Akitaふるさと活力人養成セミナー現地企画「スノーマン・キャンドル&ジャズナイトat阿仁異人館」が開催されました
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2006年2月25日、北秋田市阿仁銀山の異人館・伝承館及びその周辺を舞台に、「スノーマン・キャンドル&ジャズナイトat阿仁異人館」が開催されました。
このイベントは、国際教養大学地域環境研究センター(センター長 熊谷嘉隆 助教授)と秋田県(農山村振興課)が連携し、農山村地域の持つ自然・伝統・文化・人的資源を活かした地域ぐるみの活性化を担う人材の育成を目的として開催している「Akitaふるさと活力人(かつりょくびと)養成セミナー」の一環として、地域住民と一緒に地域おこし・活性化につながる取組を実践・経験する、受講者自らが企画立案した地域住民参加型の現地イベントです。
この企画については2005年7月31日の第1回セミナーから、途中1回の阿仁現地研修での地域資源の魅力発掘をはさみ、2006年1月19・20日の第4回セミナーまでに学んだ事を活かし、受講者が5グループに分かれて企画書を作成、それを受講者がお互いにプレゼンし、阿仁地域の地元選考委員も加わったコンペにより最終的に1月19日に決まったものです。(第4回セミナーまでの内容と、コンペに残った5グループの企画書概要はこちら)
それぞれが仕事を抱える中、全県に散らばるセミナー受講者同士がお互いにメール、FAX、電話、インターネットの掲示板等を活用しながら議論・意見調整を繰り返し、さらに阿仁銀山水無地域の自治会や商工会等に説明会を実施したり、阿仁のセミナー受講者が地元若者を中心に声を掛けて集まった阿仁版活力人メンバーを中心とした地元スタッフとの合同での現地企画実行委員会を立ち上げたりしながら、コンペ終了後わずか1ヶ月の間でそれぞれが持つ経験と能力を出し合って作り上げました。
以下に、イベント前日の準備段階からイベント終了まで様子をお送り致します。
2/24・午前
セミナー受講者を中心に現地での打合せ・位置決め等
2/24・午後
セミナー受講者を中心に現地での打合せ・位置決め・物品搬入等
2/24・夕方
仕事を終えた地元スタッフが加わり雪と光の広場・回廊、キャンドルスクウェアの準備
(小雨・みぞれが降る薄暗い中での寒い寒い作業でした・・)
2/25・午前
当日到着受講生と現地スタッフ、当日参加のボランティアなどが加わり、準備の最終段階にかかります
2/25・ランチ
2/25・午後
実行委員長のあいさつと、熊谷助教授による「アメリカ式円陣」で心をひとつにして最後の準備です!
広場班
雪と光の広場・回廊・キャンドルスクウェアを準備する広場班
広場班は伝承館前の「雪と光の広場」、伝承館と阿仁支所を結ぶ「雪と光の回廊」、異人館前の「キャンドルスクウェア」を担当しました。広場には明治時代の鉱山を彷彿させる「キャンドルマウンテン」や「スノーマン雪像」を作り、回廊とキャンドルスクウェアにはたくさんのキャンドルと遊び場の設置など、雪と光を楽しむ物としてがんばりました。
しかし全県に散らばる実行委員だけでは刻々と変わる阿仁の積雪状況はわかりません。そんな中、地元阿仁から実行委員会地元スタッフとして加わった方々と班長は全県に散らばる実行委員セミナー受講者と情報の共有や調整をしながら、アイディアとその実現のすりあわせをしていきました。また地元スタッフはイベント前日まで雪踏み・除雪なども進めて下さいました。また、子供達の雪遊びのアイディアを実現するために地域のNPOなども協力して下さいました。
当日、実行委員だけでなく地域の方々も思わずスノーキャンドルづくりやスノーマンづくりに参加してみたくなるような空間として、地域の子どもからお年寄りまでが集う、すてきな広場・回廊・キャンドルスクウェアとなりました。
ストリート班
銀山・水無の通りを練り歩きスノーキャンドルづくりを呼びかけたストリート班
ストリート班は銀山水無地区へのキャンドルストリートづくりを担当しました。
今回のイベントは地域住民が参加して一緒に作り上げるというのが大きな目的でした。なんでもかんでも実行委員会が準備するような事が多い既存のイベント形態ではなく、たとえ最初は小さな関わりでもいいから、なるべく多くの地域住民が準備に加われるものにしたい・・・それがこのキャンドルストリート構想の発端でした。
しかし、突然スノーキャンドルを作りましょうと言われても・・・というのが普通の感情です。そこで、実行委員会はまずは自治会・商工会レベルでの説明会を実施し、その後地元スタッフを中心に作り方を解説し一緒に作ろうという呼びかけのチラシを事前に地域へ配布、そして実際に事前に作ってみようと言うプレ・イベントを2/19に実施するなど、じわじわと地域への浸透を図っていきました。
当日は、さらに国際教養大学生や地域の子供達も加わってストリートをまわりながら最後の呼びかけをしました。その結果、世代を超え隣近所がつながったすてきなキャンドルストリートとして実現しました。
2/25 本番開始
異人館では親子向けジャズPiano・伝承館では懐かしい写真・場前では食べ物販売・スノースクウェアでは雪遊びとライブ中継がはじまりました。
第1部は親子向けプログラム「ジャズって楽しい」
早川さんからはイベント後にメッセージを頂きました
異人館に入ると、古いピアノがまるで「よく来たねー」と言ってくれているかの様でした。ピアノを弾いてみると、とてもずっと置物になっていたとは思えないほど音がキラキラと輝いて部屋中に広がっていきました。きっと、この素晴らしいイベントの始まりを異人館もピアノも喜んでいるんだなあ・・と思いました。
コンサートでは、阿仁の皆様の暖かい心を感じながら私自身楽しく演奏する事ができました。子供達との交流も素晴らしい時間でした。
この素晴らしかった一日の出来事と阿仁の素晴らしさを、たくさんの人達に伝えたいと思いました。来年、再来年、10年後・・このエネルギーは、どんどん大きくなっていくでしょう!!また、お会いする日を楽しみにしています!
早川泰子
実はこのイベントをやるにあたり実行委員会では異人館のピアノについて、とても悩ましい問題と戦っていました。異人館に置いてあったピアノは旧阿仁合小学校から寄贈されたもので、基本的には異人館のオブジェ(置物)として展示されていた物です。長い間メンテナンスがされていなかったため、調律師の方と相談してもライブをやるには他から借りてくることを覚悟した方がよいと・・・。
しかし、雪で異人館の入口が埋まり、外部からのピアノの搬入は非常に厳しい状況でした。また条件的には厳しいながらも、今回のこのイベントを通じて異人館のピアノを復興(調律)させることができたら、今後の地域資源としての異人館の位置づけも変わってくるのではないかという私たち実行委員会の希望もありました。なんとかしてこのピアノを使ったライブにしたいと・・・。
そこで、調律師の方、ピアニストの早川さんには私たちの思いを全て話した上で、理解と協力をして頂きました。その結果、製造番号からすると少なくとも昭和25年以前に製造された年代物で、確かに古い物ではあるけれどピアノとしてはなかなかいい物であるということもわかりました。そして調律師の方はできる限りのことはやりましょうと、前日から演奏直前まで一生懸命調律をしてくださいました。
様々な方々の協力を得てこのイベントができたことを心から感謝いたします。
異人館班
上記の担当は異人館・伝承館の会場準備・飾り付け・運営をおこなった異人館班
異人館班は、異人館と伝承館の内部のデザインと運営を担当しました。阿仁に明治初期から存在する異人館は、国内のレンガ造りの建物としては相当に古い部類で、有名な鹿鳴館、東京駅、北海道庁、函館金森倉庫郡などのどれよりも古い建物です。
このイベントでは地域資源の魅力再発見も大きなテーマでした。阿仁は歴史的に見ても、明治時代最先端の技術・人材の集まっていた鉱山があり、その時代に建てられたレンガ造りの館がまだ残っていると言うことは、誇ってもいい事ではないか、というのが異人館班のひとつの視点でした。
その異人館に新たな息を吹き込み、レトロ新しい雰囲気を地元の人が楽しみ地域資源としてももっと活用していけるものとしてとらえなおしてくれることに期待しながら、メンバーは一丸となって取り組みました。
初めての取組で来場者数も正確には予測できず、暖房や照明や誘導やその他多くの点で事前の調整と当日の対応が必要でしたが、それぞれがきちんと自分たちの役目を果たし、来場者に楽しんで頂ける空間となりました。
子供達の歓声があたりに響き渡りました
早川さんと調律師の提案で今回はわざとピアノの前板をはずしたままにしました。
音の抜けもいいし、子供達も生き物のように目の前を動くハンマーに釘付けでした。
2/25 いよいよ点灯
夕方5時になり夕闇迫る中、いよいよ点火です
異人館ジャズライブ
異人館では第2部(大人向け)「ジャズでホットに!」が始まりました。
ストリート
阿仁銀山・水無地区は約3キロにわたってキャンドルストリートとなり、ひとつにつながりました。
広場・回廊・スクウェア
異人館・伝承館・阿仁支所のまわりもたくさんのキャンドルで彩られました
現地企画実行委員長から地域の方々へのお礼メッセージ
この度の「スノーマン・キャンドル&ジャズナイトat阿仁異人館」では、阿仁地区の実行委員・ボランティアの方々、そして、地域のみなさま1人1人のご理解、ご協力をいただき開催できましたことに、実行委員会一同心から感謝いたしております。
今回は、阿仁の地域資源を生かして、地域の方々が一緒に楽しめる地域住民参加型のイベントとして開催し、キャンドルストリートでは、地域のみなさまが作った1つ1つのスノーキャンドルが、長い長いキャンドルストリートとなり、阿仁の冬の夜がきれいな光に包まれました。
世代を越えて楽しく作っている姿や、工夫を凝らしたスノーキャンドルの数々は、「目に映るきれいで温かい灯」であるとともに、「私たちの心の中にもきれいで温かい灯」を灯したのではないでしょうか。地域のみなさま、本当にありがとうございました。
Akitaふるさと活力人養成セミナー現地企画実行委員長 鈴木奏子
このAkitaふるさと活力人養成セミナーの特徴として、当初から掲げていた「より実践的なセミナー」という精神の集大成が今回の現地企画でした。
必要な事務処理・手続き、企画のねらいとその達成度の評価などはもちろんですが、地域住民や実行委員の精神的な満足度・充実度・感動といったものは、とにかくやってみないことにはなかなかわからないものです。
阿仁(特に銀山・水無地域)地域住民のみなさん、あるいは地元スタッフとして関わった実行委員の方々にとっての今回のイベントは、地域資源の発見・活用、いきいきとした地域づくりといった意味がありました。
一方、Akitaふるさと活力人養成セミナーの受講生にとっての今回のイベントは、地域コーディネートの実践、あるいは地域資源を活かしたイベントの企画から実施までを体験してみる、という意味がありました。
つまり、このAkitaふるさと活力人養成セミナー現地企画というのは、イベントとしての成功だけではなく、セミナー受講者にとって今後自分の地域に反映させていくためのスキルを身につける事ができたかどうか、という点についても掘り下げて自己評価していく必要があります。
現地企画の翌日、セミナー受講者は報告会を実施し、感想・反省・想い等を改めて語り合いました。また、現在も平成17年度セミナー閉講式にむけて、今回の体験についてうまくいった点、改善する必要がある点を、アンケート等を通じてまとめています。
今回のイベントを通じて得た経験を活かすことで、セミナー受講者が秋田の農山村へ活力を注ぎ込むことができる人材として、また一歩ステップアップできるのではないかと期待しています。