2020年、10年振りの新作としてロレックスからローンチされたサブマリーナ デイト Ref.126610LN。
長らく愛され続けてきた116610LNの後継機として、発売から一年以上が経過する今なお注目度の高い一本です。
とは言え見た目は旧型116610LNとほぼ同じで、どこがどのように変わったのかわかりづらいもの。
デザイン面や実用面で、何か違いは出ているのでしょうか。
そこでこの記事では、サブマリーナ 126610LNの実機を用いて徹底レビューを行いました!
併せて定価や現在の相場もご紹介していますので、ご購入をお考えの方はぜひご一読下さいませ!」
目次
ロレックス サブマリーナ 116610LNと126610LNの違い
サブマリーナは「過酷な環境で活躍するプロダイバー」向けに作られたプロフェッショナルウォッチです。
青サブ・ノンデイト・コンビなど、サブマリーナには様々なラインナップが存在しますが、その中でも最も注目されているのは、やはりSS×ブラック文字盤!
この度116610LNから126610LNに系譜が引き継がれることになり、スペック面やサイズ感に違いが生じています。
ロレックス サブマリーナ デイト 116610LN
Ref.116610LN
製造期間:2010年 ~ 2020年
搭載ムーブメント:Cal.3135
まずは116610LNについて軽くおさらいをしておきましょう。
サブマリーナ デイトの現行モデルとして10年間君臨し続けた116610LN。ダイバーズウォッチでありながらも上品な美しさを備え、ロレックスのスポーツウォッチとして絶大な人気を博してきました。
どんなシーンでも身に付けることができる万能性に、40mmという絶妙なサイズ感。そして独特の光沢感を持つセラクロムベゼルの採用。
サブマリーナは50年以上も変わらない「普遍性」を持つモデルですが、116610LNはそれをさらにワンランク上に押し上げた名作として高い評価を得ています。
この度惜しまれつつもモデルチェンジとなりましたが、今後もその人気は続いていくことが予想されます。
ロレックス サブマリーナ デイト 126610LN
Ref.126610LN
製造期間:2020年 ~ 現在
搭載ムーブメント:Cal.3235
こちらは2020年9月1日に発売されたサブマリーナデイト 126610LN。世界中の時計ファンが待ち望んだサブマリーナ デイトの新作が遂にそのベールを脱いだことで、大きな話題となりました。
リファレンスは噂されていた通り126610LN が与えられ、116610LNの優れた特徴を継承したモデルチェンジとなっています。
ブラックカラーの文字盤とブラックベゼルの非常にシックでシンプルなデザイン。
特徴的なサイクロップレンズ。
美しいセラクロムベゼル。
見た目こそ116610LNとほぼ同じですが、126610LNはケース全体のディテールや内部機構に変更が加えられています。
出典:https://www.rolex.com/ja
116610LNから126610LNへの進化に伴い、違いが生じたのは以下の7つです。
・ケースサイズの大型化
・ラグ幅が細くシャープに
・コマの幅
・コマの数
・文字盤6時位置の王冠マーク
・ドットインデックスの太さ
・新型ムーブメントの搭載
①ケースサイズが41mmにサイズアップ
116610LNと126610LNの最大の違いはケースサイズです。
これまでのサブマリーナはデイト・ノンデイト問わず40mmが主流でしたが、126610LNは41mmケースが採用されています。
「1mm」の違いは誤差の範囲だと思われがちですが、ケースサイズが大きくなると時計全体のバランスが変わるため、大きな雰囲気の変化をもたらします。
ケースの大型化は行われましたが、厚みに関しては116610LNも126610LNとほぼ同様の厚みとなっています。
41mmだからといって無骨になったわけではなく、スタイリッシュなフォルムは健在に見えます。
②ラグ幅が細くシャープに
新型126610LNは41mmにケースサイズが変更されましたが、ラグ幅に関しては旧型116610LNよりも細くなっています。
通常ケースサイズが大きくなればラグ幅も合わせて広くなりますが、単純に幅を広げることに留まらないのがロレックスの凄いところ。
逆にラグ自体をシャープ化し、より美しさを引き立てるデザインに変更が加えられました。
ラグのシャープ化は近年のロレックスのトレンドです。ディープシーが116660から126660に進化した時も同様の変更が行われており、2020年新作サブマリーナに関しても全てのモデルに新デザインのラグが採用されています。
また、リューズガードも弧をより強調としたデザインとなり、高級感が増しています。
遠目からは判別しにくい変更点ではありますが、確実に進化を遂げているポイントだといえるでしょう。
③コマの幅が1mm広くなっている
126610LNはラグのデザインが変更されたことに伴い、フラッシュフィットとブレスレットのバランスも調整されました。
その影響はコマの幅にも及んでおり、旧型116660LNと比較すると1mm幅が広くなっています。
ラグがシャープになりコマ幅が広くなったことで、126610LNは全体的なシルエットがより美しくなっています。
ケースの大型化、ラグの変更、コマ幅の変更。この3つの変更が生み出したラグジュアリーなディテールこそが126610LNの魅力だと言えます。
ただ、このコマ幅の変更による注意点が一つあります。
それはこれまでのコマと互換性がないことです。
サブマリーナに限らずロレックスは40mmを基本サイズとしており、コマの幅が同一であれば異なるモデルのコマであっても合わせることができました。
しかし、126610LNはサイズの大型化に合わせてコマ幅が1mm広くなっているので、これまでのコマが合いません。
コマを別途購入する際には126610LNに合うコマを選ぶ必要があります。
④コマの数が一つ少ない
126610LNはコマの数が116610LNよりも1つ少ない設計となっています。
具体的にはブレスレット12時側が1つ少なくなっており、それに伴い外せないコマと外せるコマに違いが生じています。
【Ref.126610LN】
12時側 外せないコマ4つ、外せるコマ(大コマ2、小コマ1)
6時側 外せないコマ3つ、外せるコマ(大コマ2、小コマ0)
【Ref.116610LN】
12時側 外せないコマ3つ、外せるコマ(大コマ4、小コマ1)
6時側 外せないコマ3つ、外せるコマ(大コマ2、小コマ0)
他の変更点と比較すると注目されにくいポイントではありますが、116610LNよりも調整できる幅が少ないことに注意が必要です。
ただ、6時側と合わせたら5つ外せるコマがあるので、殆どの方にとっては影響のないことかと思います。
⑤文字盤6時位置の王冠マークが違う
旧型116610LNと新型126610LNでは文字盤6時位置の「SWISS MADE」のデザインが異なります。
新型は王冠マークが「SWISS MADE」の間に配置され、王冠自体も大きくなっています。
左:116610LN 右:126610LN
ちなみに旧型116610LNは目盛りの上に「SWISS MADE」を配置していますが、新型126610LNでは目盛りの下に「SWISS MADE」を配置しています。
6時位置の夜行インデックスと距離が生まれたことにより、窮屈感が解消されました。
⑥ドットインデックスのフチの太さが違う
地味な違いではありますが、116610LNと126610LNではドットインデックスのフチの太さが違います。
116610LNよりも126610LNのドットインデックスの方がフチが太く設計されており、力強い印象を与えるようになりました。
左:116610LN 右:126610LN
比較してみるとドットインデックスの太さが僅かながら違うことがわかります。
ケースの大型化に合わせた変更かと思いますが、こちらも賛否両論がありそうです。
⑦新型ムーブメント Cal.3235を搭載
116610LNと126610LNでは搭載ムーブメントが違います。
新型サブマリーナ デイト126610LNには「Cal.3235」が搭載され、スペックが大きく向上しています。
116610LNには完全自社製ムーブメントCal.3135が搭載されていました。
1989年に開発されたロングセラーですが、クロノメーター化やパラクロム製ヒゲゼンマイの採用など、アップデートを重ねながら常に進化を遂げてきた名機です。
20年以上に渡って使用され続け、高い精度と耐久性を併せ持つ、まさに3針+デイトモデルの定番といえるムーブメントでした。
【スペック】
時分秒、デイトジャスト、クイックチェンジ、ハック機能
クロノメーター認定
パワーリザーブ約48時間
28,800振動/時
製造年:1989年~
出典:https://www.rolex.com/ja
対して、新型サブマリーナ デイト126610LNには「新世代ムーブメント」と称される Cal.3235が搭載されています。
ノンデイトに搭載されたCal.3230と同じくブルーパラクロム・ヘアスプリングによる高耐磁性、日差-2 ~+2 秒の優れた精度、約70時間のロングパワーリザーブを誇り、デイトジャスト機構を備えたデイト表示も有するハイスペックムーブメントです。
シードゥエラー 126600やディープシー 126660といった人気モデルに次々と採用されてきましたが、今回遂にサブマリーナにも搭載されることになりました。
Cal.3135も高い評価を得ているムーブメントですが、やはり土日に腕時計を外していても時間が止まらない実用性は見逃せないメリットです。
ケースサイズや文字盤デザインなど新旧を選ぶポイントは幾つかありますが、性能に拘りたいのであれば、Cal.3235を搭載する新型に軍配が上がるでしょう。
【スペック】
時分秒、デイトジャスト、クイックチェンジ、ハック機能
クロノメーター認定
パワーリザーブ約70時間
28,800振動/時
製造年:2016年~
定価の違いについて
基本性能が向上したことに伴い、126610LNは116610LNよりも定価が上がっています。
126610LNの定価は965,800円。116610LNの定価は943,800円。約2万円の値上がりです。
ただ、いずれも正規店で手に入れることが困難であることから、実売価格は定価を遥かに上回るプレミア価格となります。
具体的な実売価格ですが、126610LNも116610LNも定価の1.5倍程度となっています。
現在ロレックスのスポーツモデルは総じて高騰傾向にあり、人気のサブマリーナは特にそれが顕著です。
ロレックス サブマリーナ 126610LNの相場は どうなる?
発売から半年が経過した今、サブマリーナ126610LNの相場はどうなっているのでしょうか?
結論から申し上げますと、発売直後の大きな高騰からは落ち着きを見せていますが、高い相場水準をキープしています。
発売直後はご祝儀価格ということもあり、200万円を超える高相場となっていました。
しかし、その後は徐々に落ち着きをみせ、2021年に差し当たった頃からは150万円〜160万円で相場が落ち着いています。
ただ、若干ではありますが再び高騰傾向にありますので、今がお買い求めやすい時期であるといえるかもしれません。
126610LNの発売に伴い、気になるのは旧モデルとなった116610LNの価値です。
一般的に旧型になったモデルは価値が下がる傾向にありますが、116610LNに関しては価値を上げる結果となりました。
ご覧の通り、新作126610LNの発表に伴い相場が高騰。その後も下がることなく高い水準をキープしています。
2021年3月時点では、126610LNとの価格差はほとんどありません。
スペックに関しては新型126610LNに分がありますが、やっぱり40mmのサブマリーナこそ最高だと思われる方も多く、126610LNと116610LNで人気を分かち合っています。
126610LN、116610LN共に価値を下げる様子はなく、今後もロレックスの定番モデルとして人気を博し続けていくことでしょう。
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年