イベントレポート “りぃぶる”設立25周年記念事業
講座・イベント情報
イベントレポート
講座名
“りぃぶる”設立25周年記念事業
開催日時
令和6年1月19日(金)~21日(日)
場所
和歌山ビッグ愛
内容
和歌山県男女共同参画センター‟りぃぶる”は、平成10年12月、和歌山県女性センターとして設立して以降、男女共同参画推進のための拠点施設として活動に取り組んでまいりました。そして、今年度(令和5年度)、25周年を迎えることを記念して、「あした、笑顔の私に会うために~私らしい生き方で未来を紡ぐ~」をテーマに、3日間にわたり様々な事業を開催しました。なお、本事業は、NPO法人わかやまeかんぱにいと共催し、社会福祉法人和歌山県共同募金会の助成を受けて実施しました。
1月19日(金)10:30~12:00 会議室C 参加者30名
〇健康講座と体操
講師:わかやま健康大使わかきん先生
演題:『健康笑顔Live ~頑張らなくていぃ「○○」になる~』
救急救命士・消防士として21年間人命救助と火災予防業務の第一線で活躍され、多くの命と向き合ってこられた講師から、予防医療・未病対策の大切さと健康寿命を延ばすコツなどについて講義を受けました。その後、参加者全員で、実際に音楽に合わせながら汗ばむほどの体操を行いましたが、会場は笑い声にあふれ、和気あいあいとした雰囲気の中、健康維持・向上のために多くのことを学べた有意義な講座でした。
参加者からは、「色々とためになるお話をいっぱい聞けて良かったです。体操も楽しくて気持ちに余裕がでてきました。」や「私も何かひとつでもチャレンジしたいと思った。」、「夢中になって取り組むことを楽しもうと思いました。」などのお声が寄せられました。
1月19日(金)13:30~15:30 会議室A 参加者19名
〇シアターCafé“りぃぶる”「Coda コーダあいのうた」鑑賞会
第94回アカデミー賞作品賞・助演男優賞・脚色賞を受賞した今回の映画は、耳の不自由な家族と唯一耳が聞こえる高校生の主人公が織りなす愛と葛藤の物語です。幼い頃から家族の通訳としてコミュニケーションの手助けをし家業も手伝ってきた主人公が自分の夢を見つけたことにより、今までの家族の在り方が揺らぎはじめるなか、新しい世界へ飛び込むよう家族が背中を押し、自分たちも自立した生活へ一歩を踏み出す決心をするに至る心情は、ろう者家族と聴者である子どもとの間で生じる問題を明らかにすると同時に、伝えることの大切さやお互いを思いやる大切さを見事に描いており、感動とともに家族愛について再認識する良い機会となりました。なお、上映にあたり、聴覚障害のある方への配慮として、日本語の字幕表示をつけるほか、開始前の諸注意なども口頭と併せて文字での表記でお知らせしました。
参加者からは、「家族の為に夢をあきらめようとした主人公でしたが、家族の理解もあって、自分の道を歩み始めた事、良かったと思います。」や「家族愛がすばらしかった。」などのお声が寄せられました。
1月20日(土)13:30~15:35 大ホールにてメインイベント、ホワイエにて展示
〇オープニング
まず、福田紘子(ひろこ)さん、浩丈(ひろたけ)さんによるヴァイオリンとチェロによるウエルカムミュージックで幕を開けました。お二人は、ごきょうだいで、姉の紘子さんは相愛大学音楽学部を卒業後、ヴァイオリンとヴィオラの両方で演奏活動をなさるとともに、福田ヴァイオリン&チェロ教室講師、きのかわ弦楽合奏団トレーナー、いわでチェンバーアンサンブルのメンバーとしてもご活躍中です。一方、弟の浩丈さんも相愛大学音楽学部を卒業後、ソロやオーケストラでの演奏活動の他、福田ヴァイオリン&チェロ教室を主宰されるとともに、きのかわ弦楽合奏団音楽監督、2022年2月には和歌山初のプロオーケストラである和歌山フィルハーモニー管弦楽団を立ち上げ、代表を務めています。お二人には、「愛のあいさつ」、「見上げてごらん夜の星を」、「情熱大陸」の3曲を演奏していただき、会場は、とてもなごんだ雰囲気に包まれました。
また、舞台を彩る素敵なお花は、県庁華道部有志の皆さんによる作品です。
〇令和5年度男女共同参画啓発ポスターコンクール最優秀賞表彰式
続いて、「令和5年度男女共同参画啓発ポスターコンクール最優秀賞表彰式」を行い、下副知事から賞状と副賞が贈呈されました。
受賞者の皆さん:小学生低学年の部 和歌山大学教育学部附属小学校3年 布目 ゆずさん
小学生高学年の部 和歌山大学教育学部附属小学校5年 小島 栞奈さん
中学生の部 田辺市立高雄中学校1年 齋藤 温 さん
高校生の部 和歌山市立和歌山高等学校2年 北出 和奏さん
当日は、最優秀賞4名の作品のほか、優秀賞13名の作品も会場に展示されました。作品及び作者の思いは下記からご覧いただけます。
令和5年度「男女でつくる元気な和歌山」ポスターコンクール入賞者決定
向かって左から北出さん、小島さん、下副知事、布目さん、齋藤さん
〇記念講演会 参加者153名
最後に記念事業のメインイベントとして講演会を開催しました。
講師:小島慶子さん(エッセイスト、タレント、東京大学大学院情報学環客員研究員)
演題:「あした、笑顔の私に会うために~変化の時代をしなやかに生きる~」
講師は、女性の正社員、ましては総合職が少なく定年まで働ける職場が少なかった時代、経済的に自立したいと考え、しゃべることは得意だし長く働けそうだという理由でテレビ業界に就職しました。「これで給料も高く、親や結婚相手も関係なく自由を手にした」と安心したのも束の間、そこで待っていたのは、若い・可愛い・従順な“女子アナ”と言われるジェンダーの壁でした。“女子アナ”という言葉は小島さんがなくしたいものの一つで、あるテレビ局が1980年代終わりに、自局の女性アナウンサーをアイドル的に売り出す際に使った言葉で、それが女性アナウンサーをさす言葉となり、やがて女性アナウンサーの役割やあるべき姿など人々の既成概念をも作っていったと説明されました。“女子アナ”像にあてはめられることに反発を感じた講師は、周囲から生意気、反抗的とみられ仕事が減っていきますが、上司の計らいでラジオに活路を見い出し自分らしい働き方ができるようになったと言います。同じようにしゃべってもテレビでは問題児とされ、ラジオでは面白いと肯定的に受け入れられことから、環境が変われば同じものも異なった見方をされることを体験されました。
今は、セクハラや性的なことを笑いにするなど許せないことだとメディアも真面目に取り組むようになってきていますが、以前は、講師自身もそういう発言をしたことをとても悔やんでいるそうです。でも、それに気づいた時に「もうやめよう」と言い続け、行動することで世の中が変わっていくと呼びかけられました。
また、誰にも等しく機会が与えられ、幸せだと思える社会が求められる一方で、現実には女性というだけでチャンスを奪われたり、男だから弱音を吐くな、人を頼りにするなと言われています。人に助けを求めることは知的なことで、自分の弱さを見せることは強さでもあり、これが自立であると話されました。
夫が働き盛りで離職した時、「働いていない男性を尊敬できない」、「稼ぎがない人より稼ぎがある人の方が偉い」という気持ちが自身の中にあることに気づいて驚いたことも率直に話されました。しかし、そこで、夫は収入や肩書と引き換えに“多くの時間と自由”を手に入れたのだから、これを生かして何かできないかと発想を転換し、小島さん一家は、2014年に当時小学生だった2人の子供たちを連れてオーストラリアに移住し、講師自身は仕事のために東京とオーストラリアを行き来する二拠点家族を始めたそうです。夫は専業主夫として家事や子育てを担い、小島さんは日本で仕事をして家族を支えるスタイルで、息子たちにも、経済的自立は生きるうえでリスクを減らせるが、人は収入や肩書では計れないと伝えているそうです。
最後に、変化が激しいこの時代、かたちを変えながら生きていける社会をつくる必要があるのではないかと問いかけ、自分と違う考え方や判断を受け入れることで、働き方や家族の関係など様々なかたちを許容することができるのではないかと結ばれました。変化の時代を柔軟に生きぬくための示唆に富んだ講演会となりました。
<参加者の感想(抜粋)>
・ものすごいパワーですばらしかったです。「女子アナ」の表現について、とても納得しました。私も50代で自分をおとして笑ったり、若い子をいじったり、反省です。気付いたら「今からでも止める」トライ&エラーもくり返し、もっとアップデートしていきたいと思います
・内容は深いのに端的、軽快。ご自分の経験を話されたこと、私も自分事として聞きました。
・ゆるやかな人権、感覚、わかりやすいおはなし勉強になりました。数々のターニングポイントたくさんのこと、自分が変わらねばと思いました。
・私もジェンダー等の差別的な偏見をもっていたことに今日、気づきました。今日から偏見やめます。
・とてもすばらしい講演でした。生活で仕事で今日の学びを生かし、実行していきます。
〇ホワイエにて各種展示をしました。
・「明日を紡ぐ“ことのは展”」入選作品、25点を展示しました。これは、先に募集した「今、自分にかけてあげたい言葉」「友だちに送るエール」「明日をひらく素敵な言葉」など応募総数74点のメッセージの中から25周年に因んで25点を選び、つて筆作家・野田佳凛さんに作品に仕上げて頂きました。元気が出たり、ほっとしたり、個性あふれるメッセージやエールです。メッセージに込めた想いもとともに掲示しました。
入選のメッセージ25点は、下記からご覧いただけます。
‟りぃぶる”25周年記念事業「明日を紡ぐ”ことのは展″~あした、笑顔の私に会うために~」の展示作品
・‟りぃぶる“の25年間の軌跡を「りぃぶる25年の歩み」として、年表にまとめて展示しました。懐かしい事業や写真、その時々の流行語なども書き入れ、当時の世相とともに“りいぶる”の取り組みや活動内容がよくわかり、来場者の皆さんは、ご自身のことも振り返りながら懐かしそうにご覧になっていました。
1月21日(日)13:30~15:00 会議室A 参加者43名
○生きがい教室
講師:𠮷田圭美(よしだよしみ)さん(整理収納アドバイザー)
演題「50代から始める生前整理~親のため・自分のために~」
まず始めに30問の質問で参加者の「片付け得意度チェック」をして、自分の片付け得意度を4段階で認識し、次に生前整理の必要性を説明されました。未来を快適に過ごすためには・モノ・お金・心の3つの整理が必要であると述べられました。そして、生前整理の進め方で大事なことは・モノを減らす・分ける・収めることで、作業は後回しにせず、気づいたらすぐに始めましょうと締めくくりました。
参加者のほとんどが中高年の女性で、主婦だった講師のお話は、身近であるからこそ大いに学びのあった講座となったようで、「50代となり、親世代の介護や亡くなったあとの親の遺品整理の大変さを友人達からよく耳にし、自分もまた子ども達に負担をかけるかもしれないという意識を持ち始めたところで、とても関心がありました。」や「70歳を過ぎて将来の事を考えることが多く、すごくいい勉強になりました。」などのお声が寄せられました。
〇記念ノベルティの作成
“りぃぶる”啓発のためのエコバッグを作成しました。
「国際女性の日」のシンボルであるミモザの花と、「~あなたの“内なるチカラ”を信じて~」のメッセージをあしらったエコバック250枚を作成し、講演会参加者などに配布しました。軽くて容量が大きいと好評を得ています。
※「国際女性の日」は、国際婦人年である1975年3月8日に国連で提唱され、その後、1977年の国連総会で議決されました。3月8日はイタリアでは日頃の感謝を込めて男性から女性へミモザの花を贈る習慣があることから「ミモザの日」とも呼ばれ、黄色いミモザの花がシンボルとして親しまれています。
〇“りぃぶる”相談室のリーフレットを作成しました。
“りぃぶる”では、自分を大切にしていただくために各種相談に応じており、今回は、リーフレット2,000部を作成し、講座等で配布するなど活用しています。
相談の内容や日程については、「りいぶる相談室」で検索するか下記からご覧いただけます。