R&D/PLM CoEのNonAutoチームは、「技術を強みとした新規事業開発」「R&D業務改革」「R&Dデジタル改革」を3本の柱として、自動車(完成車)産業以外のさまざまな製造業・建設業・情報通信業などのエンジニアリングチェーン領域のクライアントを支援しています。同チームに所属する3名が、現在の働き方や今後の展望について語り合いました。
左から森下 明大、渡辺 智宏、水田 大哉
渡辺:
私は、大学卒業後にシステムエンジニアとしてキャリアをスタートさせました。その中でさまざまなシステム開発、ソフトウェア開発に携わったのですが、特に長かったのはカーナビゲーションシステムの組み込みソフトを開発するプロジェクトでした。その際、複雑化したプロジェクトが立ち行かなくなり、収拾にも困難を極めたという出来事があったのですが、それをきっかけにプロジェクト管理改革や組織改革に寄与したいという気持ちが芽生え、業務コンサルタントという職種に関心を持つようになりました。
そして、製造業の現場改善・改革に強みを持つ日系のコンサルティングファームへの転職を決断。そこでは主に、エンジニアリングチェーン領域の改革に従事したのですが、リーマンショックなどの影響で組織が疲弊していたこともあり、せっかく磨いたスキルをもっと幅広く世の中に発信したいという思いから、大手総合系コンサルティングファームに移りました。当時、大手総合系ファームの中にエンジニアリングチェーン領域の包括的なコンサルティングを組織立って行っている会社がなかったため、当該領域のビジネスを1から立ち上げる形となりました。その後、チーム単位での移籍の話が上がり、PwCコンサルティングに移って現在のR&D/PLM CoEの前身となる組織を数名で立ち上げ、今に至ります。
現在の主な役割はクライアントや社内他部門との関係づくりや営業、ソリューション開発・教育・伝達などです。CoEの組織運営をベースに、営業活動だけでなく、デリバリーの差配、リソース管理、育成、リクルーティングなどを行っています。
水田:
私は大学卒業後に大手自動車メーカーに入社し、設計部門でトランスミッションや大型電池パックの設計などに携わりました。基本的には、車ごとに求められる仕様に合わせて設計をしていましたが、ある時ふと、「なぜこれが売れているのだろう」と疑問に思いました。
なぜ自分の設計した商品の仕様が結果的に売り上げにつながっているのかを考えるうちに、ビジネスに興味を抱き、転職を考えました。
私のエンジニアとしての経歴や知見が活かせるコンサルティングファームを探したところ、合致したのがPwCコンサルティングでした。製造業の設計では、担当の車両や部品など決められた枠の中で課題解決を目指していましたが、入社後に改めて実感したコンサルタントの魅力は、枠にとらわれず、幅広に製造業の課題解決に貢献できることです。常に新しい課題に直面するため、大変なことも多いですが、解決できたときの喜びも大きいです。
森下:
私は大学卒業後にPG/SEとして2社を経験したのち、大手自動車系列のSIerに転職し、部品表や関連システム構築、基幹系システムのリプレース案件に携わっていました。徐々に上流工程の企画構想やプリセールスの立場で参画することが多くなり、やりがいを感じる一方、自分の成長に限界を感じたことがきっかけで、コンサルタントへの転身を決意しました。PwCコンサルティングにはR&D/PLM領域に強みのあるチームがあり、自身の経験・知見を活かしつつも、学び取れることが多い環境と感じ、転職に至りました。入社後はSAPの導入プロジェクトを担当し、現在はNonAutoチームにて住宅設備メーカー向けプロジェクトに携わっています。
渡辺:
私たちのクライアントは、自動車(完成車)メーカー以外のエンジニアリングチェーン(研究・開発・設計・生産技術など)部門が対象となります。例えば重工業や産業機械、自動車部品、住宅設備、エレクトロニクス製品といった各種メーカー、建設業、情報通信企業など多岐にわたります。
水田:
現在は、自動車部品メーカーを主とし、半導体メーカーや重工系なども含め、NonAutoに関わるクライアントを広く扱っています。エンジニアリングチェーンの機能を持つ企業全てに対して変革を提案することが役割であると考えており、このCoEでの仕事を通して、クライアントの領域も自分の仕事の幅も広がっていると実感しています。
森下:
私は現在、住宅設備メーカーのPLM案件や、その他エレクトロニクス製品のクライアントへの提案など幅広く携わっています。前職で自動車産業でのR&D領域の先進的なシステムに携わっていた経験を活かし、他の産業に対し、次に必要な仕組みなどを先取りして提案できています。その意味では、これまでの経験・知見が自分の価値となって、チームに貢献できる環境だと感じていますし、他の知識・経験が豊富なメンバーからも刺激をもらっています。
渡辺:
エンジニアリングチェーン領域には、「既存事業での持続的改善による価値の最大化」と「技術を強みに新たな成長の柱を生み出す新規事業開発」の2つが求められています。この役割を包括的にコンサルティング支援する形で、R&D/PLM CoEは、「技術を強みとした新規事業開発」「R&D業務改革」「R&Dデジタル改革」を3本の柱として、サービスを展開しています。いわば、エンジニアリングチェーンコンサルティングの総合デパートと言っても過言ではありません。
「技術を強みとした新規事業開発」では、製造業が培ってきた「技術」を起点に、デジタル技術も活用しながら、魅力ある新規事業や、コト売りビジネスを企画・開発していくための業務プロセスや組織体制などの構築や、新規事業の開発および推進を支援しています。
「R&D業務改革」では、R&D(研究・開発・設計・生産技術)部門において最も重要かつ緊急性の高い問題・課題を多角的に見出し、さまざまな業務・組織改革手法を講じることで、売上/QCD高度化(品質改善、原価低減、リードタイム短縮)を実現する改革を支援しています。
「R&Dデジタル改革」では、R&D機能のDXに必須となる技術情報基盤(PLMシステム)の整備や、デジタルを活用したQCD改革に向けて、ITシステムの構想立案、業務要件定義、最適なパッケージ選定などを支援しています。
水田:
ある自動車部品メーカーの新規事業開発を企画から実行まで、足の長いご支援を経験する機会がありました。そのクライアントには、すでに開発を進めている技術があり、それを何とか新しいビジネスにつなげたく試行錯誤していましたが、自社だけでは何ともできず、私どもが協力することとなりました。そして私たちはそのクライアントが開発している技術をベースに、市場検討、価格・コスト構造分析、プロモーション検討、組織検討、実証実験企画など、ビジネス検討に必要な要素を幅広く検討し、クライアントが納得するビジネス企画を提案することができました。
毎週のようにクライアントに検討結果を提案し、ディスカッションを繰り返すことで、最終的にクライアントの納得いく企画に落とし込むという作業は大変でしたが、実際に満足いただけたと実感できた際の喜びは大きかったです。また、私自身、技術者として培ってきたノウハウやスキルをしっかり生かすことができ、大変印象深いプロジェクトとなりました。
森下:
私は現在、住宅設備メーカーのクライアントのPLMシステム導入プロジェクトに携わっています。コロナ禍の影響もあって人々の生活様式が変わり、住宅設備に関わる製品のバリエーションが増えたことからプロジェクト化された案件です。このプロジェクトの特徴は、R&D領域の研究開発部門に限らず、開発から生産、アフターサービスまで、合同でプロジェクトとして取り組んでいることです。
月に1回の会議には、他の部署の方も含めて全社を挙げて盛んな議論が繰り広げられ、そこに私たちがアプローチできることに非常にやりがいを感じています。私たちも産業機械や住宅設備のインダストリー分野のコンサルタントとコラボレーションしながら進めています。このような連携はPwCコンサルティングの強みであり、クライアントに評価いただいている部分だと思います。
渡辺:
横断的なコラボレーションは、PwCコンサルティングが全社的に盛んに行っているのが特徴です。たとえば、ET-IS内だとSmart mobility CoEと連携して、彼らが得意分野としている自動運転のプロフェッショナルを紹介してもらう事例がありました。また別の例としては、プロジェクトが進んでいく中で知財に関する事案が出てきたとき、知財のコンサルティング支援を行っている部署と連携し、クライアントの問題解決に努めたりもしてきました。
水田:
私は週1~2回、出張先での打ち合わせがあるほかは、基本的に自宅からリモートで勤務しています。出張時以外は自由に使える時間は多く、柔軟な働き方ができる魅力的な職場だと感じています。また、一度東京に引っ越したこともありますが、コロナ禍を機に名古屋に戻るなど、自分にとって働きやすい場所を選ぶことができる点も魅力だと考えています。
私が今後目指すのは、「楽しい商品やサービスを世に出して、楽しい社会をつくりたい」と願う企業に寄り添い、楽しいものをつくれる仕組みや業務プロセスづくりに貢献し、一緒により良い社会をつくっていくことです。1人でできることは多くはないですが、いろいろな人のお手伝いをすることで、効率的に社会へ貢献できるお手伝いがができるのがこの仕事の魅力だと思います。
森下:
私も名古屋所属で、現在は週3日、大阪に出勤するという勤務形態です。クライアントと対面でセッションすることはやはり大事なので、それをその3日間に凝縮しています。
一方で、プライベートでは子どももいますので、子育てにもできる限り力を注いでいます。リモートワークも取り入れることでワークライフバランスを保つことができており、充実した毎日を過ごせています。メンバー同士、お互いの状況について理解ができており、急な子どもの発熱などの際は皆が相談に乗ってくれるので、助かっています。
私は、前職が製造業を支える企業だったこともあり、今も日本の製造業を良くしたいという思いが根幹にあります。そのために自分にできるサービスを追求するのが目標です。例えば、今携わっているのはPLMの導入プロジェクトですが、そこから横に広げて、コストカットや、商品の魅力を高める仕組みの提案などを通し、クライアントの満足度を上げていきたいです。支援を幅広く横に広げるということは、自分の専門領域を超越することも多くなります。その際には複数のプロフェッショナルチームを作り、プロジェクトを跨いで活動していくことができれば、最終的にはいわゆる社会貢献という部分も達成できるのかなと思います。それを体現しているのがET-ISのCoEだと思います。
渡辺:
自動車産業は今後も日本の基幹産業であり続けると思いますが、徐々に変化が表れつつあり、第二、第三の産業、例えば宇宙開発や、生命科学といった領域の動きなども見え始めています。そのなかで、自動車産業とは異なる領域のエンジニアリングチェーンに関する課題も当然出てくるので、私たちは自動車産業以外の領域をしっかりと幅広くフォローできるような形で体制を組んでいきたいと思っています。まだまだ伸びしろはたくさんあると思いますし、これからの世の中の産業の動きに合わせて貢献していくことがチームとしてのビジョンです。
PwCコンサルティング合同会社 ET-IS ディレクター 渡辺智宏
SIerでのエンタープライズ系/組込み系システム開発、日系コンサルティング会社、外資系コンサルティング会社を経て現職。製造業のR&D領域における業務・組織改革、事業・技術戦略立案、新規事業開発、PLMシステム導入などのコンサルティングに数多く携わる。特に組立系製造業全般に強みを持つ。
PwCコンサルティング合同会社 ET-IS マネージャー 水田大哉
日系大手自動車メーカーの量産車両向け駆動系部品および電動系部品設計などを経て現職。新規事業開発支援や事業・技術戦略立案支援などに携わる。
PwCコンサルティング合同会社 ET-IS マネージャー 森下明大
大手自動車系列のSIerでのSE・PMおよび製造業向け業務改革・IT企画支援などを経て現職。PLMシステム導入やPLMのバリューチェーン全体の活用促進をテーマとしたコンサルティングに携わる。