「ロレックス GMTマスターIIってなんで人気があるの?」
「バットマンの今後の資産価値が気になる」
ロレックスの名作パイロットウォッチ・GMTマスターII。
2018年,そして続く2019年のモデルチェンジによる注目やGMTマスターIIそのものの評価が上がってきていることから、歴代モデル全体で人気がいや増しています。
GMTマスターIIを買うなら、ぜひその高い資産価値にも目を向けたいところ。
人気と比例して実勢相場も上昇ラインを描いており、過去類を見ないような価値を形成しています。
そんなロレックス GMTマスターIIの価値や魅力について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
GMTマスターIIの過去の価格推移を見ると、その価値と人気がよく見えてきます。
この記事ではロレックス GMTマスターII歴代モデルの価格推移を、GINZA RASINスタッフ監修のもと紹介しています。
早めに購入しておいた方が良いモデルついても紹介していますので、ロレックスの投資に興味がある人はぜひ参考にしてください。
※掲載している定価・相場は2023年1月現在のものとなります。
※当店に入荷した中古個体をもとに平均相場を採っております。状態・仕様によっては価格は上下します。
目次
ロレックス GMTマスターIIとは?
GMTマスターIIは1954年に誕生した同名シリーズの、進化版として1983年にリリースされました。
そもそもGMTマスターとは、ロレックスがパン・アメリカン航空(パンナム航空)より「ローカルタイムの他に第二時間帯を表示できる腕時計」の要請を受けて開発に至った、ロレックス初のパイロットウォッチです。
当時は1952年発表のブライトリング ナビタイマーやブレゲ アエロナバル等、現在にも続く名作パイロットウォッチが多く輩出されました。第二次世界大戦終結後、航空技術や航空機の性能が進化し続けていく中で、それに合わせてパイロットウォッチも優れた精度や機能性を求められていたため、各時計メーカーも開発に力を入れていたのでしょう。
そうして生まれたGMTマスターは、24時間表示の回転ベゼルとGMT針を有しており、後世に続くGMTウォッチの原型となりました。
※ちなみにGMTとは、グリニッジ標準時(Greenwich Mean Time)のこと。イギリスのグリニッジにある天文台の標準時(共通時刻)が世界標準時となっているが、時計業界では「現在地の時間帯以外に、第二時間帯(または第三時間帯以上)を表示させる時計機能」を指します。
「ローカルタイムと第二時間帯表示」という多機能性の一方で、GMTマスターの操作は非常にシンプル。GMT針は24時間針になっているため、回転ベゼルを任意の位置に合わせることで、GMT針がセンター針とは異なる時間を表示する、というものです。
しかしながら1983年に登場したGMTマスターIIは、その機能性を格段にアップグレードします。
短針(時針)を単独稼働させることで、回転ベゼルと合わせて「第三時間帯」の表示をも可能としたのです。
ちなみにこちらも操作方法は至ってシンプルで、リューズの一段引きで短針を時差分戻したり進めたりする、というもの。また、さらに別のエリアの時差分回転ベゼルを動かすと、第三時間帯の表示をも可能になる、というわけです。
なお、GMTマスターIIは下記のような系譜を辿ってきました。
初代 Ref.16760:1983年~1989年頃
二代目 Ref.16710:1990年~2007年
三代目 Ref.116710LN:2007年~2019年
同世代:Ref.116710BLNR:2013年~2019年
四代目:Ref.126710BLRO:2018年~
同世代:Ref.126710BLNR:2019年~
※126710系は2021年~オイスターブレスレットモデルも追加
また、GMTマスターIIは素材バリエーションやベゼルのカラーバリエーションも豊富にラインナップされていることも特徴であり、大きな魅力です。
次項では、そんなGMTマスターIIの代表的なモデルに絞って、その価格推移をご紹介致します。
歴代ロレックス GMTマスターIIの価格推移と価値
ロレックス人気を牽引するGMTマスターII。アンティーク世代も多いGMTマスターに比べるとまだ状態の良い個体を探しやすいことから、購入候補に挙がりやすい存在でもありますね。
冒頭でも述べましたが、そんな人気と比例するかのようにGMTマスターIIの実勢相場は上がっており、これに伴い資産価値(リセールバリュー)も過去最高値に付けている状態です。
ある時計の今後の相場動向は誰にも予想できませんが、過去の傾向から、予測を立てることはできるでしょう。
GMTマスターIIの中で、屈指の資産価値を持つモデルとは?また、今後相場上昇に期待できる一本とは?
GMTマスターIIの人気モデルを対象に、過去5年間の価格推移をお調べしました。なお、当店GINZA RASINに入荷した中古モデルから一年間の平均相場を採り、グラフ化しております。状態や仕様によって大きく価格が変動する場合もあるのであくまで平均とはなりますが、ぜひ動向をチェックしてみてくださいね。
GMTマスターII 16760 ファットレディ
ケースサイズ:直径40mm
素材:ステンレススティール
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3085
防水性:100m
製造年:1983年~1988年
初代GMTマスターIIであり、「ファットレディ」の名でも親しまれている16760です。
わずか6年ほどの生産期間であること,ベゼルのバリエーションも黒・赤―いわゆるコークベゼル―のみであることから稀少価値がきわめて高く、コレクターズアイテムとしても人気です。
過去の価格推移はこちらです。
年 | 付属品 | 平均相場 |
2017年 | 箱/保証書 有 | 1,106,000円 |
2018年 | 箱/保証書 有 | 1,609,000円 |
2019年 | 箱/保証書 有 | 1,581,000円 |
2020年 | 箱/保証書 有 | 1,813,000円 |
2021年 | 箱/保証書 有 | 1,770,000円 |
2022年 | 箱/保証書 有 | 2,165,000円 |
初代GMTマスターII 16760をもう少し述べると、待望のGMT針単独稼働を実現したCal.3085を搭載し、第三時間帯表示が可能となったモデルです。なお、風防もサファイアクリスタルガラスが採用されることとなり、性能面は大幅にアップデートされることとなりました。
なぜ「ファットレディ」の愛称があるかと言うと、従来のGMTマスターがケース厚11.3mmほどであったことに対して12.5mmと、厚みが出たためです。
製造期間の短さは、搭載されるムーブメントに起因しているでしょう。
1989年よりロレックスのキャリバーナンバーは3000番台⇒3100番台へと変遷するのですが、その過渡期にあったモデルであったがため、次世代でCal.3185が搭載されることでもでエルチェンジに至ったのでしょう。これはGMTマスターIIとムーブメントを共有しているエクスプローラーIIでも見られる現象です。
また、当時はGMTマスター(まだGMT針が単独稼働しないタイプ)16750も併売されていたため自社内で生産数は限られていたことが考えられ、よってこの二点から市場での流通量は非常に限定的な状況です。
そのため、まだGMTマスターIIなら現行品でも70万円台~80万円台で購入できた2017年時点で既に100万円超えの相場を形成しており、順調に価格を上げていっているのはグラフの通りです。
なお、初代GMTマスターIIのごく初期にのみ製造されたレア仕様があります。
それが、こちらのNon-dateダイアル(またはマークIダイアル)です。
12時位置のロゴ「OYSTER PERPETUAL」の後に「DATE」表記が入らない仕様です。このマークIダイアルは経年によってブラウンチェンジしていることも相まって、200万円超えの値付けが行われました。
1980年代の個体は、こういったエイジングも楽しみの一つと言えますね(そして今後の相場上昇に期待できる一因でもあります)。
GMTマスターII 16710
ケースサイズ:直径40mm
素材:ステンレススティール
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3185(生産終了間際にCal.3186へ)
防水性:100m
製造年:1990年~2007年
GMTマスターII第二世代として1990年に発売された、16710。製造期間が長いことから比較的よく流通しており、「中古のGMTマスターIIが欲しい」「セラクロムベゼルではない、アルミベゼルのGMTマスターIIが欲しい」といった方の、良い購入候補となっているモデルです。
また、ベゼルバリエーションが「黒」「赤青―通称ペプシ―」「赤黒」の三つ巴で、GMTマスターIIならではの豊富な選択をお楽しみ頂ける世代でもあります。とりわけ次世代116710系で黒ベゼルオンリーとなると(2013年には青黒ベゼルが登場しますが)、「赤青」「赤黒」などが一気に注目度を集めることとなり、相場にも反映されることとなりました。
GMTマスターII 16710の、過去の価格推移はこちらです。
年 | 付属品 | 平均相場 |
2017年 | 箱/保証書 有 | 913,600円 |
2018年 | 箱/保証書 有 | 1,240,000円 |
2019年 | 箱/保証書 有 | 1,292,000円 |
2020年 | 箱/保証書 有 | 1,556,000円 |
2021年 | 箱/保証書 有 | 1,680,000円 |
2022年 | 箱/保証書 有 | 1,829,000円 |
前述の通り、GMTマスターII 16710は今なお、よく流通しているモデルです。
しかしながら製造期間の長さゆえか仕様変更も多く、これによって大きく価格を変えることに注意が必要です。
基本的には高年式な個体ほど、高い値付けが行われます。
代表的な仕様変更は夜光塗料,ラグの横穴,フラッシュフィット,王冠透かしマーク等が挙げられますが、詳細は下記の記事をご参照下さいませ。
また、ベゼルカラーも相場に大きく影響する要因となっており、近年では赤青ベゼルが最も価格高騰が顕著。次いで赤黒ベゼル、黒ベゼルといったところです。かつては黒ベゼルの人気が高く、一方赤青ベゼル・赤黒ベゼルは定番外しのきらいがあったか、売上の面では後塵を拝しておりました。しかしながら近年ではその立ち位置が逆転している状況です。もっとも、いずれのカラーもGMTマスターIIを象徴するものであり、多分にユーザーの好みによってチョイスは変わってくるのでしょう。
やはり16710にもロレックスならではの特性と言うべきか、レア個体がいくつか存在します。
例えば生産終了間際にムーブメントが次世代機でも使われたCal.3186へと変更されています。恐らくCal.3185が不足したためでは、と言われています。年代にするとシリアルZ番(2006年)の後半,M番(2007年~2008年)です。
16710の生産数は約700,000個と言われており、大してCal.3186を搭載した個体は多くとも35,000個程度。高年式&高性能であることに加えてこの稀少性の高さから、早い段階でプレミア価格となっていました。
また、スティックダイアルも覚えておきたいGMTマスターII 16710のレア仕様です。
文字盤6時位置にプリントされている“GMT-MASTER II”の「II」の文字の上下に横棒が無いタイプの仕様で、2005年~2008年頃,シリアルにするとD・Z・M番の一部にのみ確認できるレア個体です。
このスティックダイアル×Cal.3186搭載モデルは300万円超の値付けが行われており、価値の高さを示唆していますね。
その他では、1947年に世界で初めて音速を超えた伝説の米国空軍パイロット「チャック・イエーガー」モデルなどもレア仕様として有名です。
レア仕様であっても、通常個体であっても、はたまたどのベゼルカラーであっても、実勢相場は右肩上がり。生産終了から間もなく15年が経過しようとしている今、どんどん市場からグッドコンディションの個体が減少していることもあり、欲しい方は早めのご決断を迫られているモデルと言えるでしょう。
GMTマスターII 116710LN
ケースサイズ:直径40mm
素材:ステンレススティール
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3186
防水性:100m
製造年:2007年~2019年
今は無き、GMTマスターIIの黒ベゼルです。
先代16710の黒ベゼルはGMT針が赤でしたが、116710LNでは緑に。この緑がまたアクセントになっており、センスの良さを感じさせますね。なお、この世代よりGMTマスターIIも、セラクロムベゼルが採用されることになりました(セラクロムベゼルの初出は2005年に既に先行販売されていた金無垢GMTマスターII 116718LN)。
硬質なセラミックを用いた当ベゼルはメモリにプラチナコーティングが施され、ワンランク上のラグジュアリーを演出します。
そんな116710LNの、過去5年間の実勢相場は下記の通りです。
年 | 付属品 | 平均相場 |
2017年 | 箱/保証書 有 | 862,000円 |
2018年 | 箱/保証書 有 | 1,007,000円 |
2019年 | 箱/保証書 有 | 1,263,000円 |
2020年 | 箱/保証書 有 | 1,326,000円 |
2021年 | 箱/保証書 有 | 1,563,000円 |
2022年 | 箱/保証書 有 | 1,895,000円 |
GMTマスターIIの現行ステンレススティールモデルは126710BLROと126710BLNRです。2018年に126710BLROがロレックスよりリリースされた際は116710系も併売されていましたが、2019年に生産終了となりました。
この生産終了を以て、GMTマスターIIに黒ベゼルのラインナップは姿を消すことになりました。
そんなGMTマスターII 116710LNですが、ベーシックな顔立ちゆえか根強い人気を誇っているものの、後述する116710BLNRや現行モデルに比べるとお求めやすい相場感。
もっとも、そうは言っても着実に相場を上げていき、生産終了時の定価864,000円を大きく超えるプレミアム価格に。また、2017年時点ではだいたい70万円~80万円で取引されていたことに対して現在はその2.5倍ほどにもなる価格上昇となっており、高騰が如実に表れていますね。
ちなみに、2023年1月現在、当店ではGMTマスターII 116710LNの買取価格を140万円に設定しております(キャンペーン価格)。すなわち、もし定価超え以前に当該モデルをご購入になった方は、大きな売り時を迎えていると言えるでしょう。
ちなみにGMTマスターII 116710LNにも特筆すべきレア仕様が存在します。
それが、こちらのレクタンギュラーダイアルです。
非常に微細な違いですが、レクタンギュラーダイアルは6時位置のロゴ「GMT-MASTER “II”」の上下の横棒がほんの少し短くなっており、その「II」の様がレクタンギュラー(長方形)に見えることから名づけられました。
また、シリアルV番(2009年頃)に、16710でご紹介したスティックダイアルが稀に確認されています。
GMTマスターII 116710BLNR
ケースサイズ:直径40mm
素材:ステンレススティール
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3186
防水性:100m
製造年:2013年~2019年
2013年、116710のバリエーションとして追加された116710BLNRです。
ベゼルの青黒の色合いから、バットマンの愛称でも知られていますね。また、前項116710LNでセラクロムベゼルが採用されたことに言及しましたが、誕生当初はワントーンカラーがメインでした。技術的にセラミックの多色成型は難しいと言われていたものの、116710BLNRで実現に至ったことを示します。
116710BLNRは、GMTマスターIIの中でも非常に早い段階で相場のプレミアム化が見受けられました。
年 | 付属品 | 平均相場 |
2017年 | 箱/保証書 有 | 1,081,000円 |
2018年 | 箱/保証書 有 | 1,320,000円 |
2019年 | 箱/保証書 有 | 1,650,000円 |
2020年 | 箱/保証書 有 | 1,699,000円 |
2021年 | 箱/保証書 有 | 1,947,000円 |
2022年 | 箱/保証書 有 | 2,339,000円 |
黒×青という、これまでのロレックスにはなかった配色のベゼルから、一躍人気モデルに。116710BLNRでGMTマスターII人気はさらに押し上げられることとなりました。
上記のグラフからもおわかり頂けるように、2017年当時で既に定価超えの実勢相場(当時の定価は864,000円。生産終了時は918,000円)。その後も多少のアップダウンはあったとは言え右肩上がりを続けていきます。
2018年に現行126710BLROがリリースされた時は生産終了にはならなかったものの、買いが急増。なぜなら新型GMTマスターIIはジュビリーブレスレットを装備しており、オイスターブレスレットモデル自体がカタログから消えることが予想されたため。「生産終了したロレックスの相場は上がる」とは昔から言われていることですが、近年ではそういった相場情報がとみに話題となった結果、もともとの116710BLNRの人気と相まって、「生産終了する前に買っておきたい」といったマインドが働くこととなりました。
事実、2019年に青黒ベゼルの126710BLNRがリリースされると、一時期は200万円超の相場を記録。2021年にオイスターブレスレットモデルもバリエーション追加されることとなりますが相場は下げ止まらず。中古であっても200万円以上が当たり前、といった様相を呈します。
GMTマスターII 116713LN
ケースサイズ:直径40mm
素材:ステンレススティール×イエローゴールド
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3186
防水性:100m
製造年:2006年~2019年
第三世代SSモデルよりも先行で販売されていたのが、金無垢モデルの116718LNとこちらのコンビ116713LNです。
ロレックス相場が熱狂を帯び始めた頃―すなわち相場高騰が著しくなり始めた頃、まだ落ち着いていたのがコンビや金無垢モデルでした。相場高騰の主役はステンレススティールモデルで、一部を除き定価を大きく上回るようなコンビ,金無垢は、あまり多くはありませんでした。そのため「お得感」といった意味では、非常に強い存在でした。
しかしながら2018年下半期頃から、GMTマスターIIはコン1,663,000ビモデルでも相場を大きく上昇させることとなります。
年 | 付属品 | 平均相場 |
2017年 | 箱/保証書 有 | 1,138,000円 |
2018年 | 箱/保証書 有 | 1,275,000円 |
2019年 | 箱/保証書 有 | 1,450,000円 |
2020年 | 箱/保証書 有 | 1,394,000円 |
2021年 | 箱/保証書 有 | 1,705,000円 |
2022年 | 箱/保証書 有 | 2,160,000円 |
もともとステンレススティールモデルと比べると流通量が少ないこともあり、買いが集中すると一気に稀少価値がアップ。定価の1,339,200円を超えるのに、長く時間はかかりませんでした。
また、2019年に116710系とともに生産終了しますが、現行GMTマスターIIにはイエローゴールド使用モデルがありません。
こういった経緯もあってか今なお相場上昇はやまず、一方市場でなかなか姿を見なくなってきたこともあり、稀少性はいや増すばかりです。
GMTマスターII 126710BLRO
ケースサイズ:直径40mm
素材:ステンレススティール
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3285
防水性:100m
製造年:2018年~(オイスターブレスは2021年~)
2018年、待望の新型GMTマスターIIとして堂々リリースされたのが、こちらの126710BLROです。
新世代ムーブメントCal.3285を搭載しており、高効率かつ高い安定性を誇りながらも、約70時間パワーリザーブを実現。ちなみに3100番台キャリバーまではパワーリザーブが約48時間だったため、一日程度延長されていることになります。
また、一時期現行のバリエーションからは排されていた赤青ベゼル―ペプシ―がカムバックしたことも、大きな話題となりました。1954年に発表されたGMTマスターI Ref.6542以来、赤青ベゼルは当シリーズの象徴的なカラーリング。しかしながらセラクロムベゼルに移行してから、この配色は現行から姿を消していました。前述の通り、ツートンカラーの実現に時間を要したためでしょう。
長年のファンの声と、ロレックスの企業努力に支えられてリリースされた126710BLRO。アルミベゼルとはまた異なる、落ち着いた質感の赤青ベゼルは、既に人気コレクションであったGMTマスターIIをさらに沸騰させることとなりました。
発売以来の価格推移はこちらです。
年 | 付属品 | 平均相場 |
2018年 | 箱/保証書 有 | 2,014,000円 |
2019年 | 箱/保証書 有 | 2,021,000円 |
2020年 | 箱/保証書 有 | 2,025,000円 |
2021年 | 箱/保証書 有 | 2,443,000円 |
2022年 | 箱/保証書 有 | 3,111,000円 |
GMTマスターIIに限らず、デビュー初年度はご祝儀価格が続いて実勢相場は高くなるもの。しかしながら126710BLROのすごいところは、この初出価格がなかなか下がらず、翌年以降、屈指の高騰を続けていることです。
もっとも、これは126710BLROだけの要因ではありません。
2019年以降、ほとんど全てのスポーツロレックスが相場を上昇させていたためです。また、2020年以降は新型コロナウイルスの影響でスイス本国でも一時非常事態宣言が出され、メーカーも休業したことから減産。加えて海外仕入れのしづらさも相まって、流通量が大きく減少しました。
にもかかわらず人気は相も変わらずで、また中国を始め比較的早い段階で経済を立て直したアジア市場を中心にロレックス需要がまた伸びることとに。
コロナ禍でも人々が経済活動を行っている現在も、高すぎる需要に追いつけずに常時品薄。2023年1月現在は中古であっても250万円を切らないという、プレミアムな相場を描いています。
126710BLROは前項まででご紹介したモデルとは異なり、現行品であるため、しばらくは供給が続けられていくことでしょう。
とは言え世界中の需要をまかなうほどの供給は考えづらく、今後も価値は上がり続けることが予測されます。
ちなみに前述の通り、2021年にはオイスターブレスレットモデルもラインナップに追加されました。
じょじょに流通してきたこともあり、ジュビリー・オイスターブレスで大きな価格差や人気差は見受けられません。
ジュビリーブレスレットにしろオイスターブレスレットにしろ、今後の動向に注目です。
GMTマスターII 126710BLNR
ケースサイズ:直径40mm
素材:ステンレススティール
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3285
防水性:100m
製造年:2019年~
126710BLROの翌年、新たに追加された新型GMTマスターII 126710BLNRです。
116710BLNR同様にバットマンベゼルを携えており、ジュビリーブレスレットのドレッシーな印象と相まって美しいスポーツウォッチに仕上がりました。
先代とデザインコードを同じくするためか、実勢相場は126710BLROほどは高騰していません。もっとも、それでも定価を大きく上回るプレミア相場であることは疑いようがないでしょう。
年 | 付属品 | 平均相場 |
2019年 | 箱/保証書 有 | 1,720,000円 |
2020年 | 箱/保証書 有 | 1,702,000円 |
2021年 | 箱/保証書 有 | 2,038,000円 |
2022年 | 箱/保証書 有 | 2,598,000円 |
なお、スペック面は1267100BLROと同一です。
新世代ムーブメントCal.3285を搭載しており、パワーリザーブ約70時間に。
また、126710BLNRにもオイスターブレスレットモデルが追加されました。
これまたジュビリー・オイスターともに人気が高く、現在では大きな価格差はございません。
GMTマスターII 126711CHNR
ケースサイズ:直径40mm
素材:ステンレススティール×ゴールド
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3285
防水性:100m
製造年:2019年~
人気のGMTマスターIIと言えば、エバ―ローズゴールドが美しいこちらのコンビモデルも忘れてはいけません。
2018年、新型GMTマスターIIとして発売されたモデルで、当シリーズでは初となるエバ―ローズゴールドがコンビ素材として採用されました。
発売以来の価格推移は、以下の通りです。
年 | 付属品 | 平均相場 |
2018年 | 箱/保証書 有 | 2,026,000円 |
2019年 | 箱/保証書 有 | 2,034,000円 |
2020年 | 箱/保証書 有 | 2,082,000円 |
2021年 | 箱/保証書 有 | 2,465,000円 |
2022年 | 箱/保証書 有 | 3,229,000円 |
ちなみにエバ―ローズゴールドとは、2005年にロレックスが開発した独自のカラーゴールドです。
ゴールドはそのままだと柔らかすぎるため、多くの場合で合金によって硬度を高めます。この時、合金の素材を工夫することで、本来のゴールドの色味とはまた異なる色合いを醸し出すことも可能です。
一般的なローズゴールドでは銅を多めに合金することで、優美な赤を演出させています。しかしながら銅の特性ゆえ、変色しづらい側面もあります。そこでロレックスでは独自合金(プラチナを1.5~3%ほど含有させるとのこと)により、変色しづらいローズゴールドの開発に成功しました。まさに「エバー」ローズゴールドと言うわけですね。
このエバ―ローズゴールドに加えて、黒×茶のエレガントな配色で、これまでにないGMTマスターIIとして仕上がった結果、126711CHNRは屈指の人気を誇ることとなりました。
ちなみに海外では126711CHNRを「ルートビア」といった愛称で親しんでいます。
ルートビアとはアメリカで親しまれている炭酸飲料水ですが、過去、茶×金や茶×黒のGMTマスターモデルを指してこのように呼ばれてきました。Ref.1675やRef.16713等が挙げられます。
とは言え126711CHNRは、往年のルートビアとは異なる色味ですよね。そのため国内では「カフェオレ」などといった愛称も出回っています。
GMTマスターII 126711CHNRは、相場高騰の主流がステンレススティールモデルである中においてもかなりの人気ゆえに、常時品薄と言った状況です。
確かにエバ―ローズゴールドモデルにしかないシックさや、ゴールドゆえの重厚感は、何物にも代えがたい魅力がありますね。
今なお品薄は続いているものの、「高くても欲しい」というマインドは健在。
当店でも仕入れを頑張ってはいるものの他店と争奪戦になっており、買取価格も中古235万円と定価超え(定価は1,920,600円)で設定させて頂いております。
こちらもしばらくは生産が継続されることとは思いますが、相場の状況を鑑みるに、早めに買っておいた方が良いモデルの一つと考えられます。
まとめ
デイトナと並んできわめて高い相場を誇る、GMTマスターIIの価格推移と、そこから見る価値・人気についてご紹介致しました!
GMTマスターは歴史あるパイロットウォッチですが、現行人気によって価値が再評価されているコレクションでもあり、昔ながらのファンとしては嬉しいところですね。
一方でどのモデルも流通を大きく上回る需要から実勢相場が過去類を見ないほど高騰していることも事実です。
さらに2022年は、レフティ仕様の新しいGMTマスターIIもコレクションに追加されたこともあり、いっそう注目度が高まっていることは言わずもがな。
GMTマスターIIのあふれ出る魅力ゆえに人気はまだまだ続くことが予想され、今後も屈指の相場感を誇っていくことでしょう。
当記事の監修者
田中拓郎(たなか たくろう)
高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年