栃木県 山のグレーディング(栃木県山岳遭難防止対策協議会)
栃木県山岳遭難防止対策協議会では、登山者の山岳遭難事故防止に役立てていただくために、平成29年度に「栃木県 山のグレーディング」を作成しました。
令和4年度の改訂により、グレーディングされた登山ルートは102ルートになりました。
1 目的
登山者の増加に伴い、登山技術未習得初心者や中高年登山者等による山岳遭難事故が発生しています。
このため、登山者に県内の登山ルートの難易度を情報提供することで、「自分の力量にあった山選び」を促し、山岳遭難事故の防止に役立てていただくため、「栃木県 山のグレーディング」を作成しました。
2 グレーディングの内容と使い方
内容
- 栃木県内の主要な登山ルート(102ルート)について、体力度と技術的な難易度で評価しました。
- 縦軸に1~10段階の体力度のグレーディング、横軸にA~Eの5段階の難易度のグレーディングをしました。
使い方
- 自分の調べたい山を「栃木県 山のグレーディング五十音順一覧表」から見つけ、体力度と技術的難易度を確認してください。
- 現在の体力や技術・能力に応じた「山選び」をしてください。その際、過去に登った山の体力度と技術的難易度が参考になりますが、「過去の体力や技術・能力はあくまで過去のもの」であることを十分に認識してください。
- 初心者の方は、ベテラン登山者のアドバイスのもと、体力度と技術的難易度の低いルートから、徐々に経験を積み重ねていってください。
3 体力度と技術的難易度
体力度
- 体力度レベルについては、鹿屋体育大学山本正嘉教授の研究成果をもとに作成しました。
- 次の式により「ルート定数」を算出し、1から10の10段階で評価しています。
ルート定数=ルートタイム(時間)×1.8+ルート全長(km)×0.3+累積登り標高差(km)×10.0
+累積下り標高差(km)×0.6
- 体力度レベルが大きいルートは、何日かに分けて歩くことで自分のレベルに合わせることができます。
- グレーディング表では、目安となる宿泊数を体力度レベルと合わせて示していますので参考にしてください。
技術的難易度
- 登山道の状況や、登山者に求められる技術・能力によりAからEの5段階で評価しています。
技術的
難易度
|
登山道の状況
|
登山者に求められる
技術・能力
|
A
|
- 概ね整備済
- 転んだ場合でも転落・滑落の可能性は低い。
- 道迷いの心配は少ない。
|
|
B |
- 沢、崖、場所により雪渓などを通過
- 急な登下降がある。
- 道が分かりにくい所がある。
- 転んだ場合の転落・滑落事故につながる場所がある。
|
- 登山経験が必要
- 地図読み能力があることが望ましい。
|
C
|
- ハシゴ・くさり場、また、場所により雪渓や渡渉箇所がある。
- ミスをすると転落・滑落などの事故になる場所がある。
- ルート上に案内標識が不十分な箇所も含まれる。
|
- 地図読み能力、ハシゴ・くさり場などを通過できる身体能力が必要
|
D |
- 厳しい岩稜や不安定なガレ場、ハシゴ・くさり場、藪漕ぎを必要とする箇所、場所により雪渓や渡渉箇所がある。
- 手を使う急な登下降がある。
- ハシゴ・くさり場や案内標識などの人工的な補助は限定的で、転落・滑落の危険箇所が多い。
|
- 地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要
- ルートファインディングの技術が必要
|
E |
- 緊張を強いられる厳しい岩稜の登下降が続き、転落・滑落の危険箇所が連続する。
- 深い藪漕ぎを必要とする箇所が連続する場合がある。
|
- 地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要
- ルートファインディングの技術、高度な判断力が必要
- 登山者によってはロープを使わないと危険な場所もある。
|
4 注意事項
- グレーディング表は、無雪期・天気良好の条件のもと、ルート固有の特徴について体力度と難易度を評価したものです。これ以外の条件では、難易度は上昇します。
- 実際の登山では、体力度、難易度以外に悪天候、残雪、体調、その他偶発的な要因による様々なリスクがあるので、それらにも配慮した計画を立てることが必要です。
- 地震、崩落、雪崩等により、登山道の通行規制等があります。登山の際には、事前に登山道の状況等を確認することをお勧めします。
- いずれのランクにおいても、初めてそのランクを経験する場合には、必ず経験者を同伴してください。
- グレーディング表に記載した登山ルートは、栃木県内で比較的登山者の多いものから選定したもので、必ずしも登山を推奨する登山ルートではありません。
- 整備・維持されていない登山ルートを含みます。また、登山ルートの通行や山頂への到達、登山の安全を保障するものではありません。
- 登山される際は、十分な準備のもと自己責任において入山してください。記載の登山ルートにおける事故について、責任は負いかねます。
- ルート全長及び累積標高差は図上計測のため、実際の数値に対し誤差を含んでいます。
- 歩行時間は目安であり、実際に登山に要する時間は個人差があります。
5 グレーディング表
6 他県のグレーディング
7 日本百名山のグレーディング
日本百名山のうち、グレーディングが公表されているものについて、長野県が日本百名山のグレーディングを作成しています。詳細は上記長野県のリンクからご覧ください。