明治大学
商学部教授
藤井 秀登氏
世界遺産には世界的、普遍的な価値がある
―― 先生のご専門は?
専門は交通論です。大学では3年、4年の選択科目として「観光事業論」を担当し、交通論を軸にしながら観光関係にもテーマを広げているところです。「観光と経済」という視点から、前記は理論を、後期はホテル、旅行業、観光政策など個別に学んでいきます。授業の中で具体的に世界遺産について語ることはないのですが、文化資本、文化経済学として位置づけられないかと考えているところです。
―― 世界遺産の魅力は何ですか?
これだけ価値観が多様化した世の中で、世界遺産は世界に認められた普遍的な価値を持っていることです。観光資源は魅力度によって特A・A・B・Cのランク付け(財団法人日本交通公社)があり、世界遺産は「世界中の人が行きたがる」という意味で特AもしくはAランクなんです。文化や経済、歴史、宗教、人種、言語などすべてが関わってくる文化度の高い存在で、教養として世代を超えた共通の言葉であると言えるでしょう。社会に出て仕事も旅も経験豊富な相手と話すとき、世界遺産は「今日はすがすがしい日ですね。」に続く話題として提供できる営業の突破口、心を開くツールにもなると思います
―― 世界遺産検定を授業に導入したのはなぜですか?
団体受検の紹介を受けたのがきっかけですが、私自身かつて旅行会社に4年勤めてから研究職に戻ったという経歴があり、観光や世界遺産に興味を持っていたことも理由の1つです。一方学生たちはみんな就職活動に不安をもっています。1つでも多く履歴書に書ける資格を取りたいというのが本音のところではないでしょうか。JTBのエントリーシートの資格欄で「世界遺産」の記入が認められたように、2級以上を取得していれば就職活動の際に有利になることもあると思います。
受検者、認定者は成績に反映する
―― 認定されると成績に加点されるのですね。
100点満点のうち、ボーナス点として受検すると5点、3級取得で10点、2級取得で15点をつけています。私は放任主義で「勉強は自分でするもの」と思っていますから受検は強制ではありませんが、担当している「ゼミ」・「観光事業論」・「都市交通システム論」の500人の学生のうち、2010年の秋に47人、2011の夏には120人以上が受検しています。
―― 受検者数が増えているのはなぜですか?
世界遺産とどう関わるかが今後の課題
―― 好きな世界遺産は何ですか?
イタリアに魅力を感じています。中でもベネチアの雰囲気が好きですね。ヴァポレットという水上バスを使った移動に惹かれますし、いつか沈むかもしれないという危機意識も感じます。
―― 今後の課題をお聞かせください。