2023年の初開催とジャージのデザイン
初開催は、九州の経済団体トップと各県知事で構成される九州地域戦略会議において、①ラグビーワールドカップのレガシーの持続的継承、②九州でのサイクルツーリズムの推進、③近年九州を襲った自然災害からの復興を象徴するイベントであった。福岡県で小倉城ステージと福岡ステージ、熊本県で熊本阿蘇ステージ、大分県で大分ステージと、初開催で3県にまたいた大規模な開催となった。
初開催においてパールイズミは、大会事務局とチャンピンジャージのデザインと制作を担当。当初事務局からは「可能な限りシンプルなデザインを」というご要望を頂いた。各賞はスポンサーの色が決まっていたため、担当デザイナーにはシンプルになり過ぎない一ひねりが必要であった。
大会事務局との打ち合わせで出張の際に訪れた夜の福岡博多の屋台街。屋台には暖簾があり、観光客を迎え入れているのが象徴的だった。後で調べると、この暖簾にちなんだ「九州ロゴマーク」というのが存在するのが分かった。参考までにこの「九州ロゴマーク」とは、第33回九州地域戦略会議において、九州・山口地域の一体感を国内外に示すため、同会議がデザインした象徴であった。
九州マークについて
「九州ロゴマーク」は「九」「州」「一」の3つの漢字を組み合わせ、九州は一つとの理念を象徴している。暖簾(のれん)をモチーフとしたデザインには、国内外から多くの人に「九州の暖簾をくぐって頂きたい」とのメッセージが込められている。自転車競技の大会開催を通して、多くの人たちが九州の地を訪れる。大会のジャージのデザインに相応しいマークと考え、デザインに採用させて頂いた。
チームロゴのプリント業務
デザインと合わせて、パールイズミの仕事で大切なことは現地での昇華転写による即時プリントだ。自転車競技の大会では、「個人総合賞」、「ポイント賞」など各ステージの結果により、各ステージごとに優勝者が着用するジャージが決まる。レース結果を受けて、現地で対象者が所属するチームのロゴを各色のジャージにプリントする。その日中にチームロゴがプリントされたジャージを選手側に手渡し、翌日のレースで選手に着用してもらう。
レースでは、青、赤、緑、白のジャージで優勝者が目立つような工夫をし、観客にも大会観戦を楽しんでもらう仕組みだ。
マイナビ ツール・ド・九州2024の開催
2024年6月4日に「マイナビ ツール・ド・九州2024」の発表会が行われ、大会の開催概要と合わせて2024年版のチャンピンジャージが披露された。パールイズミはジャージを制作し現地でプリントする以上のことを本大会にもたらしたいと考えている。マイナビ ツール・ド・九州は自転車競技の国際大会として大きな可能性を秘めている。九州の地での本格的なラインレースの大会が開催されること、地元の多くの観戦者によって応援を受ける選手達が切磋琢磨して優勝を目指し、継続的な大会開催を通してサイクルツーリズムが地元に根付いていくことなど、自転車業界にとって理想的な大会になると信じている。