日本人の心の原風景inあきた~かつての少年少女たちに贈る~
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美の国・秋田の原風景、歴史的な農村の生活と文化の記録
- 河村欣二・堅太郎写真集「新穀感謝/農村の一年」
- 岩田幸助作品
- 大野源二郎作品集・写真集「土恋いのうた」
美の国・秋田の生活と文化の記録は、見るものに感動を与えるドラマチックな作品が多い。柳田国男の見た秋田は「雪国の民俗」として記録され、昭和19年5月に発行された。
写真集では、河村欣二氏とその子息の堅太郎氏が昭和13年から33年かけて撮影した貴重な作品が「新穀感謝/農村の一年」(秋田魁新報社)に親子写真集として発刊、秋田の農村に対する限りない愛と厳しい風土に生きるリアリティ溢れる作品は、見るものに感動を与える。
プロカメラマン木村伊兵衛氏は、1952年から1971年まで21回に及ぶ取材を行い、日本近代写真史に残る名作を残している。その秋田の魅力を1994年2月に「木村伊兵衛と秋田展」の展覧会で発表、一枚一枚の写真がまるで動いているかのように語りかけてくる。この時の記念誌には、当時アマチュア写真家として活躍中だった岩田幸助氏、大野源二郎氏ら秋田の作家の作品もあわせて紹介されている。秋田の風土と生活をリアリズムとヒューマニズムでとらえた作品は、芸術を超えて歴史的・民俗学的にも価値のある作品である。
いずれも、今では記録することのできない秋田の原風景を記録した貴重なものであり、後世に伝えるべき偉大な遺産と言えるだろう。秋田が生んだ写真家・河村堅太郎氏、岩田幸助氏、大野源二郎氏のご協力を得て、その一端をご紹介します。
「こんな表情をして笑っていた私たちのかつての日常。
あれからどれほどの時間が流れただろうか。
ただ、忘れているだけかもしれない。
思い出してごらん。
子供の頃、眼の中にいつも黙々と働く父や母がいた。
無骨でもの言わぬ父の背中、こまごまと立ち働く母の姿、天の理、地の理を知るかのようなしわぶかい祖父母の顔。
つつましさが当たり前で子供も立派な働き手で、空腹と背中合わせの毎日だったけど、その日一日の精一杯の暮らしの中に覗く父や母の笑顔は、子供心に一生懸命生きることの大切さを教えてくれた。
月日が流れ、かつての父や母の姿が自分と重なる時、ひとつの屋根の下、いくつかの世代が共に支え合いながら生きていた頃の、家族という人間同志の絆に想いを巡らせる」
(「かつての少年少女へ/昭和のこどもたち」石井美千子人形作品集より)