情報セキュリティスペシャリスト試験対策として、通信方式「CSMA/CD」「CSMA/CA」の違いをまとめてみました。 午前1試験での定番問題です。名前も通信の手順も似ており、よく取り違えます。
通信方式
CSMA/CAとは
CSMA/CA方式は通信の衝突を回避する技術であり「Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance」の略です。
無線LANの通信規格IEEE802.11a/b/g/nで使用しています。
通信の手順は以下の通りです。
- 端末Aは、あらかじめ送信先チャンネルで受信を試み、通信が行われていないことを確認
- 通信を検知した場合は、ランダムな時間待機しデータ送信を開始
- 通信を検知しなかった場合も、ランダムな時間待機しデータ送信を開始
CSMA/CDとは
CSNA/CD方式は通信の衝突を検知する技術であり「Carrier Sense Multiple Access with Collision Detectionの略です。有線LANの通信規格Ethernetが採用しており、フレーム衝突を検知し送信を停止します。
CDMA/CD方式は、2019年現在ほぼ使用されていません。しかし情報処理技術者試験では頻出です。
通信の手順は以下の通りです。
- 端末Aは、あらかじめデータの受信を試み、通信が行われていないことを確認
- 通信を検知した場合は、ランダムな時間待機しデータ送信を開始
- 通信を検知しなかった場合は送信を開始
- 端末Aが衝突を検知した場合は、データ送信を中止
- 衝突発生後にランダムな時間待機しデータ送信を再開
CSMA/CD方式とCDMA/CA方式の違い
CSMA/CD方式とCDMA/CA方式の違いは、通信を検知しなかった場合の動作です。
CSMA/CD方式では送信先で通信を検知しなかった場合、そのまま送信を開始します。CSMA/CA方式では通信を検知してもしなくてもランダム時間待機してから送信を開始します。
出題例
設問(基本問題)
CSMA/CD方式のLANに接続されたノードの送信動作に関する記述として,適切なものはどれか。
- ア:各ノードに論理的な順位付けを行い,送信権を順次受け渡し,これを受け取ったノードだけが送信を行う
- イ:各ノードは伝送媒体が使用中かどうかを調べ,使用中でなければ送信を行う。衝突を検出したらランダムな時間経過後に再度送信を行う
- ウ:各ノードを環状に接続して,送信権を制御するための特殊なフレームを巡回させ,これを受け取ったノードだけが送信を行う。
- エ:タイムスロットを割り当てられたノードだけが送信を行う。
解法(基本問題)
- ア:トークンパッシング方式の説明です。
- イ:CSMA/CD方式の説明です。
- ウ:トークンリング方式の説明です。
- エ:TDMA(Time Division Multiple Access)方式= 時分割多元接続/時分割多重アクセス の説明です。
解答(基本問題)
イ
設問(応用問題)
無線LANの隠れ端末問題の説明として,適切なものはどれか。
- ア:アクセスポイントがSSIDステルス機能を用いてビーコン信号を止めることによって,端末から利用可能なSSIDが分からなくなる問題
- イ:端末がアクセスポイントとは通信できるが,他の端末のキャリアを検出できない状況にあり,送信フレームが衝突を起こしやすくなる問題
- ウ:端末が別のアクセスポイントとアソシエーションを確立することによって,その端末が元のアクセスポイントからは見えなくなる問題
- エ:複数の端末が同時にフレームを送信したとき,送信した端末が送信フレームの衝突を検出できない問題
解法(応用問題)
- ア:アクセスポイントのセキュリティを確保するための設定「ステルスモード」の説明です。「問題」と呼ばれるようなものではありません。
- イ:CSMA/CA方式は、各端末が相互に送信フレームを受信可能であることを前提としています。これができない場合は送信を検知できず、フレームの同時送信による衝突が発生する可能性が上がります。これが「隠れ端末問題」です。
- ウ:端末が別のアクセスポイントと接続した場合であっても通信の有無=端末の有無を検出できます。
- エ:ACKパケットを送信し返信がない場合は衝突発生とみなします。そのため説明自体が間違っています。
解答(応用問題)
イ
備考
CSMA/CA方式とCDMA/CD方式は名前が似通っています。
選択肢も非常に紛らわしく人を惑わす説明が並ぶため、自信をもって回答できないことがよくあります。
用語を確実に記憶することが試験突破の第一条件です。しっかりと覚え、確実に得点できるようにしましょう。