「ロレックスアンティークはなぜ安いの?」
「ロレックスアンティークの注意点って何?」
120年の歴史を誇るロレックスには、多角的な楽しみ方があります。
そのひとつが、アンティークロレックス、もしくはヴィンテージロレックスと呼ばれるモデルです。
様々な魅力のあるアンティークロレックスですが、多くの方に注目される理由のひとつが「現行モデルよりも安い」点です。
ロレックスアンティークはなぜ安いのか知りたいという人は多いのではないでしょうか。
アンティークの魅力は、人と被りにくく原価よりも安価な値段で出会える点です。
この記事ではロレックスアンティークはなぜ安いのかと、注意すべき点についてGINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
50万円以下で買えるアンティークロレックスの紹介もしますので、ロレックスの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
ロレックスアンティークの定義
アンティークロレックスはどのようなロレックスを指すのか、まずは定義についてご紹介します。
また、人気の高まるアンティークロレックスの、気になる資産価値についても調査しました。
アンティークロレックスとは?
アンティークロレックスとは、古い時代に製造されたロレックスのことです。
具体的には1960年代以前から、1980年代後半にかけて製造された40年~50年以上経過した個体で、現在も使用に耐えるものを指します。
機械式時計の開発・製造技術が成長し円熟する黄金時代を経て、再び人気が高まるまでの時代に製造されたモデルが、アンティークロレックスです。
一般に、骨董の世界では西洋の美術工芸品などで100年以上経過したアイテムを、アンティークと呼んでいます。
しかし腕時計自体、第一次世界大戦前後に誕生し広まったとされており、歴史自体が100年強しかありません。
そのため、40年程度の経年でもアンティークと呼ばれています。
ヴィンテージロレックスとは?
時計店のなかには、ロレックスの古い個体をヴィンテージロレックスと呼ぶところもあります。
ロレックスに関しては、アンティークとヴィンテージに明確な違いはありません。
扱っている時計店などによって呼称が異なるだけで、いずれも製造後約40年以上が経過し、今も動く味わい深いタイムピースのことです。
ロレックスアンティークの資産価値は?
アンティークロレックスには、資産的価値が高いものもあります。
資産価値が高い個体は、以下のような特徴が見られるものです。
- 文字盤・針などオリジナル性が高い個体
- 文字盤・ベゼルなど経年による変化が特徴的な個体
- 生産終了・限定モデル
- ティファニーなどダブルネームモデル
- デイトナ、サブマリーナなど今も人気のモデル
- その他レアモデルやレア個体
お手持ちのアンティークロレックスや掘り出し物のなかに、資産価値が高い個体がないか探してみてください。
ロレックス アンティークはなぜ安い?
アンティークロレックスは、人気も資産価値も高い個体があるにも関わらず、なぜ現行品より安いのか解説します。
現行品と比較すると、アンティークロレックスにはウィークポイントがあるため価格が安くなっていますが、魅力を知るとウィークポイントがチャームポイントに変わりますよ。
現行モデルよりも需要が低い
ロレックスは現行モデルの人気が非常に高く、ロレックスが行っている徹底した生産量の管理により需要が供給を大きく上回る事態が続いています。
腕時計の価値を決める要素のなかで、人気と需要の高さが特に大きな影響力を持っています。
アンティークロレックスの価格が安い理由は、高額な現行モデルと比較すると、人気や需要が低下しているためです。
最近はアンティークロレックスの人気が高いといっても、「直営店ですら買えない」ほどの人気を誇る現行モデルには敵いません。
現行ロレックスの人気・需要と比べ、アンティークロレックスを求める方の人数ははるかに少ないため、安く購入できるのです。
古いパーツの交換ができない
アンティークロレックスは、製造から40年以上経過しているものがほとんどのため、部品が破損してしまっても純正品への交換が難しいというデメリットがあります。
ロレックスでは製造中止となった廃盤品の場合、25年間を部品保有期間と定めています。
25年より後に製造中止になったモデルであれば純正パーツで修理ができますが、アンティークロレックスはほぼ該当しません。
購入する際は、壊れてしまっても純正部品はないこと、修理する場合は代替品を合わせるしかないことを理解しておく必要があります。
ただし、正規店での修理や純正部品との交換ができないデメリットがあるために、価格が安く抑えられています。
外装などが劣化している
アンティークロレックスの多くは中古品で、以前のオーナーが使用した際につけた傷や、時間が経過したことによる塗装・金属の劣化などがみられます。
新品と比べると、どうしても劣化・破損・退色などが見られるために価格が安く設定されます。
ロレックスといえば「オイスター」と呼ばれる堅牢なケースやブレスレットが有名ですが、どうしても経年劣化は起こります。
実用性の高い腕時計のため、使用したときにつく細かなキズやぶつけた跡、そして研磨による痩せもあります。
ブレスレットは可動部分に伸びが起きやすく、長さ調節を行ったあとにコマを紛失するケースもあります。
腕時計自体だけでなく、保証書の紛失も腕時計の価値および価格を下げる要因のひとつです。
元々の値段がそこまで高くない
現在では信じられないことですが、ロレックスはもともとここまで高額な腕時計ではありませんでした。
新品時に現行品のような高額で取引されていたわけではなく、もう少し手頃な価格だったため、アンティークになって一層手に入りやすい価格が設定されています。
そもそも現在のような高級品となった背景には、2017年以降に起きたスイス製高級腕時計の価格高騰があります。
前年に急騰したスイスフランがユーロに対して安くなったり、米小売店によるクリスマス商戦の腕時計推しがあったり、レディース市場が盛り上がるなど複数の要因がからみ、2017年にスイス高級腕時計の価格がアップしました。(他にも要因があり、後述します)
価格高騰を続けるロレックスですが、アンティークロレックスの多くは、ロレックスの価値・価格が上昇する以前に生産されたものが多く、供給も多かったため現在も安価で提供できるのです。
アンティーク以外のロレックス価格高騰の背景
2017年以降、各社とも転売への対策が厳しくなり、買いにくくなったことも価格高騰の要因の1つとされています。
また、1970年代にもロレックスの価格を押し上げる出来事がありました。
それまで徹底した実用性と堅牢さで、プロフェッショナルのための高級腕時計というブランディングだったロレックスが、経営者の交代によりラグジュアリー路線へと転換したのです。
もともとロレックスは広告戦略に長けたブランドでしたが、ラグジュアリー路線では人気スポーツへの協賛やハリウッド映画への提供などを行い、憧れの存在へと駆け上ります。
さらに供給体制を徹底管理し、高品質かつ希少性の高い高級腕時計というブランディングに成功します。
1970年代に世界を襲ったオイルショックによる大不況も、知名度と経営戦略の巧みさで乗り切ったことで、価値の安定性や信頼感、資産としての価値も高まりました。
実用性・堅牢さに加え、ステータスシンボルとしての価値も加わり、さらに資産価値も手に入れたロレックスは、他を圧倒する知名度とステータスを誇る高級ブランドへと上り詰めました。
現在とは異なる品質規格
アンティークロレックスには、プレシジョンという表記が入っているものがあります。
プレシジョン表記は、ロレックスの精度に関する企業努力の軌跡で、現行品には見られないものです。
現在、ロレックスの腕時計の多くは、クロノメーター認定はもちろんロレックスが自社で行っているロレックス高精度クロノメーター検定を受けています。
クロノメーター認定とは、スイスのクロノメーター検定協会(COSC : Controle Officiel Suisse des Chronometres)が行っている腕時計ムーブメント精度に関する認定制度です。
15日間もかけて行われる検査など大変厳しい基準が設けられており、クリアしたムーブメントを搭載した時計はクロノメーターの称号を得ます。
そして、ロレックスは、クロノメーターをさらに上回る厳しい基準を設けることで、スイスの高級腕時計のなかでも特に高い品質であることをみずから証明しています。
クロノメーター認定を受けていないロレックスも存在する
しかし、アンティークロレックスには、クロノメーター認定を受けていないものもあり、現行品同様の高品質ではないため価格が抑えられます。
クロノメーター認定を受けていないモデルの一部に、ロレックスではかつて「プレシジョン(PRECISION)」という表記を入れていました。
プレシジョンとは精密・正確という意味で、クロノメーター認定を受けていなくても高精度のムーブメントを搭載した、信頼性の高い腕時計であると示すロゴです。
2007年のエアキングのモデルチェンジによって、ロレックスの全モデルがクロノメーター認定ムーブメントを搭載したことになり、プレシジョン表記はロレックスから消えました。
かつてはクロノメーター未認定ムーブメントの価値を補う表記だったプレシジョンですが、現在ではアンティークロレックスを彩る勲章のひとつとなっています。
50万円以下で買えるアンティークロレックス
アンティークロレックスが欲しいけれど、手に入れやすくて人気の高いモデルについて悩んでいるあなたに、おすすめの逸品をご紹介します。
いずれも50万円以下で買えて、個性豊かなアンティークロレックスです。
オイスターデイト プレシジョンRef.6694
型番:Ref.6694
ベルト素材:ステンレススティール
ケース素材:ステンレススティール
ケースサイズ:34mm
文字盤:シルバー
駆動方式:手巻き
アンティークロレックスの定番モデルのひとつで、現行品からは消滅したプレシジョン表記が大きな特徴です。
人気の高いロングセラーモデルで、製造年は1950年代から1980年代後半と長きにわたります。
オイスタースチール製ですが、シンプルなデザインはドレスウォッチのように洗練され、ケース径も小さめです。
手巻きムーブメントを搭載しており、構造がシンプルで故障に強いと言われるモデルでもあります。
50万を切る価格や、現在も通用するスマートなフォルム、ちょっとした箇所に漂うレトロな味わいで、初めてアンティークロレックスを購入する方におすすめですよ。
オイスターパーペチュアル デイトRef.1500
型番:Ref.1500
ベルト素材:ステンレススティール
ケース素材:ステンレススティール
ケースサイズ:34mm
文字盤:シルバー
駆動方式:自動巻き
ロレックスの三大発明のうち、牡蠣の殻のごとく堅牢な「オイスターケース」と、ローターを備えた自動巻き機構「パーペチュアル」を搭載したモデルです。
実用性の高さが如実に表れたモデルで、高い防水性・防塵性と、リューズを巻かなくても動き続ける自動巻き機能をあわせ持ちます。
オイスターパーペチュアル デイトRef.1500は、さらにデイト機能も搭載し、ビジネスシーンでもオフィシャルな場でも使える優雅なフォルムと、アンティークならではの品格が魅力です。
オイスターパーペチュアルは定番中の定番モデルで、現在もダイアルにはOYSTER PERPETUALと表記されます。
ケースの素材・ダイアル・針・インデックスなど、バリエーションが非常に豊かな点もアンティークを選ぶ楽しみのひとつ。
ぜひ、あなただけの唯一無二を探してみてください。
エアキングRef.5500
型番:Ref.6694
ベルト素材:ステンレススティール
ケース素材:ステンレススティール
ケースサイズ:34mm
文字盤:シルバー
駆動方式:手巻き
1950年代後半ころから1988年まで生産された、30年に及ぶロングセラー商品です。
生産期間が大変長く、バリエーションが豊富で様々な表情のモデルに出合えます。
カレンダーのない3針が基本で、OYSTER PERPETUALと独特のフォントで書かれたAir-Kingのロゴ、そしてPRECISION表示が入ります。
実はペットネームがついた最古のモデルで歴史が古く、ダイアルの色やケースの素材、針の形状などこだわりたい部分がたくさんありますよ。
シンプルかつスマートなフォルムで、フォーマルにも合わせられます。
カメレオン
型番:Ref.2059
ケース素材:ホワイトゴールド
ケースサイズ:16mm
文字盤:シルバー
駆動方式:手巻き
レディースモデルのカメレオンは、平成ドラマを愛する方にはおなじみのモデルではないでしょうか。
超人気ドラマ『やまとなでしこ』のなかで重要なキーアイテムとなり、話題となったカメレオンは、ロレックスのアンティークウォッチです。
数種類の専用ストラップとセットで販売され、着替えを楽しめるようになっており、プレゼントとしても好評でした。
指先ほどの小さなケースにはフルーテッドベゼルがあしらわれるなど、様々な種類のあるコレクターズアイテムです。
価格も手に入りやすいラインナップで、一般的なアンティークショップやセレクトショップなどで見かけることもありますよ。
アンティークロレックス購入時の注意点
アンティークロレックスを購入する際の注意点を、わかりやすくまとめました。
購入前や購入時に知っておいて欲しい点と、購入後の取扱いに関する点の2パターンにわかれます。
購入前・購入時の注意点
- 信頼のおける時計専門店で購入する
- 故障時に純正パーツで修理ができない
- パーツ交換不可の可能性がある
- リファレンスナンバーの理解を深めておく
- 購入商品のオリジナル度合い(針・文字盤など)を調べる
購入後の使用時における注意点
- 水やホコリにはできるだけ触れない
- 強い衝撃を避け運動時は外す
- 夏場など汗をかくときは着用しない
- パソコンやスマートフォンなど磁気に近付けない
- 正規店でオーバーホールをしない
- 購入店でこまめにメインテナンスをしてもらう
- 傷があっても磨き過ぎない
- ストラップやブレスレットがオリジナルであれば傷みに気を付ける
- 付属品(保証書)などは大切に保管する
お手頃価格で体感できるアンティークロレックスの世界
アンティークロレックスには、数十万円から買えるものや、あとで価値がアップする可能性を秘めたモデルもあります。
なにより誰かとかぶりにくく唯一無二の個体に、原価よりも安価な値段で出合える点が、大きな魅力です。
世界でたったひとつの相棒が、あなたをどこかで待っているかもしれません。
当記事の監修者
田所 孝允(たどころ たかまさ)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 営業物流部長/p>
1979年生まれ 神奈川県出身
ヒコみづのジュエリーカレッジ ウォッチメーカーコース卒業後、かねてより興味のあったアンティークウォッチの世界へ進む。 接客販売や広報などを経験した後に店長を務める。GINZA RASIN入社後は仕入れ・買取・商品管理などの業務に従事する。 未だにアンティークウォッチの査定が来るとついついときめいてしまうのは、アンティーク好きの性分か。
時計業界歴18年。