「腕時計のバンド(ベルト)にはどんな種類があるんだろう」
「バンドによってのメリット、デメリットはあるのだろうか」
腕時計のバンドにはクロコダイルレザーやカーフレザーなど様々な種類があります。
腕時計のバンドの種類や特長について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
一昔前と比較すると、時計バンドの選択肢は大変多くなっています。
この記事では腕時計のバンドの種類を、GINZA RASINスタッフ監修のもと紹介しています。
それぞれのバンドのメリットデメリットについても解説していますので、腕時計のバンドをお探しの方はぜひ参考にしてください。
目次
革ベルトの特徴と種類
牛革やワニ革といった「天然皮革」によって作られる革ベルトは、金属ベルトと並ぶブレスレットのスタンダードです。
最大の特徴はラインナップが豊富に存在することにあり、革の素材だけでも、牛革・ワニ革を中心に様々な素材があります。
カラーリングも豊富なことから自分好みの個性を表現できることもポイントで、ファッション性が高いことも魅力です。
珍しい革や貴重な部位を用いた革ベルトはその分価格が高くなりますが、概ね金属ブレスレットよりリーズナブルな価格となっています。
革ベルトは天然素材の革であることから「軽い」ことも大きなメリットです。
金属ベルトに比べフィット感に優れ、疲れにくいベルトといえます。
一方、デメリットはこまめな手入れをしないとすぐに傷んでしまうこと。そして水に弱いことです。
手入れを怠った革ベルトはひび割れや汚れはもちろん、強い臭いまで発生してしまうことになりかねません。
ただ、その手間も含めた繊細さも革ベルトの魅力なので、時計と共に革の扱いも楽しむことをオススメします。
メリット | デメリット |
---|---|
種類が豊富 | 手入れをしないとスグ痛む |
軽く、疲れにくい | 水に弱い |
高級感がある |
革ベルトの種類① クロコダイル
腕時計の革ベルトの中では最高品質の位置づけであるクロコダイルレザー。
使用する部位によって模様が異なり、腹部は四角、脇腹は丸みの帯びた見た目をしています。
高級腕時計の革ベルトは大半がクロコダイルレザーが使われています。時計を購入する際、ベルト素材の欄に目立った記載がなくレザーベルトと書かれているだけの場合は、クロコダイルレザーが使われている事が多いです。
革ベルトの種類② カーフ
カーフレザーとは生後6ヶ月以内の仔牛の革のこと。カーフは成牛革に比べ非常にキメが滑らかで美しく、キズも少ないのが特徴です。クロコダイルよりも控えめで上品な存在感はカジュアルシーンにピッタリ合います。
ただ、カーフレザーは雨などの水にも大変に弱く繊細でデリケートです。
大切に扱わなければ、その美しさは損なわれてしまいます。
革ベルトの種類③ コードバン
「革の王様」とも称される馬のお尻の革「コードバン」を使用した革ベルト。繊維が細かい為傷がつきにくく、長く使い込むほどに独特の風合いを楽しめます。クラシックな時計・アンティークウォッチなどにお勧めの素材です。
艶やかで締まった印象を与えるため、ビジネスシーンによく似合います。
革ベルトの種類④ シャーク
サメの皮です。少し凹凸があるのが特徴で、耐水性に優れています。
最初はマットな雰囲気を持ちますが、使い続けていくことで艶が増していくため、エイジングを楽しみたい方にオススメです。
革ベルトの種類⑤ オーストリッチ
ダチョウの革です。クイルマークと呼ばれる毛穴の凹凸が特徴で、耐久性が高いです。
製品化されるオーストリッチは南アフリカ産のものがほとんどで、日本国内においてもその品質の良さには定評があります。
革ベルトの種類⑥ リザード
トカゲの革です。艶やかな発色で、小さく細かな丸い斑が特徴です。
クロコダイルと並んでエキゾチックレザーの代表格となっており、耐久性はクロコダイルに引けを取りません。
細かく粒の揃ったウロコ模様が美しく、近年最注目されています。
革ベルトの種類⑦ ピッグスキン
ピッグスキンは豚の革のことをいいます。若干の凹凸があり、柔軟性を持つ耐久性の高い革です。
牛革よりもリーズナブルな素材ではありますが、軽く、通気性が良いため、夏用のベルトとしても使用されます。
ラバーベルトやナイロンベルトではカジュアルすぎるという方にオススメです。
革ベルトの種類⑧ バッファロー
バッファローの革です。カーフに似ていますが、表面にシボ(皺)があり、柔らかいのが特徴です。
耐水性があるため使いやすく、伸縮性があるので腕によく馴染みます。
カジュアルにもフォーマルにも使える素材として、徐々に時計ベルトのラインナップも増えています。
革ベルトの種類⑨ ガルーシャ
エイの革です。細かく硬いキャビア状の凹凸が特徴で、表面が非常に硬いです。そのまま凹凸を活かしたタイプと、凹凸をやすりで削ったタイプの2種類があります。
個性が強く高級時計ではあまり用いられません。
ラバーベルトの種類と特徴
ラバーベルトは革ベルトより汚れが付きづらい素材です。夏場に汗をかくと革ベルトは変色してしまうことがありますが、ラバーベルトはたくさん汗をかいても汗が吸収されません。
また、金属ベルトと比較すると重さが半分以下ですので、装着感も軽やかになります。
涼しげなファッションを好まれる方に最適な素材として、スポーツウォッチに採用されることが増えています。
ラバーベルトはカラーバリエーション及びデザインが豊富なことも特徴です。写真のベルトは全てラバーベルトですが、それぞれ異なる雰囲気をもちます。
たとえば一番右のベルトは一見革ベルトに見えますが、これは表面が革、裏面はラバー素材となっているハイブリットタイプです。
どのデザインもラバー素材なので汗などにも強く、気を遣わずに使用できるところが良いところ。
価格も手ごろなモノが多く、高級時計をアクティブに使いたいという方から支持を集めています。
ただ、ラバーベルトにもデメリットはあります。
通気性が悪いこと、そして一ヶ所に亀裂が入ってしまうと、全体にかけて裂けてしまうことです。
頑丈で密着性のあるラバーベルトですが、その分通気性が悪く蒸れやすくなります。
汗や汚れは簡単に落とせますが、放置しておくと匂いが残りやすいので注意が必要です。
ナイロンベルトの種類と特徴
ナイロンベルトはカジュアルなデザイン性と装着したときの軽さに定評のある現在人気沸騰中の時計ベルトです。
傷や汚れが付きにくいため普段使いに向いています。
また、引っ張り、摩擦などの外圧に強く、伸びや縮みなど型崩れしにくいことも特徴。様々なカラーバリエーションがあるため、革ベルトと同じくファッション性に優れます。
ナイロンベルトは耐水加工されたナイロン製の繊維から作られたベルトなので、かなり軽いです。
革ベルトやラバーベルトよりも軽く、長時間身に身につけていても疲れにくい素材といえます。
また、数千円から買えるリーズナブルな価格設定であることから、汚れがついた場合でも気軽に交換することが出来ます。
安価とはいえ近年のナイロンベルトの品質は良くなっているので、とても丈夫です。
なお、ナイロンベルトの中で最も人気があるベルトはNATOベルトです。
NATOベルトはダニエルウェリントンやTIMEXといったカジュアル時計に数多く採用されており、現代ではオシャレアイテムのイメージが強いです。
もともとは冷戦時代に作られた軍事同盟「NATO軍」の時計用に作られたベルトであり、軍支給品の腕時計ベルトとして兵士に使用されていた背景からNATOベルト・NATOストラップと呼ばれるようになりました。
NATOベルトを装着すれば、もともとが金属ブレスレットの時計であっても、カジュアルな印象となります。
同じモデルであっても人とは違う個性を与えることができるため、拘り派の時計オーナーにNATOベルト(ナイロンベルト)は支持されています。
デメリットについても触れておきます。
軽くて耐久性もある万能なナイロンベルトですが、カジュアルな外観になることから、高級感は薄れてしまいます。
ビジネスシーンにも不向きと言わざるを得ません。
もしスーツスタイルに合わせたいのであれば、革ベルトを購入するか、もしくは金属ブレスレットタイプの時計を購入した方が良いでしょう。
シンセティックベルトの種類と特徴
シンセティックレザーは天然の布地に合成樹脂を塗布し、表面を天然皮革に似せたレザーです。
合成樹脂には、ポリ塩化ビニールやポリウレタン樹脂が使われ、水をはじくため汚れにくい性質をもちます。
また、アレルギーが出やすい”なめし薬品”を使わずに仕立てをするため、環境にも配慮された時計ベルトです。
出典:https://www.morellato.jp/
型押しをすることで人工的に革の質感を作っているのがシンセティックレザーの特徴。
本革のように品質に差がでないため、個体差が殆どありません。
人工的であることから種類が豊富であり、クロコダイルやカーフ、オーストリッチなど、あらゆる本革の雰囲気を模したものが販売されています。
また本革と比べて圧倒的に安く購入できるため、経済的にも優しいです。
メリット | デメリット |
---|---|
水を弾くため汚れにくい | 本革よりも劣化が早い |
軽く、疲れにくい | 経年変化で艶がでない |
価格が安い | 安っぽく見える |
しかし、リーズナブルに買える分、本革ほどの高級感は持ち合わせません。
経年経過による艶もでないため、革製品がお好きな方にとっては物足りなさを感じるでしょう。
サテンベルト
サテンベルトはサテン生地で作られた光沢のある時計ベルトです。
主にレディース時計に採用され、その高級感は20代・30代の女性を中心に人気を博しています。
ヴァンクリーフ&アーペル アルハンブラ VCARD21900
サテンは革とは異ったクラシカルな雰囲気を漂わせる上質な素材。ボディに優しく沿ったキレイなシルエットを持ち、カラーバリエーションも豊富です。
近年はレディースウォッチに採用されることが多いようです。
また、肌触りが心地良く、体に優しいのもサテンベルトの特徴です。
価格も手ごろなため、何本も所持したくなります。
デメリットは繊細であるが故、摩擦に弱く変色しやすいということ。
雑に扱うとすぐに生地が傷んでしまうので、注意が必要です。
ウレタンベルト
ウレタンベルトは「水に強く衝撃に強い」というラバーベルトに似た特性を持つ時計ベルトです。
パーツそのものが柔らかいので、衝撃を吸収してくれます。
水を吸わないため錆びることがなく、ダイバーズウォッチに使われることが多いです。
パネライ ルミノール サブマーシブル 1950 BMG-TECH 3デイズ オートマティック PAM00692
高級時計ではパネライによく使われています。
ウレタンベルトが採用されているモデルは、ケースの雰囲気によく合うようにデザインされているため、実用性のみならずスタイリッシュな印象も与えます。
デメリットはラバーベルトとほぼ同様です。
ウレタンベルトは丈夫ではありますが、経年劣化が早いため、雑に扱うと汚れや破損が目立つ素材です。
また、カジュアルな印象が強いため、フォーマルシーンには不向きです。
キャンバスベルト
キャンバスベルトは帆布の生地が使われた時計ベルトのことです。
キャンバスベルトの特徴は何と言っても頑丈さです。航海を何日も続ける船の帆に使われていた歴史を持つだけあり、破れにくく布でありながらも水に強い特徴を持ちます。
濡れてしまったとしても色移りや色落ちが発生することもなく、ナチュラルで素朴な風合いをいつまでも保つことができます。
カジュアルシーンにぴったりな見た目をしており、20代・30代から特に人気です。
キャンバスベルトのデメリットは、他の素材に比べて「伸縮性」がほとんどないこと。
ゴワゴワして手触りとなるため、人によっては気になる方もいるでしょう。
また、見た目がカジュアルなので、ビジネスシーンの着用には向きません。
万能な使い勝手を求めるのであれば、一般的な革ベルトを検討した方が良いでしょう。
まとめ
一昔前と比較すると、時計ベルトの種類は驚くほど豊富です。
純正ベルトは勿論のこと、皮革専門メーカーのベルトも純正品と遜色ない仕上がりとなっています。
また、ラバーベルト・ナイロンベルトの品質もどんどん上がっており、時計愛好家の選択肢はどんどん広がりを見せています。
時計の楽しみ方に決まりはないので、皆様には是非様々なベルトで時計をコーディネートしていただければと思います。
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年