新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


6/28 勉強会

【研究報告】

担当:井上

タイトル:OsteosarcopeniaとCognitive frailtyの横断的関連について

  • はじめに:本研究はosteosarcopeniaとcognitive frailtyの横断的関連を明らかにすることを目的とした.
  • 方法:本研究はfrailty clinicに通院している外来患者432名を対象とした.Osteosarcopeniaはサルコペニアと骨粗鬆症が併存した状態と定義した.Cognitive frailtyは身体的フレイルと軽度認知機能障害が併存した状態と定義した.OsteosarcopeniaとCognitive frailtyの横断的関連を統計学的に解析した.
  • 結果:Osteosarcopeniaで有意にcognitive frailtyの有病割合が高かった.また,osteosarcopeniaとcognitive frailtyは有意な横断的関連を示した.
  • 結論:osteosarcopeniaとcognitive frailtyは横断的に関連していた.

 

【文献抄読】

担当:五十嵐(小)

タイトル:Previous contraceptive treatment relates to grey matter volumes in the hippocampus and basal ganglia

出典:Pletzer et al., Scientific Reports. doi.org/10.1038/s41598-019-47446-4

  • 背景:女性ホルモンの変動は、海馬や大脳基底核の灰白質容積を変化させることが報告されている。一方、近年、世界中で広く使用されている経口避妊薬(ピル)の脳構造に対する影響は明らかにされていない。さらに、被験者間比較がほとんどであり、被験者内のピルの影響は十分に検討されていない。そこで、ピルを過去に使用していた期間および使用中止後の期間と海馬・大脳基底核の灰白質容積のどのような関係性があるかを明らかにすることを目的とした。
  • 方法:被験者は、ピルを使用したことがない52名、過去に使用経験があり、1種類のピルのみを使用していた52名とした。fMRIの実施により、海馬と大脳基底核の灰白質容積を抽出した。以下の点について検討した。
  1. 灰白質容積とピルの過去の使用期間および使用中止後の期間との関係性
  2. ピルの可逆的な効果
  3. プロゲスチンの種類による影響
  • 結果:海馬と大脳基底核の灰白質容積は、過去にピルを使用していた期間と正の相関関係が認められ、使用期間が長いほど、灰白質容積が増加していた。また、ピルの使用を中止してからの期間と負の相関関係があり、中止してからの期間が長いほど容積は小さくなることが明らかとなった。さらに、大脳基底核の灰白質容積は、使用していた期間よりも長い期間ピルを中止しないと容積の変化は元に戻らないことも明らかとなった。
  • 考察:本研究の結果は、卵巣ホルモン同様に、ピルの使用においても灰白質容積を変化させることが示唆された。しかし、灰白質容積の変化については、一致した見解が得られておらず、合成プロゲスチンの種類が影響している可能性が考えられる。また、大脳基底核では、ピルの可逆的な効果を得るためには、長期間必要であることが示された。これについても、プロゲスチンの種類が影響していると考えられ、抗アンドロゲン性のピルの作用期間が長いことが関与している可能性がある。
  • 結論:海馬と大脳基底核の灰白質容積は、ピルの使用期間によって増加することが明らかとなった。また、ピルの使用を中止してからの期間とも負の関係性があり、灰白質容積はピルの使用によって変化することが示唆された。