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速報!2020年ヴァシュロンコンスタンタン新作モデルを発表!by Watches & Wonders Geneve
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出典:https://twitter.com/Vacheron1755
世界三大時計ブランドの一角として、最高峰の銘品を連綿と製造してきたヴァシュロンコンスタンタン。
現在はリシュモングループ傘下きってのハイメゾンとして活躍していますが、この度のWatches & Wonders Geneveにて、同社の底力を見せつけられるようなコンプリケーションが続々とリリースされております!
ヴァシュロンコンスタンタンが放つ、2020年新作モデルとは?
目次
2020年 ヴァシュロンコンスタンタン新作 オーヴァーシーズ ウルトラシン パーペチュアルカレンダー スケルトン
出典:https://twitter.com/Vacheron1755
スペック
外装
型番: | 4300V/120R-B547 |
ケースサイズ: | 直径41.5mm×厚さ8.1mm |
素材: | ピングゴールド |
文字盤: | スケルトン |
ムーブメント
ムーブメント: | 1120 QPSQ/1 |
駆動方式: | 自動巻き |
パワーリザーブ: | 約40時間 |
機能
防水: | 5気圧 |
定価: | 1328万円 |
ヴァシュロンコンスタンタンのスポーツライン「オーヴァーシーズ」より、美しくも超複雑なグランドコンプリケーションモデルがローンチされました!
パーペチュアルカレンダー・ムーンフェイズ搭載モデルとなりますが、同シリーズ初となるオープンワークスタイルで登場したのです!!
文字盤をスケルトナイズする仕様は、いまでは珍しいことではありません。
しかしながらこういったグランドコンプリケーションモデルモデルで行う、というのは限られたブランドにのみ許された特権。なぜならグランドコンプリケーションの作りては、高度な時計製造技術が必要であるためです。
出典:https://monochrome-watches.com/vacheron-constantin-overseas-perpetual-calendar-ultra-thin-skeleton-price/
このパーペチュアルカレンダーと言うのは、既にご存知の諸氏も多いでしょうが、月による日数の違いや4年に1度の閏年の調整などを自動的に行うカレンダー機能のことです。
言うは易し、とは言ったもので、電子制御ではない機械式時計は、向こう何百年の閏年などをムーブメント自体に保持させなくてはならないため、きわめて製造難易度が高い機構となります。
さらにヴァシュロンコンスタンタンの2020年新作では、そのパーペチュアルカレンダー搭載機を、わずか8.1mmのケース厚でやってのけたのです。
8.1mmとは、iPhone11くらいの薄さですから、驚嘆に値することだと思います(もちろん電子デバイスを小型化するのも大変ではありますが)。
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この超薄型グランドコンプリケーションを実現しているのは、ヴァシュロンコンスタンタン社製のCal.1120 QPSQ/1。総数276ものパーツで構成されております。
ジャガールクルトによって開発されたCal.920がベースとなります。
オープンワークスタイルを実現するために、この途方もなく精緻で膨大なパーツ一つひとつは丁寧に仕上げ・装飾が施されているところも、ヴァシュロンコンスタンタンならでは。
出典:https://monochrome-watches.com/vacheron-constantin-overseas-perpetual-calendar-ultra-thin-skeleton-price/
さらに、シースルーバックから見ても、この名機の見事さに立ち会うことができます。
オーヴァーシーズ初となる肉抜きされたローターによってさらに内部が見える化されていることに加えて、つや消しされたグレーの仕上げが、ただ精緻なだけでなく洗練された外観を実現します。これはNACと呼ばれる金属加工を用いて実現されました。
なお、当パーペチュアルカレンダーは、2100年までの閏年や月の大小、曜日、そして月齢を保持しており、手動での修正は不要です。
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この2020年新作は、2016年よりオーヴァーシーズで採用され始めたインターチェンジャブルシステムにより、メタルブレスの他革ベルトおよびラバーベルトに容易に付け替え可能となっております。
特にブルーラバーベルトが、オーヴァーシーズの持つ「海」の印象とよくマッチしていますね!
2020年秋口から、ヴァシュロンコンスタンタンのブティックで販売予定となっております。
2020年 ヴァシュロンコンスタンタン新作 オーヴァーシーズ ウルトラシン パーペチュアルカレンダー
出典:https://twitter.com/Vacheron1755
スペック
外装
型番: | 4300V/120R-B509 |
ケースサイズ: | 直径41.5mm×厚さ8.1mm |
素材: | ピングゴールド |
文字盤: | ブルー |
ムーブメント
ムーブメント: | 1120 QP/1 |
駆動方式: | 自動巻き |
パワーリザーブ: | 約40時間 |
機能
防水: | 5気圧 |
定価: | 960万円 |
さらにもう一本、超薄型パーペチュアルカレンダーを搭載したオーヴァーシーズが2020年新作として打ち出されております!
深みのあるブルーラッカー文字盤が美しいこちら。
基本性能は前項で述べた通りとなります。
また、こちらもインターチェンジャブルシステムによって、気分に合わせてブレスレットの変更が可能です。
オープンワークスタイルも素敵ですが、落ち着いたブルーダイアルはどんなシーンにも合わせられる汎用性の高さがありますね。
ブルー文字盤はオーヴァーシーズの中で本当に人気のあるカラーですので、こちらも新たなる定番となることは必至。
ピンクゴールドの色合いと合わせて、大変エレガンスなオーヴァーシーズが誕生したと言えるでしょう。
2020年 ヴァシュロンコンスタンタン新作 トラディショナル トゥールビヨン クロノグラフ
出典:https://twitter.com/Vacheron1755
スペック
外装
型番: | 5100S/000R-B623 |
ケースサイズ: | 直径42.5mm×厚さ11.7mm |
素材: | ピングゴールド |
文字盤: | シルバー |
ムーブメント
ムーブメント: | Cal.3200 |
駆動方式: | 手巻き |
パワーリザーブ: | 約65時間 |
機能
防水: | 3気圧 |
定価: | 2280万円 |
ヴァシュロンコンスタンタンのドレスウォッチシリーズ「トラディショナル 」に、トゥールビヨン×クロノグラフのコンボモデルが追加されました!
トラディショナルは正統派シリーズですので、あまり奇抜なデザインは採用されません。
しかしながら当新作は、一見してその独創性がおわかりいただけるでしょう。
それはモノプッシャークロノグラフであったり、通常6時位置など下部に配置されることの多いトゥールビヨンキャリッジが12時位置で確認できたり・・・
出典:https://twitter.com/Vacheron1755
このデザインコードは初出ではありません。
2015年に、ヴァシュロンコンスタンタン創業260周年を記念してリリースされたハーモニーのスペシャルエディションでも、同一のコンプリケーションがリリースされました。
ただ、ハーモニーはクッションシェイプが特徴的なモデルであることに対し、トラディショナルは「正統派」。そのため2015年の新作ハーモニーとは全く違った装いとなりました。
出典:https://monochrome-watches.com/vacheron-constantin-traditionnelle-chronograph-tourbillon-specs-price/
2020年新作トラディショナルの「エタージュ」ケースにラグ、そして丁寧な縦溝をあしらわれたケースバック。美しいシルバー文字盤にケースと同じピンクゴールド製ドルフィン針やインデックスなど、何もかもが美しく端正な仕上がりとなっております。
ケース直径42.5mmと若干大きめですが、厚さは11.7mmときわめて薄く、ドレスウォッチの規範を崩しません。
このデザインそして機構を実現するのは、ヴァシュロンコンスタンタンが誇る手巻き式ムーブメントCal.3200です。前述した2015年発表のハーモニーにも搭載されていました。
特筆すべきは、やはりトゥールビヨンの存在でしょう。
12時位置に堂々と君臨するこのトゥールビヨン、中間車に取り付けられることでより鑑賞しやすい仕様となったとのこと。ブランドアイコンとなるマルタ十字型のキャリッジがヴァシュロンコンスタンタンらしいですね。
現在一般的に出回っているモデルと異なり、リューズ部分に取り付けられた一つのプッシャーでクロノグラフ制御を行うのも、この新作の醍醐味です。
このモノプッシャーでスタート・ストップ・リセットを行うことができるため、トラディショナルの正統はのラウンドフォルムを崩しません。
出典:https://monochrome-watches.com/vacheron-constantin-traditionnelle-chronograph-tourbillon-specs-price/
さらにシースルーバック側から、この精密精緻なCal.3200を鑑賞できる、というのも、もはやスタンダードなヴァシュロンコンスタンタンの仕様です。
コート・ド・ジュネーブや面取が丁寧に行われており、全モデルでジュネーブシールを獲得している同社ならでは。
トラディショナルはオーヴァーシーズの影に隠れがちですが、紛れもなく同社を代表する「顔」であることが当新作でわかりますね。
2020年 ヴァシュロンコンスタンタン新作 フィフティーシックス 新ブラウンカラー
出典:https://twitter.com/Vacheron1755
スペック
外装
型番: | 4000E/000R-B065 / 4600E/000R-B576 |
ケースサイズ: | 直径40mm×厚さ11.60mm(3針モデルは9.6mm) |
素材: | ピングゴールド |
文字盤: | ブラウン |
ムーブメント
ムーブメント: | Cal.2460 QCL/1 / 1326 |
駆動方式: | 自動巻き |
パワーリザーブ: | 約40時間 |
機能
防水: | 3気圧 |
定価: | 366万円 / 204万円 |
フィフティーシックスに、洒脱なブラウン文字盤が新作として追加されました!
昨年にはブルー文字盤が追加されており、そのラインナップはますます豊富になっていくようです。
フィフティーシックス自体、とても新しいシリーズです。
SIHH2018で発表され、「モダンでオシャレ」なヴァシュロンコンスタンタンとして話題になりました。
もっとも、モチーフは1956年に発表された人気モデル「Ref.6073」です。
オーヴァーシーズとパトリモニーの良いとこどりをした感じでしょうか。
出典:https://twitter.com/Vacheron1755
マルタ十字を切り分け、それぞれに配したようなラグ。ボックス型サファイアクリスタルといった、フィフティーシックスのアイデンティティは受け継ぎつつも、深みのあるブラウンによって、従来モデルとはまた違った雰囲気を醸し出していますね。
この文字盤はオパーリンやサンバーストなど仕上げを要所によって変えており、光の加減によってさまざまな表情を垣間見せてくれるでしょう。
ちなみに付属のカーフスキンベルトも、文字盤と同色となり、よりシックな印象です。
出典:https://twitter.com/Vacheron1755
搭載するムーブメントはCal.2460 QCL。122年に1度の修正で済む高精度ムーンフェイズとトリプルカレンダーを組み合わせたコンプリケーションです。
また、3針モデルの方は比較的低コストながら最高のパフォーマンスを発揮するCal.1326となっております。
なお、フィフティーシックスは通常ゴールドの他ステンレススティール製もラインナップされているのですが、今回の新作はピンクゴールドのみ。
ラグジュアリーかつオシャレな一本が欲しい。そんな紳士をターゲットにしているのでしょう。
2020年 ヴァシュロンコンスタンタン新作 レ・キャビノティエ「ラ・ミュージック・デュタン」
出典:https://twitter.com/Vacheron1755
最後に、レ・キャビノティエより、2020年新作モデルを三種ご紹介いたします。
レ・キャビノティエとは、18世紀当時にジュネーブに位置していた時計工房「キャビネット」で、高度な時計製造に携わっていた時計職人たちを指す用語です。
現在ヴァシュロンコンスタンタンでは同名のビスポークサービス工房を設立し、ジュネーブ伝統の複雑機構を正当に受け継いだタイムピースを製造しております。
この工房で作られた時計をレ・キャビノティエとそのまま呼び、2017年に公開された「世界で最も多くの複雑機構搭載機;レ・キャビノティエ・セレスティア・アストロノミカル・グランド・コンプリケーション 3600」を皮切りに、例年超絶技巧が駆使されたタイムピースをリリースするようになりました。
2020年には計三種のレ・キャビノティエが公開されております。
「ビスポーク」であるため市販品とは異なりますが、ヴァシュロンコンスタンタンの並々ならぬ時計製造技術と職人魂をぜひ感じてみてくださいね。
ラ・ミュージック・デュタン~グランドコンプリケーション・スプリットセコンド・クロノグラフ「テンポ」~
出典:https://twitter.com/Vacheron1755
2020年の新作レ・キャビノティエのテーマは「音楽」とのこと。
ラ・ミュージック・デュタンのテーマのもとに発表された各タイムピースの最たる特徴は、なんとイギリスのレコード会社アビーロード・スタジオとコラボレーションを果たしている、ということです。
アビーロード・スタジオはビートルズやオアシス、レディガガにテイラースウィフトなど、古今の有名楽曲を輩出することになったスタジオですが、各レ・キャビノティエに搭載されたミニッツリピーターの音源を、同社にレコーディングしてもらっている、と。
そのためラ・ミュージック・デュタンシリーズのモデルは、アビーロード・スタジオでの録音した、というプリント証明が施されました。
出典:https://monochrome-watches.com/vacheron-constantin-les-cabinotiers-grand-complication-split-seconds-chronograph-tempomost-complicated-writswatch/
このように驚くべき背景もさることながら、実機の凄まじさにもまた驚嘆させられます。
当モデルはミニッツリピーター、トゥールビヨン、パーペチュアルカレンダーの「世界三大複雑機構」はもちろんのこと、スプリットセコンドクロノグラフ、太陽時、均時差、日の出日の入り、昼夜表示、ムーンフェイズなどの天文機構合わせて24個ものコンプリケーションが搭載されているのです。
このコンプリケーションはもちろん一つの文字盤には収まりきりません。
そこで、ケース表裏が利用され、リバーシブルとなりました。
なお、これらを実現した超絶ムーブメントCal.2756は、総数1,163個ものパーツで構成されております。
直径50mm×厚さ21mmのケースは圧巻ですね。
ラ・ミュージック・デュタン~アストロノミカル・ストライキング・グランド・コンプリケーション「オード・トゥ・ミュージック」~
出典:https://watchesbysjx.com/2020/04/watches-wonders-2020-overview.html
「オード・トゥ・ミュージック」と名付けられた二発目のこちらは、天体そのものを腕時計に落とし込んだ銘品となります。
パーペチュアルカレンダー、ミニッツリピーター、ムーンフェイズ、日の出日の入り表示などの他、恒星時や太陽時など19のコンプリケーションが搭載されております。
こちらも文字盤がリバーシブルとなっており、表側からはトリプルカレンダー、ムーンフェイズ、時分の他、昼夜表示や太陽時が組み込まれており、それらが絶妙な配置で一つの文字盤上に端正に収まっております。
出典:https://watchesbysjx.com/2020/04/watches-wonders-2020-overview.html
さらに裏側から覗くと、なんとも美しい天体が目に飛び込んできます。
これは二枚のサファイアクリスタル製ディスクで構成されたスカイチャートで、恒星時を表示させることが目的です。
恒星時とは、恒星が南中にある時を基準にした日・時刻のことで、表側の太陽時とはそれを異にします。
ブルーで彩られた天体ディスクは23時間56分4秒という恒星時の一日ごとに一回転する仕組みで、この上からサファイアクリスタルにプリントされた星座が重なることで、恒星時はもちろん天体そのものを腕元で観測できることに繋がっているのです。
なお、真夜中0時になると、黄色のポインターで一年のうちの何月かを確認することが可能です。
この美しいタイムピースの内部には、手巻き式Cal.1731 M820が搭載されています。
超薄型ミニッツリピーターCal.1731をベースにしているため、ケースは直径45mm×厚さ12.54mmという小径薄型に抑え込むことができました。
にもかかわらずパワーリザーブや約60時間ときわめて長く、超絶コンプリケーションでありながら実用性をも加味された、大変稀有な2020年新作と言えるでしょう。
ラ・ミュージック・デュタン~シンギング・バード~
出典:https://watchesbysjx.com/2020/04/watches-wonders-2020-overview.html
レ・キャビノティエシリーズは、見た目の工芸品のような美しさも魅力の一つ。
それを象徴するかのように、「鳥のさえずり」と名づけられたこちらは、一見して心躍るような色合いと美しい造形を確認できます。
計4種のモデルにはそれぞれハチドリ、アオカケス、アオガラ、コマドリがシャンルヴェ・エナメルを用いて描かれており、その羽ばたきを妨げないよう時刻表示はターンテーブルが用いられているという、ギミックをも垣間見せます。
出典:https://www.vacheron-constantin.com/jp/manufacture/craftsmanship/creations.html
この時刻表示の仕組みは、ミニッツインデックスが記された文字盤、4つの時間をセッティングした3枚のディスクが3本のアームに乗り、このディスクがミニッツインデックスのメモリに沿って移動することで時刻表示ができる、というもの。
1時間が経過して数字が右端に消えると、次の数字が左端の位置に移動する、といった形式です。
さらに驚くべきは、鳥たちの美しさではないでしょうか。
この鳥および背景はシャンルヴェ・エナメルと呼ばれる、エナメル技法の中でも高度な装飾が用いられており、まるで絵画のような精彩を持ちます。
搭載するムーブメントはこれまた薄型のCal.1120 AT。
オーヴァーシーズの新作でもご紹介した、ジャガールクルト開発のCal.920ベースで、時刻表示にユニークなギミックを持ちながらもケース直径40mm×厚さ12.37mmを実現しました。
いずれのレ・キャビノティエも市販品ではありませんが、一度は見てみたいと思わせる銘品ばかりです。
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当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。