令和6年度 構造設計1級建築士講習 修了考査 総評
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総評
令和6年度 修了考査の特徴
法適合確認では、
選択理由記述式4肢択一での初出題率は正答肢で6割
となりました。黄色本で記載箇所を確認できるよう十分に読み込んでおく必要があり、理由記述においても、記述のトレーニングを十分に行っていないと、対応が難しかったと考えられます。記述式については、7割が初出題となり、過去出題内容は確実に正解出来ることが絶対条件で、それに加え、「一貫構造計算プログラム」「増分解析での保有水平耐力の確認」など近年の傾向を的確にとらえた対策が必須であったといえます。
構造設計では、
選択理由記述式4肢択一での初出題率は正答肢で8割
と多く、記述式では多くが過去出題内容に近いものであり、過去問を取りこぼしなく、確実に正解することが求められたといえます。
(初出題率は学院分析による)
法適合確認について
出題傾向
選択理由記述式4肢択一の出題項目
令和3年より4肢択一の出題が始まり、令和6年度の出題項目は令和5年度同様の 建築構造設計のあるべき姿、構造関係規定の位置づけ、地震力、荷重及び外力、鉄骨造の耐震計算、鉄筋コンクリート造の耐震計算ルート3、木質構造、耐風設計、保有水平耐力計算(2問) でした。 青本・黄色本と建築士法、建築基準法の構造規定 からの出題となりました。
一貫構造計算プログラム・モデル化に関する問題
問題1のNo.1は、 一貫構造計算プログラム を用いた 吹抜けのある架構 のモデル化と断面検討に関する設問で、過去問題の発展形を含む初出題問題でした。 一貫構造計算では考慮されないものの、検討が必要な事項 を問う問題でした。
木造についての初出題
問題1のNo.2は、 鋼板挿入ドリフトピン接合部の短期許容引張耐力 を求める 初出題問題 でしたが、問題に示される計算手順に従い、正しく計算を進めれば、正解できる比較的容易な問題でした。
耐震計算ルート2
問題2は、令和5年度も出題された S造2層1スパン架構 に関する、 耐震計算ルート2 での応力、 許容応力度、露出柱脚の回転剛性、保有耐力接合 の判定などについて出題され、過去問に近い、比較的取り組み易い問題でした。
増分解析による保有水平耐力の確認の問題
問題3は鉄筋コンクリート造の 耐震計算ルート3 に関する問題で、昨年も出題された増分解析による保有水平耐力の確認の問題でしが、近年の同種の出題の 発展形 といえる内容でした。No.1では、中低層RC造耐力壁付きラーメン構造について、 保有水平耐力 の算定、 構造特性係数 の判定での、 耐力壁の破壊時点と柱の曲げ破壊時点 の せん断力 の扱い方が問われました。No.2は、中高層RC造耐力壁付きラーメン構造について、 塑性ヒンジの発生位置 と曲げモーメント図 が与えられた 柱の種別 を適切に判定し、それぞれの柱のせん断力を適切に扱って 構造特性係数Ds を判定する問題でした。
出題傾向からの対策
法規定を中心に、 青本と黄色本で確実に根拠確認 できるようにトレーニングすること、青本掲載のものを中心に 構造計算適合性判定での指摘事例 を十分に理解し、確認しておくこと、 問題文を丁寧に読み解いて解答する問題演習を近年の傾向を反映した内容で、かつ十分な問題量 で行っておくことが必要です。
構造設計について
出題傾向
選択理由記述式4肢択一の出題項目
4肢択一式では、構造力学として、 トラスの部材軸力と節点の鉛直変位 が出題され、 鉄筋の付着・定着、構造計画・構造解析、耐震設計、鉄骨構造、鉄筋コンクリート造、木質構造、免震・制振構造、地盤・基礎、耐震診断・耐震補強 とほぼこれまでと同様の出題項目となりましたが、正答肢のほとんどが初出題と過去問の発展形となりました。
新規出題など
問題1では、単層門形鉄骨架構について、No.2、3で、仮想仕事法による弾性変位の算定や、与えられたDs に対応する塑性率・層間変形角といった初出題や発展出題もありましたが、他の問題は過去問の延長線上といえる問題でした。また、No.4は同様の過去問がある 柱梁接合部の納まりスケッチ を描く問題でした。なお、問題2は RC造梁の短期許容せん断力 の基本的問題、問題3は 杭の鉛直支持力と二層地盤の安全性検証 の頻出問題でした。
出題傾向からの対策
意外に多く出題されることもある 過去問は確実に正解出来るようにしておく 必要があります。 丁寧に問題を読み取り、計算 を進められるよう、問題文の 条件を正確に読み取り 、構造設計における 構造設計者としての正しい判断 を行い、 量の多い計算を関数電卓でミスなく進める トレーニングを十分に行っておく必要があります。