本日はほんのこばなしで、これは個人の見解に基づくものですので、私が「こうやって納得した」という程度のお話として読んでいただければ幸いです。
検証など足りていない雑談なので、あくまでそのつもりで読んでいただければと思います。
先に、ネタバレっぽいこと書いちゃうと、例えば、木管五重奏がおかしいというならば、ピアノ三重奏(ヴァイオリン、チェロ、ピアノの編成)とかどうなんねん!?、おかしいやろ。というケースもございますので、本記事は、あくまでも、わたくしの妄想としておつきあいくださいませ。
では、まいりましょう。
木管五重奏は誤訳!?
木管五重奏とは
主に、フルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、バスーン(ファゴット)の5つの楽器からなる五重奏のことを指します。
代表的な室内楽の形態の1つである弦楽四重奏が、ヴァイオリン属による同質な響きを持っているのに対して、木管五重奏は4種類の発音機構(エアリード、ダブルリード、シングルリード、リップリード)を携えており、その違いに起因する多彩な響きを持っているのが特徴です。
5名しかいない編成でなんと、同じ発音機構の楽器は全5つの楽器の中で2つしかない*1という、かなりユニーク編成です。
クラリネット四重奏、サックス四重奏などに代表される同族楽器のアンサンブルや金管アンサンブルと比べてもその響きは独特のアイデンティティを確立しているのではないでしょうか。
で、この木管五重奏なのですが、実はちょっと命名に違和感があるんです。
ホルンがいるのに木管五重奏とな?
比較的古くから存在する西洋の木管楽器、フルート、オーボエ、クラリネット、バスーンを主体とした五重奏のため、木管五重奏と翻訳されるようになったのではないかと思いますが、「あれ、なんか仲間外れいない?」と思われた方もいるのではないでしょうか。
そう、ホルンです。
ホルンは紛れもない金管楽器ですが、この編成には組み込まれています。
ホルンは木管楽器と金管楽器の橋渡しをする役割をすることが多いので、木管五重奏に組み込まれている。というような話をよく聞くことがあり、それは、当たらずとも遠からずかなとは思います。
が、しかし、いくら木管楽器主体とはいえ、金管楽器が含まれている編成に「木管」五重奏とつけるのはいささか乱暴ではないか?
そう思われた方もいらっしゃるのではないかと思います。
かくいう、私は、そう思った口の一人です。
では、なんで名は体を表す...ととらえると少しおかしな名称がつけられたのか、考察をしてみたいと思います。
木管五重奏は英語では"Wind Quintet"という
クラシック音楽はもともと西洋で発達した文化ですから、元となった言葉があるはずです。
んで、元の言葉を調べてみました。
木管五重奏と訳される曲の英語表記は"Wind Quintet"のようです。(元となった言葉、それはおそらう英語ではないけれども、日本語と比べればその近似性、一致度は高いと推測して話しております。ちなみにドイツ語では"Bläserquintett"、イタリア語では"Quintetto di fiati"だそうです)
ここで、"Wind Quintet"は本当に「木管五重奏」の意味なのでしょうか?
調べてみました。
"Quintet"これは、まぎれもなく五重奏を意味するので、"Quintet"="五重奏"、対応する訳ととらえてよいと思います。
では、”Wind"は木管楽器を表すのでしょうか?
実は、これは誤りです。
"Wind (Instrument)"に木管楽器は含まれますが、”Wind (Instrument)”="木管楽器"ではありません。
では、"Wind (Instrument)"とは何を意味するのでしょうか?
答えは、"吹奏楽器(管楽器)"です。
なので、木管楽器も金管楽器も両方とも含む管楽器。のことを指すようです。
はて、これに従うと、"Wind Quintet"をより正確に訳すとしたら、「木管五重奏」でなく「管楽五重奏」が正しいのでは?
ということで、"Wind Quintet"にホルンが含まれるのは全く違和感がないようです。
それでも木管五重奏という名前でよいのかもしれない
ではでは、なぜ、木管五重奏と翻訳されるようになったのだろうか。
ここからはより推測に過ぎない話になりますが、金管アンサンブルに対比させるために、「木管」という言葉を使ったのではないか。
ということです。
楽器の進化、その地域などの編成の定着度、教育目的などいろんな理由があると思いますが、現在ではサックスを含む編成や、本当に木管楽器しか含まれない編成の楽曲などが多く生み出されていますが、それらはおそらく、かなり新しい編成であります。
で、この木管五重奏という言葉できた当初、管楽器のアンサンブルの編成といえば、
ホルンを含む木管アンサンブルと金管アンサンブルの2種類くらいしかなかったのではないかと推察されます。
そのため、単純に金管アンサンブルに対比させる言葉として、ホルンを含んでいても「木管」という言葉をつけてもあまり問題がなかったのではないか。
それゆえに、"Wind Quintet"を木管五重奏と翻訳したのではないかと思われます。
また、実際の定着度においても、問題はないのだろうと思います。
現に、木管五重奏と聞いて一般的に定着しているのは、やはり、フルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、バスーンの編成なのだから。(そのほかの編成をディスっているわけではないのでその点は悪しからず…)
疑問に思ったことを考察してみるのは楽しいかもしれないぞよ。
ということで、非常にどうでもよい話を延々と続けてしまい、皆さまには退屈な思いをさせてしまったかもしれません。
その点は申し訳ありません。
が、後悔はしておりません。
なんというか、こういう疑問に思ったことや、由来、原理etcを考察して自分なりの答えを見つける行為って面白いんですよ。
なので、皆さんもなにか疑問に思うことがあったら、やってみてはいかがでしょう。
そして、今回は私と同じように「木管五重奏」という言葉に対する違和感を持った方が考察するきっかけや、一つの説となってくれたら、うれしいです。
ということで、また何かの機会にお会いしましょう。。。
さいならー。
蛇足:なぜ最初に西洋で"Wind"という言葉を当てはめたのか?
逆に、本場西洋では管楽器のみのアンサンブルで最初に実用化されたのがいわゆる木管アンサンブル(木管主体でホルンを含む編成)しかなかったので、"Wind”という言葉を使ったのではないかと思われます。
古典派の時代になって、クラリーノ奏法が廃れバルブシステムができ始める前の金管楽器で少人数のアンサンブルの1パートを担いうるのはホルンくらいしかなかった(トロンボーンはもともとも宗教的な特別な楽器とみなされていたので組み込まれることが稀であった)ため、金管アンサンブルが発達したのは木管アンサンブルよりかなり後になった。
そのため、管楽器のみのアンサンブルとして当初存在存在しえたのが木管アンサンブルしかなかったんじゃないかなー。
なんて、妄想しております。
木五といえば、ダンツィではないでしょうか⁉
ノヴェレッテはそんなに難しくもなく長すぎず、取り組みやすい曲だと個人的には思います。
ついでに…めっちゃ難しかったですが、楽しかったです。
ラヴェルのクープランの墓。
メイン曲にもおすすめです。
*1:オーボエとファゴットの発音機構は同一です