小田急グループの環境
環境ビジョン
小田急グループは美しい地球環境と優しい社会を未来の世代に引き継ぐことを使命とし、事業活動を通じてCO2排出削減や資源循環、自然資源の保全・活用などの環境課題に積極的に取り組みます。
環境長期目標
小田急グループは
2050年CO2排出量 実質「0」
をめざします
その達成に向け2030年CO2排出量△50%
(2013年比)をめざします
小田急電鉄は金融安定理事会によって設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明しています。これに基づいて、情報開示を進めていきます。
環境戦略
UPDATE 1 脱炭素社会の実現
小田急グループは省エネルギー化の推進と再生可能エネルギーの活用により、2050年までに事業で排出されるCO2排出量実質「0」を目指します。
鉄 道
小田急グループ交通網の再生可能エネルギー導入
2024年度より小田急全線をはじめ、箱根、江の島・鎌倉、大山エリアの小田急グループ交通網(小田急電鉄、箱根登山鉄道、箱根ケーブルカー、箱根ロープウェイ、江ノ島電鉄、大山観光電鉄※1)は、運行に使用するすべての電力※2を再生可能エネルギー100%に切り替えます。
※1 大山観光電鉄は環境長期目標の対象外
※2 運転用電力をはじめ駅や信号機、踏切等を含む列車運行のために使用する全電力
複々線化事業の効果
複々線化事業の完成と列車増発により平均混雑率の低下や所要時間の短縮により旅客サービスの向上が図られています。また、列車の詰まりの解消や省エネ化により、CO2排出量を削減しています。
車両の省エネ
小田急グループ鉄道各社は、VVVFインバータ制御装置の採用や照明のLED化などの車両の省エネ化を推進しています。
回生電力の有効利用
電車がブレーキをかけたとき発電し生まれる回生電力は、運行している他の電車のエネルギーとして再利用されます。一方、使い切れず余った回生電力は一時的に貯蔵し再利用しています。小田急電鉄の全ての車両は回生ブレーキを装備しています。
環境にやさしい駅
東北沢駅、下北沢駅、世田谷代田駅は、太陽光発電システム、トップライト、光ダクト、地中熱ヒートポンプシステム等の各種省エネ設備を装備した環境負荷の少ない駅です。今後も地域特性にあった環境にやさしい駅の建設を推進します。
風力発電(駅施設)
国立公園内に立地している箱根ロープウェイ・大涌谷駅は、2013年4月にリニューアルされ、風力発電システムが採用されました。発電した電気は駅施設の電力の一部として使用しています。
駅施設の省エネ
各駅の照明、ホームの行先表示装置や駅構内の各種掲示板のLED化や人感知多機能券売機の採用など駅施設の省エネを推進しています。
保安施設の省エネ
小田急電鉄の全ての信号機、踏切のせん光灯についてLED化が完了し、メンテナンスの省力化と省エネ化を達成しています。
オンサイトPPAによる太陽光発電設備の導入
再生可能エネルギーのさらなる活用を目指し、オンサイトPPAによる太陽光発電設備を設置、さらに東京電力グループ、出光興産と地域の脱炭素に向け連携開始。
不 動 産
新宿駅西口地区開発計画
新宿グランドターミナルの一体的な再編を象徴する大規模開発。「A区」の事務所用途において、2023年12月に建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)評価を取得し「ZEB Ready」を達成しました。ワークプレイスとしての機能性と環境配慮を両立させた、高機能なオフィス空間を目指します。
商業施設(太陽光発電システム)
2011年4月にオープンした商業施設「経堂コルティ」は屋上に太陽光発電システムが設置され、発電した電気は、空調や照明設備などの電力に使用しています。
商業施設(LED照明)
2018年、町田駅ビルの全館リニューアルを実施し、ショップ内、共用通路とも照明装置をLEDに更新。リニューアル前と比較して約7%の電力削減を実施しました。
バス・タクシー
EVバスの導入
当社グループが保有するバスの約15%※1にあたる約500台のEVバスを、国や自治体の補助を活用しながら2030年度までに導入していきます。
※1 2024年3月現在(環境長期目標非対象の神奈川中央交通(株)を含む)
ハイブリッドタクシー
小田急交通では、環境性能が高いLPG-ハイブリッドシステムを採用した車両の導入を推進しています。この車両は健常者、身体の不自由な方を問わず、全ての人に優しいユニバーサルデザインタクシーです。
再生可能エネルギーの発電や循環により地域の脱炭素社会の実現に貢献します。
小田急でんき・グリーンプラン
グリーンプランは、森林由来のJ-クレジットの環境価値を付加することで供給された電気の使用に伴うCO2排出量を相殺して実質的にCO2フリーの電気とする仕組みです。
太陽光発電
喜多見発電所は喜多見電車基地はじめ周辺施設の屋上や屋根部分約8,400㎡のスペースを活用した世田谷区内で最大規模の太陽光発電所であり、毎年60万Kwh以上を発電します。
EV専用駐車場
環境負荷の小さいEV自動車の普及を支える交通インフラとして、EV充電装置を設置した駐車場を整備しています。
鉄道やバスは他の乗り物と比較して、CO2排出量の少ない環境にやさしい乗り物です。今後も利便性の向上と環境負荷の低減を推進します。
鉄道・バスの環境優位性
旅客輸送において、各輸送機関から排出される単位輸送量当たりのCO2排出量を比較すると鉄道は自家用車の約1/6であり、鉄道・バスは環境に優しい乗り物です。
CO2排出 削減貢献量(Scope4)
小田急グループの交通網(鉄道、ケーブルカー)の2023年度の単位輸送量あたりのCO2排出量は、12g-CO2/人kmであり、年間排出量では自動車輸送と比較して121万t-CO2の排出削減に貢献しています。
MaaSの推進
MaaSを推進することで、自家用車などの移動手段を持たなくてもストレスフリーで最寄りの駅、商業施設へ移動することが可能になり、環境負荷の低減にも貢献します。
環境定期制度(路線バス)
立川バスの通勤定期をお持ちのお客さまに同伴される家族の方は、土・日・祝日等に限り、割引運賃で乗車できる制度。自家用車からバスへのシフトに貢献します。
SHONAN PEDAL(シェアサイクリング)
SHONAN PEDALは、湘南地域で展開されている電動アシスト自転車のシェアリングサービス。環境に優しく、地域住民の身近な交通手段として、また湘南観光の周遊交通手段として活躍しています。
駐輪場・駐車場の整備
駅周辺の保有土地を活用し、駐輪場や駐車場の整備を行っています。自宅最寄りの駅までのアクセス利便性の向上を図り、鉄道利用促進に貢献します。
UPDATE 2 資源循環社会の実現
Reduce(ごみの発生を少なくする)、Reuse(繰り返し使う)、Recycle(資源として再生利用する)、Refuse(ごみになるものを断る)、Repair(修理して使う)を意識して、より環境への負荷低減に取り組みます。
鉄道車両のリサイクル
車両の廃車・解体時に発生する約90%以上を占める金属類等は可能な限りリサイクルしています。また、冷房装置の中に含まれているフロンガスは全て回収し、適正に処理しています。
ペットボトルリサイクル
お客さまにキャップやラベルの分別回収を協力いただくことで、使用済みペットボトルを新たな飲料用ペットボトルにリサイクル。資源の循環サイクルを強化し、限りある地球資源の有効活用を目指します。
リサイクル商品の販売
小田急百貨店新宿店では、「自分だけではなく“大切な誰かのため”に環境にやさしいモノを選ぶ」をテーマに環境に配慮した商品を「リサイクル」「リデュース」「オーガニック」に分類。ホームページや店頭にて紹介しています。
食物残渣の飼料化
小田急グループから排出された食品残渣をリキッド飼料に再飼料化。その飼料で育った豚を「優とん」ブランドでOdakyu OXの店頭や小田急百貨店の贈答品として販売しています。
古紙配合の名刺
駅や車両の廃棄ポスターを再生紙として活用した名刺を使用しています。これにより約600kgの廃棄ポスターが当社1年分の名刺に生まれ変わります。(古紙配合率50%)
アメニティバイキングの設置
フロント前にアメニティバイキングを設置。必要なものを必要な分だけご利用いただくことで廃棄物削減に貢献
地域パートナーと連携して、資源循環に取り組みます。
収集・排出・資源循環のサポート WOOMS
「Beyond Waste」をビジョンに掲げ、資源・廃棄物の収集・運搬・排出作業の効率化と資源循環を高めるサービスを提供。自治体や企業と連携することで、サーキュラー・エコノミーの実現を目指します。
小田急ONE(シェアリングエコノミー)
シェアリングエコノミーとは、インターネット上のプラットフォームを介してモノ・スキル・空間などをシェアしていく経済の動き。当社では、小田急ONE(オーネ)を運用しています。
資源循環に関する教育
小学生を対象にサーキュラーエコノミーの実現に不可欠な「ごみの問題解決」に関する授業を開催。ゲームを通じて楽しみながらごみ減量などを学び、環境への興味・関心の促進を図っています。
アイカサ(傘レンタル)
「アイカサ」は傘シェアリングサービスで、ビニール傘の使い捨て削減に寄与するものと考えられ、今後、小田急全駅の導入を目指しています。
UPDATE 3 自然保全と活用
私たちに豊かさを提供してくれる自然環境、地域の貴重な資源の保全活動を推進しています。
「箱根の森から」による寄付
ナチュラルミネラルウォーター「箱根の森から」の売り上げの一部は「箱根町資源保全基金」に寄付され、箱根旧街道杉並木の保護対策、仙石原すすき草原保存事業等の箱根の自然環境保全に貢献しています。
森林の保全(植樹体験イベント)
箱根ロープウェイ株式会社は沿線にイロハモミジの苗木を植樹体験する親子参加イベントを開催。また、箱根ビジターセンターの方から箱根の草花や野鳥の説明を受けながら桃源台まで散策しました。
「トキ保護基金」への寄付
⼩⽥急商事株式会社(Odakyu OX)では、「特別栽培米 佐渡産コシヒカリ」と「新潟県 佐渡ヶ島米コシヒカリ」の売上金の一部をトキ保護基金へ寄付することで、佐渡の自然保護やトキの増殖に貢献しています。
里山の保全(農業体験教室)
秦野市蓑毛地区の「蓑毛里地里山保全地域を守る会」の協力により農業体験教室を開催。参加した小学生とその保護者は、同地区の棚田で田植えを体験し、里山の保全の大切さを学びました。
多摩川河川敷での清掃活動
小田急電鉄では、和泉多摩川駅周辺に店舗を構える「TRAINS」、「BLUE多摩川」のスタッフとともに狛江市で行われた「クリーン大作戦」に参加。和泉多摩川駅周辺や多摩川河川敷の清掃活動を行いました。
小田急・江ノ電クリーンキャンペーン
2000年から毎年、片瀬海岸東浜において「小田急・江ノ電クリーンキャンペーン」を開催し、グループ各社の社員とその家族、一般応募の方たちと海岸の美化清掃活動を行っています。
神奈川県「森林再生パートナー制度」に賛同、寄付
公益財団法人小田急財団では、神奈川県「森林再生パートナー制度」に賛同、寄付することで、森林の保全や年間約50tのCO2吸収に貢献しています。(清川村宮ケ瀬)
期間:2022年3月1日~2027年2月28日
箱根(国立公園満喫プロジェクト)
富士箱根伊豆国立公園は環境省により、世界の旅行者が長期滞在したいと憧れる世界水準の旅行目的地を目指す地区に選定されています。優れた自然環境資源、地域の伝統文化を活性化させ、地域とともに有効に活用しています。
大山・丹沢
江戸時代から「大山詣」として親しまれた大山と首都圏の登山者に人気の丹沢。今後も豊かな自然と歴史的伝統文化が息づく大山丹沢地区の貴重な資源のサステナブルな活用を推進しています。
湘南・江の島
首都圏に近い湘南エリアは若者からファミリー層まで幅広い支持を得ており、流行の発信拠点でもあります。今後も持続可能な観光地を目指し自然環境、地域の貴重な資源の活用や活性化に取り組みます。
山中湖
小田急山中湖フォレストコテージは山中湖と富士山が望める湖畔エリアと森林浴が満喫できる森林エリアに分かれ、それぞれアウトドアライフが楽しめます。今後も山中湖エリアの貴重な自然資源を保全し、魅力あるアウトドアライフをサポートします。
「東京の木 多摩産材」の利用
森林が水や大気の浄化、CO2吸収や災害防止などの機能を発揮していくには、伐採、利用、植栽、保育という循環が必要です。明治神宮の最寄り駅・参宮橋駅のリニューアル工事では「多摩産材」をふんだんに使用し、木の温もりを感じられる駅に生まれ変わるとともに、森林資源の有効活用にも寄与しています。
自然アクティビティ拠点の開設
「自然体験」をテーマに新たな箱根の楽しみ方を地域事業者と共創・発信していく拠点「HAKONATURE BASE(ハコネイチャー ベース)を開業。
鉄道の騒音・振動対策(車両)
車両の騒音・振動対策として、全車両に防音車輪を装着。また低騒音型コンプレッサーや全密閉式主電動機の導入を推進しています。
鉄道の騒音・振動対策(軌道)
軌道の騒音・振動対策として、防音壁・吸音パネルの設置や弾性枕木砕石軌道などの軌道構造の改良を推進しています。
PCBの適切な管理と処理の推進
PCB(ポリ塩化ビフェニル)含有機器について、特別管理産業廃棄物の保管基準で定める厳正管理に努めるとともに、処理期限(2027年3月)までに適正な廃棄処理を順次進めています。
環境月間 グリーンライトアップ
「片瀬江ノ島駅」と「江の島シーキャンドル※」をグリーンライトアップ
期間:2024年6月1日~2024年6月30日
※江の島シーキャンドルは6月5日のみ
小田急グループは、2021年9月に「小田急グループ カーボンニュートラル2050」を策定し、事業活動を通じたCO2排出量の削減や資源循環、自然資源の保全・活用などの環境課題に取り組んでいます。
本表彰は、これら小田急グループ各社・職場・個人の取り組みを表彰し、その内容を社内外へ周知することで、環境活動の水平展開や従業員の意識向上、主体的な取り組みへの発展につなげ、小田急グループの環境の取り組みを活性化することを目的に「小田急グループ環境表彰制度」を2023年度に設け、実施しました。
当社は、下記のイニシアチブ等の設立趣旨および活動に賛同し、加盟・活動を支援しています。
なお、当社の環境ビジョンや環境長期目標に比べ業界団体の立場が著しく弱いまたは矛盾する場合は、団体に対し働きかけを行い、万一相違が生じる場合には当社の立場を優先します。
省エネルギー設備の導入など CO2排出量削減につながる設備投資促進を目的として、CO2排出量を仮想的にコスト換算するインターナルカーボンプライシング(ICP)を2024年度より導入しています。
ICP制度の概要
社内炭素価格 | 5,000円/t-CO2 |
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適用範囲・ 方法 |
CO2排出量の増減を伴う設備投資においてCO2排出コストを考慮して、投資判断を行う |