駒ヶ岳はたび重なる噴火活動の影響により、広い範囲にわたって森林を焼失、埋積させました。その結果、周辺は裸地化し、植物にとっては栄養分を含まない土壌となってしまいました。
昭和4年の大規模な噴火活動から約70年を経た現在、一次遷移からはじまった植生回復の過程を観察できます。
標高200メートルから400メートルの山裾では、樹木の種類は比較的多く、ミネヤナギ、イヌコリヤナギ、ドロノキ、シラカンバやダケカンバ、カラマツ、アカマツなどが生育しています。
本来、北海道では自生しないカラマツやアカマツが見られるのは、信州や東北地方から移入されて植林されたものが種子を結実させ、やがてその種子がこの地に飛散して発生したものです。
標高500メートルから700メートルの中腹付近では、生育する樹木の種類はかなり限られてきます。ミネヤナギがもっとも多く、数は少ないがカラマツもところどころで見られます。
その他、ドロノキ、ダケカンバなどは矮性で生育しています。また、シーズンには可憐な花をつけるシラタマノキやイソツツジ、ヒメギキョウ、ハクサンチドリなども見られ、登山者の目を楽しませてくれます。
800メートル以上の山頂付近になると、ほぼミネヤナギの純林ですが、樹高は30~50センチと低く、盆栽状になっています。
ウラジロタデ、ススキ、イワブクロ、イワギキョウなども見られますが、まばらです。火口付近になると、スゲなどが株状に点々と見られるだけです。
このあたりは常に噴煙など火山活動の影響で、きびしい環境となっており、その環境に耐えられない植物は自然に淘汰されます。逆にいえば、きびしい環境に耐えられる植物だけが生育できるのです。