出典:https://monochrome-watches.com/audemars-piguet-remaster01-chronograph-reedition-1533-introducing-price/
SIHH(現Watches & Wonders Geneve)を離脱し、2020年より独自に新作発表を行っていくこととなったオーデマピゲ。そのためプレスリリースは今か今かと待ち望んでいたものです。
じょじょにそのベールを解き明かしつつあるオーデマピゲの2020年発表一発目は、過去、オークションハウスで高額落札の対象となった超稀少タイムピースRef.1533のリバイバルです!
とは言えこの度の復刻でも世界限定500本生産と、稀少性は負けず劣らず。
この記事では、新たにオーデマピゲからリリースされた、2020年新作をご紹介いたします!
目次
オーデマピゲ2020年新作 [Re]master01 セルフワインディング クロノグラフ Ref.1533
出典:https://www.watchpro.com/audemars-piguet-reissues-chronograph-from-our-darkest-hour-with-remaster01/
2013年のサザビーズで115,000スイスフラン(現在価格で約1308万円)、2015年にフィリップス・オークションで305,000スイスフラン(現在価格で約3470万円)で落札に至ったオーデマピゲのクロノグラフをご存知でしょうか。
オーデマピゲはとかく1972年に発表されたロイヤルオークばかりに目が行きがちですが、創業以来生み出した名作の数々は枚挙にいとまがありません。
とりわけ永久カレンダー,ミニッツリピーター,そしてクロノグラフの製造に関しては、伝統的なお家芸と言っていいでしょう。
この度発表された新作は、そんな名作の中の、「クロノグラフ」の一つです。
そして前述の通り、現在価格では3000万円超えの価値を持つ個体・・・!
かつて「1533」とリファレンスが振られた一本となります。
出典:https://monochrome-watches.com/audemars-piguet-remaster01-chronograph-reedition-1533-introducing-price/
今でこそクロノグラフは多くのブランドが「レーシーかつスポーティーなイメージを出すために」用いるデザインコードのような面がありますが、19世紀~20世紀にかけては、ハイエンドなコンプリケーションとして数え上げられていました。
そのため製造本数はそう多くはありません。
オーデマピゲ歴史研究家のマイケル・フリードマン氏によると1930年代~1970年代がオーデマピゲのクロノグラフの黄金時代に当たりますが、製造したクロノグラフは307本のみ。しかもそれぞれが一点ものの超稀少タイムピースだったようです。
余談ですが、マイケル・フリードマン氏は2018年新シリーズCODE11.59の開発に大きく貢献した人物です。
Ref.1533は、そんな銘クロノグラフのうち、1943年に製造された個体です。ちなみにたった三本しか市場に流通していません。
しかしながらマイケル・フリードマン氏はまだ語ります。曰く、ただのリバイバルではない、と。
プレスリリースされたモデル名を見ると、[Re]master01と冠されています。
そう、リ・マスターなのです。
すなわち、かつての伝統的タイムピースと、現代技術の融合である、と―
詳細を見ていきましょう。
新作概要
かつて製造されていたRef,1533は、手巻きクロノグラフでした。
36mmという1943年当時としては大型ケースに収められていたこと。加えてステンレススティール×ピングゴールドのコンビネーションでそのケースは製造されていたことが、非常に高い稀少性を後押ししています。
なぜなら、当時は高級時計=小径ゴールドケースの時代です。
そんな中、革新的×伝統のクロノグラフウォッチをリリースすることに、現在のオーデマピゲの理念「To break the rules, you must first master them.(ルールを壊すためには、まずルールを極めなくてはならない)」が既に根付いていたことを感じます。
出典:https://www.watchpro.com/audemars-piguet-reissues-chronograph-from-our-darkest-hour-with-remaster01/
そのオリジナルの1533のデザインを、基本的には踏襲しています。
横目のスリーカウンタークロノグラフ、文字盤含む大きい面積はゴールド製、しかしながらティアドロップ型のラグ等一部はステンレススティール製、美しくも繊細な青針、レトロなフォントのタキメーター・・・全てが完璧なリバイバルです。
12時インデックス下に「AUDEMARS PIGUET & Co. GENEVE」のプリントが施されているところもオリジナルを大切にしていますね(現行品にはこの仕様はなし)。
しかしながら、2020年には40mmにアップサイジングされたケースが採用されました。
また、文字盤はオリジナルはローズゴールドでしたが、今作ではイエローゴールドに。つまりSS、PG、YGの三つ巴が楽しめるデザインとなっております。
さらに、最大の「革新」は、ムーブメントにあります。
1943年当時の1533は手巻きクロノグラフで、かの有名なバルジュー社製の機械をベースに作られていました。
そして最新作では、オーデマピゲ渾身のマニュファクチュール・ムーブメントCal.4409が搭載されることとなったのです。
出典:https://www.watchpro.com/audemars-piguet-reissues-chronograph-from-our-darkest-hour-with-remaster01/
このムーブメントはCODE11.59のために約5年の歳月をかけて開発された機械で、きわめて優れた性能を誇るのは、ご存知の通りです。
最新技術のもとに製造された当機は直径32mmとやや大型ながら、コラムホイールと垂直クラッチを備えたフライバッククロノグラフ。また、パワーリザーブ約70時間とオーデマピゲの従来の製品よりも延長された持続時間を有しており、利便性が向上しています。
機械自体が再編していることからカウンターの位置がオリジナルとは異なり、6時位置にスモールセコンド、3時位置に12時間積算計、9時位置に30分積算計が配置されることとなりました。
このように、温故知新を地でいくようなオーデマピゲの2020年新作。
冒頭でもご紹介したように世界限定500本生産と、ただでさえ少量生産のオーデマピゲの中でも、屈指の稀少性が想定されます。
予価は49,500スイスフラン。
発売は2020年6月~。
同月25日にオーデマピゲの新博物館がオープンし、オリジナル1533も展示されるとのことです。
スペック
型番:26595SR.OO.A032VE.01
ケースサイズ:直径40mm
素材:ステンレススティール×ピンクゴールド
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.4409
パワーリザーブ:約70時間
防水性:20m
オーデマピゲ2020年新作 CODE11.59 新カラー&コンビモデル
出典:https://www.audemarspiguet.com/ja/
次にご紹介するオーデマピゲ2020年新作は、大注目のCODE11.59です!
SIHH2019にて、新たに追加されたオーデマピゲのコレクションがCODE11.59でした。
長らくロイヤルオークとジュールオーデマが同社のラインナップの二本柱でしたが、「全く新しいケース」「全く新しいムーブメント」そして「全く新しいコンセプト」を携えてやってきたCODE11.59、多くの時計メディアで大きく取り上げたものです。
そのCODE11.59より、2020年、新たな新色が10モデル追加されることとなりました!
もちろん、ただの新色でないのがさすがオーデマピゲ。やはりこれまでのオーデマピゲには見られなかったバリエーションを追加しており、ただの焼き直しではない「新作」としての魅力を感じます。
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CODE11.59は、そもそも名称からして大きな意味を持つコレクションです。
CODEのCは職人魂の限界への挑戦(Challenge the limits of craftsmanship)
Oはブランド遺産の所有(Owing the Brand’s legacy、歴史があるということ)
Dは恐れずにブランド理念に従う(Daring to Follow Firm Convictions)
Eは進化(Evolving)
そして11.59は、日付が変わる直前を表しているのです。
ものものしい名称からもおわかり頂けるように、オーデマピゲ屈指の自信作とのこと。
実際、研究開発・デザイン設計、そしてプロモーション戦略に約5年の歳月がかけられました。
出典:https://www.audemarspiguet.com/ja/
あれから約1年。
発表当初は賛否両論ありました。
しかしながらファーストデリバリー以降の売上は好調だったと同社は語ります。
当店でも一度CODE11.59の3針モデルを入荷しましたが、雲上ブランドらしい高価格帯商品であったにもかかわらず、すぐに売れてしまって人気や注目度の高さを感じました。
そして2020年、さらに10モデルの追加とあって、CODE11.59のビッグウェーブはますます高まるばかりです。
SIHH2019では3針,クロノグラフ,パーペチュアルカレンダー,ミニッツリピーター,フライングトゥールビヨン,トゥールビヨン オープンワークと全部で6種13リファレンスがリリースされました。
今年は3針およびクロノグラフで、それぞれ5リファレンスずつが発表されています。
さらにバーガンディ(ワインレッド),グレー,シルバー,パープル,ブルーの計5色が追加されたのですが、今回の新作の特筆すべき点は、まず相変わらず美しい文字盤!
これはラッカー塗装によるものであり、オーデマピゲのお家芸でもあります。
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ラッカー塗装とは、ラッカーを被塗装物に薄く均一に吹き付けては乾燥させるを繰り返すことで表面を硬化させる技法です。均一に吹き付けることで独特の美しいツヤ感を有すとあって、高級時計のみならず高級楽器等にも用いられてきました。
しかしながらこの「均一」の作業工程が大変難しく、全てのブランドができることではありません。
限定モデル等で扱うブランドはありますが、オーデマピゲのようにレギュラー陣で採用する、というのはとても稀有なケース。
そこへきて当新作では、グラデーション及びサンバースト仕上げを効かせたスモークラッカー文字盤で、えも言われぬ妖艶な美しさを獲得することとなりました。
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さらに言うと、今回オーデマピゲでは大変珍しいことに、コンビモデルが追加されています。
もっとも、「コンビ」とは言えよくあるステンレススティール×ゴールドではありません。
なんと、ピンクゴールド×ホワイトゴールドのコンビネーションモデルとなっており、その高級感はひとしお。
1882年~1969年までに同社が製造・販売していた550個の腕時計のうち、この稀有なコンビモデルの例は8本に留まっていたとか。さらにホワイトゴールドとピンクゴールドの組み合わせともなると、1978年までで1本のみだったと言います。
つまり、同社にとってもコンビモデルを新作として追加することは、非常にチャレンジングな戦略であったことを示唆していますね。
この美しい10種のCODE11.59新作は、バーガンディ,パープルにグレーといった、個性的なカラーリングが含まれていることも素晴らしいですね。
なお、各文字盤と同色のアリゲーターストラップが組み合わされています。
出典:https://www.audemarspiguet.com/ja/
搭載するムーブメントは2019年発表モデルから引き続き、3針にはCal.4302を、クロノグラフにはCal.4401を搭載しています。
このムーブメント開発はオーデマピゲが特に力を入れており、28,800振動(3120は21,600振動)というハイビートゆえの高精度。それでいて約70時間のロングパワーリザーブと、雲上ブランドでありながらも現代的な実用性がアップデートされることとなりました。
パーツ一つ一つが丁寧に仕上げされており、かつ肉抜きされた美しきローターと相まって、シースルーバックから機械を鑑賞する楽しみをも持ち合わせています。
CODE11.59の新作は、既に全国のオーデマピゲブティックで販売がスタートしています。
特に限定生産ではありませんが、やはり大きな話題となっているため、なかなか市場に出回らないことが予想されます。
なお、定価は3針が3,080,000円,クロノグラフが4,895,000円。いずれも税込表示となります。
スペック
ケースサイズ:直径41mm
素材:ピンクゴールド,ホワイトゴールド,PG×WG
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.4302/Cal.4401(クロノグラフ)
パワーリザーブ:約70時間
防水性:3気圧
オーデマピゲ2020年新作 ロイヤルオーク 15500ST シルバー文字盤
出典:https://www.audemarspiguet.com/ja/watch-collection/royal-oak/15500ST.OO.1220ST.04/
2019年、 155500STがリリースされ、7年ぶりに世代交代を果たしたオーデマピゲのフラグシップ・ロイヤルオーク。
当サイトでもこの新型を何度かご紹介しておりますが、その際必ず言及していたのがシルバー文字盤の存在です。と言うのも、これまで15400STで高い人気を誇ってきたシルバー文字盤が、15500STでは採用されなかったと思われたためです。
SIHH2019で発表されたのは、ブラック・ブルー・グレーのみでした。
※SIHH2019の様子
しかしながら、シルバー文字盤も追加となりました!
前世代の15400STが完全にオーデマピゲのカタログから消えましたので、15500STに追加されたのでしょう。
シルバーというカラーは定番で、変わり映えしないと思われるかもしれません。でも、やっぱりビジネスの王道です。シンプルだからこそ、それがいい。
そんなシルバーロイヤルオークが新型でも楽しめるというのは、オーデマピゲファンにとっては朗報ですね!
スペック
型番:15500ST.OO.1220ST.04
ケースサイズ:直径41mm×厚さ10.4mm
素材:ステンレススティール
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.4302
パワーリザーブ:約70時間
防水性:50m
定価:2,365,000円
オーデマピゲ2020年新作 ロイヤルオーク34mm
15500ST シルバーだけでなく、ロイヤルオークからは34mmのレディースモデルが4種類ラインナップされました。
ステンレススティール・コンビからはシルバーダイアルをあしらった2種類のモデルが発表され、同時に18Kピンクゴールド、ブルーグレーダイヤルを備えたステンレススティールモデルも展開されます。
出典:https://www.audemarspiguet.com/ja/
いずれもロイヤルオーク特有の「グランドタペストリー」ダイヤルを備え、高級感のある仕上がりとなっています。
日常使いに最適なオールステンレスから、華やかなベゼルダイヤまで、セレブの需要を満たす魅力的なラインナップです。
搭載ムーブメントは自動巻きムーブメントキャリバー5800を搭載。
34mmモデルのために開発された回転錘が採用され、より安定した精度が出せるようになりました。
なお、34mmモデルはすでに発売が開始されており、国内の正規店でも順次入荷が予定されています。
気になる定価に関しては以下の通りです。
■77350ST.OO.1261ST.01 ステンレス×シルバー : 1,900,000円(税抜)
■77350SR.OO.1261SR.01 コンビ×シルバー : 2,250,000円(税抜)
■77351OR.ZZ.1261OR.01 18Kピンクゴールド×シルバー(ベゼルダイヤ) : 4,650,000円(税抜)
■77351ST.ZZ.1261ST.01 ステンレス×ブルー(ベゼルダイヤ) : 2,400,000円(税抜)
どのモデルも今後のレディースロイヤルオークの定番として人気を博すことになるでしょう!
スペック
ケースサイズ:直径34mm
素材:ステンレススティール/コンビ/18Kピンクゴールド
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:自動巻きキャリバー 5800
パワーリザーブ:約50時間
防水性:50m
オーデマピゲ2020年新作 ロイヤル オーク コンセプト フライング トゥールビヨン レディース
出典:https://www.audemarspiguet.com/ja/
「ケースとムーブメントが完全に一体化」したという、ロイヤルオークの中でも異色の存在であるロイヤルオーク コンセプト。
2020年、レディースモデルホワイトゴールド・ピンクゴールドの二種で追加されることとなりました!
ロイヤルオーク コンセプトがリリースされたのは、2002年にまでさかのぼります。
ロイヤルオーク誕生30周年を記念して発表されたシリーズで、見た目からしてアヴァンギャルドな時計であることがおわかり頂けるでしょう。
ラグとケースがシームレスになっており、ユニークながらも流れるような美しいラインをお楽しみ頂けます。
当コレクションには伝統的にコンプリケーションムーブメントが搭載されてきましたが、こちらはフライング トゥールビヨン搭載モデル。
さらにケースは「フロステッドゴールド」と呼ばれる、きらめく美しい仕上げが施されました。
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フロステッドゴールドはフィレンツェ仕上げと呼ばれる伝統技法にインスピレーションを得ており、光をとらえて反射させるという、まるでダイヤモンドのような光学特性を活かした技法となります。
ちなみにロイヤルオーク コンセプトはその形状からどうしても大きくなりがちなのですが、こちらはケース直径38.5mm×厚さ11.9mmと、レディースにしては大きいもののスタイリッシュ。
さらに、多重構造の文字盤によって6時位置のトゥールビヨンから放射状にラインが描かれており、大変優雅な装いですね。
加えて、6時位置にハイグレードのブリリアントカットダイヤモンドをセッティングするという、とにかくラグジュアリーで高貴な新作に仕上がりました。
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搭載する手巻きムーブメントCal.2964は、パワーリザーブ約72時間と、コンプリケーションでありながら実用性は十二分です。
レディースでは珍しくシースルーバックから鑑賞することができますが、さらにプレートには放射状の装飾が施されることで、文字盤デザインとリンクした意匠をお楽しみ頂けます。
ストラップは深みあるブルーが美しい、大きめ竹班入りアリゲーターストラップを使用。さらに付属の替えベルトが付いているのですが、フロステッドゴールドに代表されるきらめきを象徴するかのごとく、光沢あるブルーラバーストラップになっているとのことです。
なかなかレディースでコンプリケーションをリリースしているブランドはありません。
そのため、本格的な時計や、最高にゴージャスな時計をお探しの方にとっては、気になる2020年新作と言えるでしょう。
スペック
ケースサイズ:直径38.5mm
素材:ピンクゴールド,ホワイトゴールド
駆動方式:手巻き
ムーブメント:Cal.2964
パワーリザーブ:約72時間
防水性:20m
まとめ
オーデマピゲの2020年新作を発表いたしました!
既存の人気コレクション・ロイヤルオークのみならず、リマスターやCODE11.59といった、新潮流を続々市場へ送り出してきたオーデマピゲ。
2020年は新型コロナウイルス等の影響で社会情勢は決して明るいものではありませんが、オーデマピゲの勢いの強さを見ていると、時計業界に明るさを感じますね!
なお、オーデマピゲ新作の続報が入り次第、当ページでご報告していきます!
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当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年