正月に飾るのは「正月飾り」。ひな祭りに飾るのは「ひな飾り」。では、節分に飾るのは「節分飾り」となりそうですが……お祝いである正月やひな祭りと、厄払いである節分では、飾りの意味も少々違っているのです。
節分の飾りはいわゆる飾りではなく「魔除け」
節分に飾られる柊鰯(ひいらぎいわし)、焼嗅(やいかがし)
節分にあたり、古くからの風習として伝わっている飾りは、柊の枝に焼いたイワシの頭を刺した「柊鰯」と呼ばれるもの。地域によって、焼嗅とも呼ばれます。頭だけを使うことから、イワシの身が節分の行事食として食べられることも多いようです。
鬼の苦手なものを集めた魔除けの意味がある
飾りと呼ぶには少々いかつい見た目の柊鰯は、ただの飾りではなく魔除けの意味を持っています。鬼は、イワシの匂いや柊のとがって痛そうな葉の形を嫌うといわれ、「鬼が家へ入ってこないように」と飾られるようになりました。
最近は季節感を演出する「節分飾り」も
古くからの風習ではないものの、最近は鬼の人形やお面、豆ますといった節分がモチーフの雑貨を飾り、季節感を楽しむといった形で、いわゆる節分飾りをすることもあるようです。
柊鰯、焼嗅を飾る時期や場所は?
節分の夜、節分から2月末まで、小正月から……とさまざま
柊鰯は豆まきや恵方巻の行事が行われる節分の夜に飾られます。節分の夜だけ飾って、翌日には片付けてしまうことが多いようですが、地域によってはそのまま2月末まで飾り続けたり、逆に節分よりも早く、小正月から飾り始めたりする風習も見られます。
鬼が入るのを防ぐため、玄関に飾る
飾る時期はさまざまな柊鰯ですが、飾る場所は「玄関」と概ね決まっています。これは、玄関に鬼の嫌う柊鰯を飾っておくことで、鬼が家に入るのを防ぐ意味があるといわれます。
食材を含むので取り扱いは慎重に
食材を使う飾りは、衛生面に配慮してレプリカを使うといったこともよくありますが、柊鰯に関しては、現在でもそのまま飾るのが主流のようです。匂いのする食材でもありますので、飾っている間に猫や鳥に荒らされたりしないよう、注意して扱いましょう。処分する際は、神社でお焚き上げをしていただくか、塩やお酒で清めてから包んで捨てるようにします。