第33回 あばれる君 – 世界遺産検定

第33回 あばれる君

世界遺産を学ぶと、先人たちへの感謝の心が自然と湧いてくる

第33回 あばれる君 お笑い芸人

聞き手:NPO法人世界遺産アカデミー主任研究員 宮澤光
トップ写真©Kazuaki Ono


テレビで大活躍!子育てにも奮闘するなかでの1級への挑戦

―― 今日はよろしくお願いします。まずは、なぜ世界遺産検定に挑戦しようと思ったのかを教えてください。また、あばれる君は2022年に1級まで取得されていますが、どのくらい勉強されたのでしょうか。

 こちらこそよろしくお願いします!元々歴史が好きだったので、何か形になるものを取りたかったんですよね。2019年に初めて受検しました。全体像がわかるよう4級から始めて1つずつ着実にステップアップし、1級まですべて持っています!

 1級にチャレンジしていたときの勉強時間は、一日2時間ぐらいですかね。1時間の日もあったかもしれません。朝が集中できるので、朝勉強するんです。早めに起きて仕事へ行く前に過去問をやったり。自分は同じ問題集を何回も繰り返すタイプです。暗記物の勉強に関してはそういうやり方ですね。あと、検定事務局が出してる動画も見ました。テレビの世界遺産番組の動画は見てもテストには出ないじゃないですか。

「もちろん検定のテキストがメインの教材です。家で勉強していると子どもが肩によじ登ってきたりするので多少大変でしたが。」

―― お仕事もご家庭もフル回転というなかで、1級に踏み出したのはすごいですね。

 2級で満足していた自分もいたんです。だから2級から1級の間は2年ぐらい空いています。でもコロナ禍で少し時間ができて、もっと色々なところを知りたい、見たいという想いもあって、また勉強しようという気持ちになりましたね。ヴェネツィア憲章とかハーグ条約とか、あるじゃないですか、そういう個別に覚えていた遺産や関連する条約の知識などが、1級の勉強でどんどんつながっていくのが面白かったです。

―― 勉強していて好きになった遺産はありましたか。

 「ハンバーグ、ステーキ、スパゲッティ、どれか好きなのを選べ」っていうような質問ですねそれは!

 まだ行ったことはないですが、海外ならイエローストーン国立公園。日本でいくと屋久島ですかね。屋久島は検定を取ってから上まで登ったことがあります。11時間の登山で、途中雨がしとしと降ったりもしたんですけど、すごく楽しかったですね。本当に緑豊かで、自分が絵の中に入ったような、映画の中に入ったような。自然と一体化するような気分でした。

 世界遺産の山でいくと富士山にも登ったことがありますが、白神山地はまだないので行ってみたいです!

オーストラリア世界遺産キャンペーン」アンバサダー就任とウルルへの旅

―― 話は変わりますが、今回は「オーストラリア世界遺産キャンペーン」のアンバサダーへのご就任、改めておめでとうございます。元々オーストラリアと何かつながりがあったのでしょうか。

 いえ、つながりはなかったし行ったこともなかったですね。世界遺産を勉強していてウルルやシドニーのオペラハウスのことはもちろん知っていましたが。だからいきなり白羽の矢が立ってびっくりという感じですね。

 キャンペーン開始に先立って現地を訪れて、ウルルへ向けて800kmくらい車で走り、撮影を行いました。オーストラリアはとにかく道がまっすぐで、運転しても運転しても全然景色が変わらないんですよ。あまりにまっすぐすぎて、最初の曲がり角で思わず記念撮影をしたぐらいです(笑)。窓を全開にして風を浴びまくって、日本のドライブとは違う爽快さがありましたね。車内での会話も弾みました。

「ある日スケジュール帳を見たら、『何だこれは』みたいなものすごくうれしいスケジュールが入っていて。それが今回のアンバサダー就任とオーストラリア訪問だったんです。」

―― 現地で特に印象深かったことや、検定の勉強をしていたときとはイメージが変わったことはありましたか。

 運転しているとだんだんウルルが見えてきて、でもなかなか近づかないんです。とにかく規模がすごい。ウルルは遠くから見ると砂っぽいけど近づくにつれてとツルっとした印象に変わるんですよね。車から見るだけでなく、ウルルの麓を散策したり、朝はラクダに乗って散歩して。ずっと同じ角度の写真でしか見たことがなかったですが、別の角度から見るとまた違った表情をしていました。

 オーストラリアの方々はいつもゴキゲンで、とても懐が深くて優しい感じがしました。簡単な英単語で会話ができたのも楽しかったですね。本当は傷つくのも嫌だし話しかけないほうが楽かもしれないけど、そこを一歩踏み出すことでまた違う景色が見られた気がします。

 検定の勉強をしていたので現地で本物を見たときにワクワクしましたし、ウルルにしてもアボリジナル・ピープルの方々とオーストラリア政府が和解した歴史的な背景とかも知っていたので、より意義のある旅になったと思います。そして学んだだけでなく実際に自分の目で見ることで、より理解が深まりましたね。

「時間帯によって景色が切り替わる瞬間も見逃したくなかったので目を凝らしていたら、だんだん空の色が濃くなり、いつの間にか一面の星空になっていて、南十字星が現れて…。すごい景色でした。」
写真©Kazuaki Ono

活躍の幅をさらに広げた世界遺産の学び

―― 今回のアンバサダー就任もそうですが、世界遺産の学びが芸人としての仕事に活きたり、つながったりしたことはありますか。

 初めて自分が冠的な感じの、世界遺産関連の番組(※)をやらせてもらったときは、勉強しててよかったなあと思いました!それと、やっぱり一度勉強して色々覚えているので、世界遺産の話が出てきたら色々語れちゃいますね。現地にロケに行くにしても、知識の下地ができているのでより楽しめるし、深く入れます。
(※)『世界遺産のオモテウラ』『あばれる先生の出張授業 ~知って楽しい世界遺産~』|テレビ大阪

―― 小学校でも授業をされているのを拝見しましたが、すごくお上手ですよね。

 ありがとうございます!子どものことも好きなので、世界遺産を学んだことによってその知識を子どもたちに伝えたいという想いも芽生えましたね。可能であれば今後も世界遺産を紹介しながら子どもたちと触れ合うようなイベントをどんどんやっていきたいです。

「世界遺産にまつわるちょっとした豆知識って、子どもたちがすごく盛り上がってくれたりしますよね。」

―― 世界遺産の仕事をたくさんされるのを楽しみにしています!子どもたちを含め、世界遺産を学ぼうと思っている方へメッセージがあれば教えてください。

 僕たちは今すごく便利な時代に暮らしてますけど、もっと昔に知恵を振り絞って大きな建物を造った人たちがいることや、それをどうやって造ったのかを学んでいくと、偉大な先祖・先輩たちに対して自然と感謝の心が湧いてきますよね。そういうところも世界遺産を学ぶ魅力のひとつなんじゃないかと思います。

 自然についても、地球規模で起きている気候変動の時代ですから、そのなかで世界遺産をどう守っていくかということを考えると、また自分たちの意識も変わってくるんじゃないですかね。

「検定を取って、番組を持って、オーストラリアに行って、宮澤さんとも会って。自分の経験は、その気になれば何倍にも膨らませられますよ!」

(2024年6月)

プロフィール
あばれる君


ワタナベエンターテインメント所属
1986年9月25日生まれ
ワタナベコメディスクールに9期生として入学し、2009年にデビュー。独特の「熱血ひとり芝居」で注目を集め、2015年には「R-1ぐらんぷり」で決勝に進出。アウトドアやテレビゲームにも精通しているほか、中学・高校教員免許(社会)を有するなど多才な顔を持ち、大人から子どもまで幅広い世代の人気を集める。主な出演番組にTBS「アイアム冒険少年」、TX「ポケモンとどこいく!?」、KFB「シェア!」、TX「やりすぎ都市伝説」、TX「池の水ぜんぶ抜く大作戦」。2024年5月、オーストラリア世界遺産キャンペーンアンバサダー就任。

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