昨日の興奮がまだ冷めません。
落ち着いて資料を読もうとは思っているのですが考査前で時間がないのと自分のテンションが下がらないこともあって、まだ、読み切れていません。
ほぼ同じタイミングで出てきたからこそ、比較して読むことで感じることは多々あります。しかし、それをじっくりと書いている余裕もないので、それはまた後日にしよう。
これらの資料で示される教育ビジョンについては、具体を掴みにくい部分も多々ある。それがこれらの資料の持つエネルギーを理解することの妨げになるのではないかと不安にも感じる。そこで、「未来の教育」の例が見えるような書籍を紹介しておこう。
文科省と経産省の資料へのリンク
両者の資料ともにさすがに色々な情報が詰め込まれている。両者の特徴について一言でいうのであれば
- 文科省の資料はこれまでの中教審の答申や新学習指導要領との対応も明確であり、学校に関わる人であれば比較的、見慣れた語句も多く見られる。
- 経産省の資料はボトムアップ的にワークショップなどで拾い集めた情報からの整理であり、用語が教育界隈のそれとは違う面も多い。
立場の違いがよく出ているなぁとは思う。逆に言うと、文科省はどこまでいっても学校という枠でものを考えざるを得ないんだなぁ…ということを感じますし、逆に経産省からは教員や教育界隈が想定している以上に「学校」を相対化して、あくまで教育のリソースの一つに過ぎないような見方をしていると感じる(そこがかなり自分には衝撃的なのです)。
未来の教室を見るために
さて、本論。参考になる書籍を紹介しよう。
まずは、教育ICTリサーチ ブログの為田さんも挙げていますが、この本は絶対に外せません。
情報時代の学校をデザインする: 学習者中心の教育に変える6つのアイデア
- 作者: C.M.ライゲルース,J.R.カノップ,Charles M. Reigeluth,Jennifer R. Karnopp,稲垣忠,中嶌康二,野田啓子,細井洋実,林向達
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 2018/02/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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経済産業省が公表した、「未来の教室」とEdTech研究会の「第1次提言」を読みました。『情報時代の学校をデザインする』と結びつきますね~。 #教育ICT
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年6月26日
「未来の教室」とEdTech研究会の「第1次提言」(2018年6月25日) …https://t.co/OcFsJQgiC1
自分が特に強調しておきたいのは、Ed-vision型のPBLへの言及があることです。このEd-vision型のPBLは間違いなく、経産省がその「未来の教室」のイメージに据えている「探究学習」のイメージそのものだと思うのです。Ed-vision型のPBLについては
プロジェクト・ベース学習で育つ子どもたち―日米18人の学びの履歴
- 作者: 上杉賢士,市川洋子
- 出版社/メーカー: 学事出版
- 発売日: 2005/07
- メディア: 単行本
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が、やや古くなったものの必ず読んでおきたい二冊です。
自分がこれほど興奮している理由に、あまり教育界隈から出て来なかったEd-vision型のPBLの学びの形が、教育とは縁遠いはずの経産省から出てきたからということもあります。
びっくりするくらいにイメージが同じです。
EdTechによって具体的にどのように教室が変わるか…つまり、教室が学習室に変わるかについては、以下の本がやはり強烈。
ブレンディッド・ラーニングの衝撃 「個別カリキュラム×生徒主導×達成度基準」を実現したアメリカの教育革命
- 作者: マイケル・B・ホーン,ヘザー・ステイカー,小松健司
- 出版社/メーカー: 教育開発研究所
- 発売日: 2017/04/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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教室でそれぞれの子どもが好き勝手に自分のやりたいことをやるなんてイメージを持てている人は学校にはあまり多くない半径二メートル。iPadで何かやろうっていったって、スカイプ英会話くらいで、それだって同じ教室で教員が一斉に指示してやらせているんだから、そんなイメージからは全く別の世界である。
リーダーシップ教育のフロンティア【研究編】: 高校生・大学生・社会人を成長させる「全員発揮のリーダーシップ」
- 作者: 中原淳,舘野泰一,高橋俊之
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 2018/06/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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リーダーシップ教育のフロンティア【実践編】: 高校生・大学生・社会人を成長させる「全員発揮のリーダーシップ」
- 作者: 中原淳,高橋俊之,舘野泰一
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 2018/06/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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日本の教育実践から。高校よりは大学が中心ですが。
詳しい内容は以下の書評をご覧ください。
実は、昨日のイベントではこの本で紹介されている実践の責任者の方の講演もセットで行われていました。その実践のパッションやビジョンはやはり力強く感じますし、「カッコいい」「やってみたい」という気持ちが学びを支えるのだという理念がよい。
どうしても、文科省側の資料からは「楽しい」だとか前向きの文言が出て来ない。それが意外と致命的なことかもしれない。
イメージがないものは共有できない
自分は非常に興奮しているのですが、どうもこの興奮と教育、いや学校に対する不安感を周りに上手く伝えられない。
学校はなくならないなんて思えなくなってきているのである。さすがに絶対そうだとは言えないけど、あと30年、自分が学校にいるイメージが持てなくなったのである。
そして、今の学校が、あまりに学校の中のことばかりに目が向いていることに、頭を殴られたような衝撃を感じているのです。
公教育としての学校はなくならないだろう。でも、だとしたら、もっと公教育としての責任ってなんなのかが問い詰めらるべきでしょう。公教育としての責任と平等なあり方とは何かというようなこと問い詰めなければいけないでしょう。
でも、その手前の段階として、今の学校のシステムがなくならない、代替はないと思っている、その強固な思い込み、もしくはそれ以外のイメージがないこと自体が恐ろしいとも思うのです。
果たして、EdTechの教室のイメージ、現実味、どこまで共有できて、誰と危機感を共有できるのだろう。自分の半径二メートルにはいなかった。とても、恐ろしい。
この自分の舞い上がりが、短絡的で、不勉強なことによる自分だけの被害妄想であってくれた方が、幸せになれそうだ。