よくあるご質問|年金Q&A|企業年金連合会
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ホーム年金Q&A厚生年金基金に関して > よくあるご質問
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よくあるご質問

Q1
厚生年金基金制度はどのような背景の下に創設され、現状はどうなっているのですか。
Q2
基金の性格と基本的な仕組み(設立要件と設立形態、給付形態、給付のプラスアルファ)はどのようなものですか。
Q3
厚生年金基金の脱退一時金相当額の移換先はどうなっていますか? 複数制度への移換も可能ですか?
Q4
厚生年金基金に加入している事業所を退職し基金から脱退一時金が支給されることになったが、一時金ではなく年金化を希望している。この場合どのような手続きが必要ですか。将来受給する年金の見込額は分かりますか。
Q5
厚生年金基金の存続のための条件を教えてください。
Q1
厚生年金基金制度はどのような背景の下に創設され、現状はどうなっているのですか。
A1
 厚生年金基金制度は昭和38年、厚生年金保険の改善が検討された際、厚生大臣の諮問機関である社会保険審議会でその構想について意見が出され、その後、昭和40年6月に厚生年金保険の大幅な給付改善(いわゆる1万円年金の実現)とともに、厚生年金基金制度の創設を主な内容とする厚生年金保険法の一部を改正する法律が成立し、基金制度は、厚生年金の一部を国に代わって支給するとともに、加えて企業の実情に応じた独自の上乗せ給付を行うという、新しい仕組みの企業年金制度として昭和41年10月からスタートしました。
 基金制度の構想が出された背景には、企業においてわが国特有の退職金制度の充実が進み、更に、その年金化を中心とした企業年金も普及しつつあったことから、これら私的制度である企業の退職金や年金等と公的制度である厚生年金保険との間に、機能あるいは費用負担について調整が必要であるとの強い意見があり、その結果この調整の機能も備えた制度として基金制度が誕生したのです。
 その後、適格退職年金制度と並んでわが国の企業年金の大きな柱となり、一時は厚生年金被保険者の約3分の1を占めるまでになっていましたが、社会経済情勢の変動、とりわけバブル崩壊後の運用環境の悪化により厚生年金本体を代行するメリットが薄れたことや、退職給付にかかる新会計基準の施行で代行部分の債務も母体企業の債務に計上されるようになったことなどから平成14年の確定給付企業年金法の施行により代行部分を国に返上して確定給付企業年金へ移行することができるようになりました。
 その後も厳しい運用環境のため代行部分の資金の確保さえ危うくなる基金も生じ、AIJ投資顧問事件を契機として法律改正が行われ、平成26年4月からは新規の設立は認められず、既存の基金についても代行返上して確定給付企業年金に移行するか解散するかが促されています。
Q2
基金の性格と基本的な仕組み(設立要件と設立形態、給付形態、給付のプラスアルファ)はどのようなものですか。
A2
 基金は、厚生年金保険法により設立を認められた「特別法人」であり、公法上の特別の権能が与えられ、また、国の特別の監督規制を受けるといった性格をもっています。
 また、基本的な仕組みについては、基金は国の行う年金制度のうち、老齢厚生年金の報酬比例部分の年金を代行し、これに加えて企業の実態に応じた独自の上乗せ給付(プラスアルファ)を上乗せした年金給付を行います。
 なお、代行給付には再評価およびスライド部分は含まれていません。再評価及びスライド部分の給付は厚生年金本体から支給されます。上乗せ給付(プラスアルファ)は給付現価で代行部分の一定割合まで確保していなければなりません。以上の内容を図解すると以下のようになります。

基金の性格と基本的仕組みの説明図

 なお、プラスアルファ水準は基金の設立時期等に応じて次のとおりの水準が必要です。

設立時期区分水準
平成17年3月31日以前 解散または代行返上の方針を議決した基金 1割程度
平成26年10月1日時点で3割を下回っている基金 当該水準
上記以外の基金 3割程度
平成17年4月1日以後 5割程度


(参考1)設立要件と設立形態
 基金を設立することができるのは、厚生年金保険の適用事業所の事業主ですが、単独で設立する場合と、2以上の企業が共同して設立する場合があり、その設立形態および設立要件は以下のとおりです。
設立形態設立の要件
加入員
の規模
加入員の同意給付内容認可
単独設立 企業が単独で設立するもの 1,000人以上
  • 基金を設立しようとする事業所ごとに、加入員となるべき被保険者の2分の1以上の同意が必要
  • 被保険者の3分の1以上で組織する労働組合があるときは、その労働組合の同意が必要
年金給付は、次の要件に合うように設計されていなければならない。
  • (1)代行給付の水準よりも高いこと
  • (2)不当に差別的な取扱いをしないこと
  • (3)年金財政が安定していること
  • (4)終身年金の割合が一定以上あること
基金は、厚生労働大臣の認可を受けたときに設立する
認可に当たっては、
  • (1)給付の内容その他が基金制度の趣旨にそったものかどうか
  • (2)長期間健全に運営される財政基盤があるかどうか
  • (3)設立母体である企業が将来にわたって安定性をもっているかどうかについて、審査を行う
連合設立
  • 主力企業を中心として、2以上の企業で設立するもの
  • 主力企業を除いた関連企業で設立するもの
  • 特定の企業とその資本系列にある企業グループで設立するもの
1,000人以上
総合設立 基金を設立しようとする企業に対し強力な指導統制力を有する組織母体又は当該企業で構成されている健康保険法(大正11年法律第70号)に基づく健康保険組合があり、それらの運営状況が健全かつ良好であること。 5,000人以上


(参考2)給付形態
 基金の給付形態には2つの型があり、一般に「代行型」「加算型」と呼ばれています。各給付形態の内容は以下のとおりです。

1.「代行型」
 給付する年金の計算式が老齢厚生年金(代行部分)と同じ方式のものを代行型といいます。
 代行型の特徴としては、老齢厚生年金と同じ算定方式であるため、給付設計は画一的であり、わかりやすい反面、 企業の退職金制度などを年金に移行するための受け皿としては、必ずしも適当ではないと言われています。

2.「加算型」
 代行部分と同じ方式により、主に代行給付を賄う部分(基本部分)、それとは異なる方式による部分(加算部分)を実態に即して加算するものを、加算型といいます。
 加算型の特徴としては、加算部分は企業独自の考え方が取り入れられるため、給付設計の多様化に対応しやすく、退職金を基金へ移行して年金化する場合において、優れた機能を発揮します。
 この加算部分については、(1)終身部分の現価相当額が代行部分の現価相当額の5%以上であること。(2)終身年金部分の現価相当額が有期年金部分の現価相当額を下回らないことといった条件のもとに有期年金を設計することができるほか、各グループのプラスアルファが1割程度上回っていることという条件を満たしていれば、労働協約、給与規程、退職金規程等の労働条件の類似している加入員を構成員とするグループ区分を設定し、グループ区分毎に異なる給付設計が可能です。
 また、(1)従業員の昇格等の規程が明確に定められている。(2)同一加算適用加入員期間を有する加入員について、最大ポイントの最小ポイントに対する割合に過大な格差がないこと。(3)恣意的なポイントは存在せず、数理計算が可能であることという条件のもとに、通常、給与・在職期間等に基づいて算定される年金給付額について、このポイントに単価を乗じて年金額を算出するポイント制が採れるなどの給付設計の弾力化が認められています。
 この他にも加算部分の給付額が複数個の給付額の合計額として算定される場合で、加算部分の給付設計が退職金制度等と調整され、当該退職金制度等の内容の変更が困難なときは、各給付額の給付の適用を受ける加入員の範囲は加算適用加入員と異なっても差し支えないこととして、加算給付の分割を行うことが可能です。

(参考3)給付のプラスアルファ
 基金の行う年金給付は、国の老齢厚生年金の報酬比例部分の年金を代行し、これに基金独自の上乗せした給付を加えたものとしています。この上乗せされる部分の給付を一般に「プラスアルファ」と言っています。プラスアルファの厚みは代行部分の給付現価を100%とした時のパーセンテージで表されており、プラスアルファ部分に含める範囲の違いにより、「準実額(給付額の高さの割合)」と「理論値(給付額の高さに加え、厚生年金本体との支給開始年齢の差も考慮)」の 2つに区別されていました。しかし、平成12年改正によって代行部分の支給開始年齢引上げが実施されたことに伴い、準実額と理論値の区別がなくなり、プラスアルファは一本化されました。
 また、平成13年に行われた、厚生年金基金運営の弾力化措置により、(1)プラスアルファ部分の給付水準の見直しと(2)終身年金部分の厚みの見直しが行われました。

1.プラスアルファ部分の給付水準の見直し(代行部分の3割から1割への引下げ)
【従来】
プラスアルファ部分の給付水準は、代行部分の3割程度まで確保していることとされています。
【改正後】
プラスアルファ部分の給付水準は、代行部分の1割程度まで確保していることとされます。なお、基金解散時の掛金の一括拠出の負担が困難なため、やむを得ず給付設計の変更を行う場合は、1割程度の給付水準を満たしていなくてもよいこととされています。

基金の支給開始年齢を本体に併せて引き上げる場合
基金の支給開始年齢を本体に併せて引き上げる場合の説明図
基金の支給開始年齢を60歳に据え置く場合
基金の支給開始年齢を60歳に据え置く場合の説明図

2.終身年金部分の厚みの見直し

【従来】
プラスアルファ部分の65歳以降の支給の給付について、終身部分の現価相当額は代行部分の現価相当額の15%を下回らないこととされています。
また、代行部分相当額を上回る終身年金部分は有期年金部分を下回らないこととされています(2分の1ルール)。
【改正後】
プラスアルファ部分の65歳以降の支給の給付について、終身部分の現価相当額は代行部分の現価相当額の5%を下回らないこととされています。

終身年金部分の厚みの見直し(改正後)の説明図

2分の1ルールについては、適格退職年金契約に係る給付の支給に関する権利義務を承継した部分については、判定の対象外とすることができます。

 

注記:なお、B(支給開始年齢を60歳に据え置いた場合の、60歳代前半の給付)の部分については、代行型の給付であるか、代行型の給付でない給付でも以下の条件すべてに該当する部分については、2分の1ルールの対象外とすることができます。

(1)65歳までの部分。

(2)代行給付に相当する部分(支給乗率1,000分の5.481の給付)を下回る部分

(3)選択一時金の選択ができないこと。(遺族一時金は可)

 

これらの条件のいずれかを満たさない部分は有期年金として取り扱われます。(Eと同様)

Q3
厚生年金基金の脱退一時金相当額の移換先はどうなっていますか? 複数制度への移換も可能ですか?
A3
 以下の選択肢があります。複数制度への移換はできません。
①再就職先の厚生年金基金(移換先の基金規約で受入れ可能とされている場合)
②再就職先の確定給付企業年金(移換先のDB規約で受入れ可能とされている場合)
③再就職先の確定拠出年金
④企業年金連合会の通算企業年金
⑤個人型確定拠出年金(iDeCo)
Q4
厚生年金基金に加入している事業所を退職し基金から脱退一時金が支給されることになったが、一時金ではなく年金化を希望している。この場合どのような手続きが必要ですか。将来受給する年金の見込額は分かりますか。
A4
 再就職をされる場合で、再就職先が基金又は確定給付企業年金を実施していて、かつ当該制度の規約に脱退した基金から脱退一時金(相当額)の移換を受ける旨の定めがある場合、脱退一時金(相当額)の移換を期限内(基金の資格喪失日後1年以内または再就職先の企業年金制度の資格取得後3ヶ月以内の、いずれか早い方まで)に申出する必要があります。また、再就職先が確定拠出年金を実施している場合は、脱退一時金(相当額)の移換を期限内(基金の資格喪失日後1年以内)に申出する必要があります。なお、再就職されない場合や再就職先の企業年金制度で年金化できない場合は、連合会に脱退一時金相当額を移換し年金化することもできます。また、個人型確定拠出年金への加入も可能です。
 また、将来の年金見込額はどなたでも連合会のホームページにて試算できます。

Q5
厚生年金基金の存続のための条件を教えてください。
A5
 厚生年金基金制度については、平成25年の厚年法等の改正により、改正法施行の5年経過(=平成31年4月)後においては、決算時に、純資産額<(最低積立基準額または最低責任準備金額×1.5のいずれか小さい方の額)となった場合は翌事業年度に掛金引上げによりこれを回復させる必要があるとされ、回復できなければ厚生労働大臣が解散命令を発することができるとされています。

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