贈り先さまが気持ちを込めて用意してくださった贈り物やお祝い金。感謝の気持ちをきちんと伝えるためにも、喜んでもらえるお返しやお礼を用意したいですよね。
この記事では、内祝いやお返しに関するマナーやおさえておくべきポイント、おすすめのギフトなどを詳しくご紹介していきます。また「内祝い」と「お返し」の違いについてもご紹介していきます。
【覚えておきたいマナー①】そもそも内祝いとは
「内祝い」とは、もともと「身内でのお祝い」を意味する言葉です。元来、喜びや幸せをお裾分けするという習慣を指していう言葉でした。
お祝いごとがあったご家庭が、親族や近所の方、日頃お世話になっている方を主導的に宴席に招待し、お祝いごとの報告を兼ねて、お赤飯や紅白餅、砂糖などの縁起物を贈る習慣が本来のあり方だったようです。
一方、現代の内祝いは、おめでたいことがあるとまず周りの方からお祝いをいただき、そのお祝いに対して「内祝い」を贈るという形式になっています。昔のように、自発的に宴席をもうけたり品物を贈ることは少なくなったようです。また、贈る品物も縁起物に限定するのではなく「贈り先さまが喜んでくれるもの」を重視して選ぶ方が増えているようです。
このように、現代における「内祝い」は「お返し」とほぼ同義のものとして定着しつつあります。
地域独自の習わしが残っている場合も
とはいえ、地域によってはお裾分けとしての習わしが残っていたり、地方独自の文化が残っていることもめずらしくありません。たとえば関西・近畿地方では、内祝いのほかにも、出産や結婚祝いをいただくと贈られたお金の一割をお車代として包んで渡す”おため返し“という風習があるようです。
一方、群馬県や北関東の一部では、香典を少額とする代わりに香典返しを贈らないという風習が残っているとされています。これは、戦後日本において、冠婚葬祭の経済的負担を減らすために広まっていた「新生活運動」の名残といわれています。 また、北海道では内祝いののしに「寿」と書くなど、のしの書き方も、全国一律ではありません。お住まいの地域でどんな習わしが定着しているのか、地元の方に確認するとよいでしょう。
【覚えておきたいマナー②】「内祝い」と「お返し」の違い
「内祝い」とは本来「お祝いをいただかなくても、おめでたいことがあった場合に自発的に縁起物を振る舞うこと」いわば”幸せのお裾分け”のことを指していました。
それに対し、「お返し」は「お祝いをいただいた際に、お礼の品を贈ること」を指すため、「内祝い」と「お返し」には本来明確な違いがあることがわかります。
「内祝い」と「お返し」は混同されがち
ただし、現代ではお祝いをいただいてから内祝いをすることがほとんどであるため、「内祝い=お祝いのお返し」と混同される方が多いようです。
結婚やお見舞い、新築祝いなどは、お祝いをいただいたらお返しをするのが基本ですが、お返しが不要である場合もあります。
「初節句」「七五三」「入学」「卒業」「成人式」など、子どもの成長に関するお祝いをいただいた場合、お返しの必要はありません。いずれも子どもの名前でお返しをするものですが、子どもには経済力がないため、お返しは不要という考え方であるためです。
とはいえ、基本的にお返しが不要であっても、実際にお返しをしないことを失礼だと思われる方もいます。そのため、「お返し」ではなく「内祝い(幸せのお裾分け)」としてお礼の品を贈るのが一般的なのです。
また、贈り先さまから「内祝いは結構です」と言われた場合であっても、お礼状でのご挨拶は忘れないようにしましょう。
現在はほとんど同じ意味合いで使われるようになってきた「内祝い」と「お返し」ですが、実はその内容は大きく違うもの。しっかり理解しておくとよいですね。
「内祝い」「お返し」が必要な贈り物・必要ない贈り物
基本的に「いただいたまま」ということはない
贈り物やお金をいただいたら、基本的には必ずお返し(内祝い)か、お返しに相当する贈り物・気遣いを渡すものと心得ておきましょう。ギフトシーンには、主に以下のような名目があります。
「内祝い」として贈る
【名目】
- 結婚祝い(式を挙げない・招待しない場合)
- 出産祝い
- 入園・入学・進学祝い
- 新築祝い
- 病気・ケガのお見舞い(退院・完治した場合)など
「御礼」として贈る
【名目】
- 病気・ケガのお見舞い(亡くなった場合)
- 目上の方にお世話になった場合
- 時期を外れたお返しなど
「香典返し」「返礼」として贈る
【名目】
- 御香典・御玉串料
- お花料など
お中元・お歳暮として贈る
【名目】
- お中元
- お歳暮
お中元・お歳暮は、贈る時期が外れてしまった場合「暑中見舞・残暑見舞(暑中御伺・残暑御伺)」「寒中見舞(寒中御伺)」として贈ります。
また、お年賀やお土産など直接持参いただいた贈り物へのお返しは、来訪した際に食事でおもてなしをしたり、次にこちらから訪問する際にお土産を持参するとよいでしょう。
名目で「お返し」と明言することはない
「お返し」の意味を含んでいても、上記の通り名目上「お返し」と明言することはまずありません。
「お返し」は分かりやすい言葉ではありますが、一方で「もらったから返す」と受け取れる言葉でも有ります。贈るお相手に対してはとくに用いないように気をつけたいところです。
ケースバイケースだが、基本は「1ヶ月以内に半返し」
金額だけでなく「贈るタイミング」も大切に
「お返し」を贈るにあたってまず気をつけたいことは、タイミングです。どのようなものを贈るべきか悩んでしまうあまり。贈り先さまが忘れた頃にお返しが届いてしまっては「こちらの贈り物を喜んでもらえなかったのでは」と余計な心配をかけてしまいます。
目安として、贈り物やお金をいただいたら1ヶ月以内にお返しを贈るようにしましょう。
逆に、あまりに早くお返しが届くのも「贈り物やお金が届くのを待ち構えていたみたい」という印象を与えてしまいかねないため、好ましくありません。まずは電話やお礼状などでお礼の連絡を差し上げ、お返しは1週間後に贈るなど、タイミングを見計らって用意するようにしましょう。
ただし、贈る時期が限られるお中元やお歳暮は、この限りではありません。
お中元・お歳暮はそもそもお返しをするものではないため、お礼を伝えることの方が大切です。お中元・お歳暮を贈る場合は、早めに用意して贈るとよいでしょう。
「半返し」は税込み・税抜まで突き詰めなくてよい
贈り物やお金をいただいた場合のお返しは「いただいた金品の半額程度になる品物で」というのが基本的な考え方とされています。
しかし、たとえば「10,000円のお祝い金をいただいた場合、「お返しは税抜5,000円の品で」というところまで厳密に考える必要はありません。
現在は総額表示が義務付けられていますので、税抜価格で考える場合はその都度自分で計算しなければなりませんし、そもそもお店によって同じ品の価格が違うこともありますので、多少の差などは気にしなくてよいでしょう。
「必ず半返し」ではなく事情にあわせて
前述の通り、贈り物やお金をいただいた場合のお返しは「いただいた金品の半額程度になる品物で」というのが基本的な考え方です。
とはいえ、親しい方からのお祝いやお供えなどであればとくに「物入りなときだから役立ててほしい」「贈り物よりも会いに来て元気な顔を見せてほしい」といった気持ちが込められており、いただいた金品が一般の相場よりも高額である合が少なくありません。
このような高額の贈り物に対してきっちりと半返しをしてしまうと、贈り先さまに「お返しにこんなにお金をかけて大丈夫?」と思わせてしまい、かえって気を遣わせてしまいます。
高額な金品をいただいた場合は、半額より少し控えめの金額でお相手にあうものを選んだり、別途会食の機会を設けたりという形をとってもよいでしょう。
内祝いの金額を設定するときのポイントは、相場やいただいたお祝いの金額に対して正確になりすぎるのではなく、気遣いや感謝の気持ちを添えるようにすることです。きっちりとした金額の内祝いを贈るよりも、そうした「目に見えないもの」が内祝いの付加価値となってくれますよ。
結婚祝いの半返しに関するマナー
目下の人からお祝いをいただいた場合
目下の方に内祝いを贈る場合は、半返しより多めにお返しするとよいでしょう。
場合によってはいただいた金額の8割程度の金額のお返しを贈る方もいますが、贈り先さまとの関係性を踏まえて決めるのがよいでしょう。
高額のお祝いをいただいた場合
相場よりも高額の結婚祝いをいただいたときは、まず親族や会社の先輩などにどうすればよいか相談するとよいでしょう。親族同士であれば「結婚内祝い(お返し)は不要」「出身地の特産品を贈る」などといったような、独自の習慣やルールが決まっている場合があります。
仮にルールが定まっていない場合でも、きっちりと半返しをしてしまうと、贈り先さまの「お祝いを新生活に役立ててほしい」という厚意を「いりません」と拒んでいるように捉えられかねません。
高額の結婚祝いをいただいた際は、半返しの金額でお返しを贈るのは控えいただいた1/3程度の結婚内祝いの金額にとどめ、あわせてしっかりと感謝の気持ちを伝えましょう。
それとともに、贈り先さまに喜んでもらえるようなギフトを選ぶ、ギフトに丁寧なお礼の言葉をつづった手紙を添える、品物を持参してあいさつに伺うというようにさまざまな形で誠意を伝えることが大切です。
高額お祝いへのお返し向け、高級カタログギフト
結婚祝いを連名でいただいた場合
友人や職場の同僚などから連名で結婚祝いをいただいた場合は、受け取った金額を人数で割り、一人ひとりに個別で半額程度のお返しを用意するのが一般的です。
ただし、お祝いの金額が少ないときや「職場一同」のように大人数の連名でいただいた場合は、全員で分けられるお菓子などのギフトを代表者に渡すのもよいでしょう。
【連名でいただいた方向け】おすすめギフト
出産祝いの半返しに関するマナー
出産内祝いの金額の相場
出産祝いをいただいたら、出産内祝いとしてお返しを贈ります。金額はいただいたお祝1/3〜半額程度が相場です。
親戚や両親など、関係性の近い方から高額の出産祝いをいただいた場合は、無理をして半返しにこだわる必要はありません。その代わり、赤ちゃんの写真をギフトに添えたり、まめに連絡をとるなどして感謝の気持ちをしっかりと伝えましょう。
目上の方からのお祝いについても、少し甘えさせていただく形で1/3程度の出産内祝いを用意すれば問題ないでしょう。
お祝いは現金でOK、内祝いは金額が明示されないものがベター
出産祝いでいただいたのが現金であれ、品物であれ、お返しを現金で用意するのはよい方法とは言えません。また、商品券やギフトカードでのお返しも、金額が明記されているので控えましょう。
カタログギフトなら、さまざまなラインナップの中から好きなものを選んでもらうことができますし、金額が明記されていないので安心して贈ることができます。目上の方だけでなく目下の方にも失礼になることのないおすすめのギフトです。
出産内祝いは、命名披露やお宮参りが終わったら速やかに贈る
出産内祝いは、出産から1ヶ月経った頃に行う「お宮参り」を無事に済ませた後で、その旨の報告も兼ねて贈るのが一般的です。遅くとも生後2ヶ月頃までには届くように準備しましょう。
出産内祝いにおすすめのギフト
出産内祝いの定番ギフトとして挙げられるのが、タオルやせっけんなどの日用品ギフトでしょう。また、お茶やクッキー、お米や調味料などの日持ちする食品も、人を選ばず贈りやすいですし、カタログギフトも万人受けするお返しとされています。
生まれた赤ちゃんがこの世で最初に受け取る贈り物が「出産祝い」です。赤ちゃんからの感謝の気持ちが込もった、贈り先さまに喜んでいただけるようなギフト選びができるとよいですね。
「内祝い」「お返し」で感謝の気持ちを伝えよう
前述の通り、「内祝い」と「お返し」には明確な違いがあります。ですが、いずれの場合も、いただいたお祝いに対しての感謝の気持ちとして贈ることに変わりはありません。
さまざまなシーンや地域ごとの習わしにより、マナーに違いがある「内祝い」「お返し」という独自の習慣ですが、煩雑なマナーをしっかりおさえ、感謝の気持ちをより深く伝えられるようにしていけるとよいですね。
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入学内祝いに関するマナー
入学内祝いの相場はどのぐらい?
入学内祝いの相場は、いただいたお祝いの1/3〜半額程度です。贈り先さまとの関係性によって金額が前後しますので、適切な金額を選ぶようにしましょう。
また、高額の入学内祝いは、贈り先さまに気を遣わせてしまうことになりますので避けましょう。とくに、もっとも身近な関係の方であるご両親からは、高額な入学祝いをいただくこともあるでしょう。そんなときは無理に相場におさめようとせず、お孫さんの写真やメッセージカード、動画メッセージなどを添えることで、金額の部分をカバーしましょう。
熨斗(のし)のマナー・書き方
お子さまの入学は、何度あってもよいお祝いごとです。何度も結び直せる「蝶結び」で、慶事に用いられる「紅白」の水引を選びましょう。基本の本数は5本ですが、贈り先さまとの関係性に応じて7本を選ぶこともあります。
贈り物の用途を記すのし上には「入学内祝」もしくは「内祝」と書き、送りがなは用いません。贈り主の名前を記すのし下には、お祝いの対象であるお子さまの名前を書きます。おめでたい場ですので、濃い墨色の筆か筆ペンを用い、楷書体ではっきりと書きましょう。
包装は「内のし」を選びましょう。贈り物に直接のしを掛け、その上から包装する「内のし」は、贈り物の用途が外から見えないことから、控えめな印象を与えるとして内祝いの包装に適しています。
地方の内祝いの贈り方「短冊のし」
物入りの時期であることを考慮し「内祝いは必要ない」という考え方もありますが、地方によっては別の考え方もあるようです。北海道を例にご紹介しましょう。
北海道では、親族だけでなく、近所のお子さまが入学すると、現金でお祝いを渡すことが多く見受けられます。その影響で、入学内祝いを贈る方が多いようです。その際、のしを掛けるだけでなく「短冊」にお子さまの名前を書いて添えるのが一般的と言われています。
その名の通り「短冊のし」と呼ばれており、いわゆる略式ののしとして北海道で使われることが多かったようですが、近年はエコの視点からも注目され、全国的に広く使用されるようになってきています。短冊のしは、幅広い用途のお祝いや内祝い、お中元やお歳暮などの季節の贈り物、志や御供などの弔事の贈り物など、さまざまな用途で用いることができます。
とはいえ、あくまで略式ののし紙であることから、目上の方への贈り物に用いるのは避けたほうがよいともされています。正式なのしにするか、短冊のしを選ぶかは、贈答シーンと贈り先さまとの関係性を見極めるようにするのがよいでしょう。
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新築・引越し内祝いに関するマナー
金額の相場はどのくらい?
新築・引越し内祝いの金額は、他の内祝いと同様、いただいたお祝いの1/3〜半返しが相場だといわれています。
ただし、こちらも他の内祝いと同様、高額のお祝いをいただいた場合やお祝いの金額が分からない場合は、相場にこだわる必要はありません。多少少ない金額設定となっても、その分感謝の気持ちを伝える気遣いをみせることで、金額の部分をカバーするようにしましょう。
熨斗(のし)のマナー・書き方
新築・引越し祝いは、何度あってもよいお祝いごとです。そのお祝いに対するお返しですので、何度も結び直せる「蝶結び」で、慶事に用いられる「紅白」の水引を選びます。基本の本数は5本ですが、贈り先さまとの関係性に応じて7本を選ぶこともあります。
贈り物の用途を記すのし上には「祝御新築」「御新築(御)祝」「御引越(御)祝」と書くことが多く、送りがなは用いません。贈り主の名前を記すのし下には、贈り主の苗字のみ、もしくはフルネームを書きます。ふたり以上で贈る場合は連名も可能です。おめでたい場ですので、濃い墨色の筆か筆ペンを用い、楷書体ではっきりと書きましょう。
包装は、内祝いに適しているとされている「内のし」を選びましょう。