コールセンターの外注(アウトソーシング)とは、電話応対業務を外部の専門会社に委託することです。外注をすることで、サービス品質の向上やコスト削減を実現することができます。
本記事では、コールセンターを外注するメリットやデメリット、アウトソーシングに必要な費用について解説します。コールセンターの外注を検討する際は、ぜひご参考ください。
目次
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1コールセンターの外注(アウトソーシング)とは?
コールセンターの外注とは、顧客からの受電(問い合わせ対応、注文受付、予約受付 等)や、顧客への発信(テレアポ、督促業務、アフターフォロー 等)といった電話応対業務を外部の業者に委託することです。
コールセンターの運営には、オペレーターの採用や教育、マニュアルの整備などさまざまなコストが必要です。
コールセンター業務を外注することで、コストを抑えてコールセンターを運用できるメリットがあります。
コールセンターの外注が注目される背景
コールセンターの外注が注目される背景には、コールセンターの離職率や人手不足といった課題があります。
コールセンターはオペレーターの離職率が高く、1年以内に離職する割合は増加傾向にあります。また、厚生労働省の調査によると、全業種内で離職率が3番目に高いのは、コールセンター含むサービス業です。
(参考:厚生労働省|産業別の入職と離職の状況)
こうした背景のもと、コールセンターサービスの市場規模は拡大傾向にあります。
Adeccoの調査では、コールセンターやテレマーケティングでアウトソーシングを導入している会社は51.3%でした。アウトソーシングのメリットとしては「人手不足を解消できた」という回答がもっとも多い結果となっています。
(参考:Adecco|【アンケート結果】アウトソーシングの導入状況・メリット・デメリットなど)
2コールセンターで外注できる業務
コールセンターで外注できる業務には、大きく分けて以下の2つに分類されます。
- インバウンド業務
- アウトバウンド業務
インバウンド業務
インバウンド業務とは、顧客からの受電に対応する業務であり、主に以下のような作業が該当します。
- 問い合わせ対応
- 注文・受注対応
- 申し込み受付
- カスタマーサポート・テクニカルサポート
アウトバウンド業務
アウトバウンド業務とは、顧客への発信を行う業務であり、主に以下のような作業が該当します。
- テレアポ(商品やサービスの営業・提案、営業とのアポイントの獲得)
- 督促業務
- アフターフォロー
- イベント告知
3コールセンター業務を外注するメリット
コールセンターを外注するメリットは以下の4つが挙げられます。
- コア業務へ注力可能
- サービス品質の向上
- コストの削減
- 柔軟な運営体制
コア業務へ注力可能
コールセンターを外注することで、自社のリソースをコア業務に注力させることが可能になります。外部の専門会社に代行してもらうことで、今までコールセンター運営に割いていた自社のリソースを別の業務に割り当てることができるようになる点がメリットです。
市場分析や販売促進施策の立案など、より重要な業務に注力できるようになります。コア業務に注力することにより、会社全体の生産性向上につながります。
コア業務に割り当てるリソースが不足している場合は、コールセンターのアウトソーシングを検討してみてはいかがでしょうか。
サービス品質の向上
コールセンターを外注することで、サービス品質を向上させることができます。電話応対の経験豊富なスタッフがコールセンター業務に従事することで、質の高いサービスを提供できるようになり、その結果、顧客満足度の向上にもつながります。
アウトソーシングをする際は、運営ノウハウや実績が豊富にある会社に依頼することがポイントです。応対品質が高く安定した運営体制を構築することができます。
コストの削減
コールセンターを外注すると、運営に必要なコストを削減することができます。
人件費やシステム利用料といった運営維持にかかるコストはもちろん、コールセンター運営を新たに始める場合は特に、導入コストを大きく削減することが可能です。
たとえば、以下のようなコストを削減することができます。
- コールセンターの運営場所となるオフィスの賃料
- 必要な設備を揃えるために必要な費用
- 人材の採用や教育にかかるコスト
アウトソーシングに対する費用はかかるものの、社内でコールセンターを運営するよりもコストを少なく抑えることが可能です。コールセンターの運営・構築費用に課題を抱えている場合は特に、アウトソーシングの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
柔軟な運営体制
コールセンターを外注することで、柔軟な運営体制を構築することができます。自社運営と比較して、必要なときに必要な人員の確保がしやすくなります。
現状の業務への対応はもちろん、繁忙期や閑散期に応じたキャパシティ調整も可能です。状況に応じて夜間や休日の対応も依頼することができます。
業務量の変動に対してリソースを柔軟に調整することができるため、人員不足に陥ることなく、応対品質の維持につながります。季節によって業務量の変動が大きい場合は、変動への対応について外注先と方針をすり合わせておくと安心です。
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4コールセンター業務を外注するデメリット
コールセンターを外注するデメリットは以下の3つが挙げられます。
- 情報漏洩のリスク
- トラブル対応の遅延
- ノウハウ蓄積の停滞
情報漏洩のリスク
外注することで、外部の会社が個人情報や機密情報に触れることになるため注意が必要です。
情報管理のルールを厳しく設けることはもちろん、万が一、情報漏洩が起きた際の対応フローなどを整備しておくことが重要です。また、外注先を選ぶ段階で、情報漏洩への対策やスタッフのセキュリティ意識を確認しながら検討を進めるようにしましょう。
トラブル対応の遅延
スムーズに情報連携ができないことにより、問い合わせへの回答に時間がかかるなど、迅速な対応が難しく、トラブル対応が遅れてしまうケースがあります。
クレームやトラブルへの対応に時間がかかると、顧客満足度の低下につながる可能性があります。日頃から連携がスムーズにとれるような環境をつくっておきましょう。また、あらかじめ想定されるトラブルや対応フローを定めて、外注先と認識を合わせておくと安心です。
ノウハウ蓄積の停滞
外注することで、電話応対に関するノウハウの蓄積が難しくなります。
コールセンターが社外で運営されるようになり、社内の人材が直接業務に関わることがなくなるためです。
ノウハウが蓄積されないことにより、将来的に外注をやめて自社運営に切り替えた際に、運営体制の構築や社内教育にコストがかかります。
また、顧客の声を直接伺う機会が減るため、サービスの品質向上に役立つ知見を得るチャンスを逃してしまうこともあります。可能な限り、日頃の応対内容に関する情報共有を外注先に依頼しましょう。
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5コールセンター業務を内製化するメリット
コールセンターを自社運営することを内製化と言い、以下3つのメリットがあります。
- 顧客のニーズを把握しやすい
- セキュリティ体制を整えやすい
- ノウハウを蓄積できる
顧客のニーズを把握しやすい
コールセンター業務を内製化することで、問い合わせ状況や顧客のニーズを、迅速かつ詳細に把握しやすくなります。
また、応答内容や顧客のニーズを、トークスクリプトや顧客対応に即座に反映して展開しやすい点も内製化のメリットです。実情に即したサービス改善をスピーディーに行うことができるので、顧客満足度の向上にも効果的です。
セキュリティ体制を整えやすい
コールセンターを社内で完結させることで、セキュリティ体制を整えやすく、情報漏洩をはじめとするセキュリティのリスクを減らすことができます。金融や医療のような専門性の高い分野では、コールセンターの内製化が推奨されます。
ノウハウを蓄積できる
コールセンターを内製化することで、トークスクリプトや応答スキルといったノウハウを蓄積しやすくなり、サービス品質の向上につなげることができます。顧客のニーズに応じた対応をしたり、研修や教育を充実させることが可能です。
ノウハウの蓄積と展開によってサービス品質が向上するため、コールセンターを長期間運用することで応対品質も向上します。
6コールセンター業務を内製化するデメリット
コールセンター業務を内製化した場合のデメリットは以下の3つです。
- 運用が軌道に乗るまで時間がかかる
- コストが膨大になりやすい
- 繁忙期・閑散期への柔軟な対応が難しい
運用が軌道に乗るまで時間がかかる
コールセンターの内製化は、コールセンターのオフィス設置、オペレーターの採用・教育、フローやマニュアルの作成など、立ち上げまでに時間がかかる点がデメリットです。
また、立ち上げ後もPDCAを回しながら、軌道に乗るまで試行錯誤する必要があります。
すぐにコールセンターを立ち上げたい場合や、準備や運用のためのリソースが足りない場合、内製化は適していないと言えるでしょう。
コストが膨大になりやすい
コールセンターの運用を始めるためには、コールセンターの設計や企画、オペレーターの採用や教育といった準備コストがかかります。
採用費や教育費、人件費もかかるため、コストが膨大になりやすいデメリットがあります。
サービス品質を維持するため、稼働状況やシフトの管理、コール内容の把握、継続的な教育などのコストも必要です。
繁忙期・閑散期への柔軟な対応が難しい
コールセンターを内製化する場合、正社員や契約社員としてオペレーターを雇用しますが、採用には一定期間を要するため、急な増員は難しい場合があります。また、閑散期の人員削減も容易ではないため、繁忙期・閑散期に柔軟に対応するのが難しい点がデメリットです。
繁忙期に合わせて人員を投入すると閑散期には余剰となってしまう一方で、閑散期に合わせた人数にすると繁忙期は人手不足となる可能性があります。人員の増減で対応するのではなく、閑散期は教育に力を入れるといった工夫が必要です。
7コールセンターの外注にかかる費用
コールセンターの外注費用は、大きく分けて月額固定型と従量課金型があります。
それぞれの特徴や費用の目安について解説します。
月額固定型
月額固定型は、毎月固定の費用を支払う方式です。料金が一定のため予算が立てやすい点がメリットですが、閑散期であっても料金は変わらない場合があります。
月額固定型は、1ヶ月あたり100,000円〜300,000円が相場です。
契約時にコール数が月100件、500件等と定められている場合が多く、契約のコール数を超えると1件あたり100円〜250円が追加で発生します。
ある程度まとまったコール数が毎月発生している場合に適した料金形態です。
従量課金型
従量課金型は、コールの数だけ料金が発生する料金形態です。閑散期や繁忙期など、コール数の増減に応じた料金を支払うことができますが、予想外にコール数が増加し、その分料金がかかることもあります。
コール数がさほど多くないコールセンターやECサイトでは、月額固定型よりも従量課金型の方が適している場合が多くあります。
従量課金型では、1コールあたり300円~1,000円が相場です。内容に応じて料金が変動することが多く、専門的な内容になると1コールあたり1,500円程度になる場合もあります。
初期費用・研修費用
毎月の料金とは別に、初期費用や研修費用が別途発生します。初期費用は1万円~5万円が相場です。研修費用は別途発生する場合や、初期費用に含まれている場合があります。外注費用の予算を立てる際は、初期費用も忘れずに含めておきましょう。
8コールセンター業務の外注を検討すべき状況
以下の状況に該当する場合は、コールセンターのアウトソーシングを検討しましょう。
- 社内リソースが足りていない
- 業務が効率化できない
- 応対品質に課題がある
- 売上アップにつながらない
社内リソースが足りていない
社内リソースが足りていない場合は、コールセンターのアウトソーシングを検討しましょう。対応件数が増えてきた場合や、急な退職や異動により人員が変動するときが、人手不足の課題に陥りやすいタイミングです。
コールセンターに従事する人員に加え、以下のリソース状況も鑑みて、アウトソーシングをするかどうかを判断しましょう。
- 全社的にリソースを集中させるべきコア業務があるか
- コールセンターのリソースを時期によって調整する余裕があるか
コア業務のリソースが足りていない場合や、社内だと柔軟なコールセンター運営が難しい場合はアウトソーシングを検討するのが賢明です。
業務が効率化できない
コールセンター業務の効率化が難しい場合も、アウトソーシングを検討しましょう。
コールセンター業務の受託を専門にしている会社は運営ノウハウを豊富にもっており、効率的な業務の進行が期待できます。また、運営環境が整っており、業務をスムーズに進められる仕組みが確立されているケースがほとんどです。
コールセンターを運営する中で「ミスが減らず、業務の手戻りが多い」「対応プロセスに無駄が多く、業務量が減らない」などの課題がある場合は、経験豊富な会社に外注をすることで業務の効率化を実現できます。
応対品質に課題がある
コールセンターの応対品質に課題がある場合も、アウトソーシングを検討しましょう。
社内でコールセンターを運営する場合、以下のような課題を抱えることも少なくありません。
- オペレーターがコールセンター業務に不慣れ
- オペレーターの対応スキルを上げたいが、教育をする時間がない
豊富な知見をもつ外注先を探すことで、応対品質を上げることができます。
社内のノウハウはもちろん、オペレーターのスキルレベルを上げるために教育を行うリソースや時間が足りていない場合は、アウトソーシングを検討してみてはいかがでしょうか。
売上アップにつながらない
コールセンターによる売上アップに課題がある場合も、アウトソーシングを検討しましょう。
オペレーターのスキルが不十分だと、思うような成果が出ない可能性があります。
また、顧客満足度やリピート率の向上による売上アップが難しいケースも少なくありません。コールセンターの応対品質を上げて売上アップを実現するためには、アウトソーシングをすることが有効です。
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9コールセンター業務の外注先を選ぶポイント
コールセンターの外注先を選ぶポイントは以下の5つが挙げられます。
- 委託したい業務に対応しているか
- セキュリティ体制が万全か
- 信頼できる実績があるか
- 柔軟な対応をしてもらえるか
- BCP対策ができているか
委託したい業務に対応しているか
コールセンター全体の業務を外注するのか、アウトバウンド業務のみ、インバウンド業務のみといった一部の業務だけを外注するかを決定します。そして、依頼したい業務の内容や範囲に対応できる業者を選ぶようにしましょう。
セキュリティ体制が万全か
コールセンターの外注先を選ぶ際は、セキュリティ体制が万全かどうかを慎重に確認しましょう。情報漏洩のリスクをできるだけ低減できる外注先を探すのが賢明です。
情報セキュリティに関する認証の有無に加えて、どのように情報を管理するのか、情報漏洩リスクについてどのような対策をとっているのかなど、実際に業務が行われる現場も確認しながら把握しておくと安心です。
また、スタッフの意識が徹底されているかどうかも慎重に確認するようにしましょう。
信頼できる実績があるか
コールセンターの外注先を選ぶ際は、信頼できる実績があるかどうかを確認することも重要です。多くの実績がある会社は豊富なノウハウをもっており、サービス品質が高く、万が一トラブルが起きても迅速に対応する体制が整っています。
外注候補の会社が公開している実績や成功事例を確認し、安心して依頼ができるかどうかを見定めましょう。
柔軟な対応をしてもらえるか
コールセンターの外注先を選ぶ際は、対応の柔軟性も必ず確認しましょう。業務量の変動や時期に応じて柔軟に体制を調整してもらえる会社に委託できると、アウトソーシングのメリットを最大化できます。
稼働時間や人員の増減をどの程度調整できるのか、急な要望に対してどの程度対応してもらえるのかなど、外注先を検討する段階で、できるだけ具体的に確認しておくことが賢明です。
BCP対策ができているか
コールセンターの外注先を選ぶ際は、BCP対策が可能かどうかも確認しておきましょう。有事の際にも安定稼働ができる状況をつくることは、顧客満足度を維持するためにも重要です。
外注先を検討する際には、コールセンターの設備や人員を含む運営体制について、不測の事態にどのように備えているのかを具体的に把握しておきましょう。
10コールセンターの業務を外注する手順
【外注する手順】
- 導入目的を明確にし、外注する業務範囲を決める
- コールセンターアウトソーシング業者を選定する
- 契約する
まずは自社の業務を分析し、社内のニーズや課題、コールセンター外注の目的を明確にします。また、委託する業務内容・範囲や情報の取り扱い、セキュリティ体制についても定め、要件としてまとめておくことが重要です。
次に、自社の目的に適したサービスを提供している業者を選定します。複数の業者に問い合わせをし、サービス内容や実績、料金、セキュリティ体制などを比較検討することが重要です。
業者が決まったら契約をします。トライアルが可能な場合は、試験運用をしてサービス品質やオペレーション、フローに問題がないかを確認しましょう。
11まとめ:コールセンター業務の外注で生産性を上げよう
コールセンターの外注をすることで、サービス品質の向上や運営コストの削減が実現できます。また、自社のリソースをコア業務に集中させることができるため、会社全体の生産性向上を実現することが可能です。
セキュリティ体制が万全で信頼できる実績がある外注先を探し、アウトソーシングの検討を進めてみてはいかがでしょうか。
当社では、コールセンターに関するさまざまな業務をお任せいただけるサービスを展開しております。長年の運営で培ったノウハウを凝縮した品の高いサービスを提供しておりますので、コールセンターの運営に課題をおもちの際は、お気軽にお問い合わせください。
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