第25回 岩永 徹也さん 俳優
世界遺産は学生時代から興味があり、 色々な場所を訪れています
―― 『MEN'S NON-NO』の専属モデルとしてデビューし、その後「仮面ライダーエグゼイド」の檀黎斗(だんくろと)役でブレイク、最近はクイズ番組などでも幅広く活躍されています。芸能界に入ったきっかけを教えてください。
学生時代から何度かスカウトされていたのですが、この世界に入ったきっかけは『MEN'S NON-NO』の専属モデルオーディションへの応募です。大好きな漫画、『ONE PIECE』の影響から子どもの頃から絵を描くのが好きで、将来はクリエーターになりたいと思っていました。でも、モデルや役者の仕事にも惹かれるものがある。モデルや役者は若いうちにこそチャレンジしがいがある仕事だと思ったので、思い切って飛び込んでみました。ちなみになぜ『MEN'S NON-NO』だったかというと、『ONE PIECE』と出版社が一緒、というだけの理由です(笑)。
―― 2017年の3月に3級を合格されています。検定を知ったきっかけは何ですか?
世界遺産には以前から興味がありました。学生時代や役者の仕事を本格的に始める前はよく旅をしていて、20カ国位行ったと思います。印象的だったのは、イタリアのコロッセオやマカオのキリスト教関係の遺産です。趣ある建築物が立ち並んでいるのを見ると、『ONE PIECE』等の漫画の世界に迷い込んだようでワクワクしましたね。日本では地元・長崎の軍艦島に上陸したことがあります。あいにくの土砂降りでしたが、「世界に4台しかない三菱重工の貴重な重機が端島では使われていた」といった、ガイドさんのコアな話が印象的でした。
世界遺産検定を知ったのは、本屋です。もともと勉強が好きで、暇を見つけては資格関連の書籍の棚へ足を運んでいるのですが、世界遺産検定もそこで知りました。テキストの内容が面白くて興味が湧いたこともありますが、ちょうどその頃からクイズ番組によく出ていて、世界遺産関連の問題が出題されることが多かったんです。
中でも印象に残っているのが、『世界ふしぎ発見!』に出演した時に解答できなかった「古代エジプトではミイラの鼻の穴に何を詰めていたか」という問題です。答えは「胡椒」でした。認定薬剤師とアロマテラピー検定の資格を持っている自分にとっては身近な、医療と香辛料に関する解けなければいけない問題でした。その悔しさもあり、「クイズ番組を作る人たちはこういう本も参考にしているのでは」と、テキストを購入しました。
学んだことは生活の場面とリンクさせて、 「覚えていないけど思い出せる」状態にしておきます
―― 資格といえば、認定薬剤師をはじめ英検2級、仏検4級、数学検定2級、書道5段、色彩検定2級、アロマテラピスト1級など、たくさんの資格をお持ちですね。勉強はどのようにしているのですか?
どの資格もそうですが、テキストを1ページ目から読んだり、過去問題集をひたすら解くなどの勉強はしません。僕の場合、物事を大まかに飲み込んでから、気になる点や知りたいことを調べていくんです。基本的な姿勢は小学生の頃から変わりません。例えば、進級すると新しい教科書をもらいますよね?授業では、1ページ目からコツコツと進めていきます。でも、全体像が分かっていれば「今勉強していること」が後々どのように影響してくるのかがわかります。だから、教科書をもらったら、まずは何度か通して読む。そうすると全体の流れが頭に入ってくるので、日々の授業はその流れを補完するような形で聞いていました。
世界遺産の勉強は、まずは世界遺産の図鑑を見ながら興味が湧く遺産をピックアップしていましたね。図鑑で大枠を理解してから、テキストの対応する部分を読み込んだり、ネットで調べたりして知識を深めていきました。僕にとって資格試験は「受かるためにするもの」「肩書きが欲しいから受けるもの」ではなく、勉強していて楽しいから挑戦するものなんです。3級の試験を受けたときも楽しくて、解き終わってから「もっと問題が欲しかった!」なんて思ったりしていました。
―― それで受かるのは相当な記憶力ですね。ドラマの昔のセリフなども全て覚えていらっしゃるのでしょうか?
さすがにセリフは忘れてますね(笑)。ただ、一度覚えた大抵のことは、きっかけがあれば思い出せる状態にはなっています。世界遺産は仕事の合間に勉強することが多かったのですが、「降りる駅を間違った日に、電車内で読んだテキストにあった遺産」「いつも読んでいる漫画でこんな話をやっていた頃に勉強した遺産」など、状況とリンクして覚えています。だから、過去のドラマのセリフでも「『ONE PIECE』の○○の話が連載されていたときに覚えたセリフ」などと状況を思い浮かべれば、あらかた思い出すことができます。
世界遺産は素晴らしい現実逃避 写真を見ているだけでもハマります
―― 岩永さんはこれまで出演した番組の印象やドラマの役柄から「王子」や「神」などと例えられています。もし、ご自分を世界遺産に例えるならどの遺産だと思いますか?
「万里の長城」ですね。理由は、その造り方。あれは、端からコツコツ作ったのではなく、小さな壁をいくつもの地点で別々に作り、最終的につなぎ合わせることで長大な長城を作り上げています。その建築方法が、勉強をするときに1から順に片付けるのではなく、動かせるところから手を動かしていく自分の姿勢と重なりますね。
思えば、役者としての日々の仕事も万里の長城みたいなものかもしれません。ドラマやテレビ番組の収録は、目の前の課題をひとつずつ片付けていると、いつのまにか大きなストーリーが組みあがっています。完成してみるまでは、どんなものかわかりません。だからこそ、いただいたお仕事は「どんな風になるんだろう」と完成系を楽しみにしつつ、全力で取り組みたい。そう思っています。
―― 世界遺産検定に興味がある方、検定に挑戦しようと思っている方にメッセージをお願いします。
皆さんにとっても、見た目が美しいものやトリビアが面白いもの、まつわる歴史に惹かれるものなど、どこかしらに興味が持てる世界遺産がきっとあると思います。そんな遺産があったら、ぜひ掘り下げてみてください。学校の勉強は嫌いだった人でも、好きな遺産について調べるのは楽しいと思います。検定のテキストを読むでも良いし、関連する書籍やGoogle Mapで調べるのもおすすめです。世界遺産の勉強って、ある意味では最高の現実逃避ですよ(笑)。僕自身も、より深く世界遺産を知るために、次は2級、そしていずれは1級にも挑戦してみたいですね。
岩永さんは、2018年9月「第33回検定」で2級に認定されました。おめでとうございます!
(2018年6月)
プロフィール
岩永 徹也(いわなが てつや)さん