労働者協同組合アソビバ(令和5年5月設立)
遊ぶように働く!
「労働者協同組合アソビバ」は、地域おこし協力隊の現役・卒業生のメンバー3人によって設立されました。兵庫県豊岡市を拠点に地域の各種イベントの企画及び運営(但東町でのマルシェの企画・運営)、地域の商品の販売事業(木工品・加工品の販売)、広報物制作事業(パンフレット・チラシ制作、ホームページ制作)を行っています。遊びのように組合員が楽しいことを仕事にして、地域づくりに貢献できることを目的に活動しています。
これまでの活動の経緯
地域おこし協力隊による労働者協同組合の設立
労働者協同組合アソビバは、豊岡市の地域おこし協力隊の現役・卒業生3人が組合員となり、設立した法人です。
組合員の1人が、地域おこし協力隊員のミッションとして、豊岡市内での「森のようちえん」の立ち上げ・運営の支援に携わった際に、受け入れ団体として労働者協同組合ワーカーズコープ・センター事業団但馬地域福祉事業所と出会ったことが法人設立のきっかけです。
その後、但馬地域福祉事業所の方々と活動を進めていく中で、組合員が出資し、それぞれの意見を反映して、組合員自らが事業に従事する「労働者協同組合」の働き方に関心を持った地域おこし協力隊の現役・卒業生3人で、但馬地域福祉事業所に労働者協同組合の学習会を開催してもらいました。
学習会を通して、3人が労働者協同組合の働き方の可能性や設立の簡便さなどに魅力を感じて、労働者協同組合アソビバの設立に至りました。
地域おこし協力隊が抱える課題と労働者協同組合の可能性
労働者協同組合アソビバの設立を検討した背景には、地域おこし協力隊が抱える課題がいくつかありました。一つ目は、地域おこし協力隊は任用された地域への定住・定着が期待されていますが、最長で3年間という任期終了後の仕事の保証がない点です。二つ目は、豊岡市の地域おこし協力隊は市役所と業務委託契約を締結して個人事業主になるのですが、地域内で個人事業主よりも法人の方が、社会的信用度が高いという点です。三つ目は、事業内容によっては、資金的にも体力的にも一人で行うのが難しい事業があるという点です。
これらの課題を考えたときに、法人を立ち上げる必要性を強く感じ、NPOなどと比べて設立手続と解散手続が簡単で立ち上げのハードルが低く失敗を恐れずに挑戦しやすい点や、1人では困難なことを仲間と副業の形で取り組める点でも、労働者労働者協同組合には可能性を感じていました。
- アソビバの設立総会の様子
活動に当たり大事にしていること(意見反映の方法等)
遊ぶように楽しく働く団体
組合員の3人ともが、各々生計を立てるためのメインの仕事を持つ中で、副業的にアソビバの事業を行っています。アソビバの設立を検討するにあたって、3人で話し合ったときに、副業的に仕事をするために設立する団体であるので、遊びのように自分たちが楽しいこと・面白いことをやって、それが地域の役に立ったらいいなあという思いでアソビバを立ち上げました。法人名のアソビバの由来もその点から来ていますし、「遊ぶように働く!」ということをアソビバで大切にしたいと考えています。
今の社会では、事業の目標や目的が先行して、そればかりが重要視されて働いているような感覚があります。
それ自体は悪いことではないですが、自分たちのペースでゆっくりと、あまり明確な目標や目的を立てることなく、楽しく働いていけるような法人があってもいいのではないかと思っています。
話し合いによる意見反映
組合員が3人だけということもあり、基本的には話し合いを通して事業の進捗状況や事業の方向性を決定しています。
3人での話し合いによるミーティングは、月に1、2回のペースで行っています。もちろん、3人の中で意見が異なることはありますが、話し合いを重ねて意見をすり合わせることで一致できるという感触を持っています。
3人が同じ地域おこし協力隊の仲間で、もともと仕事外でもつきあいがあり、お互いが人柄や本業の仕事内容、ライフスタイル等もある程度把握できている点も、話し合いを進めるうえで大きいと感じています。
3人が話し合いを通して、納得感を持って、合意形成しながら事業を進めています。
地域の方々とのつながり
組合員3人ともが、これまで地域おこし協力隊としての活動をメインの仕事として行ってきて、その仕事を通して、各々が地域の方々とのつながりを深く作ることができました。
地域の方々とのつながりのおかげで、マルシェの運営・企画や木工品・加工品の販売などのアソビバの事業を行うことができています。今後も地域の方々とのつながりを大切にして、今後も活動を続けていきたいです。
- アソビバが主催する「たんたんマルシェ」
活動に当たり生じた困難や課題、それに対する対応
持続的に経営できる団体になるために
通常は、やりたい事業が先にあり、そのために法人を設立するという流れかと思いますが、アソビバの場合は順番が逆で、遊びのように自分たちが楽しいこと・面白いことをやって副業的に働ける法人をつくろうということが先にありました。
そのため、自分たちがやってみたいと最初にマルシェの企画・運営の事業を考えていたものの、それだけでは法人として収益を上げることは難しく、法人としてどのようにして持続的に経営をできるかを考えるのが法人を立ち上げる上で大変でした。
しかしながら、労働者協同組合ワーカーズコープ・センター事業団関西事業本部や但馬地域福祉事業所の方々がサポートに入り、木工品・加工品の販売など収益を生み出せる事業内容について一緒に考えていただいたお陰で、持続的に経営できる事業を行なえると判断して、最終的にアソビバを設立することができました。
- アソビバが販売する木工品・加工品(竹ペン)
今後の方向性
あえて拡大を目指さない
組合員各々のメインの仕事や生活を優先させた上で、残った時間で遊びのように楽しく活動を行っていくことを大切にしたいので、現時点では事業拡大やメンバーを増やさずに、無理せずに今の状態を継続していきたいと考えています。
これは消極的な姿勢としてではなく、そのような法人が世の中にあっても面白いと思いますし、そういう法人を立ち上げることができる点にも、労働者協同組合の可能性があるのではないかと感じています。
一般的な企業の場合には、事業を拡大して売り上げを伸ばしてメンバーを増やしていくことは当たり前のことかもしれないですが、あえて事業拡大をしないで、メンバーも増やさずに続けることも良いという視点があってもいいのではないかと考えています。
アソビバ設立によって、地域内で労働者協同組合への関心を持つ人が増えたと感じています。アソビバの存在が労働者協同組合の認知の広がりに少しでも寄与できて、多様な働き方や価値観を持つ労働者協同組合が地域に次々に立ち上がってくることにつながるととても嬉しいです。
- 別法人の会議に登壇して発言する様子
基本情報
法人名 労働者協同組合アソビバ
事業所の所在地 兵庫県豊岡市三坂町4-52
設立 2023年5月
事業内容 マルシェの企画・運営、木工品・加工品の販売、広報物制作
組合員数 3人
組合員の年代別構成 20代〜30代
組合員以外の就労者 0人
売上高 90万円(年間見込額)
出資1口の金額 1万円
出資の総口数 3口
(令和5年10月末現在)