露部隊がキエフ侵入 ウクライナ大統領は交渉呼びかけ - 産経ニュース

露部隊がキエフ侵入 ウクライナ大統領は交渉呼びかけ

25日、首都キエフの中心部で構えるウクライナの治安要員ら(ロイター)
25日、首都キエフの中心部で構えるウクライナの治安要員ら(ロイター)

【モスクワ=小野田雄一】ウクライナのメディアによると、同国に侵攻したロシア軍の戦車部隊が25日、首都キエフ中心部から北西に約30キロのホストメリに到達し、戦闘が起きた。露国防省はホストメリ空港を空挺部隊で制圧したと発表した。ウクライナのゼレンスキー大統領は同日、ビデオ声明を発表し、「人的犠牲を止めるため、交渉の席に着こう」とプーチン露大統領に呼びかけた。

ペスコフ露大統領報道官は、「プーチン大統領はウクライナ側との交渉のために露代表団を(ベラルーシの首都)ミンスクに送る用意がある」と発表した。

キエフに迫っている戦車部隊はベラルーシから侵攻した。ウクライナ軍はキエフ侵入を阻止するため近郊の3つの橋を爆破。政府関係者によると、キエフ防衛のための対戦車ミサイルも配備されている。キエフのクリチコ市長は、破壊工作を担うロシアの部隊がすでに市内に入っており、市は「戦時状態」だと述べた。

露国防省はホストメリ空港の制圧でウクライナ側の200人以上を殺害したと発表。南部ドネツク州でウクライナ側が掌握している港湾都市マリウポリでも激しい戦闘が起きている。

こうした中でゼレンスキー氏はビデオ声明を発表し、プーチン氏にロシア語で交渉を呼びかけた。ロイター通信によると、ウクライナ高官は、ロシアが求めているウクライナの「中立」化を受け入れることも含め、協議する用意があると述べた。

一方、ウクライナ大統領府高官は24日夜、1986年に爆発事故を起こしたウクライナ北部のチェルノブイリ原発がロシア軍に掌握されたと発表した。ゼレンスキー氏は「これは欧州全体への宣戦布告だ」と非難。国際原子力機関(IAEA)も「重大な懸念」を表明した。

先進7カ国(G7)は日本時間24日深夜、オンライン形式で首脳会議を開き、ロシアによるウクライナ侵攻を「可能な限り、最も強い言葉で非難する」との声明を出した。侵攻はルールに基づく国際秩序への「深刻な脅威」で、武力による国境変更は正当化できないと強調した。

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