新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


9/24 勉強会

文献抄読

担当;大西

論文

Primary motor and premotor cortex in implicit sequence learning –evidence for competition between implicit and explicit human motor memory systems. Eur J Neuroscience 36: 2710-2715, 2012

要旨

  • 目的:M1およびPMdにAnodal-tDCSを行い,Implicit sequence learningへの効果を明らかにする.
  • 方法:1)対象:健常男性13名.2)tDCS:15分間刺激(1 mA, 8 cm2).M1への陽極刺激,PMdへの陽極刺激,Sham刺激の3条件を設定.3)運動課題は,キーボードのタッピング課題であり,ディスプレイの表示されたマークに対応して,V,B,N,Mの文字をできるだけ早く押す課題である.各条件で600回の運動練習を行い,学習状況を3条件で比較した.
  • 結果:3条件とも運動練習により反応時間が短くなった.運動練習中にM1への陽極tDCSを行うことにより,練習中の反応時間がSham刺激に比べて有意に早かった.また,練習の次の日においても,反応時間が維持されていた.一方,練習中にPMdに対して陽極tDCSを行うと,練習中の学習を阻害することはなかったが,次の日には学習状態が減衰していた.
  • 結論:M1へのA-tDCSはImplicitな運動遂行能力(Online学習)の向上および学習の定着(Offline学習)に寄与した.PMdへのA-tDCSはOnline学習の向上に寄与するかもしれないが,学習の強化・定着は阻害する可能性がある.

研究報告

担当;椿

研究テーマ;多段階負荷中の大脳皮質酸素化ヘモグロビン濃度の変化

要旨

  • 目的:運動強度を変化させたときの大脳皮質血流の変化を明らかにすること.
  • 方法:最大酸素摂取量の30%,50%,70%の負荷量で自転車エルゴメータ駆動を行い,その間の酸素化ヘモグロビン変化量を測定.酸素化ヘモグロビン変化量は,2種類のプローブ間隔により,深層と浅層およびその差を測定.
  • 結果:負荷強度の増加に伴い,血圧,心拍数,酸素摂取量,二酸化炭素排泄量は増加.酸素化ヘモグロビン変化量は,最大酸素摂取量の50%までは増加したが,70%3分後から安静時レベルまで低下.
  • 考察:負荷量の増加や血圧変動と同期しない酸素化ヘモグロビン量の変化が生じ,脳への血流変化を含めて考える必要がある.