年度末を乗り越えたのでちょっと他のことを片付けている今村(@saki_imamura)です、こんにちは。
実は、年明けしてからずっといろいろ大変だった主な理由は父が他界したことだったんですが、それに伴う遺産相続で、父が保有していた株式をあたしが引き継ぎました。
「好きじゃない」と公言していた日本株で、特定口座じゃないものもあって、総額の6割以上が含み益という、考えただけで面倒そうな資産だったんですが、株式投資の経験がない他の相続人メンバーが「そんなの貰っても困る」と嫌がったため、こういう展開になりました。
てことで、日本株始めることになるとは思いませんでしたが、とりあえず今後は新しい持ち株のことを学んで何をどうするか考えようと思います。
それで今日はですね、せっかくなので、今回今村が学んだ「株式*1を相続するというのはどういうことか」についてまとめておきます。
これから株式を相続するかもしれない人、または資産を株式の形で子供に遺そうと考えている人は、参考になると思うのでぜひ読んでいってください。
株式を相続した際の相続税
相続税の計算の仕方自体はずっと前にこちらで説明しましたが、
ここで書いた通り、有価証券にかかる相続税を計算する際には、
- 相続開始日*2の終値
- その月の終値の月中平均額
- その前月の終値の月中平均額
- その前々月の終値の月中平均額
の4つのうちで一番低い額を評価額として使うことができます。
故人の口座がある証券会社で相続手続きをして残高証明書を発行してもらうときに一緒にお願いすれば「公開株式の相続税評価参考価格」というこれらの評価額がリストされた書類を作成してくれます。
ちなみに、相続税の申告と納付の期限は相続開始日の翌日から10ヶ月以内です。また、故人の死亡日までの確定申告(準確定申告と呼ばれるもの)の期限は相続開始日の翌日から3ヶ月以内です。
相続した株式を移管してもらう際の口座
もしかするとこの辺は証券会社によって対応が違うのかもしれませんが、少なくとも今村のケースである日興証券では、
- 他の証券会社の口座への移管には対応していないため、相続人は日興証券の口座を開設しなくてはならず、
- 故人が所有していた銘柄が特定口座のものなら特定口座で一般口座のものなら一般口座でと、そのままでしか引き継ぎできない
というパターンでした。
今村は、全然使っていなかったけれど日興証券の口座は持っていたので新設しなくて済みましたが、故人と同じ証券会社で口座がない場合や、あっても使いたくない場合はちょっと面倒そうです。
また、今どき一般口座使ってる人はあんまりいないと思いますが、うちの場合はなぜか特定口座に一般口座も混じっていました*3。
そして、相続する際に特定口座に変更することはできないと言うので、仕方なく一般口座は一般口座のまま引き受ける羽目になりました。つまり、確定申告が必須かつ面倒になるということです。はー。
相続した株式を売却する際の譲渡税
さて、そんなこんなで相続した株式を売却するとどうなるのか?
ハイ、譲渡所得があれば譲渡税を払うことになります。
投資クラスタの人は言われなくてもわかってると思いますが、譲渡所得と譲渡税は以下のように計算します。
取得費はどうなるの?
ここでまず疑問になるのが取得費ですが、これは残念ながら故人が当該株式を取得した費用となります*4。
故人の取得費をそのまま引き継ぐ形なので、1,000円の評価額で相続した株でも、故人が100円で取得していたら取得費は100円です。1,000円にはなりません。
つまり、故人が100円で買って現在1,000円の株は、この時点で売却したら、900円から譲渡費用を引いた譲渡益が確定するということです。
そして譲渡税が180円だとすると、1,000円の株を相続しても実質的には820円(マイナス譲渡費用)の現金を相続したのと同じ、という計算になります。
それ二重税じゃない?
1,000円ってことで相続税払ったのに更に譲渡税払うの?って話ですが、それに対しては一応措置があり、相続開始日の翌日から3年10ヶ月以内に売却した場合は、その譲渡した資産に対して払った相続税を取得費として加算することができます。
具体的には
という形で、相続税を計算したときの当該株式の評価額を相続した財産の評価額から立て替えた債務を引いたもので割って、その割合を自分が支払った相続税にかけることで取得費に加算できる相続税の金額を計算します。
ただ、どれだけ相続税を払ったかはどれだけ相続税対策をしていたかにも大きく影響されるので、きちんと対策していた場合はここで取得費に加算できる相続税もそれほどの額にはならない可能性はあります。
確定申告した場合の影響は?
相続税を払った分を差し引くには「特定口座・源泉徴収あり」にしていても確定申告しなくちゃいけなくなります。
その場合、特に含み益が大きい場合は所得が増えてしまって国民健康保険料が増えることもあります*5。
子供がいる場合、保育料や児童手当なども変わってくる可能性があります。
どちらが良いのかはケース・バイ・ケースで実際に計算してみないと分からないのでなんとも言えませんが、判断自体が面倒そうなのは確かです。
配当期待権
配当の権利っていうのは通常は中間決算や期末決算時に決まるものですが、実際の支払いは3ヶ月後くらいになります。
なので、権利が確定した時にはまだ生きていたけれど、実際の支払いがあった時点ではすでに亡くなっていたということもあり得ます。今村のケースもそうでした。
その場合、この権利は配当を出す株式そのものとは別に「配当期待権」として相続することになります。
評価額は税引き後の実際の配当額です。
配当期待権についてはとくに難しいことはありませんが、相続税申告をしなくてはならない場合はうっかり申告漏れにならないよう気をつけましょう。
まとめ
ということで、今後株式を相続する可能性がある人は
- 株式で貰う相続財産は含み益の大きさによって実質的な価値が変わる
- 配当期待権も相続税の対象になる
- 特定口座を選べないケースもある
- 売却した際に譲渡税から相続税を差し引きたい場合は所定の期間内に行わなくてはならない
- 含み益が大きい譲渡の確定申告を行うと国民保険保険料などにも影響が出る可能性がある
- なんだかんだで長く保有しなくてはならない場合、株式そのもののリスクの考慮も必要になる
という認識を持って遺産相続の分割協議に臨んでください。
一方、今後株式の形で資産を子供に遺すことを考えている人は、
- 「そんなの貰っても困る」と言われないように、子供に株式投資を教えておく
- ある程度の年齢になったら計画的に利食いして含み益をなるべく消化し、自分で譲渡税を払っておく
- ある程度の年齢になったら一般口座の株式も売却して自分で確定申告しておく
- どの銘柄をどのような意図で保有しているのか子供に伝えておく(または自分の死後子供が見たときにわかるようにしておく)
というあたりをやっておくと子供が苦労しないで相続できそうなので検討してください。
あと、遺産を遺す側・貰う側にかかわらず、相続税対策はしっかりしておきましょう。
以前「なんとなくでも知っておくべき」シリーズでも書きましたが、生前贈与や生命保険など、対策をするとしないとでは百万単位で相続税が変わってくることもあります。 まじで。
以上、今村の遺言でした。(←違う)