コラム
勝利をつかみ取る決意込めて…サンロッカーズ渋谷2024-25シーズンホーム開幕戦に迫る
- スポーツ
- バスケットボール
2024年10月22日
2024-25シーズンのサンロッカーズ渋谷には、“つかみ取りたい”ものがあります。それは、昨シーズンあと1勝で逃したチャンピオンシップ(CS)出場の切符、そして、ファンの皆さんのハートです。2026-27からのホームタウン移転という大きな決断も発表した中、10月12日に青山学院記念館で迎えたホーム開幕戦の模様に迫ります。
『Grab as One』
サンロッカーズ渋谷のホーム・青山学院記念館を訪れると、正面階段に大きなビジュアルが設置されています。2024-25シーズンバージョンでは、選手たちが勢ぞろいした写真とともに『Grab as One』という新たなチームスローガンが記され、ひときわ目を引きます。
この言葉には、クラブが一丸となって勝利や目標を『つかみ取る=Grab』という決意と想いがこめられ、3つの目標がひもづいています。1つ目は『心揺さぶるバスケットボールでファンの心をつかむという想いの実現』であり、2つ目は『4シーズンぶりのCS進出とB1制覇』、3つ目には『B.LEAGUE PREMIER参入に向けたクラブライセンスの獲得』※を掲げました。
※10月17日にB.PREMIERライセンスを取得し新リーグへの参入が決定いたしました
そんな大きなビジュアルは名物のフォトスポットであるとともに、マスコットのサンディーがファンの皆さんをお出迎えする場所でもあります。この日も開場して間もなくサンディーが登場。10月11日に自身の誕生日を迎えたことにちなみ、バースデーコスチュームを着て、ファンとの久しぶりの交流を楽しみました。
新たな感動体験…選手監修フード、B.LEAGUE初の演出
そして、今シーズンのホームゲームならではの新たな感動体験もお披露目されました。その1つが、選手監修のフードメニューの販売です。事前にメニューのヒアリングを行い、本人が実際に試食をして完成させた一品!第1弾は、新加入のトロイ・マーフィージュニア選手(#4)が監修した『エネルギー全開!HOTなトロイのタコライス』です。
キッチンカーには早速行列ができ、女性ファンから「気になってトロイ選手監修のタコライスを買いました!」という声や、男性ファンからも「選手とのコラボメニュー第1弾と聞いて購入しました!選手コラボフードのコンプリートを目指して食べていきたいです!」という熱烈なメッセージも寄せられました。
実際に食べてみると、トロイ・マーフィージュニア選手おすすめの ホットチリソースとハラペーニョのトッピングが良い具合の辛さを演出し、大きなソーセージがお腹を満たしてくれました。
トロイ・マーフィージュニア選手を彷彿させる、パワフルで、ボリュームのあるタコライスによって応援前にパワーが満タンになったファンの方も多かったのではないでしょうか。
また、新グッズの数々もこの日から発売となりました。開幕戦記念グッズのフェイスタオルやアクリルキーホルダーのほか、『Grab –Grab as One-』とデザインされたタオルから、キュートな『サンディーだるまマスコット』『ベビーサンディーマスコット』といったキーチェーンまで、実に幅広いラインナップです。
会場では、訪れたファンの皆さんからワクワクした様子を感じました。昨年のW杯をきっかけにバスケットボールとサンロッカーズ渋谷を応援されているお二人からは「(ジョシュ・)ホーキンソン選手はONとOFFの表情の違いが好きです。チームで頂点を目指して頑張ってほしい」というエールや「ベンドラメ礼生選手のコーナーからの3ポイントシュートを見るのが好きです。こんなに近くで試合を見られるのが、この会場の魅力ですね」という声も上がりました。加えて、6年前から応援する男性ファンからは「今季こそチャンピオンシップに進出してほしい」という熱いお言葉も。CS進出とB1制覇は、サンロッカーズファミリーの悲願なのです。
ティップオフが近づくにつれて、会場のボルテージも高まってきました。ホーム開幕節限定で、B.LEAGUEで初の『MEGA MESH』 (軽量布型LEDディスプレイ)を使用した演出を導入。コート上にLEDのついた大きな旗が立ち上がり、選手紹介の映像が流れるとスタンドから歓声が上がります。演出面の工夫によって、青山学院記念館でも今までない観戦体験を提供できた場面と言えるでしょう。
新加入選手や、ハーフタイムショーに注目
時計の針が18時5分を指すと、秋田ノーザンハピネッツとのホーム開幕戦が遂にはじまりました。昨シーズンの開幕戦を超える4,016名の観客が見守る中、今シーズンのホーム初得点を挙げたのは、ケビン・ジョーンズ選手(#21)です。2シーズンぶりにサンロッカーズ渋谷へ戻ってきたベテランが3Pシュートを決めると、特別指定選手として在籍して以来7シーズンぶりに復帰した阿部諒選手(#17)も途中出場から果敢に攻め込んでシュートを決めるなど、1クォーターを15-19で終えます。
続く2クォーターも、新戦力のトロイ・マーフィージュニア選手が開始早々にボールをスティールするなど、好プレーを披露。しかし、秋田の激しいディフェンスを前に苦戦を強いられ、30-37で試合を折り返しました。
ハーフタイムには選手を鼓舞すべく、新メンバーも加入したサンロッカーガールズが花を添えました。2023-24シーズンまでキャプテンを務めたKAHOこと、片山果歩さんが現役を引退され、アシスタントディレクターに就任。石井尚子ディレクターとタッグを組み、パフォーマンスに一層の磨きをかけてきました。
強さと美しさを追求するサンロッカーガールズ。初披露されたパフォーマンスでも早速観客の皆さんを魅了しました。今シーズンも洗練されたパフォーマンスと、チームコンセプトの「Leadership & Showmanship」を体現し続ける姿勢に注目です。
20分のハーフタイムを経て試合へ戻ると、サンロッカーズ渋谷は3クォーターに反撃へ転じました。ホーキンソン選手(#8)の活躍で点差を詰めると、ベンドラメ選手(#9)がコーナーから放った3ポイントシュートがきれいな弧を描いてネットを揺らします。残り5分58秒で39-39の同点に追いつき、秋田はたまらずタイムアウトを要求。ここから両者譲らない展開となりますが、サンロッカーズ渋谷は終盤に3ポイントシュートで被弾するなど、46-56と10点差を追いかけ4クォーターへ。
逆転を目指し奮起した田中大貴選手(#13)がラスト10分間で10得点をマークするなど奮闘しましたが、秋田の背中をとらえるには至らず、結果は65-77。開幕戦の白星は得られませんでした。
ただ、敗れながらも、青山学院記念館の雰囲気はオープニングゲームに相応しい熱いものとなりました。試合後には、2季目の指揮を執るルカ・パヴィチェヴィッチ ヘッドコーチ(HC)より、会場に詰めかけた皆さんへお礼のメッセージが伝えられ、さらに6月からクラブの代表取締役社長に就任した神田康範氏より、先月24日に発表されたB.PREMIERライセンス獲得へ向けて2026-27シーズンより渋谷区から江東区へホームタウンを移転する経緯も改めて説明されました。2026年のホームタウン移転後は江東区からバスケットボール界を盛り上げていきたいとの抱負と、ホームタウン移転後も『渋谷』にアイデンティティーを残し、引き続き同区での活動が示されたほか、残り2シーズンで『渋谷』で頂点を目指す決意も表明されました。
“渋谷”の名で目指す頂点へ一丸
この日、会場入口では「サンロッカーズファミリーの皆様へ」と題したホームタウン移転に関するお手紙も配られましたが、神田社長は自らマイクを握ってコートに立ちました。先月24日に移転が発表されて以来、さまざまな声が寄せられていたことも想像に難くありません。それでも開幕戦ではファンの皆さんから“応援を続けたい”という言葉も多数寄せられました。
-
「家からの距離を考えるとホームタウンは渋谷のほうが嬉しいです。ただ、先日長崎のHAPPINESS ARENAに長崎ヴェルカとの開幕戦も見に行き、大きなアリーナの迫力も感じました。ホームタウン移転は寂しくもありますが、サンロッカーズ渋谷の選手たちがそうした大きなアリーナで活躍する姿を早く見たいと思っています」 (女性)
「やきもきしていたことがハッキリとしたと思います。変わらず応援していきたい」(男性)
「江東区から応援に来ているので、ホームタウンが自分の街になるのは嬉しいです。変わらずサンロッカーズ渋谷を応援していきたいです」(女性)
「チームが江東区に行っても、どこまでもついていきますよ」(男性)
「B.LEAGUE PREMIERに向け、ホーム移転という結論は(難しい決断だと思いますが)良かったのではないでしょうか。ホームタウンが変わっても変わらず応援し続けます」(男性)
ホームタウン移転については、ヘッドコーチと選手も想いを明かしました。ルカHCは「サンロッカーズ渋谷にとって大きな決断だったと思いますので、敬意を表します」と切り出し「自分のやるべきヘッドコーチの仕事を全うしていきたい」とコメント。阿部選手は「まだ先のことなのでホームタウン移転については実感がないですが、まずは今シーズンの目標達成に向けて、自分たちをどれだけ高められるかにフォーカスしていきたいです」 と意気込みました。
また、ルカHCは選手たちにむけて 「フィジカル・戦術・スキル。全てが高いレベルで60試合を乗り越えることができない限りは(昨シーズンと)同じことの繰り返し。安定性を持って高いレベルで戦えるようにやっていこう」と伝えたそうです。指揮官からの想いを受けたチームは開幕戦を終えた翌13日、秋田を78-71で破り、ホームでの初白星を挙げました。
クラブにとって今はまさに転換期。『Grab as One』のスローガンの下、‟渋谷”の名を背負ったサンロッカーズは、選手、クラブ、そしてサンロッカーズファミリーの皆さんが一丸となり、シーズンを戦い抜いていきます。60試合を終えた先へ、今シーズンこそ。
セガサミーホールディングスでは、スポーツコラムの情報などを発信する『SEGA SAMMY×SPORTS』のXアカウントを運用しています。
下記ボタンから是非フォローをお願いいたします!