「オメガの人気機種の資産価値はどれくらい?」
「オメガの価格動向について知りたい」
近年、どの高級時計を選ぶかの選択基準が、変化が見られます。
「長く使っても価値が落ちづらい」「買った時よりも高く売れる」と言った、資産価値やリセールバリューを意識する、という購買傾向が散見されます。
そんな資産価値の高いブランドと言えばロレックスが常識でしたが、実勢価格が高騰しすぎて、これからの資産価値に期待して買う人にとっては旨味が少ないかもしれません。
そこでお勧めしたいのがオメガです。
ロレックスと並ぶ人気ブランドであり、近年相場の面で後塵を拝していると言えど、歴史やステータスをとってみても決してロレックスに引けを取りません。
東京オリンピックでタイムキーパーを努めたことも相まって、今後ますます需要を上げることは想像に難くないでしょう。
そんなオメガの価格動向について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
正確な予測は誰にもできませんが、数年間価値が落ちていないものは今後もキープ、あるいは高級時計市場の広がりとともに高騰する可能性が高くなります。
この記事ではオメガの人気モデルを中心に直近の価格動向を、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
価値が落ちづらい高級時計の条件についても解説しますので、高級時計の投資に興味がある方はぜひ参考にしてください。
※定価・相場は2023年1月現在のものとなります。また、本稿掲載の価格推移グラフは、当店GINZA RASINで販売した中古品価格をもとに各年の平均を算出しております。
目次
価値が落ちづらい高級時計の条件とは
時計に限らず、モノの値段には実勢価格(実売価格)と言うものがあります。
メーカー小売り希望価格(定価)に縛られず、需要と供給、あるいは海外輸入品であれば為替相場などに影響を受ける類の価格です。「相場」なんて言い方もしますね。
一般的に正規店以外の量販店ですとか、並行輸入店での価格は定価より安くなる傾向にありますが、生産量が著しく少なかったり、需要が集中したりする製品は実勢価格が高くなります。モノによっては、定価を大きく上回る実勢相場を描くことも・・・
この実勢相場が資産価値の正体です。
全ての製品に言えることではありませんが、機械式時計はメンテナンスをしっかり行えば、比較的長持ちする傾向にあります。
機械式時計は精密機器ですので、パソコンやカメラなどと同じように経年で価値は落ちていきます。しかしながら機械式時計は構造上、メンテナンスをしっかり行えば末永く愛用できるという利点があります。
こういった理由から二次流通市場(中古市場)が盛んで、使用後も高く売れやすい、すなわち資産価値を持ちやすい傾向にあります。
現在この「資産価値」を重要視する方が増えてきた、とは冒頭で述べた通りです。
しかしながら、全ての機械式時計が使った後に高値で売れるかというとそうではありません。ただやみくもに人気ブランドの人気モデルを買っておけば間違いない、というわけでもありません。
価値が落ちづらい、あるいは今後相場が上がる時計というのは、以下の条件を満たしているものがほとんどです。
■品質が良く、経年による劣化が少ない・メンテナンスすれば長持ちする
■長年にわたって人気がある(一過性の人気で終わらない)
■時計としての性能が高い
この条件を満たしているのは、ロレックスやオメガ、タグホイヤーにブライトリング、IWCなどと言った、長年愛され続けてきたブランドです。
特にロレックスの近年の実勢相場の上昇は凄まじいものがあり、50年前のモデルが100万円オーバーで売買されている現状です。
ただ、ロレックスほどの実勢相場は非常に稀有な存在となり、なかなかありません。
とは言え、上記の条件を満たし、ロレックスほどとはいかないまでもリセール時に高値が付きやすいブランドの代表格がオメガです。
品薄続きのロレックスを買えない顧客がオメガに流れたとも、ヴィンテージ人気が上がったため歴史のあるオメガが注目されたとも、高級時計市場が拡大していく中でオメガが再評価されたとも、様々な要因が囁かれています。オメガ自体の時計が完成していることも大きいのでしょう。
兎にも角にも、オメガの価格が上がっています。
ただ、 オメガはシリーズが豊富で、さらにその中でたくさんの派生モデルがラインナップされています。
ご購入の際は「これだ!」と思うもの、ご自身の感性に訴えかけてくるものをお選びいただくのが一番ですが、こと資産価値ともなると全てのモデルが高いわけではありません。
資産価値の高いオメガを見極めるには、スピードマスター・シーマスターなど定番からお選びいただくこと(限定モデルの方がその稀少価値から相場高騰しやすいですが、限定品はそもそも既に高騰しすぎていたり、手に入りづらかったりする)。
そして、近年の実勢相場の動向を確認し、高値キープしているもの、あるいは上昇ラインを描いているものをチェックすることが大切です。
さらに、オメガは歴史のあるブランドのため、ロレックスと同じように過去のモデルが高い相場を描いています。
以上を踏まえたうえで、オメガの新旧定番モデルを中心に、ここ数年の価格動向をご紹介いたします。
オメガ価格動向調査2023~スピードマスター~
オメガのフラグシップ・スピードマスター。
NASAの公式装備品として月面着陸に携えられたというストーリー性もさることながら、長年大きくは変わらない定番の外装が愛され続ける要因となっております。
ロレックスのデイトナと同世代であり、デイトナと並んでスイス時計界を代表する銘クロノグラフとなります。
①スピードマスター プロフェッショナル 311.30.42.30.01.005
型番:311.30.42.30.01.005
定価:605,000円
製造期間:2014年~2021年
文字盤:黒
ケースサイズ:42mm
過去の価格推移はこちらです。
年 | 付属品 | 平均相場 |
2017年 | 箱/保証書 有 | 354,000円 |
2018年 | 箱/保証書 有 | 370,000円 |
2019年 | 箱/保証書 有 | 385,000円 |
2020年 | 箱/保証書 有 | 435,000円 |
2021年 | 箱/保証書 有 | 553,000円 |
2022年 | 箱/保証書 有 | 562,000円 |
スピードマスターとひとくちに言っても様々なモデルが存在するのはご存知の通りですが、こちらの黒文字盤&黒ベゼル×手巻きクロノグラフである「プロフェッショナル」が最もオーソドックスな一本となります。「ムーンウォッチ」の名前でも知られていますね。
そして、デイトナに次ぐ銘クロノグラフ、と申し上げましたが、資産価値に関して言えばやはりデイトナに次ぐ存在感を確立しています。
上の価格推移表を見ていただければおわかりいただけるでしょうが、2020年を境に一気に相場を上昇させています。
このスピードマスター プロフェッショナルは2014年に誕生しているのですが、過去5年の間で多少の上下はあるものの、新品並行相場はほとんどずっと30万円台後半を維持し続けてきました。しかしながら2019年にジワジワと右肩上がりを続け、同年末には40万円の大台を突破。現在はそのまま高値維持し、現在は中古であっても50万円台が当たり前といった状況です。
これは、時計業界では非常に稀有な状況と言えます。
もともとオメガ自体がミドルクラスといった立ち位置のため、デイトナと比べると安くはなります。定価超えというわけではありません。
しかしながら、ずっと価値を保ち続けるばかりか、さらに相場を上昇させるポテンシャルを持つ。これはつまり、安定して高い需要を誇る、ということを意味しています。
とは言え最近のスピードマスター プロフェッショナルの価格高騰には、二つ大きな要因があります。
まず一つ目は、オメガに対する需要の急成長です。
この背景には、現在も影響が色濃い新型コロナウイルスの存在があります。
と言うのも、コロナ禍でレジャーや飲食行動が制限された結果、時計・宝飾品や自動車などといった高級品が消費の受け皿となり、結果として高級時計市場も急成長。オメガはもともと人気のあるブランドでしたが、そのファンがいっそう増えており、実勢相場も需要に比例して上昇を続けているのです。
コロナ禍当初はロレックスやパテックフィリップ、オーデマピゲが相場高騰の中心でしたが、現在ではオメガやウブロ、パネライなどといった比較的安定的なブランドにも波及することとなりました。
そして二つ目の理由として挙げられるのは、現行スピードマスター プロフェッショナル Ref.311.30.42.30.01.005の生産終了です。
オメガは2021年3月、スピードマスター プロフェッショナルの新型を発表しました。デザインコードはほとんど踏襲されましたが、ついにコーアクシャル×マスタークロノメーター手巻きクロノグラフムーブメントCal.3861を搭載。最新テクノロジーを備えたスピードマスター プロフェッショナルとして君臨することとなりました。
まだ生産終了となったばかりですが、旧型の流通が少なくなる前に買っておきたいという需要の増加により、実勢相場が比例して上がっていると考えられます。
ちなみになぜこの段階でモデルチェンジとなったか。その秘密はムーブメントにあります。
スピードマスター プロフェッショナルは、伝統的に手巻きクロノグラフムーブメントが搭載されています。老舗ムーブメントメーカー「ヌーベル・レマニア社(現在はブレゲに統合)」が製造した機械をベースに、初代~第四世代に搭載されたCal.321⇒第五世代のCal.861⇒第六世代以降のCal.1861(またはCal.1863)へと変遷を辿ってきました。
出典:https://www.omegawatches.jp/ja/
そうして2019年、オメガはさらにこのレマニアベースの手巻きクロノグラフを熟成させた、Cal.3861を発表します。
新ムーブメントの大きな特徴は、今やオメガのスタンダードともなっている最新機構「コーアクシャル×マスタークロノメーター」を搭載したこと。
※コーアクシャル…オメガが1999年から採用し始めた新しい脱進機。2007年以降、自社開発ムーブメントで順次採用を進めている。大きな特徴としてはパーツ同士の摩耗が少なく、従来ムーブメントのオーバーホール期間を大幅延長する、というもの。
※マスタ―クロノメーター…オメガがスイス連邦計量・認定局(METAS)と共同で制定した時計の品質規格。主にコーアクシャルムーブメントのための工業規格であったが、COSC認定の高精度であることはもちろん、15,000ガウスもの高耐磁性能が基準となっていることから、業界内でもきわめて高い注目度を有している。
従来、コーアクシャル×マスタークロノメーターは自動巻きムーブメントを中心に搭載されてきました。しかしながら人類史上初となる月面着陸を果たしたアポロ11号の50周年にあたる2019年、満を持して同機構搭載のCal.3861をローンチした形となります。
なお、現在はまだCal.1861搭載のRef.311.30.42.30.01.005は販売されています。後継機はリリースされていません。
しかしながら今後、オメガはコーアクシャル×マスタークロノメーターのCal.3861の方を基幹モデルに据えてくると考えられ、時期はわかりませんが、ついに世代交代-すなわち現行の生産終了がそこかしこで取り沙汰されているのです。
オメガはロレックスのように、生産終了モデルの相場が急騰する、といった現象はそう多くはありません(限定モデルの急騰はよくありますが)。しかしながら2019年~2020年にかけてCal.3861のリリースと併せてCal.321の復刻,新作スヌーピーモデルの発表,そしてアポロ13号50周年やシルバースヌーピーアワード50周年(詳細は後述)を祝した大々的なプロモーションが功を奏し、スピードマスターへの時計ユーザーの熱視線がよりいっそう高まったことは事実。
にもかかわらず、前述した流通量の減少が需要をまかなうことができず、相場が上がっていったのでしょう。
2023年、後継機のスピードマスター プロフェッショナルがさらに出回ると、また相場情勢は変わってくるかもしれません。
しかしながら現行スピードマスターの根強い需要は、資産価値を考えて時計を購入するうえでは非常に大切な要素です。一過性の人気で終わらずずっと需要があるので、今後も数年間使用した後でも売却しやすいということを意味しています。
多くの時計専門店も在庫があれば売れるモデルと認識していますので、常時積極買取をしていることが多く、この傾向がすぐに変わるとは考えづらいです。
このモデルは時計としても本当に完成されていますので、初めてオメガを買う。あるいはどのモデルにしていいか決められない。そんな方にはまずこちらをお勧めしております。
スピードマスター プロフェッショナル 311.30.42.30.01.006
型番:311.30.42.30.01.006
定価:715,000円
製造期間:2014年~2021年
文字盤:黒
ケースサイズ:42mm
過去の価格推移はこちらです。
年 | 付属品 | 平均相場 |
2017年 | 箱/保証書 有 | 429,000円 |
2018年 | 箱/保証書 有 | 433,000円 |
2019年 | 箱/保証書 有 | 456,000円 |
2020年 | 箱/保証書 有 | 512,000円 |
2021年 | 箱/保証書 有 | 612,000円 |
2022年 | 箱/保証書 有 | 652,000円 |
先ほどご紹介した311.30.42.30.01.005と同じ外装で、型番末尾だけが異なるこちら。
前述したモデルは裏蓋がメタルバックであることに対し、当モデルはシースルーとなったハイエンドのスピードマスターとなります。
また、311.30.42.30.01.005は往年のスピードマスターを踏襲しているためにプラスティック風防が用いられていますが、Ref.311.30.42.30.01.006のこちらは表裏ともにサファイアクリスタルガラスが使用されています。
こちらも2014年に発売されて以来、高値キープの後大きく値上がり。特に2019年はアポロ11号計画による月面着陸50周年ということもあり、引き続き需要が集中している状態です。当店でも、入荷するとすぐに売り切れてしまうモデルのうちの一つです。
さらに2020年以降のオメガ人気の急成長やモデルチェンジから、値上がりは加速していると言っていいでしょう。
ちなみにRef.311.30.42.30.01.006の方に使われているムーブメントはCal.1863です。これはCal.1861とほぼ同一ですが、シースルーバックから「魅せる」仕様としているため、一部のパーツカラーが異なっています。つまり、Cal.1863もまたCal.3861に引き継がれており、今後の生産動向から目が離せない一つとなります。
Ref.311.30.42.30.01.005も311.30.42.30.01.006も、定価から大きくかけ離れた実勢相場・・・というわけではありません。
しかしながら、そもそもオメガはかつては「並行輸入店にオメガ自身が時計を流している」なんて噂もあったくらい並行価格が割安なブランドで、定価の半分ほどで売買されているモデルも少なくありません。
そう考えれば、スピードマスターは非常に価値が高いモデルであることがわかります。
ちなみに買取率(換金率)も高く、定額買取価格は311.30.42.30.01.006の方で45万円(2023年1月現在、状態による)。つまり、以前40万円台後半で買ったものを今売ったと仮定すると、ほぼ100%買った金額が返ってくる、ということになります。
311.30.42.30.01.005の方の定額買取価格は40万円(2023年1月現在、状態による)。やはり以前に40万円くらいで買ったものを売ると、こちらもほぼ100%の換金率が見込めます。
もちろん状態や付属品の有無などにもよりますが、スピードマスター プロフェッショナルの高い資産価値を表すエピソードの一端と言えるでしょう。
③スピードマスター ムーンウォッチ マスタークロノメーター 310.30.42.50.01.001
型番:310.30.42.50.01.001
定価:880,000円
製造期間:2021年〜
文字盤:黒
ケースサイズ:42mm
310.30.42.50.01.001は2021年にリリースされたスピードマスターの新たなる基幹モデルです。
従来のスピードマスターと同じく、ヘサライトガラス(プレキシガラス。プラスティック風防の一種)にソリッドバック仕様となっており、オリジナルモデルの意匠を忠実に再現しています。デザインは1964年に製造されたスピードマスター第4世代をベースに、細部を現代のスペックに合わせてブラッシュアップ。文字盤に外周・内周で段差が設けられており、フラットなイメージの強かった顔立ちに立体感が加わっています。
発表は2021年明けてすぐでしたが、実際の出回りは5月頃から。当店での入荷実績はまだ少ないものの、じょじょに流通してきており、現在並行相場は新品で70万円台前後~。
なお、オメガは2022年2月、次いで7月末に価格改定を行っており、ローンチ当初は737,000円だった定価が814,000円(2022年2月)⇒880,000円へと変遷しております。ロシア・ウクライナ情勢によって貴金属や原油などといったコストが上昇し、また円安も手伝って、各メーカーで定価値上げラッシュが続く昨今。定価がすぐに実勢相場に直結するわけではありませんが、並行輸入店にとっても新品を中心に仕入れ値が上がっていること。加えてスピードマスターの世界的な需要は高まり続けていることから、今後も高値は続く傾向にあると言えるでしょう。ちなみに2023年2月にも定価改定が予定されております。
④スピードマスター ムーンウォッチ マスタークロノメーター 310.30.42.50.01.002
型番:310.30.42.50.01.002
定価:990,000円
製造期間:2021年〜
文字盤:黒
ケースサイズ:42mm
310.30.42.50.01.002も、2021年に新たにコレクションに加わった新作モデルです。こちらはサファイアクリスタルガラスにシースルーバック仕様となっており、満を持して搭載されたマスタークロノメーターの精密な動きを堪能することができます。
なお、310.30.42.50.01.002に関してはロゴがアプライドへと変更になっており、より高級感を味わえるようになりました。
コーアクシャル×マスタークロノメーター手巻きクロノグラフムーブメント「Cal.1861」が採用されたことにより、実用性も格段に向上しています。
新品並行価格は発売から1年以上が経過する今なお80万円台前半~で推移しており、高値傾向。ちなみにこちらも、初出時は847,000円でしたが二度の価格改定によって924,000円(2022年2月)⇒990,000円へと変遷しております。
スピードマスターの基幹モデルとしては最も高い相場を誇るモデルとなると、やはり今後の動向から目が離せません。
⑤スピードマスター ムーンウォッチ ムーンフェイズ 304.30.44.52.01.001
型番:304.30.44.52.01.001
定価:1,441,000円
製造期間:2016年~
文字盤:黒
ケースサイズ:44.2mm
過去の価格推移はこちらです。
年 | 付属品 | 平均相場 |
2017年 | 箱/保証書 有 | 780,000円 |
2018年 | 箱/保証書 有 | 799,000円 |
2019年 | 箱/保証書 有 | 759,000円 |
2020年 | 箱/保証書 有 | 797,000円 |
2021年 | 箱/保証書 有 | 824,000円 |
2022年 | 箱/保証書 有 | 980,000円 |
モデル名に「プロフェッショナル」が入っていないスピードマスターは、基本的には自動巻きクロノグラフとなります。
さらにこちらはムーンフェイズ機能がついた、ハイエンドラインです。6時位置にリアルな月が浮かび上がっており、非常に美しい一本として話題です。
上記の価格推移表の通り、ずっと高い状態をやはりキープしている一本となりますが、資産価値が高いと言える大きな理由があります。その秘訣は、機構です。このモデルは、ムーブメントに「コーアクシャル」および「マスタークロノメーター」を採用したものなのです。Cal.1861の項でも言及しているように、これらはオメガが今力を入れている、画期的な機構と言えます。
資産価値を意識してオメガの時計を買う時、自動巻きモデルであれば「コーアクシャル」「マスタークロノメーター」の記載があるものをご購入いただくことをお勧めいたします(現在はコーアクシャル機構を搭載した手巻きムーブメントもリリースされたことは前述の通りですが、手に入りやすさは自動巻きが圧倒的です)。
簡単におさらいすると、「コーアクシャル」はムーブメントのパーツ同士の摩耗を最小限に抑え、オーバーホールの回数を軽減したもの。マスタークロノメーターはオメガとMETAS(スイス連邦軽量・認定局)が協同開発した時計の製品規格で、主にコーアクシャルムーブメントが検査の対象となりますが、最たる特徴は耐磁性能を15,000ガウスに高めたものだけを認定機とした厳格性です。
これら機構は現在はオメガ独自となっており、時計の性能を飛躍的に高めたと大きな話題となりました。
出典: https://www.omegawatches.jp/ja/
つまりこの機構があるということは、経年劣化が最小限に抑えられるということ!
時計を売る時、ムーブメントの状態は査定に大きな影響を与えます。前述の通りロレックスにしろオメガにしろ、過去モデルの価値が著しく上昇していますが、よっぽどのレア個体でもない限りムーブメントがダメだと価値はつきづらいです。逆にムーブメントの状態が良好であれば、そのまま普段使いができるので、高値で売却しやすくなります。
コーアクシャルとマスタークロノメーターはこの点では非常に大きな利点であると言えます。イニシャルコストはオメガの従来品と比べると高くなりますが、ずっと愛用し続けた後でも、ある程度の価格で売れるというメリットを考えれば、かなりお得と言っていいでしょう。
価値が急騰している旧型スピードマスター
現在、現行スピードマスターを凌ぐ勢いで相場を上げているのが過去のモデルの数々です。特にここ2~3年の上昇率はロレックスに次いで目を見張るものがあります。
スピードマスターは1957年が初出と、60年以上の歴史を持つため、その中でアップデートが加えられてきました。
普通は「最新こそ最高」ですが、機械式時計は伝統工芸品のような側面を持ちます。そのため、過去のモデルが評価されて、当時数十万円であったものでも、現在は100万円を超える価値を持つ、なんてことが結構あるのです。
スピードマスターもそんな伝統工芸のうちの一つ。そもそも、月へ行ったという歴史が、コレクターズアイテムになりやすく、結果として過去モデルに需要が集まります。
スピードマスターの初期モデルは製造期間が短いこともあり、100万円をゆうに超える超高騰品に進化しています。この価格帯のモデルをぽんと買うには勇気がいりますね。
でも、「ある程度の流通量があり」かつ「ジワジワと値上がり」しているモデルがいくつかあるので、ご紹介いたします。
スピードマスター 下がりr
まず、「下がりr」と呼ばれるスピードマスター。
型番:ST145.022(一部限定モデルなどにも同仕様が見られる)
製造期間:1968年~1990年代(スピードマスター第五世代)
参考価格:40万円台後半~
スピードマスターは60年以上の歴史の中で、大きく分けて6つの世代に分類されることが一般的です。ちなみに現行は第六世代です。
この現行の一つ前にあたる第五世代は1968年から1990年代まで続いており、搭載ムーブメントがCal.321からCal.861へと変更されたことは周知の通りですが、外装の変化も非常に顕著でした。
通称「下がりr」とはその変遷の中にあたるもので、文字盤12時位置のspeedmasterロゴの、最後部スペル「r」の書体が下に伸びているモデル。Sも縦に伸びていて、レトロ感が満載です。
下の文字盤が「下がりr」です。
リファレンスで言うとST145.022にあたり、製造期間は1970年頃~1990年頃と、結構長生き。そのため、他のヴィンテージオメガと比べて、比較的価格が安定しているとかつては言われていました。
中古品はレア仕様やブランド価値のみならず、コンディションでも大きく価格が左右されるので一概に具体的な相場を語ることはできませんが、2016年頃までは30万円以下、コンディションによってはそれを大きく下回る価格で売買されていました。
しかしながらこの5年で一気に上昇。今では40万円台後半~が当たり前で、モノによっては70万円~100万円台の個体まで存在します。
要因としては、オメガ人気が上昇しフラグシップであるスピードマスター需要が増したこと。そして「製造期間が長いから流通量が豊富」と言われてきたものの、実際はクォーツに押されていた時代のモデルであるため製造量が思ったほど多くはなく、良好なコンディションを維持している個体を見つけることが困難になってきたことが考えられます。事実、お探しのお客様は多い一方で市場の流通が最近もっぱら少ない状況。
今40万円で売られていたとしても、今後さらに数万あるいは10万円以上値上がりするかもしれません。ちなみに既に流通量は減少し始めており、この値上がりの兆しが垣間見えている現状です。
なお、以前の値段で下がりr仕様のスピードマスターをご購入された方は、今査定に出してみてもいいでしょう。思わぬ査定額が提示されるかもしれません。
スピードマスター マークII
型番:ST145.014
製造期間:1969年~1970年代
参考価格:約30万円台~約50万円
セイコーから「アストロン」と名付けられたクォーツが発表されて以来、機械式時計メーカーはあらゆる対抗策を打ち出してきました。
この対抗策のうちの一つが、「バリエーションを豊富にする」というものがあります。今でこそオメガはたくさんのデザイン・素材のモデルをラインナップしていますが、実はその最初の流れがこちらの「マークII」です。
基本構造はそのままに、流麗なケースや特徴的な文字盤デザインを採用し、新しいスピードマスターとしてその後の多彩なバリエーションを発展させるに至りました。
こういった背景、および当初は今一つ人気が出ずあまり製造されなかったため稀少性が高いことから、価格高騰。現在高いものだと、50万円をゆうに超える相場を描いています。
ただ、このマークII人気に火をつけたのは、2014年にリバイバルとしてリリースされた327.10.43.50.06.001の功績によるところが大きいです。
※2014年に発売されたマークIIのリバイバル 327.10.43.50.06.001
そのため327.10.43.50.06.001も比較的高値で売買されていましたが、誕生からしばらくは40万円前後。しかしながらここ二年ほどは若干値上がりを見せており、現在は45万円前後となりました。オメガ人気と合わせてどんどん価格を上げていくかもしれませんね。
スピードマスター プロフェッショナル スヌーピーアワード 3578.51
型番:3578.51
製造期間:2003年~限定5441本生産
参考価格:約300万円前後
スピードマスターには、スヌーピーが描かれたモデルがあることをご存知でしょうか。
実はスヌーピーはNASAの「安心・安全を象徴する」公式マスコットキャラクターです。1967年、最初の有人飛行のため訓練をしていたアポロ1号の火災事故で、3名の宇宙飛行士が犠牲となりました。そんな過ちを二度と犯さないことを誓う意味でも、スヌーピーをその象徴として据えました。同時にNASAのミッションの成功や安全に大きく寄与した際に贈る「シルバー・スヌーピー・アワード」を制定し、NASAとスヌーピーの深い関わりが育まれてきました。
そうしてスピードマスターもまた、1970年にシルバー・スヌーピー・アワードを獲得しています。これは、同年のアポロ13号ミッションで酸素爆発という危機に見舞われた際、スピードマスターのクロノグラフで運命の「14秒間」を正確に計測できたことに由来します。
こういった経緯からスピードマスターは過去三種の「スヌーピーアワード」のスペシャルエディションをリリースしました。時計愛好家の間では、スヌピマスなんて愛称でも親しまれています。
いずれも限定モデルであったことから市場での稀少性がきわめて高く、プレミア化が進行しているのですが、そんな中でも特に著しいのがこちら。スヌーピーアワード第一弾として発表されたモデルです。
誕生当初から話題性はありましたが、定価は36万円ほどと決してハイエンドモデルではありません。2010年前後ですら、定価よりわずかに高い程度の価格でした。
しかしながら限定5441本(アポロ13号の活動時間である142時間54分41秒に由来)という稀少性、そして海外で非常に高い評価を得ていたこともあり、一気に高騰。
特に2017年に入ってからが顕著で、今では300万円前後という高値を記録するに至りました。もし幸運にも10年前に定価で手に入れた方がいたら、大きな売り時を迎えていると言えるでしょう。
ちなみに2020年、シルバー・スヌーピー・アワード獲得50周年と言うことで、新しいスヌーピーモデルが誕生しました。こちらはまだ国内デリバリーは現時点では始まっていないようですが、プレスリリースの時点で圧倒されるような大きな話題となっています。限定生産ではないとのことですが出来栄えの見事さから量産は考えづらく、過去のスヌーピーモデル同様のプレミア化が予測できます。
この新作人気に引っ張られて、歴代スヌーピーモデルの相場高騰―あるいは初代スピードマスター並みの相場を築くかもしれません。
数あるスピードマスターの中でも、非常に注目度の高い逸品です。
ただし、オメガの過去モデルをご購入される方に、よく注意してほしい点があります。
それは、オメガはリダンやパーツ変更が結構気軽に行われているということ。
これは個人でやるものもあれば、オメガが正規メンテナンスを受けた際に、あるいは時計修理業者が修理の際に行っているものもあります。
リダン(文字盤やインデックスの補修のこと)はあまりお勧めできませんが、パーツ交換は時計を末永く使い続けるために必要な措置であることがほとんど。そのため一概に悪いとは言えないのですが、アンティーク品などはオリジナルに手が加えられてしまっているとみなされ、値段が著しく下がるケースがあります。
ロレックスなどは非常にオリジナルを大切にすることが広く知られているのですが、オメガもそうだったの?なんて声を聞くことがあります。
資産価値を意識してオメガを購入する際は、信頼できる時計店を選択し、オリジナルが活かされているかどうかをしっかり確認してください。
オメガ価格動向調査2023~シーマスター~
スピードマスターと並んで人気があり、定番であり、加えて価値が落ちづらいと言えばシーマスターです。
オメガのダイバーズウォッチで、防水性などといった面で高いスペックを持ちながらも、スポーティーなだけではない、エレガンス&ビューティーなデザイン性が人気の秘訣でしょう。
スピードマスターに比べると生産量は多いので超高騰、というわけではありません。派生モデルも多いです。
しかしながらダイバーズウォッチという性質上、スピードマスターを超える堅牢性・気密性、そして現行では常時コーアクシャル×マスタークロノメーターを搭載するというハイスペックさから、経年に強く、時計界を広く見渡しても上位クラスのリセールバリューを持っていると言って過言ではありません。
①シーマスター 300M マスターコーアクシャル 233.30.41.21.01.001
型番:233.30.41.21.01.001
定価:748,000円
製造期間:2014年~2021年
文字盤:黒
ケースサイズ:41mm
過去の価格推移はこちらです。
年 | 付属品 | 平均相場 |
2017年 | 箱/保証書 有 | 439,000円 |
2018年 | 箱/保証書 有 | 461,000円 |
2019年 | 箱/保証書 有 | 438,000円 |
2020年 | 箱/保証書 有 | 490,000円 |
2021年 | 箱/保証書 有 | 505,000円 |
2022年 | 箱/保証書 有 | 528,000円 |
シーマスターの中で、最も実勢相場を上げていると言えばコレ!かなり熱いモデルです!
実はスピードマスターとシーマスター、そして鉄道時計にあたるレイルマスターというモデルは全て1957年に「マスター三兄弟」とし誕生した経緯を持ちます。シーマスター自体は1948年に発表されていましたが、プロフェッショナルダイバーズウォッチとしてはこの年が元年。
この当時のモデルをリバイバルする、というコンセプトのもと2014年に誕生したのがこちらのシーマスター300となります。
※初期シーマスター
ちなみに全く同じというわけではなく、ディテールやスペックは現代風にリファインされています。でも、現行の多くのシーマスターとはまた違った、非常にヴィンテージ溢れるテイストに、まず目が惹かれるのではないでしょうか。
初代意匠らしい黒ベゼル×黒文字盤というシンプルなデザイン、太めのアロー針、視認性を優先したインデックスなどがアクアテラやダイバー300などとはまた違った味わい深さとして、時計愛好家から高い評価を受けているのです。
ファッション業界全体で「クラシック回帰」というトレンドが席捲していることもまた、評価の大きな要因でしょう。
ちなみに60周年記念として2017年に限定でスペシャルエディションがリリースされているのですが、そちらも基本デザインはこちらの233.30.41.21.01.001 と同様です。
では、気になる価格推移はどうなっているのか。
価格推移表を見ていただければおわかりいただけますが、高値をキープしています。
だいたい40万円台後半を推移してきたと言えますが、2020年8月以降は流通量の低減によって相場が急騰しております。
現在中古相場は50万円台半ば~。なかなかの高値で取引されています。
当店でも人気を維持し続けており、入荷しても即完売。オメガ屈指の回転率を誇り、ここ2~3年ほどはスピードマスター プロフェッショナルと競りつつオメガの中でナンバーワン・ツーの売上を堅持してきました。まるでデイトナのような人気っぷりと言っても過言ではないでしょう。
さらにはこちらのシーマスター300もモデルチェンジが発表されており、今後さらに価格を上げていく可能性も…!
欲しい方は、出会った時にご購入されることをお勧めしたします。
②シーマスター 300M マスタークロノメーター 234.30.41.21.01.001
型番:234.30.41.21.01.001
定価:891,000円
製造期間:2021年〜
文字盤:黒
ケースサイズ:41mm
スピードマスターと同じく、シーマスター300も2021年に新モデルが登場しています。
その名もマスタークロノメーター 234.30.41.21.01.001。
ヴィンテージな意匠はそのままに、「コーアクシャル マスタークロノメーターCal.8912」が搭載されました。
デザインの特徴としては、何枚かの文字盤を層にして重ねた文字盤「サンドイッチダイアル」が採用されていること。
秒針にはロリポップ針があしらわれ、従来のシーマスター300とは異なる魅力を持ち合わせます。
現在の並行新品相場は70万円台前半~。
人気モデルであることから、定価とさほど価格の差はありません。
なお、スピードマスター同様、新型シーマスター300も初出時の定価は770,000円でした、その後825,000円(2022年2月)⇒891,000円に値上がりを果たしております。
③シーマスター 300M マスターコーアクシャル 234.32.41.21.01.001
型番:234.32.41.21.01.001
定価:847,000円
製造期間:2021年〜
文字盤:黒
ケースサイズ:41mm
234.32.41.21.01.001はシーマスター 300M マスターコーアクシャルのレザーブレスレットモデルです。
ブラウンカーフレザーをベルトにあしらい、ヴィンテージ感あふれる意匠に仕上げられています。
こちらは定価847,000円(初出時は726,000円)ですが、並行相場は現在65万円台で推移。
メタルブレスレットよりも高騰が緩やかであるため、お買い求めやすいプライスとなっております。
④シーマスター ダイバーズ300M 210.30.42.20.01.001
型番:210.30.42.20.01.001
定価:748,000円
製造期間:1993年~(2018年にモデルチェンジ)
文字盤:黒
ケースサイズ:41mm
過去の価格推移はこちらです。
年 | 付属品 | 平均相場 |
2019年 | 箱/保証書 有 | 463,000円 |
2020年 | 箱/保証書 有 | 447,000円 |
2021年 | 箱/保証書 有 | 473,000円 |
2022年 | 箱/保証書 有 | 555,000円 |
先ほどご紹介したシーマスター300とこちらのダイバー300M、かなり様相が違うな、と思う方もいらっしゃるでしょう。
実は、シーマスターはスピードマスターと比べて、派生モデルが大変多いシリーズでもあります。いずれも高い人気を誇りますが、最も「定番」と言えるのはこちらのダイバー300Mでしょう。
文字通り「300M防水に特化したシーマスター」であり、逆回転防止ベゼルやインデックス・針に塗布された夜光塗料などが、プロユースのダイバーズウォッチとなっております。
一方でケースやブレスレットが肉厚すぎないため、スタイリッシュな印象も併せ持つオシャレスポーツモデルでもあることは特筆すべき点です。
ちなみに2018年に誕生25周年を迎えてデザインが一新されました。文字盤仕様が変わったり、ケースサイズが41mm(一部36mm)から42mmへアップサイジングされたりと、より現代的なダイバーズウォッチへと移行を遂げました。
ただし、文字盤カラーや素材のバリエーションが豊富なため人気が分散しやすい傾向にあります。そのため派手な相場高騰…と言ったモデルでないこともまた事実。
例えば上記の価格推移グラフは黒文字盤ですが、下記は青文字盤 Ref.210.30.42.20.03.001です。
どちらも人気のあるモデルですが、相場に関しては黒文字盤も青文字盤もほぼ同等となっています。
年 | 付属品 | 平均相場 |
2019年 | 箱/保証書 有 | 442,000円 |
2020年 | 箱/保証書 有 | 420,000円 |
2021年 | 箱/保証書 有 | 471,000円 |
2022年 | 箱/保証書 有 | 523,000円 |
シーマスター ダイバー300Mは流通量も多いため、入手しやすさという面でも利点があると言えるでしょう。
とは言え前述の通り、新型コロナウイルスの影響で一時生産がストップしたことから新品製品が減り、今後ますます相場が上がることは十分予想されます。
なお、2018年のモデルチェンジで、基本的にシーマスター ダイバー300Mの現行モデルはコーアクシャル×マスタークロノメータームーブメントが搭載されることとなりました。これまたスピードマスターの項でも言及しましたが、オメガ独自で採用している脱進機と工業規格となり、簡単に言うと「パーツ摩耗の低減⇒耐久性&寿命アップ」「きわめて高い耐磁性」が特徴的なムーブメントでしたね。
そのため定価が上がっており、2018年より前の旧型と比べると相場推移も高め(2020年にいったん相場が下がっているように見えるのは発売から二年が経過して、中古品の販売も増えたため。また、この年は新型コロナウイルスの影響で、一時的に高級時計の買い控えが起こったことも影響しています)。しかしながらその分性能は確実にアップしているので、使いやすさ・経年による劣化のしづらさは強化されたと言えるでしょう。
⑤シーマスター アクアテラ 150M 220.10.41.21.03.002
型番:220.10.41.21.03.002
定価:792,000円
製造期間:2017年~
文字盤:青
ケースサイズ:41mm
過去の価格推移はこちらです。
年 | 付属品 | 平均相場 |
2018年 | 箱/保証書 有 | 434,000円 |
2019年 | 箱/保証書 有 | 412,000円 |
2020年 | 箱/保証書 有 | 421,000円 |
2021年 | 箱/保証書 有 | 460,000円 |
2022年 | 箱/保証書 有 | 498,000円 |
アクアテラは150m防水と、シーマスターの中ではエレガンス寄りのシリーズです。ダイバーズウォッチに付き物の逆回転防止ベゼルは持たずケースの厚みも少なく、スーツの袖口からも悪目立ちしないとあって、汎用性の高さを誇ってきました。
かつては安価なクォーツモデルなどもラインナップされており、「オメガの入門機」といった印象でした。もちろん現在も価格面や手に入れやすさ、そして使いやすさから初めてのオメガとしてもお勧めですが、資産価値の高さでも注目を浴びています。
と言うのも、オメガの中でも比較的早い段階から全てのモデルにコーアクシャル&マスタークロノメーターを取り入れたシリーズであり、その時計としての性能の高さは多くの時計業界人が墨をつけるところなのです。
現行モデルは2017年が初出とあって、ご祝儀価格を経た後、若干相場は落ち着いていますが、それでも高値安定。ここ数ヶ月は高騰傾向にあり、人気の高さは健在です。
性能が良いためリセールしやすく、また安定した需要を誇ることから多くの時計専門店が常時積極買取を行っています。
なお、上記価格推移表はケースサイズ41mmモデルとなりますが、38mmもラインナップされています。
人気や相場は38mm・41mmで大きくは変わりませんが、近年クラシック回帰の一環で小径ケースが流行っているせいか、若干38mmモデルの方が人気があります。
⑥シーマスター プラネットオーシャン 600M 215.30.40.20.01.001
型番:215.30.40.20.01.001
定価:891,000円
製造期間:2016年~
文字盤:黒
ケースサイズ:40mm
過去の価格推移はこちらです。
年 | 付属品 | 平均相場 |
2017年 | 箱/保証書 有 | 467,000円 |
2018年 | 箱/保証書 有 | 485,000円 |
2019年 | 箱/保証書 有 | 487,000円 |
2020年 | 箱/保証書 有 | 498,000円 |
2021年 | 箱/保証書 有 | 531,000円 |
2022年 | 箱/保証書 有 | 624,000円 |
オメガのシーマスターシリーズ。ダイバー300、アクアテラときたら、プラネットオーシャンの存在も忘れてはいけません。
600mとシーマスターの中でも非常に高い防水性を誇るモデルで、実際のプロダイバーの使用を前提とした超ハイスペックが自慢の逸品です。
こちらもアクアテラ同様、2016年という早い段階からコーアクシャル&マスタークロノメーター採用に意欲的でした。それに加えてかなり深い海にも耐えうる堅牢性とあって、「長持ちする」と話題の一本でもあります。
そんなプラネットオーシャンですが、発売以来、高い相場を維持し続けてています。
ダイバーズウォッチはその性質上、夏場に需要が集中した後冬場に下がる・・・といった傾向を描きやすいのですが、夏場が過ぎた今なお上昇を続けています(もっとも、これまた流通量の問題も小さくない影響を受けていますが)。
プラネットオーシャンはハイエンドラインということもありアクアテラほど流通量が多くないため、高値を維持しやすいのでしょう。
資産価値を気にする方はもちろん、一生の相棒にしていけるような時計が欲しい。そんな方にも自信を持ってお勧めしたいオメガウォッチです。
なお、プラネットオーシャンもバリエーションがあり、ブルー文字盤より黒の方が若干相場が上となります。
また、43.5mmサイズの大型プラネットオーシャンもありますが、アクアテラ同様、最近は小径ケースにあたる40mmモデルの方が高値です。
まとめ
オメガの定番シリーズにあたるスピードマスター、シーマスターを主軸に、直近の価格動向の調査結果をご報告いたしました!
文中でもご紹介したように、近年高値傾向、あるいは相場が上昇しているモデルは今後も安定した資産価値を誇る可能性が高いと言えます。一過性で終わらない安定した需要があるため。そして近年高級時計市場はますます拡大しており、今後需要がさらに増大して相場を上げることを想像するのは難しくありませんね。
まだロレックスほど値上がりはしてない。
でも、安定した資産価値を持つ。
こういった側面から、オメガは買って良し、売って良しのブランド時計と言えるでしょう。
当記事の監修者
田中拓郎(たなか たくろう)
高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年