ロシアのプーチン大統領は5日、国内のエネルギー開発など戦略分野に投資している「非友好国」の企業に対し、所有する株の取引を禁じるとする大統領令に署名した。日本企業も出資する極東サハリンの石油・天然ガス開発事業「サハリン1」も対象として明記された。ウクライナ侵攻を受けて経済制裁を科した米国や日本への対抗措置とみられる。
大統領令は発令の理由を「ロシアの国益を守ること」だとしている。取引が禁止される期間は今年末までだが、大統領の判断で延長が可能。また、大統領の「特別な決定」によって、取引禁止の措置は解除されることもあるとした。
プーチン氏は6月、日本企業も出資するサハリンの石油・ガス開発事業「サハリン2」について、事業や権益をロシアが新設する会社に引き継ぐよう命令。新会社は8月5日に法人登記され、設立された。
エネルギー確保のためサハリンの事業権益を重視する日本は、引き続き難しい対応を迫られる。
サハリン1は米石油大手エクソンモービル、露石油大手ロスネフチ、日本の「サハリン石油ガス開発」などが運営しており、サハリン石油ガス開発には経済産業省、伊藤忠商事、丸紅、石油資源開発、INPEXが出資している。
2005年に原油の生産を始め、06年に日本などへの出荷が始まった。エクソンモービルはロシアがウクライナに侵攻した直後の今年3月に事業からの撤退を表明した。