実は、お年寄りはカラダに水分を貯めこむ力が弱く、脱水症に陥りやすいのです。ふだんと少しでも違う様子を感じたら、脱水症を疑ってみましょう。
お年寄りと水分について
もともと体内の水分が少ないお年寄り
お年寄りは、体内の水分量が少ないため、普段より多く汗をかくだけでも脱水症の原因となります。
水分の摂取量が少ないと、食欲不振から食事量も減少してしまい、さらに脱水症を進行させてしまいます。周囲の方は、常にお年寄りのコンディションを気づかうことが大切です。
お年寄りの一日に、必要な水分量は?
私たちは一日に約2.5Lの水をやりくりしています。それは、食事や飲料、そして、体内で生まれる水分の合計と、尿や便、呼気や皮膚からの蒸発で奪われる水分が一致していることが条件。
そのため、食事や飲料からの水分摂取が減るお年寄りでは、そのバランスが崩れやすくなってしまうのです。
お年寄りは、脱水症になりやすい。その訳は?
- ①もともと、体の水分量が少なくなっている。
- ②のどの渇きを感じにくく、また食欲も低下し水分の摂取量が減る。
- ③腎臓の機能が低下し水分の調節がうまくいかないため、水分が不足しがちになる。
- ④持病によっては、脱水症との区別がつきにくいため、水分補給を怠ってしまう。
見逃さないで、お年寄りの脱水症のサイン
次の項目を常に観察し、いつもと変わったことがあれば、医師に相談しましょう。
生活環境からチェックする
- 室内の設定温度が28度を越えている
- 室内の風通しが悪い
- 直射日光のあたる部屋にいる
生活態度からチェックする
- 一日中長袖厚着でいることが多い
- 水分を摂取する量が少ない
- 急速な食欲の低下
こんな条件に当てはまったら、一度、脱水症を疑ってみましょう。また、急激に体重が落ちるなどの症状がみられたら、医師に相談するようにしましょう。
お年寄りの脱水症を見逃さない方法
- 痰が絡んだ咳を繰り返す 水分の摂取が極端に少なくなると、痰がからみやすくなります。水分摂取により、絡んだ痰を出しやすくなります。
- 脇の下に汗をかかない お年寄りの脇の下に手をあててください。脇の下は湿っているのが普通ですが、脱水症になるとその湿り気がなくなります。
- ハンカチーフサインで確認する 手の甲の皮膚をつまみ上げて脱水症をチェックする方法です。正常な状態ならすぐに戻りますが、脱水症を起こしていると、ハンカチをつまみ上げて離したようにしばらく戻りません。
監修:下田内科クリニック 院長 下田敦先生