちを題材とした風俗舞踊などがあります。
長唄、常磐津、清元、竹本などの三味線音楽を伴奏音楽に用います。字幕ガイドでは舞踊の歌詞が全て表示されるので、踊りの意味や歌詞の修辞などの理解の手助けになります。
  • 『京鹿子娘道成寺』(きょうかのこむすめどうじょうじ)
  • 『積恋雪関扉』(つもるこいゆきのせきのと)
  • 『越後獅子』(えちごじし)
  • 『落人』(おちうど)
  • 『土蜘』(つちぐも) など

©イラスト:高浜寛